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子猫がミルクを飲まない・吸う力が弱いとき|「あと何時間待てるか」ではなく、1回飲めなかった時点で電話を

新生子の授乳は2〜3時間おきが前提で、子猫は体に蓄えを持っていません。予定していた授乳で吸いつかなかった、飲めなかった——その1回で、すでに異常として扱ってください。「あと何時間なら待てるか」を示した一次資料は見つからず、この記事でも時間の線引きは作りません。

まず動物病院に電話してください。そのうえで家庭でできるのは、体重を測って記録することと、器具・ミルク・与える姿勢を点検することまでです。吸う力が弱い子猫に、ミルクを押し込まないでください。押し込まれたミルクは肺に入ります。

予定していた授乳を1回飲めなかった時点で、動物病院に電話してください。新生子はグリコーゲンの蓄えが出生直後に尽き、体脂肪の予備もほとんどありません。獣医学のリファレンスは「わずかな絶食でも低血糖を起こしうる」と明記しています。成猫の食欲不振のように、1日単位で様子を見られる所見ではありません。

吸わないからといって、シリンジや哺乳瓶で押し込まないでください。猫の専門団体は「子猫にミルクを無理に入れてはいけない。肺に吸い込んで重篤な病気を起こしうる」としています。吸う力が弱い子猫への与え方は、動物病院で教わってください。

体が冷たい・呼びかけへの反応が鈍いときは、口に何も入れないでください。低体温は腸の動きを止め、吐き戻しと誤嚥につながります。この状態は「飲まない」より先に手当てが必要で、この記事の範囲を超えます。温めながら、すぐに受診してください。

30秒で判断|どの速さで動くか

動き方当てはまるもの
今すぐ受診
電話しながら向かう
  • 予定していた授乳の時刻に乳首に吸いつかない、口に含んでも吸う力がない
  • 体重が前日より減っている、または増えていない(生後1日目の一時的な減少を除く)
  • 体が冷たい・触るとひんやりする、ぐったりして反応が鈍い(この場合は口に何も入れず、温めながら受診してください)
  • 鼻からミルクが出る、飲むとむせる、飲んだあとゼーゼーする・呼吸が速い
  • 鳴き続ける、落ち着きがない、きょうだいから離れて一匹で横たわっている
  • 水様の下痢、吐き戻し・嘔吐、血尿、おしっこが出ていない
  • お腹が張って痛がる
  • 同腹子にも同じ様子がある、または直近で同腹子が亡くなった
  • 母猫が発熱している・元気がなく子猫の世話をしない、乳房が熱く硬い、分娩後の陰部から膿のような分泌物が出ている
早めに相談
その日のうちに電話する
  • 前回より飲む量が減っている、途中で飲むのをやめる回がある
  • 体重は増えているものの、1日7g・週50〜100gという目安に届かない日が続いている
  • 乳首の穴の大きさ、ミルクの温度、希釈の割合を点検して直しても、飲み方が戻らない
  • ミルクを規定より濃く、または多く与えたあとに、黄色く凝乳状の便が出た

これは受診の優先度を決めるための目安で、病名を判断するためのものではありません。どれにも当てはまらなくても、いつもと違うと感じたら電話して構いません。迷っている時間そのものが、動物にとっては待ち時間になります。

この表に「条件つきで経過観察」の行はありません。「◯時間までは待ってよい」という数字も、「この条件なら家で見ていてよい」という記述も、一次資料には見つからなかったためです。新生子の授乳はもともと2〜3時間おきが前提で、わずかな絶食でも低血糖を起こしうるとされています。時間を数えるのではなく、次の授乳が来る前に電話すると考えてください。

