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犬の出産で子犬が出てこない|受診の目安になる時間と、家でやってはいけないこと

強くいきんでいるのに15〜30分たっても子犬が出てこないなら、その時点で動物病院に電話してください。1頭目が生まれる前に緑色・黒緑色のおりものが出た場合も、待つ場面ではありません。

この記事では、受診の目安になる時間をまとめます。ただし先に断っておきます。時間の基準は資料によって幅があり、単一の数字に確定できません。幅をそのまま示したうえで、短いほうに合わせて連絡するという使い方を勧めます。電話が早すぎて困ることはありません。

電話するだけなら、早すぎて困ることはありません。難産かどうかを電話で判断してもらうこと自体が目的です。「もう少し様子を見てから」と待つあいだに、子犬の状態は変わります。

陣痛促進剤(オキシトシン)やカルシウム剤を自己判断で使わないでください。産道が塞がっているときにオキシトシンを使うと、胎盤が早く剥がれます。塞がっているかどうかは、レントゲンと超音波でしか分かりません。

子犬を自分で引っ張り出そうとしないでください。産道への介助は、会陰部を洗い、滅菌手袋と滅菌の潤滑剤を使って「やさしく」行うことが前提の獣医師の手技です。出てこない原因が胎位の異常や胎子過大なら、引いても解決しません。

30秒で判断|どの速さで動くか

動き方当てはまるもの
今すぐ受診
電話しながら向かう
  • 強くいきんでいるのに子犬が出てこない(資料により15分・30分・1時間と幅があります。短いほうに合わせ、15〜30分で電話してください)
  • 1頭目が生まれる前に暗緑色・黒緑色・悪臭のあるおりものが出た(胎盤が剥がれているサインとされ、帝王切開の適応に挙げられています)
  • 分娩の前後に大量の膣出血がある
  • 強い陣痛が4時間続いても、または弱い陣痛が4時間続いても、1頭も生まれない
  • 明らかな子宮の収縮があるのに、子犬と子犬の間隔が30分を超えている
  • いきみの徴候がないまま、子犬と子犬の間隔が2時間を超えている(資料により2〜4時間)
  • 体温が下がってから24〜36時間たっても分娩が始まらない
  • 分娩全体が24時間を超えている
  • 母犬の全身状態が明らかに悪い(母体の全身疾患は帝王切開の適応に挙げられています)
早めに相談
その日のうちに電話する
  • 交配日から70日(資料により72日)を過ぎても、産まれる気配がない
  • 破水したのに進んでいないと感じる(破水後90分を目安に挙げている日本の施設があります。国際的な資料では確認できませんでした)
  • 短頭種や胴長短足の犬種を妊娠させており、分娩の相談をまだしていない(犬種によって難産の起こりやすさが大きく変わります)

これは受診の優先度を決めるための目安で、病名を判断するためのものではありません。どれにも当てはまらなくても、いつもと違うと感じたら電話して構いません。迷っている時間そのものが、動物にとっては待ち時間になります。

「経過観察してよい条件」の行はありません。分娩中の犬について、家庭で待ってよい条件を示した一次資料は確認できませんでした。時間の基準そのものにも幅があるため、この表では短いほうに合わせています。

まず確認すること

電話の前に、次の項目を手元にそろえてください。とくに時刻の記録が判断を左右します。分からない項目は「分からない」とそのまま伝えてください。

  1. いきみ(努責)が始まった時刻と、それが強いのか弱いのか、続いているのか止まっているのか
  2. 破水した時刻
  3. すでに生まれた子犬の数と、それぞれの娩出時刻、生きているかどうか
  4. 出てきた胎盤の数
  5. おりものの色(透明・血のような色・緑色)と、いつから出ているか。可能なら写真
  6. 体温が下がった時刻と、その後の推移(測れる状況なら)
  7. 交配日(複数回なら全部)と、妊娠中のレントゲン・超音波で確認した胎子の数
  8. 母犬の情報(犬種・年齢・体重、初産かどうか、前回の出産の経過、持病と薬)

