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野生動物を見つけたらどうする?鳥獣保護管理法と正しい対応をわかりやすく解説

野生動物を見つけたらどうする?

 


この記事を読むとわかること

  • 野生動物を見つけたときの正しい対処法
  • 鳥獣保護管理法の基本と違反した場合のリスク
  • 自治体・環境省への正しい相談ルート
  • 「助けたい」気持ちを法律と福祉の両面から活かす方法

はじめに|あなたは今、どんな状況ですか?

 

道を歩いていたら、弱ったスズメが落ちていた。
庭にタヌキが迷い込んできた。
公園でカラスのヒナが巣から落ちているのを見つけた——。

そんなとき、「助けてあげたい」と思うのは自然なことです。
しかし、善意の行動が法律違反になってしまうケースが、実は少なくありません。

 

日本では、野生動物の保護や取り扱いは「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(通称:鳥獣保護管理法)」によって厳しく規制されています。

この法律を知らずに行動すると、思わぬトラブルや罰則の対象になることも。
一方で、正しく知っていれば、あなたの「助けたい」という気持ちを最大限に活かすことができます。

 

この記事では、野生動物を見つけたときの正しい対処法を、鳥獣保護管理法の解説とともにわかりやすくお伝えします。
この記事だけで、すべての疑問が解消されるよう設計しています。ぜひ最後までお読みください。


現状の問題:野生動物との”誤った関わり”が増えている

 

日本における野生動物の保護申請件数

環境省の調査によると、全国の都道府県・政令市に設置された「傷病鳥獣保護センター(野生動物救護施設)」への年間搬入数は数万件規模に上ります。
しかしその内訳には、本来保護が不要だった個体が多数含まれているという問題があります。

 

代表的な例が「巣立ちビナ」です。
スズメやカラスのヒナは、巣立ちの時期に地面に降りて過ごすことがあります。
これを「怪我をしている」「捨てられている」と誤解した市民が持ち込むケースが非常に多く、保護施設のリソースを圧迫する一因にもなっています。

 

また、個人が野生動物を自宅で飼育しようとするケース(いわゆる”拾い飼い”)も後を絶ちません。
善意からの行動であっても、鳥獣保護管理法に抵触する可能性があります。

 

問題の根本:「知らなかった」では済まされない現実

  • 野生動物を無断で捕獲・飼育すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(鳥獣保護管理法第83条)
  • 絶滅危惧種などの特定の種では、さらに重い罰則が適用されることも
  • 自治体の許可なく保護した動物を長期間飼育することは「無許可飼養」として摘発対象になりうる

「かわいそうだから助けた」という気持ちは尊重されますが、法律はそれを免責してくれません。
だからこそ、正しい知識を持つことが大切なのです。


鳥獣保護管理法とは?基本をわかりやすく解説

 

鳥獣保護管理法の目的と概要

鳥獣保護管理法(正式名称:鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)は、1918年(大正7年)に制定された「狩猟法」を前身とし、幾度かの改正を経て現在の形になっています。

 
直近では2014年(平成26年)に大幅改正が行われ、「保護」だけでなく「管理(コントロール)」の概念が加わりました。

この法律の主な目的は以下の3点です。

  • 鳥獣の保護:傷ついた個体の救護、生息環境の維持
  • 鳥獣の管理:農業被害や生態系への影響を防ぐための個体数管理
  • 狩猟の適正化:免許制度・猟期の規定など

つまり、「保護する動物」と「管理(駆除)する動物」を、状況に応じて適切に判断するための包括的な法律です。

 

「鳥獣」に含まれる動物の範囲

鳥獣保護管理法が対象とする「鳥獣」は非常に広範囲です。

 

対象となる主な野生動物(一例):

  • 野鳥全般(スズメ、カラス、ハト、ツバメ、猛禽類など)
  • 哺乳類全般(タヌキ、キツネ、シカ、イノシシ、コウモリ、野ウサギなど)

対象外となる動物(一例):

  • 爬虫類・両生類・魚類・昆虫(別の法律で保護されているものもあります)
  • 家畜・ペット(飼育下の動物)

ポイント: 「野生のスズメ」は鳥獣保護管理法の対象ですが、「飼育中のセキセイインコ」は対象外です。同じ種でも、「野生状態にあるか」どうかが判断基準になります。

 

許可なくやってはいけない行為

鳥獣保護管理法では、都道府県知事などの許可なしに行ってはいけない行為が明確に定められています。

 

行為 規制内容
野生動物の捕獲 原則禁止(学術研究・救護目的等は許可制)
飼育・譲渡 無許可での飼育・売買・譲渡は禁止
卵の採取 鳥類の卵を採取することも原則禁止
巣の破壊 繁殖中の巣を壊すことも規制対象

よくある疑問に答えるQ&A

 

Q1. 怪我をした野鳥を見つけた。触っても大丈夫?