まず確認すること

動物病院へ電話する前に、次の項目を手元にそろえてください。全部わからなくても構いません。わからないこと自体が情報なので、そのまま伝えてください。

  1. 推定の週齢(へその緒が残っているか、目が開いているか、耳が立っているか、歯が生えているか)
  2. 今の体重(キッチンスケールで構いません)と、前日・数日前の体重
  3. 最後にミルクを飲んだ時刻と量、そのとき吸う力があったかどうか
  4. 現在の授乳間隔と1日の回数、何回目から飲まなくなったか
  5. 使っているミルクの製品名と作り方(希釈の割合)、器具(哺乳瓶・乳首・スポイト・シリンジ)、ミルクの温度、与えるときの姿勢
  6. 今の様子(鳴き方、呼びかけへの反応、呼吸の速さ、触ったときに冷たいか温かいか)
  7. 便と尿(色・回数・最後に出た時刻)、下痢・嘔吐・吐き戻しの有無
  8. 母猫の有無と状態(食欲・元気・乳房の張りと熱感・陰部の分泌物・子育ての様子)、分娩の日時と難産だったか
  9. 同腹子の頭数と、他の子にも同じ様子があるか。直近で亡くなった子がいるか
  10. 拾った子猫なら、拾った場所・時刻・状況(濡れていたか、母猫やきょうだいがいたか)

授乳の間隔は、週齢とともに延びていく

「飲まない」を判断するには、その子の授乳の予定表が先に必要です。国際猫医学会(ISFM)は、新生子には24時間に最大10回の授乳が必要だとしたうえで、週齢別の目安を示しています。

週齢24時間あたりの授乳回数授乳の間隔
生後0〜2週10回2〜2.5時間
生後2〜4週7回2.5〜3.5時間
生後4〜5週5回3.5〜5時間

数字には資料によって幅があります。北米の動物病院グループVCAは「生後1週目は2〜4時間おき、そのあとは離乳まで4〜6時間おき」としています。どちらか一方に決め打ちせず、「新生子は2〜3時間おき、週齢が上がるにつれて間隔が延びる」という理解で構いません。大事なのは、その予定の1回が飛んだかどうかです。

ISFMは、正常な子猫は生後2週間、時間の90%を「食べているか眠っているか」で過ごすとしています。逆によく鳴く・落ち着かない・きょうだいから離れて横たわっているという様子は、器具がなくても見分けられる異常のサインです。

すぐ動物病院へ相談すべきサイン

次のどれか一つでも当てはまるなら、夜間・休日であってもその時点で動物病院に電話してください。

  • 予定の授乳で乳首に吸いつかない、口に含んでも吸う力がない
  • 前回より飲む量が明らかに減った、途中でやめてしまう
  • 体重が増えない、前日より減っている
  • 体が冷たい・触るとひんやりする、ぐったりして反応が鈍い(この場合は「飲まない」より優先です。口に何も入れず、温めながらすぐ受診してください)
  • 鼻からミルクが出る、飲むとむせる、飲んだあとゼーゼーする・呼吸が速い
  • 鳴き続ける、落ち着きがない、きょうだいから離れて一匹で横たわっている
  • 下痢(とくに水様便)、嘔吐・吐き戻し、血尿、おしっこが出ていない
  • お腹が張って痛がる、皮膚や口の中が乾いている
  • 同腹子にも同じ様子がある、直近で同腹子が亡くなった
  • 母猫が発熱している・元気がない・子猫の世話をしない
  • 母猫の乳房が熱く硬い・痛がる、乳汁の色や粘り気がおかしい
  • 分娩後の母猫の陰部から、膿のような分泌物が出ている

この記事は、子猫に反応があり、体が冷たくない状態を前提に書いています。冷たくてぐったりしている場合は、口から何かを入れる前にすることがあります。その場合は温めながらの受診が先で、飲ませる相談はそのあとです。

「何時間空けたら危険か」に、数字の答えはありません

この記事でいちばん多く聞かれるのがこの質問なので、正面から答えます。「◯時間までなら大丈夫」という数字を示した一次資料は、見つかりませんでした。ここで数字を作ると、その数字が「待ってよい時間」として使われます。それは危険なので、作りません。

代わりに、はっきりしていることが2つあります。ひとつは、新生子の授乳はもともと2〜3時間おきが前提だということ。もうひとつは、新生子は体脂肪の予備がほとんどなく、前駆物質からグルコースを作る力も限られ、グリコーゲンの蓄えは出生後まもなく枯渇するため、「わずかな絶食でも低血糖を起こしうる」とされていることです。

この2つを重ねると、答えは時間ではなく回数になります。予定していた授乳で吸わなかった、飲めなかった。その1回が、すでに異常です。「次の回で飲むかもしれない」と一晩待たないでください。

