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ペットロスで「後追い」したい気持ちになったら——原因・対処法・回復への道を専門家視点で解説

ペットロスで「後追い」したい


「あの子がいなくなって、もう生きていたくない」
そう思ったことがある方へ。あなたは決しておかしくありません。
この記事では、ペットロス後追いという深刻な感情の正体と、そこから回復するための具体的な方法を、動物福祉と心理学の両面からお伝えします。


ペットロスで「後追い」を感じるのはなぜか

 

ペットロスとは何か

ペットロスとは、大切な動物の死や失踪によって生じる深い悲嘆(グリーフ)のことです。

日本では長らく「たかがペットの死」と軽視される風潮がありましたが、現代の心理学・動物福祉の観点からは、人間の家族を失ったのと同等の喪失感が生じることが広く認められています。

そしてその悲嘆が極限に達したとき、「後追いしたい」「一緒に死にたい」という気持ちが浮かぶことがあります。

これは弱さでも異常でもありません。

それほど深く愛していた、という証明です。


なぜ「後追い」という感情が生まれるのか

ペットロス後追いの感情が生まれる背景には、いくつかの心理的メカニズムがあります。

 

① 愛着の断絶(アタッチメントの喪失)

人と動物の絆は、脳内でオキシトシン(愛情ホルモン)によって形成されます。犬や猫との日常的な触れ合いは、人間の乳幼児との関係と同様のホルモン反応を引き起こすことが研究で判明しています(Journal of Human-Animal Interaction, 2019)。

この絆が突然断ち切られると、脳は「愛着対象の喪失」に対応するため、強烈な悲嘆反応を起こします。

 

② 生活リズムと存在意義の崩壊

毎朝の散歩、ご飯の時間、一緒に眠る夜——ペットとの生活は、飼い主の日常を構造化します。

その構造が一夜にして消えると、「何のために起き上がるのか」「誰のために生きるのか」という実存的な問いが浮上します。

 

③ 孤独の増幅

特に一人暮らしの高齢者や、精神的なつながりがペットにのみ集中していた方は、ペットロスによって社会的孤立が一気に表面化することがあります。

 

④ 自責感との複合

「最後にもっとそばにいてあげればよかった」「病院に早く連れて行けば」という後悔が重なると、悲嘆はより深く、回復が遅くなる傾向があります。


実態データで見るペットロスの深刻さ

 

日本のペット飼育の現状

一般社団法人ペットフード協会の「全国犬猫飼育実態調査(2023年)」によると、日本の犬の飼育数は約684万頭、猫の飼育数は約906万頭に上ります。

合計約1,590万頭——これは日本の全人口の約13%に匹敵するペットたちが、家庭の一員として暮らしているということです。

そしてこれだけ多くのペットがいるということは、毎年それと同数のペットの死、つまりペットロスの経験者が生まれているということでもあります。


ペットロスによる精神的影響のデータ

ペットロスが人間の精神に与える影響について、複数の研究が深刻な実態を示しています。

  • アメリカ心理学会(APA)の調査では、ペットを失った人の約25%が「日常生活に支障が出るレベルの悲嘆」を経験すると報告されています。
  • 国内の調査(東京都立大学・2021年)では、ペットロスを経験した者の約30%が「うつ状態に相当する症状」を示したとされています。
  • 環境省の動物愛護管理施策においても、近年は「人と動物の絆(HAB:Human-Animal Bond)」の重要性が明記されており、ペットロスに対するケアの必要性が行政レベルで認識されはじめています。

ペットロス後追いは「気のせい」ではない

「ペットが死んだくらいで死にたくなるなんて」と自分を責めている方に、はっきりお伝えします。

ペットロス後追いの感情は、国際的な診断基準(DSM-5)が定める「複雑性悲嘆(Complicated Grief)」や「重篤な喪失反応」の範疇に含まれる可能性がある深刻なサインです。

軽視していいものではありません。


よくある疑問にお答えします(Q&A)

 

Q1. ペットロスで死にたいと思うのはおかしいですか?

 

A. おかしくありません。ただし、専門的なサポートが必要なサインです。

ペットの死後に「一緒に死にたい」「後追いしたい」という感情が浮かぶことは、愛着の強さと喪失の深さを示すものです。

ただし、この感情が継続・強化されている場合は、心理的なサポートを受けることが重要です。

一人で抱え込まず、まず誰かに話してみてください。


Q2. ペットロスはどのくらいで立ち直れますか?

