犬がひも・靴下・ロープトイを飲み込んだ|引っ張ってはいけない理由と、受診までにやること
口やお尻からひもが出ていても、引っ張らないでください。反対側の端は、犬では胃の出口(幽門洞)に引っかかって固定されていることが多いとされます。その状態で引くと、張り詰めたひもが腸の壁を内側から裂きます。
ロープトイ・靴下・タオル・絨毯のほつれた紐のような細長いものは線状異物と呼ばれ、丸い誤飲物とは危険の種類がまったく違います。飲み込んだ疑いがある時点で、症状がなくても動物病院へ電話してください。「線状異物は猫の病気」という思い込みは、犬の飼い主にとって危険です。
引っ張らない。自己判断で切らない。口の奥に手を入れない。この3つは、続きを読む前に守ってください。外に出ている部分は、触らずに写真だけ撮ってください。
すでに引っ張ってしまった場合も、そのことを病院に伝えてください。叱られる心配より、正確に伝わることのほうが治療の組み立てに効きます。
犬では、口を開けてもひもが見えないことが多くあります。「口の中に何もない」は安全の根拠になりません。固定されている場所が、外から見えないところにあるためです。
30秒で判断|どの速さで動くか
| 動き方 | 当てはまるもの |
|---|---|
| 今すぐ受診 電話しながら向かう |
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| 早めに相談 その日のうちに電話する |
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これは受診の優先度を決めるための目安で、病名を判断するためのものではありません。どれにも当てはまらなくても、いつもと違うと感じたら電話して構いません。迷っている時間そのものが、動物にとっては待ち時間になります。
「経過観察してよい条件」の行はありません。犬の線状異物について、家庭で待ってよい条件を示した一次資料は確認できませんでした。ひもの片端が固定されていれば、待っても排出されません。
まず確認すること
電話の前に、次の6つを確認してください。分からない項目は「分からない」とそのまま伝えてください。
- 口またはお尻からひもが出ていないか(出ていれば触らず、長さ・太さ・素材が分かるように写真を撮る)
- 何を飲み込んだか(ロープトイ・靴下・タオル・絨毯やラグの紐・釣り糸・リード・デンタルフロス・ヘアゴム・輪ゴム・リボンなど)
- 元の長さと、いま残っている長さ(どれだけ体内にあるかの推定材料になります)
- いつか(分からなければ「最後に普段どおりだった時刻」と「気づいた時刻」)
- 今の様子(嘔吐の回数、食欲、元気、最後の食事と最後の排便)
- 犬の体重と年齢・犬種、持病、飲んでいる薬
犬では、口の中を見ても分からないことが多い
獣医外科の資料は、線状異物が固定されやすい場所として舌の付け根(猫に多い)と幽門洞、つまり胃の出口(犬に多い)を挙げています。犬でひもが引っかかるのは、口を開けても見えない場所だということです。
犬499頭を比べた研究でも、線状異物の犬は「異物が胃に固定されて小腸へ続いている」形が有意に多いと報告されています。
ただし、犬でも舌の下にひもが回り込むことはあります。「見えない=ない」も「見えた=そこだけ」も成り立ちません。嫌がる犬の口の奥に手を入れるのは噛まれる危険もあるので、確認は動物病院で行ってください。なお、犬について固定部位の内訳を割合で示した資料は確認できませんでした。この記事では「幽門洞が多いとされる」までにとどめます。
同じ製品の残りがあれば、袋に入れて持って行ってください。素材と太さが処置方針の判断材料になります。
釣り糸を飲み込んだ場合は、針やルアーが付いていた可能性があるかどうかを必ず伝えてください。裁縫糸なら縫い針の有無も同じです。
すぐ動物病院へ相談すべきサイン
次のどれか一つでも当てはまれば、動物病院へ電話してください。とくに最初の3つは、症状がなくても受診の理由になります。
- 口またはお尻からひも・糸が出ている(最優先。引っ張らずに電話してください)
- ロープトイ・靴下・タオル・絨毯やラグの紐・釣り糸・リード・デンタルフロス・ヘアゴム・輪ゴム・リボンが無くなっている、または途中でちぎれて先端が見当たらない
