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猫は人の顔を忘れる?飼い主との記憶はいつまで続くのか

猫 人の顔忘れる

 

 

「猫は三年の恩を三日で忘れる」という言葉を聞いたことがありますか?愛猫と離れて暮らすことになったとき、飼い主として一番気になるのが「私のことを忘れてしまわないだろうか」という不安ですよね。出張や入院、進学など、やむを得ない事情で愛猫と離れなければならないとき、この疑問は切実な悩みとなります。

 

今回は、猫の記憶力について科学的な研究結果を交えながら、猫が飼い主の顔を忘れるまでの期間や、記憶を保つための方法について詳しく解説します。

 

猫は本当に飼い主を忘れてしまうのか

 

「三日で忘れる」は誤解

「猫は三年の恩を三日で忘れる」ということわざがありますが、これは猫の素っ気ない態度から生まれた誤解です。実際には、猫は非常に優れた記憶力を持つ動物であることが科学的に証明されています。

 

猫の短期記憶は人間の約20倍とも言われ、人間が30秒程度しか保持できない情報を、猫は10分以上記憶できることが実験で明らかになっています。ただし、この能力が最大限に発揮されるのは、猫自身が興味を持ったものに限られます。

 

猫の長期記憶はどのくらい続く?

ある実験では、エサが入った箱の位置を猫に覚えさせたところ、約16時間経過した後でもその場所をしっかりと記憶していたという結果が出ています。これは、猫にとって重要なもの(この場合は食事)は長期記憶として深く刻まれることを示しています。

 

飼い主との関係においても、猫は毎日の世話や愛情を通じて強い記憶を形成します。餌をくれる人、遊んでくれる人、安心できる存在として、飼い主は猫にとって非常に重要な存在なのです。

 

飼い主の顔を忘れるまでにかかる期間

 

短期間の別れでは忘れない

1ヶ月程度の入院や出張で離れたくらいでは、猫が飼い主を忘れることはほとんどありません。この程度の期間であれば、再会時に多少よそよそしい態度を取ることはあっても、すぐに思い出してくれるでしょう。

 

ただし、猫によっては3日間会わなかっただけでも、警戒心を示したり隠れてしまったりすることがあります。これは忘れたわけではなく、環境の変化に敏感な猫の性格や、「自分を置いていった」という拗ねた気持ちの表れである可能性が高いのです。

 

2〜3年が記憶のターニングポイント

研究や飼い主の経験談から、猫が飼い主を覚えていられる期間は約2〜3年程度とされています。これ以上の長期間顔を合わせないでいると、記憶があやふやになり、再会しても飼い主として認識できなくなる可能性が高くなります。

 

ある調査では、長年一緒に暮らした猫を知人に譲った飼い主が、約2年後にスピーカーを通じて声を聞かせたところ、猫が明らかにその声を覚えているような反応を見せたという事例があります。この結果から、強い絆で結ばれた飼い主であれば、2年程度は記憶が保たれる可能性があることがわかります。

 

しかし、一緒に暮らしていた弟が6年間会わなかったケースでは、完全に忘れられてしまったという報告もあります。記憶が保たれる期間は、その猫と飼い主の関係性の深さや接触の頻度によって大きく変わるようです。

 

記憶が消える理由

猫が飼い主を忘れてしまう主な理由は以下の通りです。

  1. 信頼関係の薄さ: 日常的な世話や愛情表現が少なかった場合、猫の記憶に深く刻まれにくくなります
  2. 新しい環境の快適さ: 飼い主と離れた後の生活が快適であれば、古い記憶は次第に薄れていきます
  3. 時間の経過: 人間同様、猫も古い記憶は徐々に失われていきます

 

猫は「顔」で飼い主を認識していない?

 

猫の視覚能力の限界

実は、猫は飼い主の顔をあまり重視していないことが研究で明らかになっています。猫の視力は人間の約10分の1程度で、視界はぼんやりとしています。色の認識も人間ほど優れておらず、動体視力は優れているものの、静止した物体の細部を見分けるのは得意ではありません。

 

ある実験では、若い猫がトレーナーから様々な訓練を受けた後、トレーナーの写真と知らない人の写真を並べて区別させたところ、犬は高確率でトレーナーを選べたのに対し、猫はトレーナーを区別することができませんでした。

 

つまり、猫は人間の顔を見分ける能力が低く、飼い主を顔で認識しているわけではないのです。ただし、メガネをかけている、髪が長いなど、明らかな特徴がある場合は、ある程度判断材料にしているようです。

 

では、猫は何で飼い主を認識しているのか?