飲めなかった回を数える。時間は数えない。

1回飛んだら、次の授乳が来る前に動物病院へ電話する。

吸う力が弱いことも、量が減ったことも、それ自体が伝えるべき所見です。「まだ少しは飲んでいるから」で先送りしないでください。

必要なエネルギーは、週齢とともに増えていく

飲めない回が積み上がると差が開くのは、子猫の側の必要量が毎週増えていくからです。獣医学のリファレンスが示す新生子の熱量要求量は次のとおりです。

週齢1日に必要な熱量(体重1kgあたり)
生後1週133 kcal
生後2週155 kcal
生後3週175〜198 kcal
生後4週220 kcal

この表は、家庭でミルクの量を計算するためのものではありません。「回数が減れば、その分だけ足りなくなる」という関係を確かめるための数字として見てください。実際に必要な量と与え方は、状態を診た獣医師が決めます。

家庭で使える数字は、時間ではなく体重です

体重は、家庭で測れるほぼ唯一の客観的な指標です。キッチンスケールで測れます。特別な器具は要りません。そして「飲んでいるつもりだったが足りていなかった」を、いちばん早く見つけてくれます。

見るところ目安
1日あたりの増え方体重の5〜10%(VCAは「1日に少なくとも7g」を挙げています)
1週間の増え方50〜100g
生後7〜10日出生体重の2倍になる
生後1日目出生体重の最大10%までの一時的な減少は許容される
測る頻度生後2週間は毎日。そのあとは1か月齢まで3日ごと

測り方は決めてしまってください。毎日・同じ時刻に・同じスケールで測り、数字を書き留める。ISFMも「毎日同じ時刻に体重を測って記録する」としています。授乳の直後と直前では値が変わるので、時刻をそろえることに意味があります。

見るのは絶対値ではなく前日との差です。「この子はもともと小さいから」という説明は成り立ちません。生後1日目の一時的な減少を除けば、体重は毎日増えるのが正常で、増えない・減るのは、それ自体が受診の理由になります。

授乳の記録も同じ紙に残してください。時刻、飲んだ量、そして「飲まなかった回」。この記録が、診察室でいちばん役に立ちます。

飲まないとき、電話と並行して点検する3つ

「飲まない」の原因が、子猫ではなく与え方の側にあることがあります。次の3つは家庭で確かめられます。ただし点検は、受診を先送りする理由にはなりません。順番は電話が先で、点検はそのあと、あるいは並行してです。

1. 体が冷たくないか(冷たければ、口に入れない)

触って冷たい子猫に、まずミルクを、というのは順番が逆です。低体温は腸の動きを止め、吐き戻しと誤嚥につながります。獣医療で行うチューブ給餌ですら、体温が正常に戻るまで遅らせるとされています。VCAも「低体温の子猫はうまく食べないので、給餌の前に温めておくと成功率が上がる」としています。

つまり「飲まない」の第一の原因が、冷えていることである場合があります。その場合は、飲ませ方を工夫するより先に、温めることと受診が必要です。体が冷たくてぐったりしている子猫は、この記事の範囲を超えます。口に何も入れず、温めながらすぐに動物病院へ向かってください。

2. 乳首の穴の大きさ(1滴ずつ落ちる程度)

ISFMは、乳首の穴の大きさは決定的に重要だとしています。大きすぎれば子猫を溺れさせる危険があり、小さすぎれば子猫がミルクを得るのに苦労し、いやになって飲むのを拒みます。つまり穴が小さすぎること自体が、「飲まない」の原因になります。

適正の見分け方は簡単です。瓶をほとんど、あるいはまったく押さずに、ミルクが1滴ずつ垂れる程度。これが基準です。強く押し出して勢いよく出るなら、それは押し込んでいるのと同じで、誤嚥の側に近づきます。子猫が成長したら、穴は少しずつ大きくしていきます。

哺乳瓶が手に入らないときの代わりとして、スプーン・スポイト・シリンジ・チューブによる給餌が使えるとされていますが、これらの方法はいずれもミルクを肺に吸い込むリスクを伴うと明記されています。「吸えないからシリンジで」と自己判断で切り替えないでください。

3. ミルクの種類・温度・濃さ

使うのは猫用の代用乳です。人が飲む牛乳やヤギ乳は、蛋白と脂肪が足りず、子猫の代用乳にはなりません。市販の代用乳は自家製より優れているとされますが、母乳に匹敵するものはありません。