- 飲み込む場面を見た
- 繰り返し吐く。とくに食べていないのに吐く、吐こうとして何も出ない
- 食欲がない、水も飲まない、フードの前で固まる
- 元気がない、ぐったりして動きたがらない
- お腹を触られるのを嫌がる、抱き上げると鳴く、背中を丸めた姿勢でじっとしている
- 便が出ていない、細い便しか出ない、下痢、便に血が混じる
- よだれが多い、口を気にする、前足で口をこする
- お腹が張っている、皮膚をつまんで戻りが遅い(脱水)
- 発熱または体温の低下、呼吸が速く浅い、歯ぐきが白い、反応が鈍い(穿孔や腹膜炎を疑う状態です。きわめて緊急)
これらが夜間や休診日に起きた場合も、翌朝まで置かずに夜間・救急動物病院へ連絡してください。
犬の線状異物は、胃の出口で引っかかって腸を切り進む
丸い誤飲物は「詰まった1か所」の問題です。線状異物は違います。長い範囲の腸が同時に傷つきます。順を追うと、次のように進みます。
- ひもの片端が、犬では多くの場合胃の出口(幽門洞)に引っかかって固定される
- 反対側の端は、腸の蠕動運動によって先へ先へと送られ続ける
- 腸のループが異物のまわりにアコーディオンのようにたたまれて集まる(この状態をプリケーションと呼びます)
- 蠕動が強まるにつれてひもが張り詰め、腸の腸間膜のある側に食い込む
- 張ったひもが腸間膜側の腸壁を鋸で切るように切り進み、血流の障害を経て穴が開く
- 腸の内容物が腹腔へもれ、腹膜炎になる
手術でも、ひもは引き抜かない
国内の症例を一つ挙げます。7歳のチワワが絨毯の紐を誤食し、ひもは胃から肛門まで続いていました。担当した病院は「無理に引っ張ると腸が破けてしまいます」として、胃・十二指腸・空腸・回腸の合計4か所を切開し、ひもを分割して摘出しています。術後の経過は良好で、5日目に退院しました。
全身麻酔をかけ、開腹して視野を確保した状態ですら、この手順を踏むということです。家庭で引っ張ってはいけない理由が、ここに端的に表れています。
「線状異物は猫の病気」ではない
獣医学のリファレンスは、犬は猫より異物を飲み込んで消化管の閉塞を起こしやすい一方で、線状異物による腸閉塞は猫のほうが起こしやすいとしています。この2つが同時に成り立つため、「線状異物=猫のもの」という印象が生まれやすいのですが、犬でも珍しくありません。
背景も違います。同じ資料は、猫は遊んでいるうちに紐やフロスを飲み込むのが典型である一方、一部の犬は見境なく食べるためにこうした物を飲み込むとしています。犬の場合は「遊びの延長」より、布やロープそのものを噛みちぎって飲み込む形が問題になります。若い大型犬は、高齢の犬より異物による閉塞を起こしやすいとも書かれています。
獣医学の資料が犬の線状異物として挙げているのは、ロープ、ナイロンストッキング、糸、カーペット(絨毯)です。日本の症例では絨毯の紐でした。実際にはこのほか、靴下・タオル・ロープトイ・リード・釣り糸・デンタルフロス・ヘアゴム・輪ゴム・リボンなども対象になります。布や幅のある素材でも、胃にとどまれば線状異物と同じ振る舞いをすることがあります。
なお、犬でどの素材が最も多いかを示した資料は確認できなかったため、この記事では順位づけをしていません。
犬499頭を線状異物176頭と非線状異物323頭に分けて比べた研究では、線状異物の犬のほうが腸の壊死・穿孔・腹膜炎を起こしやすく、腸を切除してつなぎ直す処置を必要とすることが多いと報告されています。臨床症状も、嘔吐・食欲の廃絶・元気の消失・腹部を触ったときの痛みが多く見られました。
この機序があるため、外に出ているひもを引くことは「腸を内側から切る操作」になり得ます。獣医学のリファレンスも「組織に埋まっている場合、牽引は穿孔を招くため、決して引っ張って取り出してはならない」と明記しています。
「部分閉塞なら点滴と絶食で自然排出を待つ」は、線状異物には当てはまらない
犬の腸閉塞を扱った一般的な解説には、「部分的な閉塞であれば、点滴や絶食で自然に出てくるのを待つことがある」と書かれていることがあります。この記事の当サイト内にも、そうした説明を含む腸閉塞の記事があります。