 

A. 緊急の場合は一時的な保護は認められますが、自宅で飼い続けるのはNGです。

鳥獣保護管理法では、緊急やむを得ない場合の一時的な保護は許容されています。
ただし、それはあくまで「行政機関への引き渡しを前提とした一時的な措置」に限られます。

 

やること:

  1. 段ボールなどに入れて安静にさせる
  2. 直射日光・エアコンの風を避ける
  3. 水や食べ物を無理に与えない
  4. 速やかに自治体の担当窓口または保護センターに連絡する

Q2. タヌキが庭に迷い込んできた。追い払っていい?

 

A. 追い払うこと自体は問題ありません。ただし捕獲は許可が必要です。

「庭から出ていってほしい」という場合、脅かして逃げさせることは問題ありません。
しかし、箱罠などで捕獲する場合は都道府県知事の許可が必要です。
農業被害がある場合などは、自治体を通じた有害鳥獣捕獲の申請ができます。


Q3. ヒナ鳥が地面に落ちていたら、巣に戻していい?

 

A. 巣が特定できる場合は戻してOKです。ただし、「巣立ちビナ」は保護不要です。

巣立ちビナの見分け方:

  • 羽毛がある程度生えている
  • ある程度動き回れる
  • 親鳥が近くにいる気配がある

このような場合、人間が介入するよりも、そっと見守る方が動物福祉の観点から正しい選択です。
近くの茂みに移動させる程度にとどめ、できるだけ手を加えないようにしましょう。


Q4. 保護した動物を自分で治療してあげたい

 

A. 専門的な治療は野生動物に慣れた獣医師・保護施設に任せるべきです。

善意からの治療行為が、かえって動物にストレスを与えたり、回復を妨げることがあります。
また、治療目的であっても、長期飼育は無許可飼養とみなされるリスクがあります。
「助けたい気持ち」は、正しいルートへのつなぎ役として発揮してください。


Q5. 死んだ野鳥を拾っても大丈夫?

 

A. 基本的には触らず、自治体に連絡することを推奨します。

特に鳥インフルエンザの流行時期は、死亡した野鳥を素手で触ることには感染リスクが伴います。
環境省は、死亡野鳥を発見した場合の報告を呼びかけており、特に10羽以上の集団死や猛禽類・ハクチョウなどの大型鳥の死亡は速やかに通報するよう案内しています。


実践編:野生動物を見つけたときの正しい手順

 

STEP 1|まず観察する(触らない・近づきすぎない)

最初にすべきことは「観察」です。
10〜15分程度、少し離れた場所から様子を見てください。

 

確認すること:

  • 明らかな外傷・出血がないか
  • 動けているか、まったく動けないか
  • 親や仲間が近くにいる気配はあるか
  • 「巣立ちビナ」の可能性はないか

多くの場合、少し待つだけで動物自身が動き出すことがあります。


STEP 2|保護が必要と判断した場合の応急処置

観察の結果、明らかに保護が必要と判断した場合は、以下の応急処置を行います。

 

準備するもの:

  • 厚手の手袋(感染症・引っかき傷防止)
  • 段ボール箱(通気穴を開けておく)
  • タオルや新聞紙(保温用)

注意点:

  • 水や食べ物は与えない(誤嚥や消化不良の原因になることがある)
  • 暗くて静かな場所に置く(ストレスを減らすため)
  • 人の目・声・においをできるだけ避ける
  • ペットや子供を近づけない

STEP 3|正しい相談・通報先に連絡する

都道府県の担当窓口(環境・自然保護系の部署) が基本の連絡先です。

 

状況 連絡先
傷ついた野鳥・野生動物 都道府県の環境部局・野生動物救護施設
農業被害・生活被害 市町村農林水産課または環境課
死亡野鳥(集団死含む) 都道府県の環境部局・保健所
特定外来生物(アライグマ等) 市区町村または都道府県

環境省の相談窓口ページ: https://www.env.go.jp/nature/choju/

※各都道府県の窓口リストも掲載されています。


STEP 4|行政機関に引き渡す・指示を仰ぐ

連絡後は、担当者の指示に従って行動してください。
多くの場合、「持参してほしい」か「職員が引き取りに来る」という流れになります。

自分で保護した場合でも、可能な限り早く行政や保護施設に引き渡すことが法的にも動物福祉の観点からも正解です。


野生動物を保護することのメリット・デメリット

 

メリット

  • 命を救える可能性がある:特に人為的な原因(交通事故・農薬中毒など)で傷ついた個体は、適切な治療で回復することがある
  • 生態系保全への貢献:絶滅危惧種の保護は、地域の生態系維持に直結する
  • 教育的価値:保護活動を通じて、子どもや地域社会への動物福祉教育につながる
  • データの蓄積:行政への通報が、野生動物の生息状況や疾病モニタリングに役立つ

デメリット・リスク

  • 人馴れによる野生復帰困難:長期接触により野生に戻れなくなる個体が出ることがある
  • 感染症リスク:鳥インフルエンザ・狂犬病(コウモリ等)・エキノコックス(キツネ)など
  • 法的リスク:無許可での飼養・売買は罰則対象
  • 過剰介入:本来自然に回復できる個体への不必要な介入が、かえって生存率を下げることもある

実体験エピソード:ある朝の”決断”が教えてくれたこと

 