「いきんでいるか」で基準が変わる

子犬と子犬の間隔をどう見るかは、母犬がいきんでいるかどうかで変わります。明らかな子宮の収縮があるのに30分以上あくのは異常で、収縮の徴候がないまま2時間以上あくのも異常とされています。

つまり「何分あいたか」だけでなく、「その間、いきんでいたのか、いきみが止まっていたのか」をメモしておいてください。電話で最初に聞かれる情報です。

妊娠日数は、自宅で計算して安心しないでください

妊娠期間の基準は、起点をどこに置くかで日数が変わります。交配日を起点にする資料は「70日を超えると延長」とし、別の資料は「交配から72日超」または排卵日を基準にして「排卵後62〜64日で分娩」としています。

交配日ベースと排卵日ベースで基準が違う以上、自宅で日数を数えて「まだ大丈夫」と判断する使い方は勧められません。交配日は必ず病院に伝えてください。分からない場合は「分からない」と伝えることが、そのまま判断材料になります。

すぐ電話すべき時間の目安|資料によって幅があります

下の表は、獣医学の資料が挙げている目安を並べたものです。数字が一致していない項目があることを、隠さずそのまま示します。迷ったときは、表の中で短いほうに合わせて電話してください。

状況目安資料の状況
強くいきんでいるのに子犬が出てこない15〜30分獣医学のリファレンスは「強い子宮の収縮が30分を超えても娩出しない」を帝王切開の適応に挙げる。日本の救急対応病院は15〜30分を目安にする。臨床誌は「1時間以上続けていきんでも娩出なし」とする。短いほうに合わせる
弱いいきみが続くが、1頭も生まれない2〜4時間リファレンスは「弱い陣痛が4時間続いても娩出なし」を難産の指標に。日本の病院は2〜4時間を目安に挙げる
強い陣痛が続くが、1頭も生まれない4時間リファレンスが難産の指標として明記
子犬と子犬の間隔(いきみあり)30分明らかな子宮の収縮があるのに30分を超えるのは異常とされる。正常な間隔は30〜60分
子犬と子犬の間隔(いきみなし)2時間収縮の徴候がないまま2時間超は異常。日本の病院は2〜4時間、臨床誌は3時間とする
子犬の体の一部が出かかったまま進まない10〜15分日本の救急対応病院のチェックリストに記載
破水したのに子犬が出てこない90分日本の1施設が目安として挙げている数字。国際的な資料では破水からの時間基準を確認できなかった。「90分までは安全」という意味ではない
体温が下がってから分娩が始まらない24〜36時間リファレンスが明記(犬に限った基準)
分娩全体の所要時間24時間を超えるリファレンスが異常として明記。正常な分娩は7〜9時間で終わるのが理想とされる
交配日からの妊娠日数70日超交配日が分かっている場合。別の資料は72日超。起点が違うので自宅で計算しない

この幅は、資料の質の差ではありません。「いきんでいるかどうか」「起点をどこに置くか」で基準が変わるという構造から来ています。読者が家庭でその条件分けを詰めていくのは現実的ではないので、短いほうで電話するという使い方が安全です。

電話の結果、すぐの受診ではなく別の指示を受けることもあります。その判断を獣医師から受け取ること自体が、電話の目的です。

緑色のおりもの・大量出血が意味すること

1頭目が生まれる前に出た暗緑色・黒緑色のおりものは、「もうすぐ産まれるサイン」ではありません。獣医学のリファレンスは、分娩前の暗緑色または悪臭のあるおりものは胎盤の剥離を示しうるとし、黒緑色のおりものを帝王切開の適応に挙げています。

胎盤が剥がれているということは、その子犬への酸素の供給がすでに絶たれている可能性がある、ということです。様子を見る場面ではありません。すぐ電話してください。

分娩の前後の大量の膣出血も、同じく帝王切開の適応に挙げられています。量が多いと感じた時点で連絡してください。

なぜ難産になるのか

原因は母体側と胎子側に分かれます。臨床誌では母体側が約75%、胎子側が約25%とされています。

母体側|最も多いのは子宮無力症

犬の難産で最も多い原因は子宮無力症、つまり子宮が十分に収縮しない状態です。これは原発性と続発性に分かれます。

原発性は、子宮が陣痛開始のシグナルに反応しない状態です。多胎や胎水過多・胎子過大による子宮の過伸展、遺伝的な素因、栄養の偏り、子宮筋の脂肪浸潤、加齢による変化、母体の全身疾患などが背景に挙げられています。続発性は、産道が塞がっていることで子宮の筋肉が疲れきってしまう状態で、必ず閉塞が先にあります。