その説明を、線状異物にそのまま当てはめないでください。それは、丸い異物のように「押し出せば通過しうる」ものを念頭に置いた記述です。線状異物では、片端が固定されている以上、出ていく経路がありません。待っているあいだに腸がたぐり寄せられ、ひもが腸壁を切り進みます。
「うんちと一緒に出てくるのを待つ」という考え方も、同じ理由で成り立ちません。危険なのは大きさではなく、細長いことと、片端が固定されることです。輪ゴム1本、糸1本でも同じことが起こります。
線状異物が疑われる場合に「待つ」という選択肢が取られることがあるとしても、それは画像検査で固定部位と腸の状態を確かめたうえで、入院して監視できる環境で行う判断です。家庭で待つ根拠にはなりません。
今、自宅でできること
ここに書くのは治療ではありません。病院に着くまで悪化させないことと、診察に必要な情報をそろえることが目的です。
- 動物病院へ電話する。「ひも状のものを飲み込んだ可能性がある」ことと、外に出ているひもがあるかどうかを最初に伝える
- 外に出ているひもがある場合は、触らずに写真を撮る(長さ・太さ・素材が分かるように)
- 残っているひも・おもちゃ・同じ製品を確保し、元の長さと残りの長さを確認する
- 飲み込んだ時刻、または無くなったことに気づいた時刻と、最後に普段どおりだった時刻を記録する
- その後の嘔吐の回数・時刻を記録し、吐いた物の写真を撮る
- 最後の食事の時刻と、最後の排便の時刻・便の状態を記録する
- 犬を静かな場所に移し、他のひも・おもちゃ・布類を片づける。走り回らせない
- 多頭飼いなら、同じひもに触れていた可能性のある他の犬の様子も記録する
- キャリーやクレートを準備し、移動中に犬が暴れないよう安全を確保する
- 夜間・休日なら、かかりつけにつながらない前提で夜間・救急動物病院の番号を調べて電話する
やってはいけないこと
以下は犬を危険にさらすか、受診を遅らせる行為です。ひとつも行わないでください。
- 口やお尻から出ているひもを引っ張る。最も危険な行為です。反対側が固定されていれば腸が裂けます
- ひもを少しずつ引き出してみる、指や道具で引っ掛けて回収しようとする
- 自己判断でハサミで切る。切ってよいかどうかは電話で獣医師に確認してください
- 口の奥や喉に指を入れる、舌を無理に持ち上げてひもを探す(見えないうえ、噛まれる危険があります)
- 家庭でオキシドール(過酸化水素水)や食塩水を飲ませて吐かせようとする。胃の粘膜を傷つけるうえ、すでに胃を越えていれば効果もありません
- 下剤・浣腸・オリーブオイルなどのオイル・牛乳を与えて、排出を促そうとする
- 「出てくるまで待つ」「元気だから明日にする」と受診を先送りする
- フードやおやつを与えて様子をうかがう(手術になれば絶食が必要になり、嘔吐による誤嚥の危険もあります)
- 人の胃薬・吐き気止め・下剤・鎮痛薬を与える
- お腹を押したり揉んだりして、異物を動かそうとする
- レントゲンで写らなかったことを理由に、そこで診断を打ち切る(超音波・造影・再検査を相談してください)
家庭で吐かせることについて補足します。線状異物で催吐が明確な禁忌だと名指しした資料は、今回確認できませんでした。そのうえで、家庭では行わないでください。ひもがどこで固定されているかは画像検査でしか分からず、吐かせてよいかどうかの判断そのものが、その情報の上に成り立つためです。
動物病院へ伝える情報
- 飲み込んだと思われる物(素材・太さ・長さ・製品名)。同じ物の残りを持参する
- 元の長さと、いま残っている長さ
- 飲み込んだ時刻、または最後に普段どおりだった時刻と、異変に気づいた時刻
- 口やお尻からひもが出ているか。出ている場合は写真と、いつから出ているか
- すでに引っ張ったり切ったりしたかどうか(隠さず伝えてください。処置の方針が変わります)
- 釣り糸なら針やルアーが、裁縫糸なら縫い針が付いていた可能性
- 嘔吐の回数・時刻・吐いた物の写真
- 最後の食事と、最後の排便の時刻・便の状態
- 犬の体重、年齢、犬種、持病と現在飲んでいる薬
- 元気・食欲・痛がるそぶり・姿勢の変化と、それが始まった時刻
- 他に同じ物をかじっていた犬がいるか
病院での検査と治療|レントゲンに写らないことがある
