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野良猫を触るとかゆくなる理由と知っておくべきリスク

野良猫 触る かゆい

 

 

はじめに

 

道端で可愛らしい野良猫に出会い、つい触ってしまった経験はありませんか?そして触った後に、手や腕がかゆくなったことはないでしょうか。野良猫を触った後のかゆみは、多くの人が経験する症状です。この記事では、野良猫を触るとかゆくなる原因と、かゆみ以外にも潜むリスク、そして適切な対処法について詳しく解説します。

 

 

野良猫を触るとかゆくなる主な原因

 

ノミ・ダニによるかゆみ

野良猫を触った後にかゆみを感じる最も一般的な原因は、ノミやダニです。野良猫の多くは、屋外で生活しているため、ノミやダニに寄生されている可能性が非常に高いのです。

 

ノミの特徴とかゆみのメカニズム

ノミは猫の体表に寄生し、血を吸って生活する小さな虫です。猫ノミは人間も刺すことがあり、刺された部分は強いかゆみを伴います。ノミに刺されると、赤い発疹が現れ、特に足首や手首など、猫と接触した部分に集中して症状が出ることが多いです。

ノミの唾液には様々なタンパク質が含まれており、これが皮膚に注入されることでアレルギー反応を引き起こします。そのため、刺された直後よりも、数時間から1日後に強いかゆみが出ることもあります。

 

ダニによる被害

ダニもまた、野良猫に寄生している可能性が高い寄生虫です。特に、疥癬(かいせん)を引き起こすヒゼンダニは、人間にも感染することがあります。疥癬に感染すると、激しいかゆみが夜間に悪化する特徴があり、手首や指の間、脇の下などに赤い発疹や小さな水疱が現れます。

マダニも注意が必要です。マダニは人間の皮膚に食いつき、長時間吸血します。マダニに咬まれた場合、感染症のリスクもあるため、無理に引き抜かず、医療機関で適切に除去してもらうことが重要です。

 

猫アレルギーによるかゆみ

野良猫を触った後のかゆみは、猫アレルギーが原因である可能性もあります。猫アレルギーは、猫の皮膚や唾液、尿などに含まれるタンパク質(主にFel d 1というアレルゲン)に対する免疫反応です。

 

猫アレルギーの症状

猫アレルギーの症状は、かゆみだけでなく、目のかゆみや充血、鼻水、くしゃみ、蕁麻疹など多岐にわたります。猫を触った手で目や鼻を触ると、症状が悪化することがあります。また、猫を触った部分の皮膚が赤くなったり、腫れたりすることもあります。

猫アレルギーは、室内飼いの清潔な猫でも起こりますが、野良猫の場合は埃や花粉など、他のアレルゲンも付着している可能性が高いため、より強い症状が出ることがあります。

 

その他の皮膚刺激

野良猫の体には、様々な汚れや細菌が付着しています。単純な接触性皮膚炎として、かゆみが生じることもあります。また、猫の爪や毛が皮膚を刺激することで、一時的なかゆみが発生することもあるでしょう。

 

 

かゆいだけでは済まない!野良猫に触る本当のリスク

 

野良猫を触ることで生じる問題は、かゆみだけではありません。より深刻な健康被害をもたらす可能性のある病気について知っておくことが重要です。

 

猫ひっかき病(Cat Scratch Disease)

猫ひっかき病は、バルトネラ・ヘンセレという細菌によって引き起こされる感染症です。この細菌は猫の爪や口腔内に存在し、猫に引っかかれたり噛まれたりすることで人間に感染します。

 

猫ひっかき病の症状

感染すると、引っかかれた部分に小さな赤い丘疹や膿疱が現れます。その後、1〜3週間程度でリンパ節が腫れ始めます。特に脇の下や首のリンパ節が腫れることが多く、痛みを伴うこともあります。

多くの場合は自然に治癒しますが、まれに発熱や倦怠感などの全身症状が現れることがあります。免疫力が低下している人では、より重篤な症状を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

 

トキソプラズマ症

トキソプラズマは、猫を終宿主とする寄生虫です。猫の糞便中に排出されるオーシストという形態で感染が広がります。野良猫を触った手を洗わずに食事をしたり、口元を触ったりすることで感染するリスクがあります。

