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野良猫から人にうつる病気:知っておきたい感染症と予防法

野良猫から人にうつる病気

 

 

はじめに

 

街中で見かける野良猫たち。その愛らしい姿についつい手を伸ばしたくなりますが、野良猫との接触には注意が必要です。野良猫は様々な病原体を保有している可能性があり、人間に感染する病気もあります。この記事では、野良猫から人にうつる可能性のある病気について詳しく解説し、適切な予防法をご紹介します。

 

 

野良猫が持つ主な感染症

 

1. 猫ひっかき病(バルトネラ症)

猫ひっかき病は、バルトネラ・ヘンセレ菌という細菌によって引き起こされる感染症です。猫に引っかかれたり噛まれたりすることで感染します。猫自身は症状を示さないことが多いですが、人間が感染すると傷口周辺のリンパ節が腫れ、発熱や倦怠感を伴うことがあります。

特に免疫力が低下している方は重症化するリスクがあるため、注意が必要です。治療には抗生物質が使用されますが、完治まで数週間から数ヶ月かかることもあります。

 

2. トキソプラズマ症

トキソプラズマ原虫による感染症で、猫の糞便を介して人間に感染します。野良猫が排泄した場所を触った手で口に触れることで感染する可能性があります。健康な成人の場合、感染しても無症状か軽い風邪のような症状で済むことがほとんどですが、妊娠中の女性が初めて感染すると、胎児に重大な影響を及ぼす可能性があります。

妊娠を計画している方や妊娠中の方は、特に野良猫との接触や猫の糞便処理には十分な注意が必要です。

 

3. パスツレラ症

パスツレラ菌は猫や犬の口腔内に常在する細菌です。噛まれたり引っかかれたりした傷口から感染し、数時間以内に傷口が赤く腫れ上がり、激しい痛みを伴います。場合によっては蜂窩織炎(ほうかしきえん)という皮膚の深い層まで炎症が広がる病気に進行することもあります。

高齢者や糖尿病患者など免疫力が低下している方は、重症化して敗血症に至ることもあるため、早期の治療が重要です。

 

4. 疥癬(かいせん)

ヒゼンダニという小さなダニが皮膚に寄生することで起こる皮膚病です。野良猫から人間にうつることがあり、激しいかゆみを伴う発疹が現れます。特に夜間にかゆみが強くなるのが特徴です。

猫の疥癬と人間の疥癬では寄生するダニの種類が異なりますが、一時的に人間の皮膚にも寄生してかゆみを引き起こすことがあります。

 

5. 皮膚糸状菌症(白癬)

カビの一種である皮膚糸状菌による感染症で、いわゆる「リングワーム」とも呼ばれます。野良猫に触れることで感染し、円形の赤い発疹が現れます。人から人へも感染するため、家族内での感染拡大にも注意が必要です。

 

6. 回虫症

猫回虫の卵が口から体内に入ることで感染します。野良猫の糞便に含まれる卵が土壌を汚染し、それが手に付着して口に入ることで感染します。特に子どもは砂場遊びなどで感染リスクが高まります。

体内に入った回虫の幼虫が様々な臓器に移行し、内臓幼虫移行症や眼幼虫移行症を引き起こすことがあります。

 

7. 狂犬病

日本国内では1957年以降、人や動物での狂犬病発生は報告されていませんが、世界的には依然として重要な感染症です。海外から持ち込まれる可能性もゼロではなく、感染した動物に噛まれることで感染します。発症するとほぼ100%死亡する恐ろしい病気です。犬だけでなく、狐や稀に猫もウィルスを保持しているという記録があります。

 

8. カンピロバクター症

細菌性の腸炎で、猫の糞便を介して感染することがあります。下痢、腹痛、発熱などの症状が現れます。野良猫に触れた後、手を洗わずに食事をすることで感染するリスクがあります。

 

 

家猫でも油断は禁物

 

野良猫だけでなく、家で飼っている猫に噛まれたり引っかかれたりした場合も注意が必要です。家猫であっても口腔内にはパスツレラ菌などの細菌が常在しており、傷口から感染する可能性があります。

実際、猫に噛まれた傷は犬に噛まれた傷よりも深く、細い牙が皮膚の深部まで達するため、感染症のリスクが高いとされています。特に手や指を噛まれた場合、腱や関節まで細菌が到達し、重症化することがあります。

 

家猫による感染を防ぐために

  • 猫が興奮している時は無理に触らない
  • 遊ぶ時は直接手で遊ばず、おもちゃを使う
  • 噛み癖や引っかき癖がある場合はしつけを見直す
  • 定期的な爪切りで引っかき傷のリスクを軽減
  • ワクチン接種や定期的な健康診断を受ける

万が一噛まれたり引っかかれたりした場合は、すぐに流水でよく洗い、消毒してください。傷口が深い場合や、数時間以内に腫れや痛みが強くなった場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

 

 

猫から猫へ、人を媒介してうつる病気

 

