保護猫が慣れたサインを見極める|新しい家族との絆を深めるために
はじめに:保護猫との新生活で知っておきたいこと
保護猫を家族として迎え入れることは、とても素晴らしい決断です。
しかし、保護猫の性格や育った環境にもよりますが過去にトラウマを抱えていたり、人間との接触が少なかったりすると、新しい環境に慣れるまでに時間がかかります。
この記事では、保護猫が新しい家庭環境に慣れてきたときに見せる具体的なサインについて詳しく解説します。
これらのサインを正しく理解すること、そして慣れない間にしないほうが良いことを知ることで、愛猫との信頼関係をより深く築くことができるでしょう。
保護猫の心理状態を理解する重要性
保護猫が抱える不安要素
保護猫の多くは以下のような経験を持っています:
- 野良猫生活での警戒心
- 前の飼い主、保護主からの別れの経験
- シェルターでの集団生活で一匹になった経験がない
- ビビリの猫は人間に対する恐怖心や不信感
これらの経験により、保護猫は新しい環境に対して慎重になり、慣れるまでに時間を要するのが一般的です。
個体差があるのですが、子猫のほうが新しい環境に慣れるのは早く、臆病な猫ほど隠れてなかなか姿を現せてくれないです。
大人の猫でも野良時代に外で人間に可愛がられていて触ることができるような猫は慣れるまでが早い傾向があります。
人間でも知らない場所、知らない人の環境でいきなり素の自分を出すことは難しいように猫も同じく心を開くまでは本来の性格を出さないことが多いです。
慣れるプロセスの段階
保護猫が新しい家庭に慣れるプロセスは、通常以下の3段階に分かれます
- 警戒期(1週間〜1ヶ月):隠れることが多く、警戒心が強い状態
- 適応期(1ヶ月〜3ヶ月):少しずつ環境に慣れ始める段階
- 安定期(3ヶ月以降):完全にリラックスして生活できる状態
生粋の野良猫で人から触られるのを嫌がる猫は警戒期が一生終わらないまま触れずということもあります。
いわゆる家庭内野良猫というやつで、こういう姿を見ているとすべての猫を家で保護するのは果たして幸せなのか、外で暮らしていたほうがこの猫にとっては幸せではないのかと日々活動者は葛藤します。
私自身は、人慣れしていない野良猫を無理に保護することはよっぽどのことがない限りはせずに、地域猫として一生を見守れるように手術を優先します。
冬の寒さ、夏の暑さ、常に警戒しなければならない外の環境も過酷なので、リリースの時は心が毎回痛みます。
保護猫が慣れたサイン【行動編】
1. 隠れる時間が減る
初期のサインとして最も分かりやすいのは、隠れる時間の減少です。
保護猫は最初、クローゼットの奥やベッドの下などに隠れがちですが、慣れてくると
- 隠れ場所から顔を出す時間が増える
- 人がいても隠れずにいられるようになる
- オープンスペースにいる時間が長くなる
という行動を取ります。
触ろうとしたら逃げていく猫もいますが、そういう時はしつこく追いかけずに見守ってあげましょう。
2. 自発的な探索行動
環境に慣れてきた保護猫は、積極的に家の中を探索し始めます。
- 部屋から部屋へと移動する
- 高い場所に登ろうとする
- 新しい物や場所に興味を示す
- 窓際で外を観察する
自分のお気に入りの場所を見つけるということが一つのポイントです。
普段は逃げ回って全然さわれないという状態でも、お気に入りの場所では逃げずに触らせてくれることがあります。
そこでよしよししていたら喉を鳴らし始めて喜ぶというような事が起こり、徐々に距離を縮められます。
3. リラックスした姿勢
重要なサインとして、リラックスした姿勢で過ごす時間が増えます。
- お腹を見せて寝る
- 手足を伸ばしてくつろぐ
- 人の近くでゴロンと横になる
- 香箱座りやあごを床につけて休む
お腹を見せて寝転んでいるのは警戒心がなくなっている証拠です。
なかなか外で暮らす猫でこんな寝相をすることはなかなかないのですが、100%リラックスできる環境ならではの光景です。
現在うちで保護しているビビリのビビちゃんは、徐々に自分から人に近づいてくるようになり、お気に入りのケージの中においているバリバリボウルで寝ている時はお腹を見せてくれます。
懐いていない猫のこういう行動は嬉しくて仕方ありません。
4. グルーミング行動の増加
ストレスが軽減されると、自然なグルーミング行動が増えます
- 丁寧に毛づくろいをする
- 人前でも気にせずグルーミングする
- 毛艶が良くなる
- 過度なグルーミングによる脱毛がない
家で飼育している猫の毛艶が良いのはフードの質、寝る環境だけでなく外にいるときの警戒心によるストレスがなくなるからかもしれませんね。
保護猫が慣れたサイン【コミュニケーション編】
1. 鳴き声によるコミュニケーション