温度は35〜37.8℃に温め、手の甲に落として確かめてから与えます(VCAは約38℃としています)。冷たいミルク、速すぎる給餌、与えすぎは、吐き戻し・誤嚥・腹部膨満・下痢につながります。

濃さも同じです。人工乳の与えすぎは浸透圧性の下痢(黄色く凝乳状の便)を起こすとされ、その場合は製品を水などで50%に希釈する必要があるとされています。「元気が出るように濃く作る」は逆効果です。新生の孤児の子猫では、与えすぎるよりわずかに少なめのほうがよいとされています。

この3つを点検して直しても飲まないなら、それ以上は試さないでください。器具を替えながら時間を使うことが、そのまま受診の遅れになります。

飲まない背景に何があるか

「今日は気分じゃないのだろう」という説明は、新生子には当てはまりません。「哺乳しないこと」「体重増加の低下」は、教科書に臨床徴候として並んでいる所見です。

感染|新生子敗血症の徴候として並んでいる

獣医学のリファレンスは、新生子の細菌性敗血症が急速に悪化し、認識と治療が遅れれば死に至るとしたうえで、疑うべき臨床徴候として次を挙げています。体重増加の低下、哺乳しないこと、血尿、持続する下痢、いつもと違う鳴き方、腹部膨満と痛み、四肢末端の壊死、低体温、呼吸困難、吐き戻し・嘔吐。

素因として挙げられているのは、母猫側の感染(子宮炎・子宮内膜炎・乳腺炎)、難産や分娩の遷延、人工乳の不適切な給与、汚染された環境、ストレス、低出生体重です。ISFMも「過度に鳴く、あるいは吸わない子猫は、たいてい病気であるか十分にミルクを得られていない」としています。

これらを家庭で切り分けることはできません。切り分けが必要だからこそ、早く診てもらう意味があります。

口蓋裂・口唇裂|鼻からミルクが出る

生まれつきの原因のうち、家庭で気づける可能性があるのが口蓋裂・口唇裂です。通常は出生後まもなく、「哺乳がうまくいかない」問題として気づかれます。典型的なのは、ミルクが鼻孔から垂れる、吸うこと・飲み込むことに困難がある、という現れ方です。

診断は、獣医師が口の中を診れば容易につくとされています。治療には手厚い介護(手やチューブでの給餌)と、必要に応じて呼吸器感染に対する抗生物質が必要になり、外科的な修復は通常、生後12週以降に行われます。口唇裂の発生率はシャム猫で高いとされています。

鼻からミルクが出る状態のまま与え続けないでください。肺に入れば誤嚥性肺炎につながります。与え方そのものを、診察のうえで決め直す必要があります。

母猫側の病気|「子猫が育たないことだけ」が唯一のサインのことがある

母猫がいるのに飲まない・育たないときは、母猫の側を疑ってください。乳腺炎は猫では稀とされますが、全身の感染に進めば母猫に発熱・沈うつ・食欲不振・元気消失が出て、子猫を放置することがあります。そして長期の炎症がある猫では、唯一のサインが「子猫の発育不良」であることがあると明記されています。乳汁は色や粘り気が変わることも、正常に見えることもあります。患部の乳腺は熱く、痛みます。

分娩後の子宮炎(metritis)でも、母猫は沈うつして発熱し、子育てを放棄することがあります。このとき「子猫は落ち着かず、絶え間なく鳴く」とされています。鳴き続ける子猫を前に、子猫の側だけを探しても答えが出ないことがあるのはこのためです。

母猫の食欲・元気・乳房の張りと熱感・陰部からの分泌物・子育ての様子を見て、記録してください。原因が母猫側にある場合、子猫だけを連れて行っても解決しません。

受診は、具合の悪い子だけを連れて行かない

ISFMは、子猫は非常に早く死にうるため、健康について少しでも心配があるとき、あるいはよく鳴く・哺乳しないときは、子猫と、まだいれば母猫と同腹のきょうだいを、できるだけ早く獣医師に診てもらうべきだとしています。

