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猫の歯茎が白い・黄色い・紫色のとき疑う病気|色別症状チェックと早期発見のポイント

猫の歯茎が白い・黄色い・紫色のとき疑う病気

 

猫の口の中をのぞいたとき、「あれ、歯茎の色がおかしい?」と感じたことはありませんか。

健康な猫の歯茎は、人間と同じようにきれいなサーモンピンク色をしています。 しかしその色が白く抜けていたり、黄ばんでいたり、あるいは青紫色に変色していたりするとき、それはあなたの猫の体が助けを求めているサインかもしれません。

 

この記事では、猫の歯茎が白い・黄色い・紫色になる原因を色別に整理し、それぞれで疑われる病気、早期発見のポイント、そして動物病院に連れて行くべきタイミングまでを詳しく解説します。

「うちの子は大丈夫だろう」と思っていても、歯茎の変色は全身疾患のサインであることが少なくありません。ぜひ最後まで読んで、大切な猫の命を守る知識を身につけてください。


猫の歯茎の正常な色とは?まず基準を知ろう

 

サーモンピンクが健康のバロメーター

猫の正常な歯茎の色は淡いサーモンピンクです。 湿り気があり、しっとりとした質感が正常です。 爪の付け根や口唇の内側と同じような色合いをイメージするとわかりやすいでしょう。

確認方法はシンプルです。

  • 猫の上唇をそっと指で持ち上げ、歯茎を露出させます
  • 色・湿り気・質感を確認します
  • 歯茎を指で軽く押し、離したとき2秒以内に白から元のピンク色に戻れば正常(毛細血管再充填時間:CRT)

このCRTテストは、血液循環の状態を家庭でも確認できる簡便な方法です。 獣医師も診察室で日常的に行う基本的なチェックです。

 

猫の口腔内疾患の実態

猫は口腔疾患にかかりやすい動物です。 日本獣医師会の調査によると、3歳以上の猫の約70〜80%に何らかの歯周病の兆候があるとされています。 また環境省の「飼い主のためのペットフード安全ガイドライン」でも、猫の口腔ケアの重要性が強調されています。

 

しかし歯茎の「色の変化」は、単なる口腔内の問題にとどまらないことがあります。 心臓病・腎臓病・貧血・肝臓疾患など、全身の重篤な疾患を示すサインである場合が多いのです。


猫の歯茎が白い・青白いとき|貧血や循環不全を疑う

 

白い歯茎が示す「貧血」のリスク

猫の歯茎が白っぽい、または青白く見えるとき、最初に疑うべきは貧血(Anemia)です。

貧血とは血液中の赤血球やヘモグロビンが不足した状態であり、組織に酸素を届ける能力が低下します。 歯茎が白くなるのは、毛細血管に流れる赤血球が減少しているためです。

 

貧血の主な原因(猫の場合):

  • 慢性腎臓病(CKD):腎臓が造血ホルモン(エリスロポエチン)を産生できなくなる。猫の慢性腎臓病は非常に多く、シニア猫(10歳以上)の約30〜40%が罹患するとも言われています。
  • 猫白血病ウイルス(FeLV)感染:骨髄での造血機能を障害し、重篤な貧血を引き起こします。
  • 免疫介在性溶血性貧血(IMHA):免疫系が自分の赤血球を攻撃してしまう疾患。
  • 外部・内部寄生虫:ノミの大量寄生や消化管内の寄生虫による慢性的な失血。
  • 外傷や内出血:交通事故などによる急性の出血性貧血。

 

白い歯茎と一緒に見られることが多いサイン:

  • 元気がない、ぐったりしている
  • 食欲低下
  • 呼吸が速い・苦しそう
  • 舌や鼻の内側も白っぽい
  • 心拍数の増加

 

白い歯茎は「緊急サイン」になることがある

急性出血や重篤な貧血の場合、猫の歯茎が突然白くなることがあります。 この場合は時間との戦いです。

特に交通事故の直後や、突然ぐったりして動かなくなった場合は、今すぐ動物病院へ連絡してください。 夜間救急に対応している病院のリストをあらかじめ把握しておくことを強くお勧めします。


