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フカヒレ禁止は日本でも進むのか?|サメ漁の現実と私たちの選択

フカヒレ 禁止 日本

 

 

はじめに:なぜ今、フカヒレが問題視されているのか

 

近年、フカヒレの消費が世界的に問題視されています。日本国内でも「フカヒレ 禁止」というキーワードで検索する人が増えており、サメの保護と海洋生態系への関心が高まっています。高級中華料理の代名詞として知られるフカヒレですが、その背景には深刻な環境問題が隠されているのです。

本記事では、フカヒレ問題の本質、日本との関係、そして私たち一人ひとりができる選択について詳しく解説します。

 

 

フカヒレ問題を告発するドキュメンタリー映画の増加

 

世界に衝撃を与えた映像作品

2000年代以降、フカヒレ問題を取り上げたドキュメンタリー映画が次々と制作されています。これらの作品は、一般の人々にはあまり知られていなかったサメ漁の実態を明るみに出し、世界中で大きな反響を呼びました。

代表的な作品としては、「Sharkwater(シャークウォーター)」や「Shark Water Extinction」などがあり、これらの映画は美しい海洋映像と衝撃的な現実を対比させることで、視聴者に強いメッセージを届けています。

 

 

映画が明らかにした残酷な真実

これらのドキュメンタリーが焦点を当てているのは、「フィニング(finning)」と呼ばれる漁法の残酷さです。また、サメの個体数が急激に減少している現状も克明に描かれており、多くの人々の意識を変えるきっかけとなっています。

映画の影響力は大きく、特に若い世代を中心に、フカヒレ消費に対する疑問や反対の声が広がっています。

 

 

フィニングとは何か:残酷な漁法の実態

 

フィニングの具体的な方法

フィニング(finning)とは、生きたサメからヒレだけを切り取り、胴体は海に捨てるという極めて残酷な漁法です。この方法が行われる理由は経済的な効率性にあります。

サメのヒレは体重に対して非常に軽く、高値で取引されます。一方、サメの身は比較的安価であり、船の積載スペースを考えると、ヒレだけを持ち帰る方が利益率が高いのです。

 

 

なぜフィニングは残酷なのか

ヒレを切り取られたサメは、泳ぐことができなくなり、海底に沈んでいきます。サメは泳ぎ続けることで呼吸する魚類であるため、泳げなくなったサメは窒息死するか、他の捕食者に襲われるか、餓死するという悲惨な最期を迎えます。

意識を持ったまま海に捨てられ、ゆっくりと死んでいくサメの姿は、動物福祉の観点から見ても看過できない問題です。この残酷性が、世界中で批判を集める大きな理由となっています。

 

 

サメの個体数減少:海の生態系への深刻な影響

 

世界のサメ個体数の現状

国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストによると、多くのサメ種が絶滅危惧種に指定されています。特にヨゴレやシュモクザメなどの種は、過去数十年で個体数が90%以上減少したとも報告されています。

年間で約1億匹ものサメが漁獲されていると推定されており、この数字はサメの繁殖速度をはるかに上回っています。サメは成熟に時間がかかり、一度に産む子どもの数も少ないため、個体数の回復が非常に困難な生物なのです。

 

 

サメ減少が引き起こす生態系の崩壊

サメは海洋生態系の頂点捕食者として、食物連鎖のピラミッドにおいて極めて重要な役割を果たしています。サメが減少すると、その下位に位置する中型の捕食魚が増加し、さらにその下の小魚や甲殻類が減少するという連鎖反応が起こります。

この現象は「栄養カスケード」と呼ばれ、最終的には海藻やサンゴ礁にまで影響が及びます。例えば、サメの減少によって増えたエイが、貝類を食べ尽くしてしまったケースも報告されています。

 

 

地球全体への影響は計り知れない

海洋生態系のバランスが崩れることは、単に海の中だけの問題ではありません。海は地球の酸素の約50%を生産し、二酸化炭素を吸収する役割も担っています。

サメが少なくなることで海の食物連鎖のピラミッドが崩れれば、海洋の健全性全体が脅かされ、気候変動や漁業資源の枯渇など、地球全体に及ぼす影響は計り知れないのです。人類の生存基盤そのものに関わる重大な問題と言えるでしょう。