猫が飼い主を認識する主な方法は以下の3つです:

 

1. 声(聴覚)

東京大学の研究チームが行った実験では、飼い主がいない部屋で、見知らぬ人3人と飼い主が順番に猫の名前を呼ぶ音声を録音して再生しました。その結果、20匹中15匹の猫が、見知らぬ人の声には次第に反応が弱まったのに対し、飼い主の声に対しては明確に反応が回復したのです。

 

猫は頭や耳を動かす「定位反応」を示し、飼い主の声と他人の声をしっかりと区別していることが科学的に証明されました。ただし、鳴いたり尾を動かしたりする「応答的な反応」は少なく、これが猫の「ツレない」性格を裏付ける結果となりました。

 

猫の聴覚は人間の約8倍、犬の2倍以上も優れています。飼い主の声質、しゃべり方、音の高さを見事に理解しており、声だけで飼い主を識別できるのです。

 

さらに、猫は飼い主の足音や車のエンジン音、鍵を取り出す音、息遣いなど、様々な「音」でも飼い主を認識しています。帰宅前に愛猫が玄関で待っているのは、これらの音から「飼い主が帰ってきた!」と判断しているからなのです。

 

2. 匂い(嗅覚)

猫の嗅覚は人間の数万倍から数十万倍も優れています。東京農業大学の研究では、猫が飼い主よりも見知らぬ人の匂いを長時間嗅ぐ習性があることがわかりました。これは、慣れ親しんだ飼い主の匂いには安心しているため短時間で確認が終わるのに対し、知らない匂いには警戒して長く嗅ぐためです。

 

猫はお互いを確認するために鼻を近づけたり、お尻の匂いを嗅いだりします。同様に、飼い主を認識する際も嗅覚を最も重視しているのです。

 

旅行や入院から帰ってきたときに、愛猫が不思議そうに匂いを嗅いできたり、よそよそしくなったりするのは、いつもと違う匂いがして「本当に飼い主なのか?」と戸惑っているからです。中には、嫌な匂い(病院や他の動物の匂いなど)がすることで威嚇してしまう猫もいます。

 

しかし、また元の生活に戻れば飼い主の匂いも戻るので、愛猫も普段通りの態度に戻ります。

 

3. 複合的な判断

猫は視覚、聴覚、嗅覚を総合的に使って飼い主を認識しています。顔を完全に隠した状態で飼い主が現れても、声や匂い、足音などですぐに飼い主だと気づくことができます。

 

実際、多くの飼い主が「仮装して愛猫の前に現れたが、すぐにバレた」という経験を持っています。これは、猫が「音とニオイ」をメインで飼い主を認識している証拠なのです。

 

動画で音声を流したら反応するか

 

飼い主の声への反応

前述の東京大学の研究や、フランスのパリ第10大学の研究でも明らかになっているように、猫は飼い主の声を録音した音声に対しても反応します。

実験では、スピーカーから飼い主の声を再生すると、猫は以下のような反応を示しました。

  • 頭を声の方向に向ける
  • 耳を動かす
  • しっぽを振る
  • 毛繕いを中断する

ただし、飼い主が他の人に話しかけている声や、見知らぬ人の声にはほとんど反応しませんでした。これは、猫が「自分に向けられた飼い主の声」を特別なものとして認識していることを示しています。

 

「猫語」での呼びかけが効果的

興味深いことに、猫は飼い主が高めの声で、赤ちゃんに話しかけるような口調(幼児語)で話しかけると、より強く反応することがわかっています。これは「猫語」とも呼ばれ、飼い主がペットに対して自然と使う特別な話し方です。

 

研究によると、飼い主が「猫語」で話しかける音声には反応したものの、人に話しかける想定のせりふには飼い主の声でも反応しませんでした。また、見知らぬ人の声には、猫語であっても反応しませんでした。

 

これらの結果から、動画やスピーカーを通して飼い主の声を聞かせることは、離れている間も猫に飼い主を思い出させる有効な方法であると言えます。

 

名前を呼ぶことの重要性

京都大学などの研究により、猫は自分の名前を音のパターンとして認識していることがわかっています。飼い主に声をかけられることが多い猫ほど、自分の名前をよく理解しています。

 

名前を呼ぶと「ニャー」と返事してくれる猫は、その名前と自分を結びつけて記憶しているのです。ただし、言語的な理解というよりは「この音が鳴ったら自分に関係がある」という学習に近いものです。

 

動画で音声を流す際は、ただ話しかけるだけでなく、猫の名前を何度か呼ぶとより効果的です。声に聞き覚えがなくても、自分の名前の響きを聞いて近づいてくれる可能性が高まります。

 

飼い主の使っていた洋服などで匂いを思い出す

 

匂いは最強の記憶装置

猫にとって、匂いは記憶を呼び起こす最も強力なツールです。飼い主の脱いだシャツの上に座るのが好きな猫が多いのは、その匂いに安心感を覚えるからです。

 

猫が好む匂いの一つが「飼い主の匂い」です。飼い主の衣服や布団など、自分に馴染みのある匂いは、猫にとって安心感を与えてくれるアイテムなのです。

 

ある説によると、人間の汗などの匂いは猫のフェロモンに似ているとも言われています。帰宅後の靴下やTシャツの匂いを嗅ぐのも、猫が「いい匂い♪」と楽しんでいる可能性があります。

 

匂いで記憶を呼び覚ます

長期間離れていて飼い主のことを忘れかけている猫に対して、飼い主が使っていた洋服やタオルなどを嗅がせることは、記憶を呼び起こす有効な方法です。

 