猫の歯茎が黄色い・黄ばんでいるとき|肝臓・胆道疾患のサイン

 

黄疸(おうだん)という状態

猫の歯茎が黄色〜オレンジがかった色に見えるとき、それは黄疸(Jaundice / Icterus)の可能性が高いです。

黄疸とは、ビリルビン(胆汁色素)が血液中に蓄積して、皮膚・粘膜・目の白目部分(強膜)が黄色く染まる状態です。 猫では皮膚よりも先に歯茎・目の白目・耳の内側に黄疸が現れることが多いため、これらの部位を確認することが重要です。

 

黄疸を引き起こす主な疾患:

  • 肝リピドーシス(脂肪肝):猫特有の疾患で、数日間の食欲不振から急速に発症します。肥満猫が急にダイエットした場合や、ストレスで食べなくなった場合に起こりやすい。猫の急性肝不全の中でもっとも多い原因のひとつです。
  • 胆管肝炎(Cholangiohepatitis):肝臓と胆管に炎症が起きる疾患。細菌感染や炎症性腸疾患(IBD)と併発することがあります。
  • 肝臓腫瘍・転移性がん:原発性または他臓器からの転移による肝機能障害。
  • 溶血性疾患:赤血球が大量に壊れ、ビリルビンが処理しきれなくなる状態。
  • 膵炎:猫の三臓器炎(膵炎+胆管肝炎+炎症性腸疾患)の一部として黄疸が現れることも。

 

黄疸は「早期発見が命取り」になる

肝リピドーシスは、発見が遅れると数日で命に関わります。 一方で、早期に適切な栄養補給(強制給餌や入院管理)を行えば、回復する可能性の高い疾患でもあります。

「数日ご飯を食べていない」「元気がない」「目が黄色っぽい」という組み合わせは、迷わず受診してください。

 

黄疸のチェックポイント(自宅で確認できること):

  • 歯茎が黄色〜クリーム色に見える
  • 目の白目が黄ばんでいる
  • 耳の内側の皮膚が黄色っぽい
  • 尿が濃いオレンジ〜茶色
  • 白っぽい・灰色の便(胆汁が腸に届いていない可能性)

猫の歯茎が紫色・青紫色のとき|チアノーゼという緊急事態

 

チアノーゼは命に関わる

猫の歯茎が青紫色・紫色になっている状態をチアノーゼ(Cyanosis)といいます。

これは血液中の酸素が著しく不足している状態を示しており、動物医療における最も緊急度の高いサインのひとつです。 健康な赤い血液が酸素不足で暗赤色〜青紫色になり、それが歯茎の色に反映されます。

発見したら5分以内に動物病院に電話し、すぐに向かうべき状態です。

 

チアノーゼの主な原因:

  • 心臓疾患(肥大型心筋症など):猫でもっとも多い心臓病。血液の循環がうまくいかず、肺に水が溜まる(肺水腫)ことで酸素不足に陥る。
  • 胸水・腹水:胸腔に水が溜まり、肺が十分に膨らめない状態。猫では猫伝染性腹膜炎(FIP)や心臓疾患、リンパ腫などで起こりやすい。
  • 気道閉塞・異物誤嚥:気道が詰まり、酸素が取り込めない。
  • 重篤なショック状態:出血・敗血症・アナフィラキシーなど。
  • 肺炎・重篤な呼吸器疾患:肺での酸素交換が機能しない状態。

 

チアノーゼ発見時の対応

猫の歯茎が紫色になっていたとき、以下を確認しながらすぐに動物病院に向かってください。

  • 猫を抱っこするとき、なるべく胸部を圧迫しないよう注意する
  • 移動中は静かで暗い状態を保ち、ストレスを与えない
  • 呼吸が止まっている場合は、電話しながら獣医師の指示を仰ぐ

自己判断で様子見することは絶対に避けてください。 チアノーゼは数分単位で命に関わります。


猫の歯茎が赤い・炎症を起こしているとき|口腔疾患の疑い

 