そのほか母体側の要因として、神経質な初産の犬の心理的なストレスによる分娩の抑制、子宮の捻転や破裂、子宮の先天的な奇形、骨盤が狭い体型(過去の骨盤骨折を含む)、膣や外陰の軟部組織の異常、膣のまわりの過剰な脂肪、横隔膜の破裂、痛みが挙げられています。

胎子側|姿勢の異常と、発育の異常

正常な娩出の姿勢は、前向きまたは後ろ向きの縦位で、背が母体の仙骨側を向き、前肢または後肢が伸びた状態です。よくある異常として、後ろ向きで後肢が前方に折れている姿勢、頭が横または下に曲がっている、前肢が後ろに折れている、横向きになっているといったものが挙げられています。

発育の異常としては、胎子と母体の大きさの不釣り合い、水頭症、全身の浮腫、奇形、四肢の欠損などがあります。

これらは家庭で見分けられるものではありません。姿勢の異常が原因の場合、いきみを強めても解決せず、引っ張っても解決しません。だからこそ、時間で区切って電話するという方法をとります。

犬種によって、難産の起こりやすさが大きく変わる

獣医学のリファレンスは、難産の発生率を雌犬・雌猫で妊娠の約5%としたうえで、一部の犬種、とくに胴長短足型(軟骨異形成型)と短頭種では、ほぼすべての出産が難産になりうるとしています。リスクの高い犬種としてブルドッグ、パグ、ボストンテリア、チワワが挙げられています。

英国の調査を紹介します。英国ケネルクラブらの純血種健康調査のデータ(151犬種、13,141頭の雌犬、22,005腹)から犬種別の帝王切開率を算出した研究では、帝王切開率の高い上位10犬種はボストン・テリア、ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ、マスティフ、スコティッシュ・テリア、ミニチュア・ブル・テリア、ジャーマン・ワイアーヘアード・ポインター、クランバー・スパニエル、ペキニーズ、ダンディ・ディンモント・テリアでした。このうちボストン・テリア、ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグでは80%を超えていました。

これは英国のデータであり、日本の数字ではありません。ただし対象になっている犬種は、日本でも人気の犬種と重なります。短頭種で帝王切開が多いのは、胎子の頭の大きさと母犬の骨盤の広さが釣り合わないためとされています。

日本の動物病院も、難産になりやすい犬種としてフレンチ・ブルドッグ、ブルドッグ、パグ、ボストン・テリア、狆、ポメラニアン、シー・ズー、チワワ、ペキニーズ、スコティッシュ・テリア、ボクサーを挙げています。該当する犬種であれば、妊娠が分かった時点で、計画的な帝王切開も含めて獣医師と相談しておいてください。

なお、犬と猫の難産の起こりやすさを直接比べた資料は確認できませんでした。この記事では「犬は猫より難産が多い」とは書きません。犬について言えるのは、犬種による差が極端に大きいということです。

今、自宅でできること

ここに書くのは介助の手順ではありません。記録すること、環境を整えること、電話することの3つに限ります。引っ張り方・臍帯の切り方・羊膜の破り方は、この記事には書きません。

  1. 動物病院に電話する。「出産中で子犬が出てこない」ことを最初に伝える
  2. 時刻を記録する(体温が下がった時刻、そわそわし始めた時刻、いきみ始めた時刻、破水した時刻、各子犬が生まれた時刻)
  3. いきみが「強いのか弱いのか」「続いているのか止まっているのか」をメモする(受診の基準がここで変わります)
  4. 生まれた子犬の数と、出てきた胎盤の数を数えて記録する
  5. おりものの色を確認し、可能なら写真に残す(緑色なら電話の最初に伝える)
  6. 測れる状況なら母犬の体温を記録する(嫌がるときは押さえつけない)
  7. 静かで暖かく、明るすぎない場所を確保する。人の出入りと他の動物を減らす
  8. 生まれた子犬を冷やさないよう、乾いたタオルで包んで保温する(母犬から離しすぎない)
  9. 移動の準備をする(母犬のクレート、子犬を入れる保温できる箱、タオル、ペットシーツ)
  10. 妊娠の情報を紙にまとめる(交配日、レントゲンで確認した胎子の数、前回の出産歴、犬種、体重、持病と薬)

