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災害時に犬を連れて避難するための準備と注意点|ペット防災の完全ガイド

災害時に犬を連れて避難するための準備と注意点

 


災害時にペットを守るのは飼い主の責任

 

2024年1月に発生した能登半島地震では、多くのペットが置き去りにされたという報告が後を絶ちませんでした。

「まさか自分の地域が被災するとは思わなかった」——そう語る飼い主の声は、過去のあらゆる災害でも繰り返されてきました。

 

しかし、災害はいつでも、どこにでも起こりえます。

環境省が発行している「人とペットの災害対策ガイドライン」(2018年改訂版)では、ペットの同行避難が「飼い主の責 務」として明示されています。

つまり、犬の命を守ることは、飼い主としての義務であると同時に、社会的な責任でもあるのです。

 

この記事では、災害時に犬を連れて避難するための準備と注意点を、具体的かつ実践的にまとめました。
ペット防災を後回しにしてきた方も、すでに準備を始めている方も、この記事を読めば「今日からできること」が必ず見つかります。


「同行避難」と「同伴避難」の違いをまず知っておく

 

災害時の犬との避難を考えるうえで、最初に押さえておきたい重要な区別があります。

同行避難とは、飼い主がペットを連れて避難所まで移動することを指します。
一方、同伴避難とは、避難所の中でも人とペットが一緒に生活できる状態を意味します。

この2つは似ているようで、まったく異なります。

環境省のガイドラインでは「同行避難を推奨する」としていますが、避難所内でペットと同室で過ごせるかどうかは、各自治体・各避難所の判断に委ねられています。

 

実際、2016年の熊本地震では、多くの避難所がペットの受け入れを断ったため、飼い主が車中泊を選ばざるを得ないケースが多発しました。
エコノミークラス症候群で亡くなった方の中に、ペットと離れたくないという理由で車中泊を続けた高齢者がいたことも報告されています。

 

自分の地域の避難所がペット対応かを確認する方法

まず、お住まいの市区町村のハザードマップと、避難所一覧のペット受け入れ可否情報を確認することが第一歩です。

確認方法は次の通りです。

  • 市区町村の公式ウェブサイトで「ペット 避難所」と検索する
  • 地域の防災担当窓口に電話で問い合わせる
  • 地域の防災訓練や説明会に参加する

東京都では「東京都動物愛護相談センター」がペット防災に関する情報を公開しており、一部の自治体ではペット専用の避難スペースを設けた避難所の整備も進んでいます。
お住まいの地域の情報を、今すぐ確認しておきましょう。


災害時に犬を連れて避難するために必要な準備

 

非常用持ち出し袋にペット用品を必ず加える

「人間の分だけ準備している」という飼い主が、実は非常に多いです。

しかし、犬のための非常用袋を別途用意することが、ペット防災の基本中の基本です。

環境省のガイドラインでも、最低でも5日分(可能であれば7日分)のペット用品の備蓄が推奨されています。

 

ペット用非常持ち出し袋に入れるべきもの(チェックリスト)

  • フード(最低5〜7日分)
  • 水(1日あたり体重1kgにつき約50〜60ml)
  • 常備薬・お薬手帳のコピー
  • ワクチン接種証明書・狂犬病予防接種済票
  • マイクロチップ登録証明書
  • ケージまたはキャリーバッグ
  • リードと首輪(予備を含む)
  • ペットシーツ(多めに)
  • ウエットティッシュ・消臭袋
  • 普段使っているおもちゃやタオル(安心グッズ)
  • 飼い主の連絡先を記した迷子札

 

特に薬は忘れがちなポイントです。
持病を持つ犬の場合、断薬が命取りになることもあります。かかりつけの獣医師に「災害時の緊急処方」について事前に相談しておくと安心です。

 

マイクロチップの登録と迷子札の二重備えをする

2022年6月より、販売業者から購入した犬・猫へのマイクロチップ装着と登録が義務化されました(環境省・動物愛護管理法改正)。

しかし、家庭犬への装着はまだ義務ではなく、任意となっています。

それでも、災害時の迷子・逸走を考えたとき、マイクロチップは非常に有効な手段です。

 

阪神・淡路大震災では、約1万頭のペットが迷子になったとされており、そのうち飼い主のもとへ戻れたのはごくわずかだったと言われています。

マイクロチップに加え、首輪への迷子札、さらに愛犬の顔写真と飼い主の連絡先を印刷したカードを用意しておくと、三重の安全策になります。

 

避難訓練にペットを連れて参加する

「避難訓練にペットを連れて参加したことがない」という方は、ぜひ次の機会に実践してみてください。

愛犬がキャリーバッグに慣れていない、見知らぬ人や犬に吠えてしまう、という問題は、災害時に深刻なストレスと摩擦を生み出します。

 

日常のトレーニングで身につけておきたいこと

  • キャリーバッグに自分から入れるようにする
  • 「待て」「おすわり」などの基本コマンドに従える
  • 知らない人や犬に対して落ち着いていられる社会化
  • 公共の場所で静かにしていられる練習

一部の自治体ではペット同行避難訓練を定期的に実施しています。
たとえば、神奈川県横浜市では毎年「ペット防災訓練」を開催しており、参加した飼い主からは「実際に訓練してみて初めてわかった課題があった」という声が多く聞かれます。


避難所でのトラブルを防ぐための注意点

 

