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猫の扁平上皮癌とは|口・鼻・耳にできるがんのサイン・原因・治療法を徹底解説

猫の扁平上皮癌とは


「最近、猫の口臭がひどくなった」 「鼻の頭の毛が抜けて、皮膚がただれてきた」 「耳の縁がただれて、かさぶたが繰り返す」

こうした変化を「年のせいかな」と見過ごしていると、のちに取り返しのつかない後悔につながることがあります。

猫の扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)は、猫に発生するがんのなかでも特に悪性度が高く、発見が遅れるほど治療の選択肢が狭まる病気です。

 

この記事では、猫の扁平上皮癌について「どこにできるのか」「どんなサインが出るのか」「どう対処すればいいのか」を、専門的な知識をもとにわかりやすく解説します。

この記事を読み終えたとき、あなたは愛猫の小さな変化に気づける目を持てるようになるはずです。


猫の扁平上皮癌とは何か

 

扁平上皮癌(Squamous Cell Carcinoma / SCC)とは、皮膚や粘膜の表面を覆う「扁平上皮細胞」ががん化した悪性腫瘍です。

猫においては、口腔内・鼻・耳・皮膚(特に毛が薄い部位)に発生しやすく、犬や人間とは発生部位の傾向が異なります。

猫のがん全体に占める割合は高く、口腔腫瘍の中では扁平上皮癌が最も多いとされています。アメリカの獣医腫瘍学会(VACO)のデータによれば、猫の口腔内腫瘍の約70〜80%が扁平上皮癌とされており、日本国内においても同様の傾向が報告されています。

 

猫の平均寿命が延びるにつれ、がんの発生率も高まっています。環境省の「令和4年度 動物愛護に関する世論調査」でも、猫の飼育数の増加と高齢化が確認されており、それに伴い腫瘍性疾患への関心が高まっています。


猫の扁平上皮癌ができやすい場所と特徴

 

猫の扁平上皮癌は、発生する部位によって症状や進行スピードが大きく異なります。

代表的な3つの発生部位を詳しく見ていきましょう。


口にできる扁平上皮癌(口腔内SCC)

猫の扁平上皮癌のなかで最も多く、かつ最も発見が難しいのが口腔内です。

舌の裏・歯肉・口蓋(こうがい)・扁桃腺などに発生し、初期は口内炎と見分けがつかないことがあります。

 

口腔内扁平上皮癌の主なサイン

  • 口臭がひどくなった
  • よだれが増えた
  • ごはんの食べ方がぎこちなくなった(片側でしか噛まないなど)
  • 口から出血している
  • 顎が腫れている
  • 体重が急激に減ってきた

 

特に注意したいのは、口腔内SCCは進行が非常に早いという点です。

初期症状が出てから数週間〜数ヶ月で急速に拡大し、骨への浸潤(しんじゅん)を起こすことも珍しくありません。

 

ある飼い主さんの事例では、「急に食欲がなくなったと思ったら、顎の骨まで腫瘍が広がっていた」ということも実際にあります。

「口臭は歯周病かも」と放置せず、1週間以上続く変化は必ず動物病院に相談してください。


鼻にできる扁平上皮癌(鼻部SCC)

鼻の先端や鼻翼(びよく)周辺に発生する扁平上皮癌は、色素の少ない白猫や淡色猫に多いとされています。

これは紫外線(UV)との関係が深く、屋外に出る機会が多い白猫ほど発症リスクが高まります。

人間の皮膚がんと同様に、長年にわたる紫外線ダメージが扁平上皮細胞のがん化を引き起こすと考えられています。

 

鼻部扁平上皮癌の主なサイン

  • 鼻の先端が赤くただれている
  • かさぶたが繰り返しできる
  • 毛が抜けて皮膚が露出している
  • 出血を伴うびらん(皮膚の浅いただれ)がある
  • 色素が抜けて白くなっている部分がある

 