そして受診のときは、具合の悪い子猫だけを分けるのではなく、同腹子全部と母猫を連れて行くようにとしています。理由のひとつは、巣から引き離すこと自体が強いストレスになるからです。もうひとつは、原因が母猫側にある場合や、同腹のきょうだいにも同じことが起きている場合を、その場で拾えるからです。

同腹子が直近で亡くなっている場合は、そのことも伝えてください。1頭の問題として扱うか、腹全体の問題として扱うかで、獣医師の見方が変わります。

今、自宅でできること

ここに書くのは治療ではありません。病院に着くまでに、これ以上悪くしないことと、診察に必要な情報をそろえることが目的です。上から順に進めてください。

  1. 動物病院に電話する。推定週齢・現在の体重・最後に飲んだ時刻・吸う力があったかを伝えて指示を仰ぐ。夜間・休診日ならこのあとの案内を見てください
  2. 触って冷たくないかを確かめる。冷たければ、口には何も入れずに、温めながら受診に向かう
  3. キッチンスケールで体重を測って記録する。前日・数日前の体重があれば並べて書く
  4. 授乳の時刻と飲んだ量を記録する。「飲まなかった回」も記録する
  5. 静かで暖かい場所へ移す。人の出入りと音を減らす
  6. 使っているミルクの製品名、作り方(希釈の割合)、哺乳瓶・乳首・シリンジを持参する(写真でも構いません)
  7. 乳首の穴が適正か確認する(瓶をほとんど押さずに1滴ずつ落ちる程度)
  8. 母猫がいる場合は、母猫の食欲・元気・乳房の張りと熱感・陰部の分泌物・子育ての様子も見て記録する
  9. 同腹子全員の体重と様子を確認して記録する
  10. 便・尿・吐いたものは、片づける前に写真を撮る
  11. 拾った子猫なら、拾った場所・時刻・状況(濡れていたか、母猫やきょうだいがいたか)をメモする
  12. キャリーやふた付きの箱にタオルを敷いて用意し、移動中も保温が切れないようにする。受診には同腹子と母猫も一緒に連れて行く

以上はすべて「受診までの安全確保と情報整理」です。飲ませることを目標にしないでください。飲ませてよいか、何をどう与えるかは、状態を診た獣医師が決めます。

やってはいけないこと

以下は子猫を危険にさらすか、受診を遅らせる行為です。ひとつも行わないでください。

  • 吸う力が弱い子猫に、シリンジや哺乳瓶でミルクを押し込む。ISFMは「子猫にミルクを無理に入れてはいけない。肺に吸い込んで重篤な病気を起こしうる」としています。押し込まれたミルクは肺に入り、誤嚥性肺炎につながります
  • 仰向けにして飲ませる。窒息とミルクの吸い込みのリスクが高くなります。四肢が地面に接した、伏せか立った姿勢で与えます(VCAは「水平で頭が自然な位置」としています)。人の乳児と同じ抱き方をしないでください
  • 乳首の穴を大きく広げる、瓶を強く押して勢いよく出す。穴が大きすぎると子猫を溺れさせる危険があるとされています
  • 体が冷たいうちに、ミルク・ぬるま湯・砂糖水・ブドウ糖液を口に入れる。低体温では腸の動きが止まり、吐き戻して誤嚥します。吸収もされません
  • 反応が鈍い・意識がはっきりしない子猫の口に、液体や食べ物を入れる。飲み込む力が落ちていて、誤嚥・窒息の危険があります
  • 人が飲む牛乳・ヤギ乳・人の乳児用ミルクを代わりに使う。蛋白と脂肪が足りず、子猫の代用乳にはなりません
  • ミルクを規定より濃く作る、規定量より多く与える。浸透圧性の下痢と吐き戻しの原因になります
  • 熱すぎるミルク、冷たいままのミルクを与える
  • 家庭で胃チューブを自己流で入れる。吸てつが弱い子猫の給餌方法は動物病院で教わり、必要なチューブ給餌は獣医師が行います
  • 「朝までに飲むかもしれない」と一晩様子を見る。新生子はわずかな絶食でも低血糖を起こしうるとされています
  • 鼻からミルクが出るのに、そのまま与え続ける(誤嚥性肺炎の危険があります)
  • 獣医師の指示なしに、下痢止め・抗生物質・人用の薬を与える
  • 自己判断で市販の輸液や皮下点滴を行う
  • 具合の悪い子猫だけを巣から取り出して、長時間ひとりにしておく