アレルギーや恐怖心を持つ人への配慮は必須

避難所には、犬が苦手な人、アレルギーを持つ人、過去にトラウマがある人が必ずいます。

これはどちらが正しい・間違いという話ではありません。
限られたスペースで多くの人が共同生活を送る中で、お互いへの配慮がなければ、トラブルはすぐに起きてしまいます。

 

避難所でペットを連れている飼い主が意識すべきことは次の通りです。

  • 指定されたペットスペース以外で犬を自由にしない
  • 無駄吠えに対する対策(普段からのトレーニング)をしておく
  • 排泄物は速やかに処理し、臭いを最小限にする
  • ケージやクレートに入れて過ごせるようにしておく
  • 他の避難者への声かけや挨拶を積極的に行う

「うちの子は大人しいから大丈夫」という自己判断は危険です。
ストレス状態の犬は、普段とは別の行動をとることがあります。
災害時は犬自身も極度の緊張状態にあることを忘れないでください。

 

ペットの受け入れを断られた場合の代替策

もし避難所でペットの受け入れを断られた場合、焦らず次の選択肢を検討してください。

 

代替避難先の候補

  • ペット可の宿泊施設・ホテル(事前にリストアップしておく)
  • 動物病院の一時預かり(かかりつけ医に災害時対応を確認しておく)
  • 友人・知人宅(ペットを受け入れてもらえる人を事前に確保しておく)
  • ペット専用の緊急避難施設(自治体によっては整備されている)
  • 車中泊(熱中症・エコノミークラス症候群への対策が必要)

車中泊を選ぶ場合は、換気・水分補給・定期的な外出が不可欠です。
特に夏場の車内温度は急上昇するため、犬の熱中症には最大限の注意が必要です。


災害前から始めるペット防災の習慣づくり

 

獣医師との連携を日頃から深めておく

かかりつけの獣医師は、災害時のペット医療における最大の味方です。

定期的な健康診断はもちろん、災害時の薬の備蓄方法、緊急時の対処法などを普段から相談しておきましょう。

また、「かかりつけの動物病院が被災した場合」を想定し、近隣の別の動物病院も把握しておくことも重要です。

 

確認しておきたい事項

  • 現在処方されている薬の名前・用量・投薬方法
  • 緊急時に連絡できる動物病院のリスト(最低3か所)
  • ワクチン・フィラリア・ノミダニ予防の接種履歴
  • アレルギーや既往症の記録

診察券と一緒に、これらの情報をまとめたペット医療カードを作成しておくと、いざというときに非常に役立ちます。

 

ペット保険の見直しも防災の一部

「ペット保険は医療費のため」と思っている方も多いですが、災害時の医療費カバーという観点からも重要です。

被災後に愛犬がケガや体調不良を起こしても、避難生活の中で高額な治療費を工面するのは容易ではありません。
ペット保険に加入していれば、その負担を大きく軽減できます。

 

保険の見直しポイントは以下の通りです。

  • 災害時の通院・入院・手術がカバーされているか
  • 慢性疾患・既往症が補償対象外になっていないか
  • 保険証券を非常持ち出し袋に入れてあるか

実際の被災体験から学ぶ「やっておけばよかった」リスト

 

過去の災害でペットと避難した飼い主の声を集めると、共通した「後悔」が浮かび上がってきます。

 

「やっておけばよかった」と感じた準備

  • フードの備蓄量が足りなかった(3日で底をついた)
  • ケージに慣れさせていなかった(避難所でずっと吠えてしまった)
  • ワクチン証明書を持ち出せなかった(避難所への入場を断られた)
  • リードが古くて断裂した(逃げ出す危険があった)
  • 写真を用意していなかった(はぐれたとき探せなかった)
  • 薬を忘れた(近くに動物病院がなく途方に暮れた)

一方、「準備していてよかった」という声もあります。

  • キャリーに慣れさせていたので、避難所でも落ち着いていられた
  • マイクロチップのおかげで逸走後も発見・返還された
  • 近所の動物病院のリストを持っていたので、すぐに連れて行けた

これらの体験談は、準備の大切さを何よりも雄弁に物語っています。


ペット防災を地域全体で考える時代へ

 

個人の準備だけでは、すべての犬を守り切れない現実があります。

近年、各地でペット防災に取り組む市民グループや動物愛護団体が増えています。
地域の動物愛護推進員や、町内会・自治会のペット防災委員会と連携することで、より強固なサポートネットワークを築くことができます。

また、ペットを飼っていない近隣住民との関係構築も大切です。
「犬を飼っている」という情報を近所の方に伝えておくだけで、災害時に助け合える関係が生まれます。

 

動物福祉の観点からも、「ペットは家族の一員」という社会的認識が広がることが重要です。
それは、人間にとっても生きやすい社会をつくることと、根本的につながっています。


まとめ:愛犬を守る準備は、今日からできる

 

災害時に犬を連れて避難するための準備は、特別なことでも難しいことでもありません。

 

今日からできる5つのアクション

  1. 自治体のペット対応避難所を確認する
  2. ペット用非常持ち出し袋を作る(or 見直す)
  3. マイクロチップの装着・登録を検討する
  4. かかりつけの獣医師と災害時の対応を相談する
  5. 愛犬をキャリーバッグとクレートに慣れさせるトレーニングを始める

「備えあれば憂いなし」という言葉は、ペット防災にこそ当てはまります。

愛犬はあなたの選択に、すべてを委ねています。
今この瞬間から、愛犬のための準備を始めてください。


本記事は環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」および各自治体の公開情報をもとに執筆しています。最新情報は各公式サイトをご確認ください。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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