初期は「日焼けかな」「傷かな」と見間違えやすいですが、「治りにくいかさぶた」は要注意のサインです。

鼻の扁平上皮癌は、皮膚型SCCの中では比較的発見されやすい部位でもあります。定期的に鼻の先をチェックする習慣をつけることが、早期発見につながります。


耳にできる扁平上皮癌(耳介SCC)

鼻と同様に、耳介(じかい)=耳の外側の皮膚にも扁平上皮癌が発生します。

こちらも紫外線との関連が強く、白猫・淡色猫に多い傾向があります。

耳の外縁部(ふち)に発生することが多く、耳の内側(外耳道や中耳)への侵攻が進むと治療が困難になります。

 

耳介扁平上皮癌の主なサイン

  • 耳のふちがただれている
  • かさぶたが繰り返す
  • 耳を頻繁にかいたり、頭を振ったりする
  • 耳から出血がある
  • 耳介が変形してきた

「耳をかくのはダニかな」と思いがちですが、ただれや出血を伴う場合は皮膚腫瘍の可能性を疑う必要があります。


猫の扁平上皮癌の原因とリスク因子

 

猫の扁平上皮癌の原因はひとつではなく、複数の要因が絡み合っています。

 

紫外線(UV)暴露

鼻・耳などの皮膚型SCCでは、紫外線が最も大きなリスク因子とされています。特に白猫は皮膚メラニンが少なく、UV防御能が低いため注意が必要です。

 

タバコの副流煙

室内で飼われる猫は、タバコの副流煙にさらされるリスクがあります。米国コロラド州立大学の研究では、副流煙に暴露された猫は口腔内SCCのリスクが高まるという報告があります。猫は毛づくろいの際に毛に付着した有害物質を経口摂取するため、人間より影響を受けやすいとされています。

 

ノミ駆除製品(一部)

一部の研究では、ノミ取り首輪などの農薬製品との関連も示唆されていますが、現時点で因果関係は確定されていません。

 

高齢

猫の扁平上皮癌は10歳以上の高齢猫に多くみられます。細胞の修復機能が低下することで、がん化リスクが高まります。

 

口腔衛生の低下

歯周病や慢性口内炎との関連も指摘されており、口腔内の慢性炎症ががんの温床になる可能性があります。


猫の扁平上皮癌の診断方法

 

「もしかしてがんかも」と思ったとき、動物病院ではどのような検査が行われるのでしょうか。

 

視診・触診

まず獣医師が目で見て触れて、腫瘤(しゅりゅう)の大きさ・硬さ・範囲を確認します。

 

細胞診(FNA)

針で腫瘤から細胞を採取し、顕微鏡で観察します。比較的侵襲が少なく、外来でも行えます。ただし、確定診断には組織検査が必要です。

 

病理組織検査(生検)

腫瘤の一部または全部を外科的に摘出し、病理専門医が診断します。これが確定診断の標準的な方法です。

 

画像検査(X線・CT・MRI)

骨への浸潤や転移の有無を確認するために行います。特に口腔内SCCでは、顎骨への浸潤がないかをCTで確認することが重要です。

 

血液検査・尿検査

全身状態の把握と、治療前の基礎データ取得のために行います。


猫の扁平上皮癌の治療法と選択肢

 

猫の扁平上皮癌の治療は、発生部位・進行度・猫の全身状態によって大きく異なります。


外科手術(切除)

最も根本的な治療法です。腫瘍とその周辺組織を外科的に取り除きます。

皮膚型(鼻・耳)では比較的手術がしやすいですが、口腔内SCCでは骨への浸潤があると切除範囲が大きくなり、顎骨の一部を切除する「下顎切除術」が必要になる場合もあります。

早期発見・早期手術であれば、良好な予後が期待できるケースもあります。


放射線療法

外科手術と組み合わせて、または単独で行われることがあります。

日本国内では、放射線治療を行える動物病院はまだ限られており、大学附属動物病院や一部の専門病院での対応となります。

東京大学附属動物医療センターや岐阜大学などでは、猫のがんに対する放射線療法の実績が報告されています。


化学療法(抗がん剤)

