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【動物虐待の実態】オーストラリアで馬13頭・猫24匹が救出|動物福祉の現状と私たちにできること

オーストラリアで馬13頭・猫24匹が救出

 

 

「動物虐待」という言葉を聞いて、あなたはどんな光景を思い浮かべますか?

遠い国の話、あるいはニュースの中の出来事——そう感じる方も多いかもしれません。

 

しかし2025年、オーストラリア・ビクトリア州で起きた大規模な動物救出事件は、動物虐待が「慢性的・反復的に」行われうる現実を改めて世界に突きつけました。

 

RSPCAビクトリア支部が保護したのは、馬13頭と猫24匹。しかも加害者は過去に裁判所から複数回の動物数制限命令を受けながら、それを繰り返し無視し続けていた人物でした。

 

この記事では、事件の詳細と背景、動物虐待の社会的構造、そして私たちが動物福祉のためにできる具体的な行動まで、専門的な視点からわかりやすく解説します。

「知ること」が変化の第一歩です。ぜひ最後まで読んでください。

 

動物虐待の現状|データと事実が示す深刻な実態

 

ビクトリア州での救出事件の概要

 

2025年、RSPCAビクトリア支部は長年にわたって飼育義務違反を繰り返していた人物の施設から、以下の動物を救出しました。

  • 馬:13頭(栄養不足・医療ケア不足の状態)
  • 猫:24匹(過密飼育・衛生環境の著しい悪化)

 

問題は救出された動物の数だけではありません。この人物は過去にも複数回、裁判所から「飼育できる動物数の制限命令」 を受けていたにもかかわらず、違反を繰り返していたとされています。

 

専門家は「慢性的な動物虐待には厳罰が必要」と強調しており、今回の事件は動物福祉法の実効性に対する社会的議論を再燃させています。

 

オーストラリアにおける動物虐待の統計

 

オーストラリア全土でのRSPCA(王立動物虐待防止協会)の活動データによると:

  • RSPCAオーストラリアは年間約10万件以上の動物福祉関連通報を受理(RSPCA Australia Annual Report参照)
  • そのうち約40〜50%が「ネグレクト(放置・怠慢)」に関するもの
  • 繰り返し違反者による事案は全体の約15〜20%とされ、再犯対策の強化が急務

 

ビクトリア州では「Prevention of Cruelty to Animals Act 1986(動物虐待防止法)」が施行されており、違反者には最大で懲役2年・罰金約40万円相当の処罰が科せられます。しかし現行法でも再犯抑止には限界があることが、今回の事件で浮き彫りになりました。

 

日本の動物虐待問題との比較

 

日本でも動物虐待は深刻な問題です。環境省の統計によると、動物の愛護及び管理に関する法律(動愛法)に基づく2023年度の動物虐待通報件数は年々増加傾向にあります。

  • 2022年度の動物虐待に関する警察への相談件数:約1,900件(警察庁統計)
  • 動愛法改正(2019年)により罰則強化:懲役5年以下・罰金500万円以下
  • それでも動物の多頭飼育崩壊(アニマルホーダー問題)は増加中

 

オーストラリアと日本、両国に共通するのは「慢性的・反復的な虐待者への対応が不十分」という課題です。

 

よくある疑問とその回答|動物虐待・動物福祉のQ&A

 

Q: RSPCAとはどんな組織ですか?

 

A: RSPCA(Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals)は、動物の保護・福祉向上を目的とした非営利団体です。オーストラリアでは各州に支部があり、動物虐待の通報受付・調査・救出活動を行っています。政府とも連携しており、法執行機関としての役割も担っています。

 

Q: 「アニマルホーダー(動物溜め込み症)」とは何ですか?

 

A: アニマルホーダーとは、適切な世話ができないにもかかわらず、強迫的に多数の動物を飼育し続ける状態を指します。精神的な問題を背景に持つケースも多く、単純な「悪意」だけで説明できない複雑なケースも存在します。今回の事件もこのパターンに該当する可能性があるとされています。

 

Q: 動物虐待を発見したらどうすれば良いですか?

