野良猫の病気の見分け方完全ガイド|症状別チェックポイントと対処法
街中で見かける野良猫。元気に走り回っている姿もあれば、どこか体調が悪そうに見える猫もいます。「この子、もしかして病気かも?」と心配になったことはありませんか。
野良猫の病気を見分けることは、簡単ではありません。しかし、いくつかのポイントを知っておくことで、その猫が健康なのか、何か異常があるのかをある程度判断できるようになります。
この記事では、野良猫の病気の見分け方について、具体的な症状や対処法、そして私たちにできることを詳しく解説します。
野良猫の病気を見分けるための基本的な観察ポイント
野良猫の健康状態を判断するには、まず全体的な様子を観察することが大切です。以下のポイントに注目してみましょう。
目の状態をチェック
目は健康状態を知る重要なバロメーターです。健康な猫の目は澄んでいて、生き生きとしています。
目やにが大量に出ている場合は、風邪を引いている可能性が高いです。特に黄色や緑色の目やにが固まっている、目が開けられないほど目やにがこびりついている場合は、猫風邪(猫ウイルス性鼻気管炎や猫カリシウイルス感染症)にかかっている可能性があります。
また、目が白く濁っている、充血している、涙が止まらないといった症状も、何らかの病気のサインです。
鼻水やくしゃみの有無
鼻水が出ていたり、頻繁にくしゃみをしている場合も、風邪を引いているサインです。人間と同じように、猫も風邪を引くと鼻水やくしゃみが出ます。
透明な鼻水であれば軽症の可能性もありますが、黄色や緑色の鼻水が出ている場合は症状が進行している証拠です。鼻が詰まって口呼吸をしている場合は、かなり苦しい状態と言えます。
猫は鼻が詰まると匂いを嗅げなくなるため、食欲が落ちてさらに体力が低下してしまいます。
体型と毛並みの状態
痩せている猫を見かけることもありますが、これは判断が難しいポイントです。単純に食べ物が少ない環境で暮らしているために痩せているのか、それとも病気が原因で痩せているのかは、見た目だけでは判断しづらいのが実情です。
ただし、極端に骨が浮き出ている、背骨や肋骨がはっきり見える、腰のくびれが異常に深いといった場合は、栄養失調や慢性的な病気の可能性があります。
また、毛並みもチェックポイントです。健康な猫は毛艶が良く、ふんわりとしています。毛がパサパサで艶がない、毛玉だらけでボサボサしている、部分的に脱毛しているといった場合は、栄養不足や皮膚病、寄生虫の可能性があります。
動きや行動の異常
ぐったりして動かない、歩き方がふらついている、いつも同じ場所でうずくまっているといった場合は、体調が悪い可能性が高いです。
また、頻繁に体を掻いている場合はノミやダニなどの寄生虫、耳を気にして頭を振っている場合は耳ダニや外耳炎の可能性があります。
見た目では判断できない深刻な病気
野良猫の病気で最も厄介なのが、外見からは判断できない感染症です。
猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症)
猫エイズは、猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染することで起こる病気です。人間のエイズとは異なり、人には感染しません。
この病気の最も難しい点は、感染していても見た目では全く分からないことです。感染初期は無症状の期間が数年続くこともあり、その間は普通の猫と変わらない生活を送ります。
しかし、免疫力が低下してくると、口内炎、慢性的な下痢、呼吸器症状、皮膚病など様々な症状が現れます。喧嘩による咬傷で感染することが多いため、野良猫の間では感染率が高い病気です。
猫白血病ウイルス感染症
猫白血病ウイルス(FeLV)も、見た目では判断できない深刻な感染症の一つです。
この病気は免疫力を低下させ、貧血、リンパ腫などの腫瘍、慢性的な口内炎など様々な病気を引き起こします。唾液や鼻水などの接触、グルーミングなどで感染するため、野良猫のコロニーで一匹が感染していると、他の猫にも広がりやすい特徴があります。
