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パーム油は体に悪い?メリット・デメリットを徹底解説

パーム油 体に悪い メリット デメリット

 

 

はじめに

 

「パーム油は体に悪い」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。スーパーで手に取る加工食品の原材料表示を見ると、驚くほど多くの製品にパーム油が使われています。しかし、本当にパーム油は避けるべき油なのでしょうか。

 

結論から言えば、過剰摂取さえしなければ、パーム油が特別に体に悪いというわけではありません。これはパーム油に限った話ではなく、どんな健康食品でも過剰摂取は良くないという大原則があります。

 

この記事では、パーム油の健康面、コスト面、環境面でのメリットとデメリットを科学的な視点から詳しく解説します。正しい知識を持って、賢い選択ができるようになりましょう。

 

 

パーム油とは?

 

パーム油は、アブラヤシ(オイルパーム)という植物の果実から抽出される植物油です。主に東南アジア(インドネシア、マレーシア)で生産されており、世界で最も生産量の多い植物油として知られています。

 

常温で半固形状になる特性があり、加工食品の製造に非常に適しているため、マーガリン、スナック菓子、インスタント麺、パン、チョコレート、アイスクリームなど、私たちの身の回りにある多くの食品に使用されています。

 

 

パーム油の健康面でのメリット

 

1. ビタミンEが豊富

パーム油には、トコトリエノールという形態のビタミンEが豊富に含まれています。ビタミンEは強力な抗酸化作用を持ち、細胞の老化を防ぎ、免疫機能をサポートする働きがあります。

 

2. カロテノイドを含む

未精製のレッドパーム油には、βカロテンなどのカロテノイドが含まれています。これらは体内でビタミンAに変換され、視力の維持や皮膚の健康に役立ちます。

 

3. トランス脂肪酸を含まない

天然のパーム油は、マーガリンやショートニングの原料として使われますが、それ自体にはトランス脂肪酸がほとんど含まれていません。部分水素添加が不要な性質を持つため、健康リスクの高いトランス脂肪酸を避けられる点は大きなメリットです。

 

4. 酸化しにくい

パーム油は飽和脂肪酸の割合が高いため、他の植物油と比較して酸化しにくく、加熱調理に適しています。酸化した油は健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、この安定性は利点と言えます。

 

 

パーム油の健康面でのデメリット

 

1. 飽和脂肪酸が多い

パーム油の最大の健康上の懸念点は、飽和脂肪酸の含有量が約50%と高いことです。飽和脂肪酸を過剰に摂取すると、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が増加し、心血管疾患のリスクが高まる可能性があります。

ただし、これは過剰摂取した場合の話です。適量であれば問題ありません。また、パーム油の飽和脂肪酸はココナッツオイルやバターと比較すると低めです。

 

 

2. オメガ3脂肪酸がほとんど含まれない

現代人に不足しがちなオメガ3脂肪酸は、パーム油にはほとんど含まれていません。健康的な食生活のためには、パーム油だけでなく、魚油や亜麻仁油など、オメガ3脂肪酸を含む食品もバランスよく摂取することが重要です。

 

 

3. 精製過程での栄養素の損失

市販されているパーム油の多くは精製されており、その過程で有益なカロテノイドやビタミンEの一部が失われてしまいます。未精製のレッドパーム油の方が栄養価は高いですが、日本では入手しにくいのが現状です。

 

 

パーム油のコスト面でのメリット

 

1. 生産効率が極めて高い

パーム油の最大の強みは、その圧倒的な生産効率です。同じ面積の土地で、大豆油の約9倍、菜種油の約6倍もの油を生産できます。この効率の良さが、低コストでの生産を可能にしています。

 

2. 食品価格の抑制に貢献

生産コストが低いため、パーム油を使用することで、加工食品の価格を抑えることができます。消費者にとって、手頃な価格で食品を購入できることは大きなメリットです。

 

3. 多用途性

パーム油は食品だけでなく、化粧品、洗剤、バイオ燃料など、幅広い用途に使用できます。この多用途性が、産業全体のコスト削減に繋がっています。

 

 

パーム油のコスト面でのデメリット

 

1. 価格変動リスク

パーム油の生産は特定の地域(主にインドネシアとマレーシア)に集中しているため、天候不良や政治的要因によって価格が大きく変動するリスクがあります。

 

2. 認証パーム油のコスト

後述する持続可能な認証パーム油(RSPO認証など)は、通常のパーム油よりも価格が高くなる傾向があります。環境に配慮した選択をするには、多少のコスト増を受け入れる必要があります。

 

 

 

パーム油の環境面での深刻な問題

 

1. 熱帯雨林の破壊

パーム油生産の最も深刻な問題は、熱帯雨林の大規模な伐採です。特にインドネシアとマレーシアでは、アブラヤシ農園を作るために広大なジャングルが切り開かれてきました。

 

熱帯雨林は「地球の肺」とも呼ばれ、膨大な量の二酸化炭素を吸収しています。これらの森林が失われることで、地球温暖化が加速する懸念があります。実際、インドネシアでは森林破壊により、世界第3位の温室効果ガス排出国となってしまいました。

 

 

2. 生物多様性の喪失

熱帯雨林には、オランウータン、スマトラトラ、ボルネオゾウなど、絶滅危惧種を含む数多くの野生動物が生息しています。農園開発によってこれらの動物の住処が奪われ、個体数が激減しています。

特にオランウータンは、過去20年間で個体数が半減したと言われており、パーム油生産がその主要因の一つとされています。

 

 

3. 泥炭地の破壊

インドネシアのアブラヤシ農園の一部は、泥炭地に作られています。泥炭地には大量の炭素が蓄積されており、これを開発すると膨大な温室効果ガスが放出されます。また、排水された泥炭地は火災の危険性が高く、実際に大規模な森林火災が度々発生し、深刻な大気汚染を引き起こしています。

 

 

4. 先住民族の権利侵害

農園開発により、先住民族のコミュニティが強制的に移住させられたり、伝統的な生活様式が破壊されたりする事例も報告されています。土地の所有権をめぐる紛争も後を絶ちません。

 

 

他の油に変えれば解決する?