猫の歯茎の赤みも見逃せない

歯茎の変色として「赤い」「腫れている」ケースも非常に多く見られます。 これは歯周病・口内炎・歯肉炎などの口腔疾患のサインである場合が多いです。

特に注目すべきは猫の難治性口内炎(慢性歯肉口内炎:FCGS)です。

 

FCGSは猫に特有の炎症性疾患で、歯茎全体・頬の粘膜・喉にかけて重篤な炎症が広がります。 痛みが非常に強く、食欲低下・口をぬぐう行動・よだれ・体重減少などが見られます。

 

猫の口腔疾患の罹患率は高く、日本でも動物病院を受診する猫の主要な受診理由のひとつです。 猫白血病ウイルス(FeLV)や猫カリシウイルス(FCV)の感染が関与していることもあります。

 

歯茎が赤いときに疑う主な疾患:

  • 歯肉炎(Gingivitis)
  • 歯周病(Periodontal Disease)
  • 慢性歯肉口内炎(FCGS)
  • 口腔内腫瘍(扁平上皮癌など)

口腔内の扁平上皮癌は猫の口腔腫瘍の中でもっとも多く、発見が遅れると予後が非常に厳しい疾患です。 歯茎や舌・頬に「潰瘍」「しこり」「腫れ」が見られる場合は、早急に受診が必要です。


猫の歯茎の色を「色別チェックリスト」でまとめる

 

歯茎の色と疑われる状態を一覧でまとめます。 家族全員で確認できるよう、保存しておくことをお勧めします。

 

歯茎の色 疑われる状態 緊急度
サーモンピンク 正常
白い・青白い 貧血・出血・ショック ★★★ 緊急
黄色い・黄ばんでいる 黄疸・肝臓疾患・溶血 ★★☆ 早急に受診
青紫色・紫色 チアノーゼ・心臓疾患・呼吸不全 ★★★ 即時緊急
赤い・腫れている 歯周病・口内炎・口腔腫瘍 ★☆☆ 数日以内に受診
茶色っぽい 歯石・慢性疾患 ★☆☆ 受診を検討

猫の歯茎チェックを習慣にする方法

 

毎日30秒のモニタリングが命を救う

猫は痛みや不調を本能的に隠す動物です。 これは野生では弱みを見せないための適応ですが、飼い主にとっては「異変に気づきにくい」という難しさにつながります。

だからこそ、毎日のスキンシップの中で歯茎の色を確認する習慣が重要です。

 

習慣化のコツ:

  • 猫が落ち着いているタイミング(ご飯後・お昼寝後など)に確認する
  • 最初は短時間でOK。リップを持ち上げて「今日もピンクだね」と声をかけながら確認する
  • 子猫のうちから慣れさせておくと成猫になっても嫌がりにくい
  • 家族でチェックを分担し、1日1回は誰かが確認する

 

シニア猫は特に注意が必要

環境省の「人とペットの絆推進事業」では、シニアペットのケアの重要性が強調されています。 猫は7歳からシニア期に入るとされ、腎臓病・甲状腺機能亢進症・口腔疾患・腫瘍性疾患のリスクが急激に高まります。

7歳以上の猫は、年2回以上の定期健診を強くお勧めします。 血液検査・尿検査・血圧測定などを組み合わせることで、歯茎の色に現れるような全身疾患を早期発見できます。


動物病院で行われる検査と治療の流れ

 

受診時に伝えるべき情報

猫の歯茎の色がおかしいと感じて動物病院を受診する際、以下の情報を事前にメモしておくとスムーズです。

  • いつから気づいたか(突然か、徐々にか)
  • 食欲・飲水量・排泄の状態
  • 元気の有無・行動の変化
  • 過去の病歴・飲んでいる薬
  • ワクチン接種歴・フィラリア予防の有無
  • 最近のストレスになるような出来事(引越し・新しいペットの導入など)

 

一般的な検査の流れ

 

身体検査 体温・心拍数・呼吸数・体重の確認。歯茎のCRT(毛細血管再充填時間)の測定。

 