都市部に住むAさん(30代・会社員)は、ある春の朝、マンションの駐車場でスズメのヒナを発見しました。

「ピヨピヨと鳴いていて、羽も少し生えていたけど、ひとりで飛べないみたいで……すごく心配で、思わず手のひらに乗せてしまいました」

Aさんは自宅に連れ帰り、水とパンくずを与えようとしました。
しかし気になってネットで調べると、「それは巣立ちビナかもしれない」という情報が目に入ります。

すぐに市の環境課に電話したAさん。
担当者から「実はそのヒナ、もうすぐ自分で飛べるようになる段階だったかもしれません」と告げられました。

「助けようとして、逆に邪魔をしてしまったかもしれないと思ったとき、すごく複雑な気持ちでした。
でも担当者の方が『気にかけてくれたことは大切なこと。次からは観察を先にしてみて』と言ってくれて……」

Aさんはその後、ヒナを保護センターに預けました。
ヒナは数週間後、無事に野生に放たれたと連絡があったそうです。

「助けたい」という気持ちは正しい。ただ、方法を知っていれば、もっとうまくできた。
Aさんはそう振り返ります。

この話は、多くの人が直面する状況そのものではないでしょうか。


注意点:やりがちなNG行動まとめ

 

以下の行動は、善意であっても問題になりえます。
ぜひ事前に確認しておいてください。

 

❌ NG行動リスト

  • 無許可での長期飼育:「治るまで飼う」は無許可飼養として違法になりうる
  • SNSへの個体情報の公開:生息地の特定につながり、密猟・盗掘を誘発する可能性がある
  • 水や人間の食べ物を与える:消化器系へのダメージや、人馴れの原因になる
  • 巣や巣穴を破壊する:繁殖期中の巣の破壊は鳥獣保護管理法違反になりうる
  • 「自然に任せるのがかわいそう」という判断:過剰介入が個体の生存率を下げることもある
  • ペット目的での保護:希少種・特定種は特定希少野生動植物種の規制も受ける場合がある

今後の社会的視点:動物福祉と鳥獣保護管理法の進化

 

日本の動物福祉は「転換期」にある

近年、日本でも動物福祉への意識が高まっています。
2019年には動物愛護管理法が改正され、飼育動物への罰則が強化されました。
野生動物の分野でも、科学的根拠に基づく個体数管理傷病鳥獣への対応強化が求められるようになっています。

 

世界基準との差:OIEが示す「5つの自由」

世界動物保健機関(WOAH、旧OIE)は、動物福祉の国際基準として「5つの自由(Five Freedoms)」を提唱しています。

  1. 飢えと渇きからの自由
  2. 不快からの自由
  3. 痛み・傷・病気からの自由
  4. 正常な行動を表現する自由
  5. 恐怖と苦痛からの自由

これらは本来、家畜を対象にした基準ですが、野生動物の保護・救護活動においても指針となる考え方です。
日本の行政や保護施設も、これらの基準を意識した対応が求められるようになっています。

 

市民・行政・専門家の「三位一体」が鍵

野生動物の保護は、ひとりの個人が完結できるものではありません。
市民が適切に通報・観察し、行政が迅速に対応し、専門家が治療・リハビリを担う——この三つが連携することで、はじめて本当の意味での「動物福祉」が実現します。

あなたの「気づき」が、その三位一体の出発点になります。

 

テクノロジーと野生動物保護

近年では、スマートフォンアプリを活用した目撃情報の収集や、GPSによる傷病個体のリハビリ追跡なども始まっています。
行政への情報提供がより簡易になることで、市民参加型の保護活動が広がることが期待されています。


まとめ|「知っている」ことが、一番の動物福祉

 

野生動物を見つけたとき、あなたにできる最善の行動を振り返りましょう。

 

この記事の要点:

  1. 鳥獣保護管理法は、野生動物を無断で捕獲・飼育することを原則禁止している
  2. 保護が必要かどうかはまず観察することが大切。巣立ちビナなど、介入が不要なケースも多い
  3. 保護が必要な場合は応急処置→自治体・保護施設への連絡→引き渡しの流れが基本
  4. 善意の行動でも、法的リスクや動物への悪影響が生じる可能性があることを知る
  5. 日本の動物福祉は進化の途中。市民一人ひとりの正しい知識と行動が未来をつくる

野生動物を気にかける気持ちは、とても大切な感性です。
その気持ちを「正しい知識」という器に入れることで、あなたの行動は本当の意味で動物を救う力になります。

もし今、野生動物に関して困っていることがあれば、まず都道府県の環境担当窓口に電話してみてください。
あなたの一本の電話が、一つの命をつなぐかもしれません。


参考・引用元:

  • 環境省「鳥獣の保護及び管理」https://www.env.go.jp/nature/choju/
  • 環境省「傷病鳥獣の取扱いについて」
  • 農林水産省「鳥インフルエンザに関する情報」
  • WOAH(世界動物保健機関)「動物福祉に関する5つの自由」
  • 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)

この記事は動物福祉の観点から正確な情報提供を目的としています。最新の法律情報・地域の窓口については、各都道府県の担当部署にご確認ください。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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