慣れてきた保護猫は、様々な鳴き声で意思疎通を図ろうとします
- 挨拶の鳴き声:「ニャー」という短い鳴き声
- 要求の鳴き声:食事やおやつを求める鳴き声
- 甘えの鳴き声:「ニャーン」という長めの鳴き声
- 返事の鳴き声:名前を呼ばれたときの反応
猫の鳴き声は様々な種類があり、長く生活していると何を言っているのかなんとなく察することができます。
気分が良いのか穏やかなのか、怒っているのか。
慣れていないときの夜鳴きの声はかすれるような恐怖心が伝わってくる鳴き方ですが、目があったときに甘えたいという意思表示の鳴き声は、もう飽きられるくらいずっとよしよししたくなるようなかわいさがあります。
2. アイコンタクト
信頼関係が築かれると、猫は積極的にアイコンタクトを取るようになります:
- じっと見つめてくる
- 目を細めてゆっくりまばたきする(猫のキス)
- 呼びかけに視線で応える
- 遠くからでも飼い主の様子を見守る
慣れていないうちに人間がじっと猫を見つめすぎると猫が緊張してしまって良くないといいますが、慣れてきた時はお互い見つめ合って、ゆっくりまばたきしたりとアイコンタクトが取れます。
それがまたかわいいんですが、慣れて信頼されている証拠でもあります。
3. 体を使った愛情表現
愛情のサインとして、以下のような行動が見られます
- 頭突きやスリスリ行動
- 足元にまとわりつく
- 膝の上に乗ってくる
- 顔や手を舐める
猫飼いあるあるですが、これは完全に信頼されて慣れたサインです。
初めて膝の上に乗ってきたときのあの感動。
まだ慣れていなくてこの記事にたどり着いた人はそういう日が来るように時間がかかっても焦らずまずは猫のことを人間が信頼してゆっくり距離を縮めていきましょう。
保護猫が慣れたサイン【生活習慣編】
1. 食事の変化
環境に慣れると、食事に関する行動にも変化が現れます:
- 食欲の安定:規則正しく食事を摂る
- リラックスした食事:警戒せずに食べる
- おやつへの興味:新しい食べ物に挑戦する
- 食事の催促:積極的に食事を求める
保護猫が家に来てすぐのときは緊張してご飯を食べないかもしれません。
3日食べないという子も珍しくありません。
けれど、必ずお腹が減ったらご飯を食べます。
徐々に食べているときも襲われたりせずに安心できる場所だと認識し、ちゅーるなどのおやつも手から食べられるようになります。
まずは食べるまでそっと見守ってあげましょう。
2. 睡眠パターンの安定
ストレスが軽減されると、睡眠パターンも安定します
- 深い眠りにつく時間が増える
- 人の近くで眠るようになる
- 夜中の徘徊が減る
- リラックスした寝姿勢を取る
人が近づいても起きなくなったり、寝ているときによしよししてもそのまま寝ている場合は信頼関係ができてきた証拠です。
くるんと丸まった姿勢やお腹を出している姿勢で寝るのは飼い主としてもとっても嬉しいですよね。
3. トイレの使用
健康と安心の指標として、トイレの使用状況も重要です
- 決められた場所でトイレを使う
- 砂をしっかりとかける
- トイレの後に隠れない
- 排泄物の状態が良好
保護猫を迎え入れたときにトラブルになりやすいのがトイレの問題。
覚えてくれなかったり、布団やソファで粗相したり。
そして3日間うんちをしないといったこともよくあります。
いろいろな原因がありますが、環境が変わったストレスもその1つの原因です。
逆にトイレできれいなうんちをし始めると慣れてきた証拠でもあります。
トイレを失敗しない子はとっても育てやすいので迎え入れたときはケージの中でトイレを設置し、排泄するまでケージで飼育することをオススメします。
保護猫が慣れたサイン【社会性編】
1. 来客への反応
完全に慣れた保護猫は、来客に対しても落ち着いて対応できるようになります
- すぐに隠れなくなる
- 好奇心を示すことがある
- パニックにならずに様子を見る
- 慣れた人には甘える
これは猫の個体によって様々です。
私の場合、保護猫カフェをしていたので知らない人が来るのが当たり前の環境で、よくあるような家に来客があったときに一目散で押し入れに隠れると言ったことはありません。
知らない人が来て隠れてしまうのは当たり前の行動だと思って、無理に引っ張り出さずに大人しくそっとしておきましょう。
2. 他のペットとの関係
多頭飼いの場合、他のペットとの関係性の変化も重要なサインです:
- 一緒にいても緊張しない
- 同じ空間で過ごせる
- 遊びや毛づくろいを一緒に行う
- 食事の場所を共有できる
保護猫を迎え入れるときの大きなハードルの一つが先住ペット。
猫同士仲良くなってくれるとリラックスして仲良く遊んだり毛づくろいします。