 

A. 個人差が大きいですが、一般的に「悲嘆の波」は数ヶ月〜1年程度続くことがあります。

「早く立ち直らなければ」という焦りは禁物です。

心理学者エリザベス・キューブラー=ロスが提唱した「悲嘆の5段階」(否認・怒り・取引・抑うつ・受容)は、ペットロスにも適用されます。

この段階は必ずしも順番通りに進むわけではなく、行ったり来たりすることが普通です。


Q3. ペットロスのカウンセリングはどこで受けられますか?

 

A. 以下の機関・サービスが利用できます。

  • いのちの電話(0120-783-556):無料・24時間対応
  • よりそいホットライン(0120-279-338):ペットロスの相談も受付
  • 動物病院付設のカウンセリングサービス:一部の動物病院や大学病院では、ペットロスカウンセリングを実施
  • 日本グリーフケア協会:グリーフケア専門の支援機関
  • 民間カウンセリングルーム:「ペットロス カウンセリング」で検索すると専門家が見つかります

※ 今すぐ誰かと話したい方は、よりそいホットライン(0120-279-338)に電話してください。


Q4. 新しいペットを迎えることは「裏切り」ですか?

 

A. 裏切りではありません。ただし、タイミングは大切です。

「新しい子を迎えることで、あの子への愛が薄まる気がして」——そう思う方は多いです。

しかし、愛は有限ではありません。

新しい命への愛は、亡くなったペットへの愛を上書きするものではなく、別の形で広がるものです。

ただし、悲しみの「穴」を埋めるために急いで新しいペットを迎えることは、その子にとっても飼い主にとっても難しい関係になりがちです。

悲嘆が一定程度落ち着いてから考えることをおすすめします。


Q5. 家族や友人に「ペットのことで落ち込むな」と言われます

 

A. 周囲の無理解は、ペットロスの回復を大きく妨げます。

残念ながら、日本ではまだ「ペットの死を人間の死と同等に悲しむこと」への理解が十分ではありません。

こうした無理解による孤立は、ペットロス後追いのリスクを高める要因のひとつです。

理解してもらえないと感じたときは、オンラインのペットロスコミュニティや専門家に相談することが助けになります。


ペットロス後追い感情から回復するための具体的ステップ

 

ステップ1:感情を「正当化」する

まず最初に行うべきことは、自分の感情を否定しないことです。

「ペットのことで泣くなんてみっともない」「もっと強くならなければ」——そう思う必要はまったくありません。

 

PREP法で考えるなら:

  • P(結論):悲しむことは正しい
  • R(理由):それはあなたが深く愛した証だから
  • E(具体例):毎日一緒にいた存在を失えば、誰でも深く悲しむ
  • P(再確認):だから今のあなたの気持ちは、何もおかしくない

感情日記をつけることも有効です。毎日5分、今感じていることを言葉にして書き出すだけで、感情の整理が少しずつ進んでいきます。


ステップ2:一人で抱え込まず、話せる場所を見つける

ペットロスの悲嘆を一人で抱えることは、精神的に非常に危険です。

 

話せる場所の例:

  • 信頼できる家族・友人(ペットの死を理解してくれる人)
  • ペットロスの専門カウンセラー
  • オンラインコミュニティ(SNSのペットロスグループ、掲示板など)
  • 動物病院のスタッフ(亡くなった動物をよく知っている)

「話すのが怖い」という方は、まずテキスト(LINEや掲示板)から始めてみてください。


ステップ3:日常リズムを少しずつ取り戻す

ペットとの生活で形成されていた日課が消えると、時間の構造が崩れます。

意識的に新しい小さなルーティンをつくることが助けになります。

 

具体的な例:

  • 朝起きたら窓を開けて外の空気を吸う(散歩の代わり)
  • 決まった時間に温かい飲み物を飲む
  • 短い散歩を日課にする(ペットの散歩コースを歩いてもいい)
  • 亡くなったペットの写真を飾り、毎朝声をかける

「何かをしなければ」という義務感ではなく、自分を優しく扱うための習慣として取り入れてみてください。


ステップ4:「追悼」の形を作る

ペットロスの回復において、「ちゃんとお別れをする」ことは非常に重要です。

 

追悼の形はさまざまです:

  • お葬式・納骨:動物専門の葬儀社が全国にあります
  • メモリアルアルバムの作成:写真やエピソードをまとめる
  • 手紙を書く:亡くなったペットへの手紙を書き、気持ちを言語化する
  • 植樹・献花:庭や公園に植物を植え、成長を見守る
  • オンライン追悼ページの作成:SNSや専用サービスでメモリアルを作る