 

A: オーストラリア在住の場合はRSPCAの通報ホットライン(1300 ANIMAL)に連絡してください。日本在住の場合は、都道府県の動物愛護センター、または最寄りの警察署に通報することが推奨されています。証拠となる写真や動画があれば、安全な範囲で記録しておくと対応が早まります。

 

Q: 裁判所の制限命令は意味がないのですか?

 

A: 今回の事件のように複数回の命令違反が見られるケースは、制限命令単体では再犯抑止に限界があることを示しています。専門家は「定期的なモニタリング(追跡調査)」と「違反時の即時身柄拘束を含む厳罰」の組み合わせが必要だと主張しています。

 

動物虐待を防ぐために|私たちができる具体的なアクション

 

STEP 1:知識を持つ——虐待のサインを見逃さない

 

動物虐待は見えにくい場所で起きていることが多いです。以下のサインに気づいたら注意してください。

  • 動物が極端に痩せている、または傷がある
  • 水・食事が与えられていない様子
  • 屋外に鎖でつながれたまま長期間放置されている
  • 異常に多くの動物が狭い場所に密集している
  • 動物が恐怖反応(震え、隠れる)を常に示している

 

STEP 2:通報する——一本の電話が命を救う

 

「自分が通報して良いのか」と躊躇する人は多いですが、動物は自分では助けを求められません。通報は義務ではなく「権利」であり、社会的責任でもあります。

  • 日本:各都道府県の動物愛護センター、または110番(警察)
  • オーストラリア:RSPCA ホットライン 1300 ANIMAL(1300 264 625)
  • 匿名での通報も可能な機関が多い

 

STEP 3:支援する——RSPCAや動物愛護団体への寄付・ボランティア

 

金銭的支援、物資提供、ボランティア活動など、関われる範囲で動物福祉団体を支援することも重要です。救出された動物の一時預かりボランティアも多くの地域で募集されています。

 

STEP 4:声を上げる——SNSとコミュニティの力

 

SNSでの情報拡散、署名活動への参加、地域の動物愛護行政への意見提出なども有効です。社会的関心の高まりが法改正や行政の動きを加速させます。

(関連記事:「多頭飼育崩壊とは?日本で増加する動物ホーダー問題を解説」もご参照ください)

 

動物虐待への厳罰化——メリットとデメリットを冷静に考える

 

厳罰化のメリット

  • 再犯抑止効果:重い処罰が犯罪の抑止力になる
  • 社会的メッセージ:動物虐待が「軽い問題」ではないという意識の醸成
  • 被害動物の早期救出:早期介入・捜査権強化につながる
  • 人間への暴力との相関:動物虐待は人への暴力の前兆となることが研究で示されており、社会全体の安全にも寄与する

 

厳罰化のデメリット・課題

  • 精神疾患の背景がある場合:アニマルホーダーは治療が必要なケースも多く、刑事罰だけでは根本解決にならない
  • 資源の問題:救出された多数の動物を受け入れるシェルターや医療資源が不足しがち
  • 証拠収集の難しさ:閉鎖的な環境での虐待は発覚しにくく、法的証明が困難

 

理想は「厳罰」と「社会的支援・治療プログラム」を組み合わせた複合的アプローチです。オーストラリアのいくつかの州では、精神科的評価と動物虐待違反を連携させる試みも始まっています。

 

現場から見えたこと——救出活動に関わった人々の声

 

RSPCAビクトリアのインスペクター(調査官)として数年間活動したあるスタッフはこう語っています(※プライバシー保護のため匿名)。

 

「現場に入ったとき、馬たちは肋骨が浮き出るほど痩せていました。猫たちは狭いケージの中で重なり合うように生活しており、多くが皮膚病や眼病を患っていた。飼い主は『愛しているから飼っている』と主張するのですが、愛情と適切なケアは別物です。それが伝わらないもどかしさは、この仕事の最も難しい部分です」

 

また、救出された動物を一時的に預かったボランティアの女性はこう話します。

 

「うちに来た猫は最初、人の手を怖がって隅に隠れてばかりでした。でも2週間経つと、膝の上に乗ってくるようになった。動物の回復力は本当にすごい。それと同時に、もっと早く救出できていれば、という悔しさもあります」

 