個人的に2匹飼いは勝手に遊んでくれたり、留守にしていても寂しさが減るのでオススメしています。
なにより、二人一緒に寝ている光景を見たときには悶絶級の嬉しさです。
保護猫の慣れを促進する方法
環境づくりのポイント
保護猫が早く慣れるための環境づくり
- 安全な隠れ場所の提供:猫が安心できるスペースを確保
- 高い場所の設置:キャットタワーや棚の活用
- 静かな環境の維持:大きな音や突然の変化を避ける
- 適切な温度管理:猫が快適に過ごせる室温を保つ
ポイントは、人が触ってこれない人の目につかないような場所をあえて作ってあげることです。
そこにいる限りは安心だという場所を見つけると、徐々に行動範囲も広がって人に近づいてくるようになります。
接し方のコツ
保護猫との適切な接し方
- 無理強いしない:猫のペースに合わせる
- 一定の距離を保つ:最初は適度な距離感を維持
- 優しい声かけ:穏やかなトーンで話しかける
- 定期的なルーティン:食事や遊びの時間を一定にする
とにかくビビっている間は無理に触らない、放っておくことに徹しましょう。
触られるのを嫌がる猫は、おもちゃで遊んだりちゅーるなどおやつで近づいてきたときに軽くよしよしを繰り返しているうちに少しずつ少しずつ変わってきます。
慣れるまでの期間と個体差
一般的な期間
保護猫が完全に慣れるまでの期間は個体差がありますが
- 短期間(1〜2週間):社交的な性格の猫
- 中期間(1〜3ヶ月):平均的な適応期間
- 長期間(6ヶ月以上):トラウマが深い猫や高齢猫
保護猫を愛護団体から譲り受ける場合、トライアル期間を設けることが多いです。
私の場合、人慣れしている猫で1~2週間様子を見てもらうのですが、大人猫や警戒心が強い子は1ヶ月くらい様子を見てもらいます。
トライアルのお家に連れて行って、キャリーケースから出してすぐに新しい飼い主さんへ寄っていって甘える猫もいれば、多くの場合はタンスの裏に隠れてしまって1日出てこないといったケースもあるのでできるだけケージを用意してもらっています。
懐いていない猫を受け入れる場合はケージは必須アイテムです。
影響する要因
慣れる速度に影響する要因は
- 過去の経験とトラウマの程度
- 年齢(子猫の方が適応が早い)
- 性格(社交性の高さ)
- 健康状態
- 新しい環境の質
が挙げられます。
事前に保護主から情報を聞いておき、自分が求める性格の猫なのかどうかも熟考して選びましょう。
注意すべきサインと対処法
ストレスサインの見極め
以下のような行動が続く場合は、まだ慣れていない可能性があります
- 食事を摂らない状態が続く
- 過度な隠れ行動
- 攻撃的な態度
- 過剰なグルーミングや脱毛
- トイレの失敗が頻繁
トイレは元々成功していたのに、新しいお家で失敗するようになる原因としてトイレ砂が気に食わないことと、環境に慣れていないからが多いです。
壁に粗相するのは発情期が近いのか、ストレスがあるからなのか。
ストレスを軽減する工夫をしましょう。
専門家への相談タイミング
以下の場合は獣医師や猫の行動専門家への相談を検討しましょう
- 1ヶ月以上食事量が極端に少ない
- 攻撃性が改善されない
- 健康面で心配な症状がある
- 行動問題が深刻化している
人馴れさせるのが上手な動物愛護活動者に相談してみましょう。
どういった行為を日常でしたら良いなどアドバイスをいただけます。
ずっとシャーシャーしたり引っ掻いてくる猫は飼う側もストレスになるので本当に大変ですが、受け入れる前に向き合う覚悟が必要です。
まとめ:愛情と時間をかけて信頼関係を築こう
保護猫が新しい家庭に慣れるプロセスは、決して急ぐべきものではありません。
それぞれの猫には固有のペースがあり、過去の経験や性格によって適応速度は大きく異なります。
重要なのは、愛猫が示すサインを注意深く観察し、そのペースに合わせて接することです。
隠れる時間の減少、自発的な探索行動、リラックスした姿勢、コミュニケーション行動の増加など、様々なサインが見られるようになったら、それは確実に信頼関係が築かれている証拠です。
保護猫との生活は、時には忍耐が必要かもしれませんが、その先には深い絆と無条件の愛情が待っています。
愛情を持って見守り続けることで、必ず心を開いてくれる日が来るでしょう。
毎日の小さな変化を大切にし、猫のサインに耳を傾けながら、素晴らしい家族関係を築いていってください。
あなたの愛情と忍耐が、保護猫にとって最高の贈り物となることでしょう。
古着買取、ヴィーガン食品やペットフードの買い物で支援など皆様にしてもらいたいことをまとめています。
参加しやすいものにぜひ協力してください!
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