 

「それなら、パーム油を使わずに他の油に変えればいいのでは?」と考える方もいるでしょう。しかし、残念ながら話はそう単純ではありません。

 

 

他の植物油にも環境負荷がある

大豆油、菜種油、ヒマワリ油など、他の植物油も生産には広大な農地が必要です。実際、パーム油を他の油に置き換えると、同じ量の油を生産するために4〜10倍もの土地が必要になります

 

これは結果として、さらなる森林伐採や生態系の破壊に繋がる可能性があります。たとえば、大豆油の生産拡大は、南米アマゾンの熱帯雨林破壊の主要因となっています。

 

 

パーム油の全面禁止は現実的ではない

パーム油産業は、インドネシアやマレーシアで数百万人の雇用を生み出しています。全面的に禁止すれば、これらの国々の経済や人々の生活に深刻な影響を及ぼすことになります。

 

 

解決策:持続可能な認証パーム油を選ぶ

 

環境問題を改善しながらパーム油を利用する方法として、持続可能なパーム油の認証制度があります。

 

RSPO認証とは

RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil:持続可能なパーム油のための円卓会議)は、2004年に設立された国際的な非営利組織です。環境保護、労働者の権利、先住民族の権利などに配慮したパーム油生産の基準を定めています。

RSPO認証を受けたパーム油は、以下のような基準を満たしています:

  • 原生林や保護価値の高い森林を伐採していない
  • 絶滅危惧種の生息地を保護している
  • 泥炭地の新規開発を行っていない
  • 農園労働者の適正な労働条件を確保している
  • 先住民族の土地の権利を尊重している
  • 農薬の適切な使用管理を行っている

 

他の認証制度

RSPO以外にも、ISPO(インドネシア持続可能なパーム油)、MSPO(マレーシア持続可能なパーム油)といった国レベルの認証制度があります。また、より厳格な基準を持つPOIG(パーム油イノベーショングループ)という認証も存在します。

 

 

消費者ができること

私たち消費者ができることは、認証パーム油を使用している製品を選ぶことです。近年、日本の大手食品メーカーや小売業者も、持続可能なパーム油の調達にコミットし始めています。

 

商品のパッケージや企業のウェブサイトで、RSPO認証マークを確認したり、持続可能なパーム油を使用しているかどうかをチェックしたりすることができます。

 

 

パーム油との賢い付き合い方

 

1. 過剰摂取を避ける

健康面では、パーム油を含む加工食品の食べ過ぎに注意しましょう。スナック菓子やインスタント食品は控えめにし、新鮮な野菜、果物、魚、全粒穀物を中心としたバランスの良い食事を心がけることが大切です。

 

2. 多様な油を使い分ける

料理には、用途に応じて様々な油を使い分けることをお勧めします。サラダにはオリーブオイル、炒め物には菜種油、そして魚からオメガ3脂肪酸を摂取するなど、多様性を持たせることで栄養バランスが整います。

 

3. 認証製品を選ぶ

購入する際は、できるだけRSPO認証などの持続可能なパーム油を使用している製品を選びましょう。消費者の選択が、企業の行動を変える力となります。

 

4. 情報を発信する

家族や友人とパーム油の問題について話し、SNSで情報を共有することも大切です。多くの人が関心を持てば、企業や政府もより積極的に対策を講じるようになります。

 

 

企業の取り組み

 

日本でも、多くの企業が持続可能なパーム油の調達に取り組み始めています。

例えば、ユニリーバ、ネスレ、花王、ロッテなどの大手企業は、RSPO認証パーム油の使用比率を高める目標を掲げています。また、イオンなどの小売業者も、プライベートブランド商品での認証パーム油使用を推進しています。

こうした企業の取り組みを支援し、さらなる改善を促すためにも、消費者として声を上げることが重要です。

 

 

まとめ

 

パーム油は、適量であれば健康に特別な害はなく、むしろビタミンEやトランス脂肪酸フリーといったメリットもあります。しかし、飽和脂肪酸が多いため、過剰摂取には注意が必要です。これはパーム油に限らず、すべての食品に言えることです。

 

コスト面では、生産効率の高さから低価格を実現していますが、環境面では深刻な問題を抱えています。熱帯雨林の破壊、生物多様性の喪失、温室効果ガスの排出など、パーム油生産が環境に与える影響は無視できません。

しかし、だからといって他の油に全面的に切り替えることも、現実的な解決策ではありません。必要な土地面積が増え、別の環境問題を引き起こす可能性があるからです。

 

最も現実的で効果的な解決策は、持続可能な方法で生産された認証パーム油を選ぶことです。RSPO認証などの基準を満たしたパーム油を使用している製品を購入することで、私たち消費者は環境保護に貢献できます。

 

食生活においては、加工食品に頼りすぎず、様々な食材をバランスよく摂取することが健康への近道です。そして、購入する際には認証マークをチェックし、持続可能な選択を心がけましょう。

 

一人ひとりの小さな選択が、やがて大きな変化を生み出します。パーム油の問題について正しく理解し、賢い消費者として行動することが、私たちの健康と地球の未来を守ることに繋がるのです。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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