 

 

日本とフカヒレ:消費国としての責任

 

日本におけるフカヒレの位置づけ

日本は世界有数のフカヒレ消費国の一つです。高級中華料理店に行けば、必ずと言っていいほどフカヒレスープや姿煮がメニューに載っています。結婚披露宴や祝い事での定番メニューとして、長年にわたって珍重されてきました。

気仙沼はフカヒレの加工地として有名であり、日本各地の港でサメが水揚げされています。つまり、日本は消費国であると同時に、サメ漁業を行っている国でもあるのです。

 

 

日本の消費実態

高級中華料理店だけでなく、近年ではレトルト食品やインスタント食品としてもフカヒレ商品が販売されており、以前よりも手軽に購入できるようになっています。

また、サメの肉は「もうかざめ」として練り製品の原料になったり、「はんぺん」の材料として使われたりしています。サメの軟骨はサプリメントとして健康食品市場でも流通しており、私たちの生活の中に意外なほど深く入り込んでいるのです。

 

 

日本における規制の現状

日本では現在、フカヒレ取引を全面的に禁止する法律はありません。ただし、水産資源の持続的利用を目指す観点から、一部のサメ種については漁獲制限が設けられています。

国際的な動きとしては、絶滅危惧種に指定されているサメのフカヒレ取引はワシントン条約(CITES)で規制されていますが、すべてのサメ種が対象となっているわけではありません。

 

 

フィニング禁止の思わぬ落とし穴

 

世界各国のフィニング禁止措置

フィニングの残酷性が広く認知されるにつれ、多くの国や地域がフィニング禁止法を制定しました。アメリカ、EU諸国、カナダ、オーストラリアなど、主要な国々が次々と規制に乗り出しています。

一見すると大きな前進に思えるこの動きですが、実際には予想外の問題を引き起こしています。

 

 

サメの丸ごと水揚げ義務化の矛盾

フィニング禁止法の多くは、「サメを丸ごと水揚げすること」を漁業者に義務づけています。ヒレだけでなく、身も持ち帰らせることで、無駄な殺生を減らそうという意図です。

しかし、この規制には重大な欠陥がありました。漁業者は、サメの身も販売できるようになったことで、以前よりも多くのサメを捕獲するインセンティブが生まれてしまったのです。

 

 

死亡率減少につながらない現実

皮肉なことに、フィニングが禁止されても、サメの死亡率は期待されたほど減少していません。むしろ、サメの丸ごと水揚げを義務づけることで漁獲量が増えてしまい、結果的にサメの個体数減少に拍車をかけているケースも報告されています。

この事例は、環境保護政策が意図しない結果を招くことがあるという重要な教訓を示しています。真の解決策は、フィニングの禁止だけでなく、サメ漁そのものを制限する包括的なアプローチが必要なのです。

 

 

世界のフカヒレ禁止・規制の動き

 

禁止に踏み切った国や地域

近年、フカヒレの販売や所持自体を禁止する動きも出てきています。カナダでは2019年にフカヒレの輸入、輸出、取引を禁止する法案が可決されました。

アメリカでも、カリフォルニア州、ハワイ州、ニューヨーク州など複数の州がフカヒレの販売を禁止しています。中国でも、政府の公式宴会でのフカヒレ使用が禁止されるなど、消費大国での意識変化が見られます。

 

 

国際的な保護の枠組み

ワシントン条約(CITES)では、ホホジロザメ、ウバザメ、ジンベエザメなど、複数のサメ種が附属書に掲載され、国際取引が規制されています。

また、国連海洋法条約や地域漁業管理機関においても、サメの保護と持続可能な利用に関する議論が活発化しています。しかし、規制の実効性や監視体制には課題が残っており、違法取引も後を絶ちません。

 

 

私たち消費者ができる選択:個人の行動が生む変化

 