野良猫に触れた後に注意すべき重要なポイントは、人間が病原体の運び屋になってしまう可能性があることです。野良猫が持っている病原体の中には、人間の手や衣服に付着して、別の猫に運ばれるものがあります。

 

猫カリシウイルス感染症

猫の上部気道感染症を引き起こすウイルスで、くしゃみや鼻水などの症状が出ます。このウイルスは環境中で比較的長く生存でき、人間の手や衣服を介して他の猫に感染させてしまう可能性があります。

 

猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)

非常に感染力の強いウイルスで、環境中で長期間生存します。人間が野良猫に触れた後、このウイルスを自宅の猫に持ち帰ってしまうリスクがあります。特に子猫では致死率が高い恐ろしい病気です。

 

猫白血病ウイルス感染症(FeLV)

猫同士の唾液や血液を介して感染するウイルスですが、人間の手に付着したウイルスが他の猫に感染する可能性もあります。感染すると免疫力が低下し、様々な病気を発症しやすくなります。

 

 

野良猫に触れた後の適切な対処法

 

野良猫に触れた場合は、以下の手順で適切に対処することが重要です。

 

1. 速やかに手を洗う

野良猫に触れた後は、できるだけ早く石鹸と流水で手をよく洗いましょう。指の間、爪の周り、手首まで丁寧に洗います。洗浄時間は最低20秒以上が推奨されます。

 

2. 消毒する

手洗い後は、アルコール消毒液で手を消毒するとさらに効果的です。特に自宅で猫を飼っている場合は、病原体を持ち込まないよう徹底した手指衛生が必要です。

 

3. 衣服を着替える

可能であれば、野良猫に触れた衣服は着替えることをお勧めします。特に自宅で猫を飼っている場合は、ウイルスや細菌を持ち込まないための重要な対策です。

 

4. 傷がある場合は特に注意

引っかかれたり噛まれたりして傷ができた場合は、すぐに流水でよく洗い流し、消毒液で消毒します。傷が深い場合や、腫れ、発赤、痛みが強い場合は医療機関を受診してください。

 

5. 自宅の猫に触れる前の対策

自宅で猫を飼っている方は、野良猫に触れた後すぐに自宅の猫に触れることは避けましょう。手洗い、消毒、可能であれば着替えを済ませてから接触することで、病気の伝播リスクを大幅に減らせます。

 

 

懐いている野良猫を見かけたら

 

街中で人に懐いている野良猫を見かけることがあります。このような猫は、もともと飼い猫だった可能性も考えられます。

 

元々飼い猫だった猫の特徴

  • 人を極端に怖がらない(通常の野良猫は警戒心が強い)
  • 栄養状態が悪く、やせている
  • 怪我をしている、または古い傷跡がある
  • 毛並みが悪く、汚れている
  • 明らかに飼い猫の特徴がある(首輪の跡など)

保護を検討すべき理由

人に懐いている野良猫は、外の生活に適応できていない可能性が高く、交通事故や感染症、虐待などのリスクにさらされています。もし余裕があれば、以下の対応を検討してください。

  1. 地域の動物愛護団体に連絡:保護活動をしている団体に相談することで、適切なアドバイスや支援を受けられます。

  2. 動物病院で健康チェック:保護した場合は、まず動物病院で健康状態を確認し、必要な治療やワクチン接種を行います。

  3. 警察への届け出:迷子猫の可能性もあるため、警察に拾得物として届け出ることで、飼い主が見つかる可能性があります。

  4. 新しい飼い主探し:自分で飼えない場合でも、信頼できる里親を探すことで、猫の命を救うことができます。

 

保護する際の注意点

野良猫を保護する際は、安全に配慮することが重要です。

  • 厚手の手袋を使用する
  • キャリーバッグやダンボールを用意する
  • 無理に捕まえようとせず、食べ物で誘導する
  • 既に自宅で猫を飼っている場合は、隔離期間を設ける

 

まとめ:正しい知識で猫との共生を

 

野良猫から人にうつる病気は決して珍しいものではありませんが、適切な知識と予防対策があれば、リスクを大幅に減らすことができます。

重要なポイント:

  • 野良猫には様々な感染症のリスクがある
  • 家猫でも噛まれたり引っかかれたりした場合は注意が必要
  • 野良猫に触れた後は、他の猫に病気をうつさないよう手洗い・消毒を徹底する
  • 人懐っこい野良猫は虐待や遺棄の可能性があり、保護を検討すべき

猫は私たち人間にとって大切なパートナーです。野良猫も含め、すべての猫が安全で健康的な生活を送れるよう、私たちができることから始めていきましょう。正しい知識を持って適切に行動することで、人と猫の両方が安全に共生できる社会を作ることができます。

野良猫に触れた後に体調不良や皮膚の異常を感じた場合は、速やかに医療機関を受診し、猫との接触があったことを必ず伝えてください。早期発見・早期治療が、感染症対策の基本です。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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