やってはいけないこと

以下は母犬と子犬を危険にさらすか、受診を遅らせる行為です。ひとつも行わないでください。理由も一緒に書きます。

  • 子犬を自分で引っ張り出そうとする。産道への介助は、会陰部を洗い、滅菌手袋と滅菌の潤滑剤を使って「やさしく牽引し、乱暴な操作は避ける」ことが前提の獣医師の手技です。素手で引けば母犬の産道を傷つけ、子犬の首や四肢を損傷しかねません
  • 産道に指や器具を入れて、子犬の向きを変えようとする
  • 陣痛促進剤(オキシトシン)を自己判断で使う。産道が塞がっている難産では禁忌とされています。胎盤が早く剥がれるためです。塞がっているかどうかはレントゲンと超音波でしか分かりません
  • カルシウム剤・カルシウムのサプリメントを自己判断で与える。病院で使うのは、心拍と心リズムを監視しながら静脈にゆっくり入れる薬です。皮下や筋肉への投与は組織が壊死する可能性があるため禁じられています。飲むサプリはその代わりになりません
  • 人の薬、ネットや個人輸入で入手した薬を与える
  • 母犬のお腹を押す、揉む、圧迫する
  • 「あと少し様子をうかがおう」と朝まで置いておく
  • 熱いお湯や熱風のドライヤーで子犬を温める(低温やけどと急激な温度変化の危険があります)
  • 生まれた子犬の口や鼻の水分を取ろうとして、強く振り回す(頭部への衝撃になります)
  • 臍帯を素手で無理に引きちぎる
  • 「前回は自然に産めたから今回も同じ」と、時間の基準に当てはめずに判断する

この記事にオキシトシンとカルシウム剤の用量は書きません。どちらも「原因が子宮無力症と特定されたとき」に、画像検査で閉塞がないことを確かめたうえで使う薬です。診断のないまま使えば、母犬と子犬の両方を危険にさらします。

すでに家庭で何かをしてしまった場合は、その内容を隠さず伝えてください。引っ張った、薬を与えたといった情報で、病院での処置の方針が変わります。

動物病院へ伝える情報

  • 犬種・年齢・体重、初産かどうか、前回の出産の経過(帝王切開だったかどうか)
  • 交配日(複数回なら全部)。分からなければ「分からない」と伝える
  • 妊娠中のレントゲン・超音波で確認した胎子の数
  • 体温が下がった時刻と、その後の推移
  • いきみが始まった時刻、強さ、続いている時間、止まっている時間
  • 破水した時刻
  • すでに生まれた子犬の数と、それぞれの娩出時刻、生死
  • 出てきた胎盤の数
  • おりものの色と、いつから出ているか(緑色なら最初に伝える)
  • 出血の量
  • 母犬の現在の様子(ぐったりしている、震えている、痛がる、呼吸の状態)
  • 妊娠中に与えていたサプリメント・薬(カルシウム剤を含む)
  • すでに家庭で何かをした場合は、その内容(引っ張った、薬を与えた など)

動物病院ではどんなことをするのか

問診(交配日、いきみの経過、破水、生まれた頭数)と身体検査から始まり、膣の触診で産道の閉塞や胎子の位置を確認します。触診は無菌的な手技で行われます。

レントゲンで残っている胎子の数と大きさ・位置を、超音波で胎子の心拍を確認します。胎子の心拍は緊急度の判断に直結します。臨床誌によれば、犬の正常な胎子の心拍数は220 bpmを超える値で、180 bpm未満または過剰な胎動は胎子のストレスを示し、160 bpm未満は直ちに手術が必要なサインとされています。