発症すると治療法がなく、余命が短くなってしまう恐ろしい病気です。
なぜ検査が必要なのか
猫エイズや猫白血病は、血液検査をしない限り感染の有無を確認できません。外見は健康そうに見えても、実はウイルスに感染しているケースは少なくありません。
また、痩せている猫を見た時も、「お腹が空いているだけ」なのか「内臓疾患や寄生虫が原因」なのかは、検査をしなければ分かりません。慢性腎臓病、肝臓病、甲状腺機能亢進症、糖尿病など、痩せる原因となる病気は多数あります。
病気の野良猫を見つけた時の対処法
明らかに体調が悪そうな野良猫を見かけた時、「何とかしてあげたい」と思うのは自然な感情です。しかし、行動を起こす前に知っておくべきことがあります。
まずは自分にできることを整理する
感情的に動く前に、冷静に以下のことを考えましょう。
自分で捕獲できるか。病気で弱っている猫でも、人間に慣れていない野良猫は近づくと逃げてしまいます。明らかに動けないほど衰弱している場合を除き、素手で捕まえるのは困難です。
もし近寄っただけで逃げてしまうようであれば、捕獲器が必要になります。捕獲器は動物病院や動物愛護団体から借りられる場合もありますが、自分で準備するのが難しいケースも多いでしょう。
保護した後の世話ができるか。仮に捕獲できたとして、その後の世話ができるかどうかは非常に重要です。治療費、隔離スペース、毎日の世話、他のペットがいる場合の感染リスク管理など、考慮すべきことは山ほどあります。
治療が長期に及ぶ可能性もありますし、最悪の場合、看取る覚悟も必要かもしれません。診察が終わった後に自分で保護して世話ができるのかどうか、最初に決めておくことが大事です。
動物病院への問い合わせ
保護する前に、まず近隣の動物病院に電話で相談することをおすすめします。
その際、猫の状態(目やに、鼻水、くしゃみ、痩せ具合、外傷の有無など)を詳しく伝えましょう。
ここで重要なのが、すべての動物病院が野良猫を診察できるわけではないという現実です。野良猫は、パルボウイルス、猫エイズ、猫白血病など、どんな感染症を持っているか分かりません。
特にパルボウイルスは感染力が非常に強く、院内感染のリスクがあるため、野良猫の診察を断る病院もあります。また、診察は可能でも、入院設備がない、隔離スペースがないという理由で受け入れられないこともあります。
事前に電話で確認し、受け入れ可能な病院を探すことが大切です。野良猫の診察に理解のある病院、保護猫活動に協力的な病院を見つけておくと安心です。
動物愛護団体への相談
「自分では保護できないけれど、このまま放っておけない」という場合、動物愛護団体に相談することを考えるかもしれません。
しかし、現実は厳しいです。ほとんどの動物愛護団体や保護猫団体は、すでにキャパシティオーバーの状態です。保護したくても保護場所がない、医療費が足りない、ボランティアの人手が足りないという状況で、新たな猫を引き取る余裕がないのが実情です。
特に病気の猫は治療費が高額になりやすく、引き取りがさらに難しくなります。基本的にどこもキャパオーバーで、なかなか引き取ってはくれないのが現実です。
それでも相談してみる価値はありますが、「引き取ってもらえないかもしれない」という心構えは必要です。その場合、捕獲器の貸し出しや、病院の紹介、一時預かりボランティアの募集など、別の形での協力を得られる可能性もあります。
できないことはしなくていい|大切なのは現実を知ること
ここまで読んで、「結局、何もできないのか」と感じた方もいるかもしれません。
しかし、覚えておいてほしいのは、できないことまで無理にしなくていいということです。
野良猫を保護することは、想像以上に大変です。時間、お金、労力、そして精神的な負担も大きくのしかかります。自分の生活が破綻してしまっては、誰も幸せになれません。
「かわいそう」という気持ちだけでは、残念ながら猫を救うことはできないのが現実です。保護には、経済的な余裕、時間的な余裕、精神的な余裕、そして知識と経験が必要です。
もしあなたが今、それらを持ち合わせていないのであれば、無理をする必要はありません。自分にできる範囲で行動することが大切です。