猫の鋭い嗅覚は、わずかに残った匂いでもそれが何なのかを判断できます。久しぶりの再会で警戒されたり隠れられたりしても、飼い主の匂いのついたものを置いておくことで、徐々に記憶が蘇ってくる可能性があります。

ただし、注意点もあります。

  • 新しい匂いは警戒の原因に: 旅行先の匂いや他の動物の匂い、病院の匂いなどがついていると、猫は警戒してしまいます
  • 柑橘系や香水は避ける: 猫は柑橘系の匂いや人工的な香りを嫌います。洗剤や柔軟剤の強い香りも避けたほうが良いでしょう
  • できるだけ日常的な匂い: 普段着ているパジャマやTシャツなど、飼い主の自然な体臭が染み込んだものが最適です

 

匂いを保つための工夫

長期間離れる場合は、以下のような工夫で飼い主の匂いを保つことができます。

  1. 使用済みの衣類を残す: 洗濯していない、飼い主の体臭がついた衣類を何枚か残しておきます
  2. 定期的に交換する: ペットシッターや家族に頼んで、定期的に新しい衣類と交換してもらいます
  3. 猫のお気に入りの場所に置く: 猫がよく寝る場所や、リラックスする場所に置いておきます

 

猫に忘れられないための対策

 

1. 定期的に会いに行く

最も効果的な方法は、やはり定期的に会うことです。長期出張や進学で離れて暮らす場合でも、できるだけ頻繁に帰省して愛猫との時間を持ちましょう。

 

短時間でも同じ空間で過ごすことができれば、猫はあなたの顔(というより声や匂い)を思い出してくれます。会う頻度が高いほど、記憶が薄れるのを防ぐことができます。

 

2. 電話やビデオ通話で声を聞かせる

現代のテクノロジーを活用しましょう。ペットシッターや家族に協力してもらい、定期的にビデオ通話で愛猫に話しかけることができます。

 

前述の通り、猫は飼い主の声を認識できるので、スピーカーやスマートフォンを通した声でも効果があります。高めの声で、猫の名前を呼びながら話しかけると良いでしょう。

 

3. 愛猫との絆を深める

日頃から愛猫との信頼関係を築いておくことが何より重要です。

  • 毎日のケアを大切に: 食事、トイレの掃除、ブラッシングなど、日常的なケアを通じて絆を深めます
  • 遊びの時間を確保: 猫じゃらしなどのおもちゃで一緒に遊ぶ時間を毎日持ちましょう
  • 愛情表現を惜しまない: 撫でたり、話しかけたり、猫が求めるときにはしっかりと応えてあげます
  • ポジティブな体験を共有: 楽しい思い出、嬉しい体験は猫の記憶に強く残ります

猫にとって飼い主が「重要な存在」であればあるほど、長期記憶として深く刻まれ、忘れられにくくなります。

 

4. 再会時の注意点

久しぶりに愛猫と再会するときは、以下の点に注意しましょう。

  • 焦らない: すぐに抱きしめたりせず、猫のペースで近づいてくるのを待ちます
  • 高い声で名前を呼ぶ: いつもの声のトーンで、猫の名前を優しく呼びかけます
  • 匂いを嗅がせる: 手を差し出して、猫が匂いを確認するのを待ちます
  • おやつやおもちゃを活用: 猫が好きだったおやつやおもちゃを使って、ポジティブな記憶を呼び起こします

 

猫の性格によっては、再会時にびっくりして隠れたり、緊張や不安を示したりすることがあります。家具の下に隠れたり、毛を逆立てたりすることもありますが、これは必ずしも忘れているわけではありません。

 

時間が経てば、飼い主の声や匂いを思い出し、徐々に近づいてきてくれるはずです。猫のツンデレな性格も考慮して、焦らずに待つことが大切です。

 

まとめ:猫は忘れやすい動物ではない

 

「猫は三年の恩を三日で忘れる」ということわざとは裏腹に、猫は実際には優れた記憶力を持つ動物です。特に自分にとって重要な存在である飼い主については、2〜3年程度は記憶が保たれる可能性があります。

重要なポイントをまとめると

  • 短期的な別れでは忘れない: 1ヶ月程度の入院や出張では、猫が飼い主を忘れることはほとんどありません
  • 2〜3年が分岐点: これ以上長期間会わないでいると、記憶があやふやになる可能性が高まります
  • 顔ではなく声と匂いで認識: 猫は視覚よりも聴覚と嗅覚で飼い主を識別しています
  • 音声や匂いで記憶を保てる: 定期的に声を聞かせたり、飼い主の匂いのついたものを置いたりすることで記憶を保つことができます
  • 日頃の絆が重要: 普段から愛猫との信頼関係を築いておくことで、長期間離れても忘れられにくくなります

 

猫のツンデレな態度は、決して飼い主への無関心を意味するものではありません。素っ気ない反応の裏には、飼い主を特別な存在として認識し、記憶している猫の気持ちが隠れているのです。

 

愛猫と離れて暮らすことになっても、できる限りのコミュニケーションを続け、再会の日を楽しみに待ちましょう。猫は必ずあなたのことを覚えていてくれるはずです。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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