「ちゃんとお別れできた」という感覚は、ペットロス後追いの感情を和らげる上で大きな力を持ちます。


ステップ5:専門家のサポートを受ける

ペットロス後追いの感情が強く、日常生活に支障が出ている場合は、早めに専門家に相談することを強くおすすめします。

 

受診の目安:

  • 2週間以上、強い悲嘆や抑うつが続いている
  • 食欲・睡眠に著しい障害がある
  • 死にたい・後追いしたいという考えが繰り返し浮かぶ
  • 仕事・日常生活が著しく機能しなくなっている

上記に当てはまる方は、精神科・心療内科、またはペットロス専門のカウンセラーへの相談を検討してください。

相談することは弱さではなく、自分を大切にする勇気ある行動です。


回復アプローチのメリット・デメリット

 

各アプローチの比較

ペットロス後追い感情への対処法はいくつかありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。


① 自然回復(時間に任せる)

  • メリット:費用がかからない。強制されない。
  • デメリット:孤立するリスクが高い。長引きやすい。複雑性悲嘆に移行する場合がある。

② 専門カウンセリング

  • メリット:専門的なサポートが得られる。安全な場所で感情を表現できる。
  • デメリット:費用がかかる(目安:1回5,000〜15,000円)。カウンセラーとの相性がある。

③ ペットロスグループ(自助グループ・オンライン)

  • メリット:同じ体験を持つ人とつながれる。孤立感が和らぐ。無料〜低価格。
  • デメリット:グループの質にばらつきがある。誤った情報が流れる場合も。

④ 薬物療法(精神科での処方)

  • メリット:重症例では急速な改善が見込める。睡眠・食欲の回復を助ける。
  • デメリット:副作用の可能性。根本的な悲嘆を処理するには心理療法との組み合わせが必要。

⑤ メモリアル活動(追悼・アルバム作成など)

  • メリット:自分のペースで取り組める。感情の言語化を助ける。ペットとの絆を形として残せる。
  • デメリット:悲しみを再体験する場合がある。一人で行うと孤立しやすい。

理想は、これらを組み合わせて取り組むことです。

一つの方法に頼りすぎず、自分の状態に合わせて柔軟に対応していきましょう。


実体験から学ぶ——ある飼い主の回復の物語

 

ミミとの18年間——Aさん(67歳・女性)の場合

Aさんは18年間、猫の「ミミ」と暮らしていました。

夫を5年前に亡くし、子どもは遠方に住んでいる。

毎朝ミミの鳴き声で目を覚まし、夜はミミを膝に乗せてテレビを見る——それが18年間の変わらぬ日常でした。

昨年秋、ミミが腎不全で息を引き取ったとき、Aさんは「もうこの先、何のために生きるのかわからない」と感じたと言います。

「ミミの後を追いたいと、本気で思いました。毎晩泣いて、朝起きても何もしたくなくて。ご飯も食べられない日が続きました」

Aさんの変化のきっかけは、かかりつけの動物病院のスタッフでした。

定期的に電話をくれたスタッフが「Aさんのこと心配しています。一度お話ししませんか」と声をかけてくれたのです。

病院が紹介してくれたペットロスの自助グループに参加し、同じ悲しみを持つ人たちと出会ったAさんは、「自分だけじゃなかった」という安心感を得ました。

半年後、Aさんは地域の動物シェルターでボランティアを始めました。

「ミミへの気持ちは変わらない。でも、自分が生きていることで助けられる命があると思えるようになった」

Aさんの回復は、決して「ミミを忘れる」ことではありませんでした。

ミミへの愛を形を変えて生かすことが、Aさんを前に進ませたのです。


この実体験から学べること

  • 回復の鍵は「孤立しないこと」
  • 周囲の声かけが大きな転機になる
  • 回復は「忘れること」ではなく「共に生きること」
  • 動物に関わる活動が、ペットロスの回復に有効な場合がある

注意点——やってはいけないこと、見逃しがちなサイン

 

やってはいけないこと

 

① 気持ちを無理に押さえ込む

「もう泣かない」「強くなる」と感情を抑圧すると、悲嘆は解消されず内側に蓄積されます。

抑圧された悲嘆は、ある日突然爆発したり、身体症状(頭痛・胃痛・免疫低下)として現れることがあります。

 

② 「あなたはまた飼えばいい」という言葉を真に受けない

善意からの言葉でも、「また飼えばいい」「新しいペットを迎えよう」という提案は、今の悲しみを否定するように感じられることがあります。

周囲からそう言われても、自分のペースで回復することが大切です。

 