ひも・糸・布は、X線写真に写らないことが多い異物です。手がかりになるのは異物そのものの像ではなく、腸がアコーディオン状にたたまれた所見などの間接的なサインです。しかもこれらの所見は消化管異物に特有のものではなく、腸の狭窄・癒着・腸重積・腫瘍でも起こりうるとされています。
つまり「レントゲンに何も写らなかった=異物はない」とは言えません。症状が続くときは、超音波検査や再検査、場合によっては試験開腹について改めて相談してください。
治療は多くの場合、全身麻酔下で行われます。口の中(舌の裏を含む)の確認、X線、超音波検査で固定部位と腸の状態を評価したうえで、内視鏡または開腹で回収します。前述のとおりひもは引き抜かず、必要に応じて胃と腸を複数箇所切開して分割して取り出します。穿孔や腸の壊死があれば、腸を切除してつなぎ直し、腹腔を洗浄することになります。
見通しについては、数字の読み方に注意が必要です。犬499頭の研究では、線状異物・非線状異物のいずれの群でも96%の犬が退院まで生存しました。ただしこれは動物病院で診断され、治療を受けた犬の数字であり、受診せずに待った犬の経過を示すものではありません。同じ研究で、線状異物の犬は入院期間が長く(3日と2日)、費用も10%高くなっています。腸の障害がそれだけ重いということです。
夜間・休日でかかりつけの動物病院が閉まっている場合
夜間や休診日にかかりつけの病院が閉まっているときは、近くの夜間・救急動物病院を確認してください。向かう前に必ず電話をしてください。夜間は予約制のところや、受け入れられる状態かどうかがその時々で変わるところがあります。
電話では、「何が起きたか」「いつからか」「犬の年齢と体重」「今の様子」を伝えてください。その場でできることを教えてもらえたり、より適した病院を案内してもらえることがあります。
- 全国の夜間・救急動物病院まとめ(都道府県・市区別)
- 東京23区 都心3区(千代田・中央・港)の夜間・救急動物病院
- 横浜市の夜間・救急動物病院
- 大阪市の夜間・救急動物病院
- 名古屋市の夜間・救急動物病院
- 札幌市の夜間・救急動物病院
- 福岡市の夜間・救急動物病院
- 夜間救急動物病院に連れて行くべき症状の判断基準(犬猫共通)
電話では最初に「ひも状のものを飲み込んだ可能性がある」「外にひもが出ている/出ていない」の2点を伝えてください。この2点で、緊急度と必要な準備の判断が変わります。すでに引っ張ってしまった場合も、そのときに伝えてください。
あわせて読みたい
よくある質問
お尻からひもが出ています。引っ張って抜いてもいいですか?
引っ張らないでください。犬では反対側の端が胃の出口で固定されていることが多いとされ、引くと腸の壁が裂けて穴が開きます。獣医学のリファレンスも「牽引で取り出してはならない」と明記しています。
触らずに写真を撮り、すぐ動物病院へ電話してください。切ってよいかどうかも自己判断せず、電話で確認してください。
犬でも線状異物は起きますか?猫の病気だと聞きました
起きます。犬499頭を対象にした研究では、176頭が線状異物でした。線状異物による腸閉塞そのものは猫のほうが起こしやすいとされますが、誤飲して消化管が詰まること自体は犬のほうが多いとされています。
同じ研究で、線状異物の犬は腸の壊死・穿孔・腹膜炎を起こす割合が、丸い異物の犬より高くなっていました。
猫の場合と、どこが違うのですか?
引っかかる場所が違います。獣医外科の資料は、舌の付け根での固定は猫に多く、胃の出口(幽門洞)での固定は犬に多いとしています。そのため犬では、口を開けてもひもが見えないことが多くなります。
きっかけも違います。猫は遊びの延長で飲み込むのが典型ですが、犬では布やロープを噛みちぎって飲み込む形が問題になります。ただし「引っ張ってはいけない」という結論は、どちらも同じです。
どんな物が犬の線状異物になりますか?
獣医学の資料が挙げているのは、ロープ、ナイロンストッキング、糸、カーペット(絨毯)です。国内の症例では絨毯の紐でした。
このほか、靴下・タオル・ロープトイ・リード・釣り糸・デンタルフロス・ヘアゴム・輪ゴム・リボンも対象になります。布や幅のある素材でも、胃にとどまれば線状異物と同じ振る舞いをすることがあります。なお、どの素材が最も多いかを示した資料は確認できなかったため、順位づけはしていません。
元気で食欲もあります。うんちに出るのを待ってもいいですか?