「食べない」という選択の力

私は、フカヒレを食べないという選択をしています。これは個人の小さな決断に見えるかもしれませんが、多くの人が同じ選択をすれば、大きな市場の変化を生み出すことができます。

高級中華料理店でコース料理を注文する際、フカヒレスープを別のスープに変更してもらうことは可能です。結婚式の披露宴メニューを選ぶ際にも、フカヒレを含まないコースを選択することができます。

 

 

サメ関連商品を買わないという決断

フカヒレだけでなく、サメ関連の商品全般を買わないという選択も重要です。サメ軟骨のサプリメント、サメ肉を使った練り製品、サメ皮革の製品など、意外なところにサメ由来の材料が使われています。

商品を購入する際に原材料表示を確認し、サメ由来の成分が含まれていないかチェックする習慣をつけることが大切です。

 

 

声を上げ、知識を共有する

自分が食べない、買わないという選択をするだけでなく、なぜそうするのかを周囲の人に伝えることも重要です。SNSで情報をシェアしたり、友人や家族と話し合ったりすることで、問題意識を広げることができます。

特に飲食店を経営している知人がいれば、フカヒレをメニューから外すことを提案してみるのも良いでしょう。企業の調達担当者に、サステナブルな選択を求める消費者の声を届けることも効果的です。

 

 

認証制度を活用する

すべてのサメ漁業が問題というわけではありません。持続可能な漁業を行っている業者を支援することも重要です。MSC(海洋管理協議会)認証など、持続可能な漁業の認証制度を参考にすることができます。

ただし、現時点でサメ漁業に関する認証制度は十分に確立されていないため、基本的には消費を避けるという選択が最も確実です。

 

 

サメ保護がもたらす多面的な利益

 

生態系サービスの維持

サメを保護することは、海洋生態系全体の健全性を保つことにつながります。健全な海は、魚類資源の供給、沿岸域の保護、気候調節など、人類に様々な恩恵をもたらします。

サメがいることで適切に管理された海洋生態系は、長期的には漁業資源の持続可能性も高めることができます。

 

 

エコツーリズムの経済価値

生きているサメは、ダイビングツーリズムなどのエコツーリズム産業において大きな経済価値を持っています。研究によれば、一匹のサメが生きている間にもたらす観光収入は、殺して販売した場合の価値をはるかに上回ることが示されています。

モルディブやパラオなど、サメの保護とエコツーリズムで成功している国々の事例は、経済と環境保護が両立できることを証明しています。

 

 

科学研究と教育の価値

サメは進化の過程で4億年以上も生き延びてきた生物であり、科学的に非常に興味深い存在です。サメの研究は、医学や材料科学など様々な分野に貢献する可能性を秘めています。

また、サメ保護の取り組みは、海洋環境教育や生物多様性保全の重要性を学ぶ貴重な機会となります。

 

 

まとめ:持続可能な未来のために

 

フカヒレ問題は、単なる食文化の問題ではなく、海洋生態系全体、ひいては地球環境全体に関わる重大な課題です。ドキュメンタリー映画によって残酷なフィニングの実態が明らかになり、サメの個体数減少が深刻化している現状は、もはや無視できません。

日本も消費国として、この問題に対する責任があります。高級中華料理店のメニューに当たり前のように並ぶフカヒレですが、その背景にある環境問題を知ることが重要です。

 

フィニングが禁止されても死亡率の減少につながらず、むしろサメの丸ごと水揚げ義務化によって漁獲量が増えてしまったという皮肉な現実は、問題の複雑さを示しています。真の解決には、包括的な保護政策と消費者の意識変革が不可欠です。

サメが少なくなると海の食物連鎖のピラミッドが崩れ、地球全体に及ぼす影響は計り知れません。一人ひとりの選択が積み重なれば、大きな変化を生み出すことができます。

 

私はフカヒレを食べないし、サメ関連の商品は買わないという選択をしています。これは決して難しいことではありません。あなたも今日から始められる、海を守るための具体的な行動です。

未来の世代に豊かな海を残すために、今、私たちができることから始めましょう。一人ひとりの意識ある選択が、持続可能な未来への第一歩となるのです。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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