例えば、餌をあげることで一時的な空腹を満たしてあげる、水を置いてあげる、情報をSNSで共有して助けてくれる人を探す、寄付という形で保護活動を支援するなど、直接保護すること以外にもできることはあります。
根本的な解決に向けて|地域猫活動の重要性
野良猫の病気に悩み、「助けたいけれど助けられない」というジレンマを感じる。そんな経験を繰り返さないために、私たちができることがあります。
それが地域猫活動です。
地域猫活動とは
地域猫活動とは、野良猫に不妊去勢手術を施し、決まった場所で適切に餌やりと排泄物の管理を行うことで、野良猫を増やさずに一代限りの命を地域で見守る活動です。
この活動の目的は、野良猫を減らすことです。野良猫が減れば、病気で苦しむ猫も減り、「助けたいけれど助けられない」という辛い状況に直面する人も減ります。
なぜ地域猫活動が必要なのか
不妊去勢手術をしない限り、猫は驚異的なスピードで増えていきます。一匹のメス猫が一年に二回出産し、一回につき平均五匹産むとすると、数年で数十匹、数百匹に増える計算になります。
増えた猫たちは、限られた餌を奪い合い、縄張り争いで喧嘩をし、そこから感染症が広がります。十分な栄養を得られない子猫は病気にかかりやすく、多くが成猫になる前に命を落とします。
この悲しい連鎖を断ち切るには、不妊去勢手術しかありません。
外で暮らす猫がいなくなる未来のために
「外で暮らす猫がいなくなる」というと、冷たく聞こえるかもしれません。しかし、これは猫にとっても、人間にとっても、最も幸せな未来です。
外で暮らす猫は、常に危険と隣り合わせです。交通事故、病気、飢え、虐待、寒さや暑さ。家猫の平均寿命が十五年以上なのに対し、野良猫の平均寿命は三から五年程度と言われています。
もし外で暮らす猫がいなくなれば、病気で苦しむ猫を見て心を痛める人もいなくなります。「助けたいけれど助けられない」という無力感に悩む必要もなくなります。こういうことに迷わなくてもよくなる未来を作るために、地域猫活動を支援していきましょう。
そのために、今できることは地域猫活動を支援すること、広めることです。自分の住む地域で活動している団体を探してみる、ボランティアに参加する、寄付をする、SNSで情報を拡散する。小さな一歩でも、確実に未来を変える力になります。
まとめ|野良猫の病気と向き合うために
野良猫の病気の見分け方について、以下のポイントを押さえておきましょう。
見た目で分かる症状としては、目やに、鼻水、くしゃみは風邪の可能性が高いです。極端な痩せ、毛並みの悪さは栄養不足や慢性疾患のサイン。ぐったりしている、動きがおかしい場合は重症の可能性があります。
見た目では分からない病気もあります。猫エイズ、猫白血病は外見では判断できません。痩せている原因も検査しないと特定できないのです。
病気の野良猫を見つけたら、自分で捕獲・保護できるか冷静に考えましょう。まずは動物病院に症状を伝えて相談することが大切です。ただし、野良猫を診察できない病院もあることを理解しておく必要があります。動物愛護団体はキャパオーバーで引き取りは困難な場合が多いのが現実です。
大切な心構えとして、できないことまで無理にしなくていいということを覚えておいてください。かわいそうだけでは救えないのが現実です。自分にできる範囲で行動することが重要です。
未来のためには、地域猫活動で野良猫を増やさない取り組みを進めていくことが必要です。外で暮らす猫がいなくなる未来を目指して、一人ひとりができることから始めていきましょう。
野良猫の病気に気づき、何とかしてあげたいと思う優しい気持ちは尊いものです。しかし、その優しさを行動に移すには、現実的な判断と準備が必要です。
まずは正しい知識を持ち、自分にできることとできないことを見極める。そして、根本的な解決のために地域猫活動を支援する。それが、野良猫と人間が共存できる社会への第一歩です
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