待たないでください。片端が固定されていれば、自然に排出される経路がありません。待っているあいだに腸がたぐり寄せられ、ひもが腸壁を切り進みます。
飲み込んだ疑いがある時点で電話し、受診が必要かどうかを獣医師に判断してもらってください。
腸閉塞の記事に「部分閉塞なら自然排出を待つことがある」と書いてありました
それは丸い異物のように、押し出せば通過しうるものを念頭に置いた説明です。線状異物には当てはめられません。片端が固定されている以上、出ていく経路がないためです。
仮に経過を見る判断が取られる場合でも、それは画像検査で固定部位と腸の状態を確かめたうえで、入院して監視できる環境で行うものです。家庭で待つ根拠にはなりません。
家で吐かせたほうがいいですか?
家庭では吐かせないでください。オキシドール(過酸化水素水)は胃の粘膜を傷つけるうえ、すでに胃を越えた異物には効果がありません。
線状異物で催吐が明確な禁忌だと名指しした資料は確認できませんでしたが、ひもがどこで固定されているかは画像検査でしか分からず、吐かせてよいかどうかの判断はその情報の上に成り立ちます。動物病院で獣医師が決めることです。
レントゲンで何も写らなかったと言われました。安心していいですか?
ひも・糸・布はX線に写らないことが多い異物です。「写らなかった=異物がない」とは言えません。
手がかりは、腸がアコーディオン状にたたまれた所見などの間接的なサインですが、これも消化管異物に特有のものではありません。症状が続く場合は、超音波検査や再検査、試験開腹について改めて相談してください。
予防のためにできることは?
ロープトイや紐付きのおもちゃは、遊んだあとに必ず片づけてください。留守番中に出しっぱなしにしないことが特に重要です。ほつれた・ちぎれかけたおもちゃは早めに処分してください。
洗濯物(靴下・下着・タオル)、絨毯やラグのほつれ、リード、釣り具、裁縫箱、デンタルフロスも犬の届く場所に置かないでください。散歩中の拾い食い対策として「出せ」を教えておくことも役に立ちます。
まとめ
- 口やお尻から出ているひもは引っ張らない。犬では反対側が胃の出口で固定されていることが多いとされ、引くと腸壁が裂ける
- 自己判断で切らない。口の奥に手を入れない。触らずに写真を撮って電話する
- 線状異物は腸がたぐり寄せられ、ひもが腸間膜側の腸壁を切り進む。丸い誤飲物とは危険の種類が違う
- 「部分閉塞なら自然排出を待つ」は線状異物には当てはまらない。片端が固定されていれば出ていく経路がない
- 「線状異物は猫の病気」ではない。犬499頭の研究では176頭が線状異物で、腸の壊死・穿孔・腹膜炎が丸い異物より多かった
- X線に写らないことが多い異物。「何も写らなかった」で終わりにせず、超音波や再検査を相談する
- 退院までの生存率が高いという報告はあるが、それは受診して治療を受けた犬の数字。待つことの安全を示すものではない
参考資料
この記事は次の資料を参照して作成しました(2026年9月9日確認)。記載内容は一般的な情報であり、個々の症例の診断・治療に代わるものではありません。判断に迷うときは、自己判断せず動物病院に相談してください。
- Decision Making in the Management of Gastrointestinal Foreign Bodies(線状異物の固定部位と、腸がたたまれて腸壁が切られる機序)(University of Guelph, Ontario Veterinary College — Veterinary Surgery Online)
- Gastrointestinal Obstruction in Small Animals(牽引してはならない根拠、犬と猫の誤飲傾向の違い、レントゲンの間接所見)(Merck Veterinary Manual(MSD獣医マニュアル))
- Hobday MM ほか. 犬499頭における線状異物と非線状異物の比較(J Small Anim Pract. 2014;55(11):560-565, PMID 25352109)(Europe PMC(抄録))
- 犬の胃・腸切開術/胃から肛門まで続くヒモ状異物の摘出(7歳チワワ・絨毯の紐・4か所を切開)(林動物病院)
- Proper Use of Emetics in Dogs and Cats(家庭での催吐が勧められない根拠)(ASPCA Pro(ASPCA動物中毒管理センター))