画像で閉塞がなく、子宮無力症と判断されれば、薬による内科的な管理が行われます。閉塞や胎位の異常がある場合、あるいは薬に反応しない場合は帝王切開になります。臨床誌は、難産の症例の60%以上が外科的な介入を要するとしています。

帝王切開の適応として挙げられているのは、母体の全身疾患、対処されていない難産、分娩前の黒緑色のおりもの、分娩前後の大量の膣出血、強い子宮の収縮が30分を超えても娩出しないこと、内科治療に反応しない子宮無力症、産道の異常、相対的な胎子過大、直せない胎位の異常、腐敗を伴う胎子の死亡です。

なお、一度帝王切開をしたからといって、その後の出産で毎回帝王切開になるとは限りません。ただし前回の出産の経過は重要な情報なので、事前に伝えてください。

出産の前に準備しておきたいこと

分娩は夜間や早朝に始まることが多いテーマです。妊娠が分かった時点で、夜間・休日に対応している動物病院を調べ、電話番号を控えておいてください。その一手間が、当日の判断を早くします。

妊娠後期にレントゲンで胎子の数を数えてもらうことも役に立ちます。何頭残っているかが分かっていると、分娩が途中で止まったときの判断が早くなります。

交配日、犬種、体重、前回の出産歴をメモにまとめておいてください。短頭種や小型犬では、計画的な帝王切開についても事前に相談しておくことを勧めます。

早く産まれることは有利ではありません。獣医学のリファレンスは、子犬は早産では生存できないとし、肺で必要になる界面活性物質の産生は妊娠の後期、57〜60日に起こると述べています。「小さいうちに早く産んだほうが楽」という考え方は成り立ちません。

最後に一つ。出産後に母犬がふらつく・震える・けいれんするといった変化が出た場合は、分娩とは別の緊急の病態が起きている可能性があります。産後の異常は、この記事の範囲ではありません。その場合も動物病院に連絡してください。

夜間・休日でかかりつけの動物病院が閉まっている場合

夜間や休診日にかかりつけの病院が閉まっているときは、近くの夜間・救急動物病院を確認してください。向かう前に必ず電話をしてください。夜間は予約制のところや、受け入れられる状態かどうかがその時々で変わるところがあります。

電話では、「何が起きたか」「いつからか」「犬の年齢と体重」「今の様子」を伝えてください。その場でできることを教えてもらえたり、より適した病院を案内してもらえることがあります。

分娩は夜間・早朝に始まることが多いため、妊娠が分かった時点で夜間対応の病院の番号を控えておいてください。電話では最初に「出産中で子犬が出てこない」「いきみが強いのか弱いのか」「何分続いているか」「破水したか」「何頭生まれたか」を伝えると、受け入れの可否と準備の判断が早くなります。

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よくある質問

いきんでいるのに子犬が出てきません。あと何分待っていいですか?

待つ時間を延ばす方向で考えないでください。強くいきみ始めて15〜30分たっても出てこないなら、その時点で電話してください。

獣医学のリファレンスは「強い子宮の収縮が30分を超えても娩出しない」を帝王切開の適応に挙げ、日本の救急対応病院は15〜30分を目安にし、臨床誌は「1時間以上続けていきんでも娩出なし」としています。資料によって幅があるので、短いほうに合わせるのが安全です。

1頭生まれた後、次が生まれません。どのくらい空いても大丈夫ですか?

「いきんでいるのに出てこない」のか「いきみ自体が止まっている」のかで基準が変わります。明らかな子宮の収縮があるのに30分以上あくのは異常、収縮の徴候がないまま2時間(資料により2〜4時間)以上あくのも異常とされています。

正常な間隔は30〜60分とされ、分娩全体は7〜9時間で終わるのが理想とされています。24時間を超えるのは異常です。

緑色のおりものが出ました。もうすぐ産まれるということですか?

1頭目が生まれる前の暗緑色・黒緑色のおりものは、胎盤が剥がれているサインとされています。獣医学のリファレンスでは帝王切開の適応に挙げられています。

その子犬への酸素の供給がすでに絶たれている可能性があります。様子を見る場面ではありません。すぐ電話してください。

破水してから何時間まで待てますか?