「飲まないなら、飲ませればいい」という発想そのものが、この場面では危険です。吸う力が落ちていることは、飲ませ方の問題ではなく、その子の状態を示すサインとして扱ってください。

動物病院へ伝える情報

電話の時点で伝えられると、到着後の対応が速くなります。メモを見ながらで構いません。

  • 推定週齢(へその緒が残っているか、目が開いているか、耳が立っているか、歯が生えているか)
  • 現在の体重と、前日・数日前の体重。増えているか、減っているか
  • 最後にミルクを飲んだ時刻と量、そのとき吸う力があったかどうか
  • 現在の授乳間隔と1日の回数、何回目から飲まなくなったか
  • 使用しているミルクの製品名と作り方(希釈の割合)、器具(哺乳瓶・乳首の穴の大きさ・スポイト・シリンジ)
  • ミルクの温度と、与えるときの姿勢
  • 体温を測れた場合はその値と測った時刻(測れなければ「触ると冷たい/温かい」で構いません
  • 鼻からミルクが出るか、むせるか、飲んだあとの呼吸の様子
  • 便と尿の状態(色・回数・最後に出た時刻)、下痢・嘔吐・吐き戻しの有無
  • 鳴き方、呼びかけへの反応、きょうだいと一緒にいるか離れているか
  • 同腹子の頭数と、他の子にも同じ様子があるか。直近で亡くなった子がいるか
  • 母猫の有無と状態(食欲・元気・発熱・乳房の熱感や硬さ・乳汁の見た目・陰部の分泌物・子育ての様子)、分娩の日時と難産だったか
  • 保護した子猫なら、拾った場所・時刻・状況
  • 自宅で行ったことは、隠さず正確に伝える。何をどのくらい飲ませたか、温めたか、市販薬を使ったかは、治療の判断を変えます

夜間・休日でかかりつけの動物病院が閉まっている場合

夜間や休診日にかかりつけの病院が閉まっているときは、近くの夜間・救急動物病院を確認してください。向かう前に必ず電話をしてください。夜間は予約制のところや、受け入れられる状態かどうかがその時々で変わるところがあります。

電話では、「何が起きたか」「いつからか」「猫の年齢と体重」「今の様子」を伝えてください。その場でできることを教えてもらえたり、より適した病院を案内してもらえることがあります。

電話の最初に、「生後◯日(◯週)くらいの子猫が、ミルクを飲まない・吸う力がない」と伝えてください。週齢と体重を添えると、受け入れの可否と準備の判断が早くなります。

夜間で猫用の代用乳が手に入らない場合も、自己判断で別のもので代用しないでください。まず電話をして指示を仰いでください。そもそも「飲まない」状態であれば、ミルクを買いに行くことより受診が先です。

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よくある質問

何時間飲まなかったら危険ですか?

「◯時間までは大丈夫」という数字を示した一次資料は見つかりませんでした。数字を作らないほうが安全です。

わかっているのは2つです。新生子の授乳はもともと2〜3時間おき(ISFMは生後0〜2週で24時間に10回、2〜2.5時間間隔)が前提であること。そして新生子はグリコーゲンの蓄えが出生直後に尽きるため、「わずかな絶食でも低血糖を起こしうる」とされていることです。

したがって、予定していた授乳で吸わなかった時点で異常として扱い、動物病院に連絡してください。「次の回で飲むかもしれない」と一晩待たないでください。

吸う力が弱いようです。シリンジで少しずつ入れてもいいですか?

押し込まないでください。ISFMは「子猫にミルクを無理に入れてはいけない。肺に吸い込んで重篤な病気を起こしうる」としています。

スポイトやシリンジは哺乳瓶が手に入らないときの代替として使えるとされていますが、いずれもミルクを肺に吸い込むリスクを伴うと明記されています。

吸う力がない子猫への与え方は、動物病院で教わってください。必要なチューブ給餌は獣医師が行います。

体重はどのくらい増えれば安心ですか?