猫の口腔内SCCに対する化学療法の効果は、残念ながら現時点では限定的です。

補助療法として手術・放射線と組み合わせて使用されることがありますが、単独での治癒は難しいとされています。


光線力学療法(PDT)

光感受性薬剤と特定波長の光を使って腫瘍を破壊する治療法で、一部の施設で試みられています。侵襲が少ない点が特徴ですが、日本ではまだ普及段階です。


緩和療法・疼痛管理

進行した状態や手術が難しい場合は、猫のQOL(生活の質)を保つことを最優先にした緩和ケアが選択されます。

NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)やオピオイド系鎮痛薬を使った疼痛管理が中心となります。

「治す」だけが医療ではありません。痛みなく、おだやかに過ごせる時間を守ることも、動物福祉の大切な柱です。


猫の扁平上皮癌の予後(生存期間の目安)

 

猫の扁平上皮癌の予後は、部位と進行度によって大きく異なります。

 

発生部位 治療なしの中央生存期間 治療後の中央生存期間
口腔内(舌・歯肉) 約1〜2ヶ月 約2〜5ヶ月(手術困難な場合)
口腔内(早期・手術可能) 1年以上の報告もあり
鼻・耳(皮膚型) 手術後1年以上も可能

 

口腔内SCCは予後が悪いことで知られていますが、早期発見・早期治療によって生存期間が有意に延びることも報告されています。

だからこそ、日頃から愛猫の口の中を観察する習慣が重要になるのです。


日常でできる早期発見のポイント

 

猫の扁平上皮癌から愛猫を守るために、飼い主ができることがあります。

 

月1回の「ホームチェック」を習慣に

  • 口の中を軽く開いて、歯肉・舌・口蓋の色やただれを確認する
  • 鼻の先端のかさぶた・ただれ・色の変化を見る
  • 耳のふちのかさぶたや脱毛を確認する
  • 全身を撫でながら、しこりや硬いしこりがないかチェックする

 

定期的な動物病院での健診

7歳を超えたら年2回、10歳を超えたら年3〜4回の健診が理想的です。口腔内のチェックを健診に組み込んでもらえるよう、獣医師に伝えましょう。

 

白猫・淡色猫は紫外線対策を

日当たりの良い窓際に長時間いる場合は、UVカットフィルムの貼付を検討しましょう。また、日中の直射日光を避ける工夫も有効です。

 

副流煙を避ける

室内での喫煙は猫にとっても健康リスクです。猫のいる空間での喫煙は極力避けましょう。


動物病院を選ぶときのポイント

 

猫のがんを疑ったとき、どの動物病院に行けばいいか迷うことがあります。

まずはかかりつけの動物病院に相談し、必要であれば腫瘍専門医や大学附属動物病院への紹介を求めることをためらわないでください。

 

日本獣医がん学会(JVCS)では、腫瘍診療に関する情報提供や専門医の認定を行っています。学会のウェブサイトから専門医を探すこともできます。

セカンドオピニオンを求めることは、飼い主の権利であり、愛猫への責任でもあります。


まとめ|猫の扁平上皮癌は「早期発見」が命を守る

 

猫の扁平上皮癌は、口・鼻・耳など日常的に目にする部位にできるがんです。しかし、「口臭」「かさぶた」「ただれ」といった症状が他の病気と見分けにくいために、発見が遅れやすいという現実があります。

この記事でお伝えしたポイントを振り返ります。

  • 猫の口腔内腫瘍の約70〜80%が扁平上皮癌
  • 口・鼻・耳が主な発生部位
  • 白猫・淡色猫・高齢猫はリスクが高い
  • 早期発見・早期治療が予後を大きく左右する
  • 月1回のホームチェックと定期健診が鍵
  • 治療の選択肢は手術・放射線・緩和ケアなど複数ある

 

愛猫の「いつもと違う」に気づけるのは、毎日そばにいるあなただけです。


今日から、月に一度だけでもいい。愛猫の口・鼻・耳をやさしく確認してみてください。その5分が、愛猫の命を守る最初の一歩になります。


 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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