日本の救急対応病院は「破水後90分以上たっても出てこない」を難産のサインに挙げています。ただしこれは1施設の飼い主向けの目安で、国際的な資料では破水からの時間基準を確認できませんでした。

「90分までは安全」という意味ではありません。破水したのに進んでいないと感じた時点で電話するのが安全です。

予定日を過ぎても産まれません。いつまで待てますか?

交配日が分かっている場合、妊娠70日超は延長とされます(資料により72日)。ただし交配日を起点にする基準と、排卵日を起点にする基準では日数が違います。

そのため、自宅で日数を計算して安心する使い方は勧められません。予定日を過ぎたら、陣痛が来ていなくても病院に相談してください。母犬の様子に変化があればなおさらです。

なぜ難産になるのですか?

母体側と胎子側に分かれ、犬で最も多いのは子宮無力症、つまり子宮が十分に収縮しない状態です。母体側にはほかに、骨盤が狭い体型、過去の骨盤骨折、子宮の捻転や破裂、膣まわりの過剰な脂肪、痛み、神経質な初産の犬の心理的ストレスなどがあります。

胎子側は姿勢の異常(後ろ向きで後肢が前に折れている、頭が横を向いている、前肢が後ろに折れている、横向き)と、胎子過大・水頭症・全身の浮腫などです。臨床誌では母体側が約75%とされています。

短頭種は本当に難産が多いのですか?

英国の調査では、純血種22,005腹のデータから算出した帝王切開率が、ボストン・テリア、ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグで80%を超えていました。獣医学のリファレンスも、短頭種や胴長短足型の犬種では、ほぼすべての出産が難産になりうるとしています。

これは英国の数字であり、日本の統計ではありません。ただし対象の犬種は日本でも人気の犬種と重なります。繁殖させる前に、計画的な帝王切開も含めて獣医師と相談しておいてください。

陣痛促進剤やカルシウム剤を家で使ってもいいですか?

使わないでください。オキシトシンは産道が塞がっている難産では禁忌とされ、胎盤が早く剥がれる原因になります。塞がっているかどうかはレントゲンと超音波でしか判断できません。

カルシウムは、病院では心拍と心リズムを監視しながら静脈にゆっくり入れる薬です。皮下や筋肉への投与は組織が壊死する可能性があるため禁じられています。どちらも「子宮無力症と診断されたとき」の処置で、診断のないまま使えば母犬と子犬を危険にさらします。

出産に備えて、事前にやっておくことは?

夜間・休日に対応している動物病院を先に調べ、電話番号を控えておいてください。分娩は夜間に始まることが多いためです。

妊娠後期にレントゲンで胎子の数を数えてもらうと、分娩が途中で止まったときの判断が早くなります。交配日・犬種・体重・前回の出産歴をメモにまとめておくことも役に立ちます。

まとめ

  • 強くいきんでいるのに15〜30分たっても子犬が出てこないなら、その時点で電話する。電話が早すぎて困ることはない
  • 時間の基準は資料によって幅がある(強いいきみ=15分・30分・1時間、子犬の間隔=いきみありで30分・なしで2時間ほか)。迷ったら短いほうに合わせる
  • 1頭目の前に出た暗緑色・黒緑色のおりものは、胎盤が剥がれているサイン。大量の膣出血とともに帝王切開の適応に挙げられている
  • 子犬を引っ張らない。介助は滅菌手袋と潤滑剤を使う獣医師の手技で、姿勢の異常が原因なら引いても解決しない
  • オキシトシンとカルシウム剤を自己判断で使わない。閉塞があるときのオキシトシンは胎盤の剥離を招き、カルシウムは心拍を監視しながら静脈に入れる薬
  • 犬種による差が極端に大きい。英国の調査ではボストン・テリア、ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグの帝王切開率が80%を超えていた
  • 妊娠が分かった時点で夜間対応の病院の番号を控え、後期にレントゲンで胎子の数を数えてもらう

参考資料

この記事は次の資料を参照して作成しました(2026年9月9日確認)。記載内容は一般的な情報であり、個々の症例の診断・治療に代わるものではありません。判断に迷うときは、自己判断せず動物病院に相談してください。

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