子猫は週50〜100g(1日あたり体重の5〜10%)増えるのが正常で、生後7〜10日で出生体重の2倍になるとされています。VCAは「1日に少なくとも7g」を目安に挙げています。

毎日同じ時刻に、キッチンスケールで測って記録してください。生後2週間は毎日、そのあとは1か月齢まで3日ごとが目安です。

生後1日目に出生体重の10%まで一時的に減るのは許容範囲とされていますが、それ以降に増えない・減るのは異常です。見るのは絶対値ではなく前日との差です。

飲ませると鼻からミルクが出ます。

口蓋裂・口唇裂の可能性があります。口蓋裂は出生直後に「哺乳がうまくいかない」問題として気づかれ、ミルクが鼻孔から垂れる、吸う・飲み込むのが難しいという形で現れるとされています。

獣医師が口の中を診れば診断できます。手厚い介護(手やチューブでの給餌)が必要になり、外科的な修復は通常、生後12週以降に行われます。

誤嚥性肺炎の危険があるため、そのまま与え続けないでください。

哺乳瓶の乳首は、どれくらいの穴が適正ですか?

瓶をほとんど、あるいはまったく押さずに、ミルクが1滴ずつ垂れる程度が適正とされています。

穴が大きすぎると子猫を溺れさせる危険があり、小さすぎると子猫が飲むのに苦労して、いやになり、飲むのをやめてしまいます。「飲まない」の原因が器具にあることもあります。

ただし、器具を替えても飲まないなら、それ以上試さずに受診してください。試している時間が、そのまま受診の遅れになります。

母猫がいるのに、子猫がおっぱいを飲みません。

母猫側の病気を疑ってください。乳腺炎は猫では稀とされますが、長引いた場合は「子猫が育たないことが唯一のサイン」ということがあると明記されています。

分娩後の子宮炎では、母猫が発熱・沈うつして子育てを放棄することがあり、そのとき「子猫は落ち着かず絶え間なく鳴く」とされています。

受診するときは、具合の悪い子猫だけを連れて行かず、同腹子と母猫も一緒に連れて行ってください。

猫用のミルクが手に入りません。牛乳で代わりにできますか?

できません。牛乳やヤギ乳は蛋白と脂肪が足りず、子猫の代用乳にはならないとされています。下痢の原因にもなります。

夜間などで入手できないときは、自己判断で代用せず、まず動物病院に電話して指示を仰いでください。

そもそも「飲まない」状態であれば、ミルクを用意することより受診が先です。

少し飲みました。もう大丈夫ですか?

「哺乳しない」「体重増加の低下」は、新生子敗血症の臨床徴候として挙げられている所見です。一度飲んだからといって、背景にあるものがなくなったわけではありません。

背景には感染、口蓋裂などの先天異常、低体温、低出生体重、母猫側の病気などがあり、多くは複合しています。

体重を毎日記録し、増え続けているかを確認してください。増えないなら受診してください。

まとめ

  • 「何時間空けたら危険か」に、一次資料の答えはありません。数えるのは時間ではなく回数で、予定していた授乳を1回飲めなかった時点で動物病院に電話してください
  • 新生子の授乳は2〜3時間おきが前提(ISFMは0〜2週で24時間に10回)。そして新生子はわずかな絶食でも低血糖を起こしうるとされています
  • 家庭で使える客観的な数字は体重。週50〜100g、1日あたり体重の5〜10%(1日最低7g)、生後7〜10日で出生体重の2倍。毎日・同じ時刻・キッチンスケールで測って記録する
  • 吸う力が弱くても押し込まない。押し込まれたミルクは肺に入ります。仰向けにせず、四肢を床につけた姿勢で。乳首の穴は「ほとんど押さずに1滴ずつ落ちる」程度に
  • 体が冷たい・反応が鈍いときは、口に何も入れない。低体温では腸が止まり、吐き戻して誤嚥します。温めるのが先で、受診が最優先になります
  • 「哺乳しない」「体重が増えない」は新生子敗血症の臨床徴候として教科書に載っている所見。口蓋裂では鼻からミルクが出ることがあります
  • 母猫側の病気(乳腺炎・子宮炎)で子猫が育たないことがあります。受診には、具合の悪い子だけでなく同腹子と母猫も一緒に連れて行ってください

参考資料

この記事は次の資料を参照して作成しました(2026年9月9日確認)。記載内容は一般的な情報であり、個々の症例の診断・治療に代わるものではありません。判断に迷うときは、自己判断せず動物病院に相談してください。

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