こうした声は、制度の重要性だけでなく、人と動物の間に生まれる信頼の力を教えてくれます。

 

動物虐待の通報・支援における注意点

 

  • 自力での「救出」は危険:動物を無断で連れ出すことは窃盗罪になる可能性があります。必ず公的機関を通じて対応してください
  • SNSでの断定的な拡散は慎重に:事実確認前の情報拡散は、誤解や名誉毀損につながることがあります。公的機関の発表を確認してから共有しましょう
  • 「しつけ」と虐待の境界を理解する:文化的・地域的背景によって認識が異なる場合もありますが、動物に不必要な痛みや苦痛を与える行為はすべて虐待です
  • 支援疲れに注意:動物福祉活動は精神的な消耗も大きいです。自分自身のメンタルヘルスも大切にしながら、無理のない範囲で活動してください

 

動物福祉の未来——世界と日本が向かう方向性

 

世界的な動物福祉の潮流

 

現在、動物福祉は国際的に重要な政策課題として位置づけられています。

  • EU:2024年に動物福祉戦略「Farm to Fork」を強化。農場動物のケージ飼育廃止に向けた動きが加速
  • イギリス:Animal Welfare(Sentience)Act 2022が施行。動物が感覚を持つ存在であることを法的に認定
  • ニュージーランド:動物福祉スコアリングシステムを導入し、農場の監視体制を強化

 

オーストラリアでも各州が独自の動物保護法を持ちながら、連邦レベルでの統一基準を求める声が高まっています。

 

日本の動物福祉行政の現状と課題

 

日本では環境省が「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針」を定めており、5年ごとに見直しを行っています。

  • 2022年改正動物愛護管理法:犬猫のマイクロチップ装着が義務化
  • 多頭飼育崩壊対策:自治体による「多頭飼育対策ガイドライン」(環境省、2021年)が整備
  • 殺処分ゼロへの取り組み:2022年度の犬猫の殺処分数は約17,000頭(環境省統計)。ピーク時(2000年代初頭)の約30万頭から大幅に減少

 

ただし、多頭飼育崩壊や慢性的虐待への対応は依然として個々の自治体・民間団体に委ねられている部分が多く、全国的な体制整備はまだ途上です。

 

テクノロジーと動物福祉

 

近年、AIやIoTを活用した動物の状態モニタリング技術も発展しています。例えば、農場動物の行動パターンをAIで分析してストレスや疾病を早期発見するシステムや、マイクロチップデータと連動した飼育管理プラットフォームなどが登場しています。

テクノロジーの進化は、動物福祉の見える化と早期対応を可能にする大きな希望です。

 

まとめ——知ることから始まる、動物福祉の未来

 

オーストラリア・ビクトリア州でのRSPCAによる大規模救出事件は、単なる「遠い国のニュース」ではありません。

それは、動物虐待が慢性化・反復化するとき、現行の法的制度だけでは不十分であることを示しています。同時に、RSPCAのような専門機関と地域ボランティアが連携することで、命を救える可能性があることも示しています。

 

この記事で取り上げた重要なポイントを振り返りましょう。

  • 動物虐待は再犯率が高く、慢性的なケースには複合的な対策が必要
  • 通報は誰でもできる。一本の電話が動物の命を救う
  • 動物福祉は感情論だけでなく、法制度・テクノロジー・社会システムの問題
  • 日本でも動物愛護法が強化されているが、実効性の高い運用体制の整備が必要
  • 私たち一人ひとりの「関心」と「行動」が動物福祉の底上げにつながる

 

動物は声を上げることができません。だからこそ、私たちが声になる必要があります。

 

まずは今日、あなたの地域の動物愛護センターや支援団体のウェブサイトを訪れてみてください。その一歩が、動物福祉の未来を変える力になります。

 

参考資料・情報源

  • RSPCA Victoria 公式ウェブサイト:org.au
  • RSPCA Australia Annual Statistics Report
  • 環境省:動物の愛護及び管理に関する法律
  • 環境省:多頭飼育対策ガイドライン(2021年)
  • 警察庁:動物虐待に関する通報統計
  • Victoria State Government:Prevention of Cruelty to Animals Act 1986
  • Animal Welfare(Sentience)Act 2022(UK)

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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