血液検査(CBC・生化学検査) 貧血の有無・程度、肝臓・腎臓・膵臓の機能、炎症マーカーの確認。黄疸の場合はビリルビン値が上昇します。

 

尿検査 腎臓の状態、胆汁色素の排泄状態を確認。

 

画像検査(レントゲン・エコー) 心臓の大きさ・形、胸水・腹水の有無、臓器の腫瘍・異常構造の確認。

 

その他 必要に応じてFeLV/FIVの検査、甲状腺ホルモン検査、細胞診・病理検査など。


猫の歯茎が白い・黄色い・紫色になる病気のQ&A

 

Q. 猫の歯茎が少し白っぽいように見えるけど、貧血かどうかわからない。どうすれば判断できますか?

 

まずCRTテスト(歯茎を押して2秒以内に色が戻るか)を確認してください。 また「いつもと比べてどうか」が重要です。 普段から歯茎の色を把握しておくと、わずかな変化にも気づけます。 迷ったときは受診することをお勧めします。動物病院での血液検査で数値として確認できます。

 

Q. 猫が黄疸になっていると思うのですが、緊急性はありますか?

 

黄疸の原因によって緊急度は異なりますが、基本的には早急な受診が必要です。 特に「数日以上食べていない」「ぐったりしている」という場合は、肝リピドーシスの可能性があり、早期の点滴・強制給餌が予後を大きく左右します。

 

Q. チアノーゼと、唇・鼻が色素沈着で濃く見えるのは違いますか?

 

はい、異なります。 色素沈着は局所的で、歯茎(粘膜部分)には通常現れません。 チアノーゼは歯茎・舌・鼻の粘膜が全体的に青みがかった色になります。また同時に呼吸困難・開口呼吸・ぐったりなどの症状を伴います。

 

Q. 猫の歯茎の色は年齢とともに変わりますか?

 

加齢によってわずかに変化することはありますが、それはごくわずかです。 突然の変色・急速な変色は必ず疾患のサインとして受け止めてください。


動物福祉の視点から考える「猫の口腔ケア」

 

猫の歯茎の変色に関する疾患の多くは、早期発見・早期治療によって命を救える疾患です。

しかし日本では、「猫は犬ほど病院に連れて行かない」という傾向がまだ根強くあります。 ペット保険会社の調査によると、猫の年間平均通院回数は犬と比べて少なく、また「猫は自分で病気を治す」という誤解も依然として存在します。

一方で、環境省の「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」では、飼い主の責任として適切な医療を受けさせることが明記されています。

 

猫の健康を守ることは、飼い主の「愛情」であると同時に「責任」でもあります。

口腔内のわずかな変化に気づき、それを放置せずに行動できる飼い主が増えることが、猫の動物福祉の向上につながります。

猫は言葉を持ちません。その代わり、体が信号を出しています。 歯茎の色は、その信号の中でも非常に重要なメッセージのひとつです。


まとめ|猫の歯茎の色は「第二の体温計」

 

この記事のポイントをまとめます。

  • 正常な歯茎の色はサーモンピンク。CRTが2秒以内に戻れば健康的な循環の証拠。
  • 白い歯茎は貧血・出血・ショックのサイン。急性の場合は緊急事態。
  • 黄色い歯茎は黄疸のサイン。肝リピドーシス・胆管肝炎・溶血などを疑う。
  • 紫・青紫の歯茎(チアノーゼ)は最高緊急度。酸素不足・心臓疾患・呼吸不全を示す。
  • 赤く腫れた歯茎は口腔疾患・口腔腫瘍のサイン。慢性的な痛みを伴うことも。
  • 日頃から歯茎の色を確認する習慣が、早期発見の最大の武器になる。
  • シニア猫(7歳以上)は年2回以上の定期健診を。

猫の歯茎の色がいつもと違うと感じたら、「たぶん大丈夫」という判断を一度横に置いて、今日中に動物病院に連絡することを強くお勧めします。

あなたの「気づき」が、あなたの猫の命を救います。


本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個々の症例への診断・治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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