③ アルコール・睡眠薬への過度の依存

悲しみを和らげるためにお酒を飲む量が増えたり、市販の睡眠薬を多用するようになったりする場合は注意が必要です。

これらは一時的な逃避にはなっても、根本的な回復にはつながりません。

依存が進む前に専門家に相談してください。

 

④ SNSで「ペットロス後追い」を検索し続ける

同じ気持ちの人を探したい気持ちはわかります。

しかし、検索を繰り返すことで悲嘆が強化されたり、誤った情報に触れたりするリスクがあります。

信頼できる専門機関の情報を見るようにしましょう。


見逃しがちな危険なサイン

以下のサインが続く場合は、すぐに専門家または相談窓口に連絡してください。

  • 死にたい・後追いしたいという考えが日常的に浮かぶ
  • 「死ぬ準備」のようなことを考えたり、行動したりしている
  • 極端な食欲不振・体重減少が続いている
  • ほとんどの時間を横たわって過ごしている
  • 外出・会話がまったくできなくなっている

今すぐ誰かに話してほしい方へ:

  • よりそいホットライン:0120-279-338(24時間)
  • いのちの電話:0120-783-556(毎日16時〜21時・毎月10日は8時〜翌8時)
  • 救急相談:#7119

動物福祉と社会の変化——ペットロスが公認される時代へ

 

日本における動物福祉の進展

日本では2022年、動物愛護管理法の改正が施行されました。

この改正では、動物への適切なケアだけでなく、「人と動物の関係性」に対する社会的認識の深化が盛り込まれています。

環境省の「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」においても、「ペットは家族の一員」としての位置づけが強まっており、ペットロスをめぐる社会的サポートの重要性も徐々に認識されてきています。


世界のペットロス対応の現状

欧米では、ペットロスへの対応はすでに医療・福祉の重要分野として確立されています。

  • アメリカ:多くの大学が「ペットロスサポートホットライン」を設置(コーネル大学など)
  • イギリス:Blue Crossが無料のペットロスカウンセリングサービスを提供
  • スウェーデン:動物の死に対する「悲嘆休暇」の取得を認める企業が増加

日本でもこうした動きが広がりつつあります。

一部の自治体では動物霊園の整備が進み、民間では「ペットロスカウンセラー」の資格制度も整備されてきました。


「ペットの死」を正式に悲しめる社会へ

「ペットが死んでも有給休暇は取れない」「職場で泣けない」——こうした状況は、今もなお多くの飼い主が直面している現実です。

しかし社会は確実に変わりつつあります。

一部の企業では「ペット忌引き休暇」を導入し、ペットロスを正式な喪失として認める動きが出ています。

動物福祉の視点から見れば、ペットロス後追いというリスクを減らすためにも、社会全体が「人と動物の絆」を正当に認める文化を育てていくことが求められています。

私たち一人ひとりが、その文化の担い手です。


まとめ——あなたの悲しみは、愛の深さの証明です

 

この記事では、ペットロス後追いという深刻なテーマについて、心理学的・社会的・動物福祉的な視点から詳しく解説してきました。

最後に、大切なことをまとめます。


この記事のポイント:

  • ペットロスで「後追いしたい」と感じることは、異常ではなく、愛の深さの表れ
  • 日本ではペットロスの深刻さがデータで示されており、社会的対応が始まっている
  • 回復には「孤立しないこと」「感情を正当化すること」「専門家のサポートを受けること」が重要
  • 追悼活動・グリーフケア・カウンセリングなど、複数のアプローチを組み合わせることが効果的
  • 回復は「忘れること」ではなく、「愛を形を変えて続けること」

あなたが感じている悲しみは、本物です。

そしてその悲しみは、それほど深く愛した、という何よりの証です。

ペットロス後追いの気持ちが続いているなら、どうか一人で抱え込まないでください。

今日、誰かに一言、話してみてください。

それが回復への第一歩です。


今すぐできることを一つだけ選んでください:

📞 よりそいホットラインに電話する(0120-279-338)

💬 信頼できる人に「最近つらい」とLINEを送る

📝 今感じていることを、ノートに5分だけ書き出す

どれか一つでいい。あなたの命は、あなたにしかない価値があります。


この記事は動物福祉・グリーフケアの専門的知見に基づいて作成されています。個別の医療・心理的相談については、専門家にご相談ください。

参考:環境省「動物愛護管理施策」、ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査(2023年)」、American Psychological Association、日本グリーフケア協会

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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