健康な成人であれば、感染しても無症状か軽い風邪様症状で済むことが多いですが、妊婦が初感染すると、胎児に深刻な影響を及ぼす可能性があります。先天性トキソプラズマ症は、脳や目に障害を引き起こすことがあるため、妊娠中または妊娠を考えている方は特に注意が必要です。

 

狂犬病

日本国内では1957年以降、人への狂犬病の発症例はありませんが、世界的に見れば狂犬病は依然として深刻な感染症です。海外から帰国した野良猫や、密輸入された動物との接触には注意が必要です。

狂犬病は、感染した動物に咬まれることで唾液中のウイルスが体内に侵入し、発症します。一度発症すると、ほぼ100%死亡する恐ろしい病気です。特に海外で犬に噛まれた場合は絶対に病院に行きましょう。

 

パスツレラ症

パスツレラ菌は、多くの猫や犬の口腔内に常在する細菌です。猫に咬まれたり引っかかれたりした傷口から感染します。

感染すると、数時間から数日以内に傷口が赤く腫れ、強い痛みを伴います。蜂窩織炎(ほうかしきえん)という皮膚の深い部分の感染症を引き起こすこともあります。また、呼吸器疾患を持つ人では、パスツレラによる肺炎や気管支炎を発症するリスクもあります。

 

皮膚糸状菌症(白癬)

皮膚糸状菌症は、真菌(カビ)による感染症で、猫から人にうつることがあります。野良猫は衛生状態が良くないため、皮膚糸状菌に感染している可能性があります。

人間に感染すると、円形の赤い発疹ができ、周囲が盛り上がり、中心部が治癒していくように見えます。いわゆる「輪癬(りんせん)」と呼ばれる状態です。かゆみを伴うことが多く、適切な治療を受けないと広がっていきます。

 

その他の感染症リスク

野良猫との接触によって、サルモネラ菌やカンピロバクターなどの腸管感染症、クリプトスポリジウムなどの寄生虫感染のリスクもあります。これらは主に糞便を介して感染しますが、野良猫の体に付着している可能性もあるため、注意が必要です。

 

 

野良猫に触った後の適切な対処法

 

野良猫を触った場合、適切な対処を行うことで、感染症のリスクを大幅に減らすことができます。

 

すぐに手を洗う

野良猫に触れた後は、できるだけ早く手を洗いましょう。石鹸と流水で、少なくとも20秒以上、手のひら、手の甲、指の間、爪の周りまで丁寧に洗います。

外出先で水道が近くにない場合は、携帯用の手指消毒剤が便利です。アルコール濃度60%以上の手指消毒剤を使用することで、多くの細菌やウイルスを除去することができます。

 

アルコール消毒の活用

帰宅後は、改めて石鹸で手を洗った後、アルコール消毒をすることをお勧めします。アルコール消毒は、手洗いだけでは落としきれない病原体を除去する効果があります。

アルコール消毒液を適量(500円玉大程度)手に取り、手のひら、手の甲、指の間、指先、爪の周り、手首まで、液体が乾くまでしっかりと擦り込みます。

 

衣服の処理

野良猫を抱いたり、膝の上に乗せたりした場合は、衣服にノミやダニが付着している可能性があります。帰宅後はできるだけ早く着替え、野良猫と接触した衣服は洗濯しましょう。

洗濯の際は、温水(60度以上)で洗うとノミやダニを効果的に駆除できます。また、乾燥機の熱も効果的です。洗濯前に衣服を脱ぐ場所を玄関先などに限定し、家の中にノミやダニを持ち込まないよう注意しましょう。

 

引っかかれたり噛まれたりした場合の対処

万が一、野良猫に引っかかれたり噛まれたりした場合は、すぐに以下の応急処置を行ってください。

  1. 傷口をすぐに洗う:流水で5分以上、傷口をよく洗い流します。石鹸を使ってしっかりと洗いましょう。
  2. 消毒する:傷口を洗った後、消毒液(ポビドンヨードなど)で消毒します。
  3. 清潔なガーゼで覆う:消毒後、清潔なガーゼや絆創膏で傷口を保護します。
  4. 医療機関を受診する:猫に噛まれた場合や深い傷の場合は、必ず医療機関を受診してください。抗生物質の投与や破傷風の予防接種が必要になることがあります。

症状が出た場合の対応

野良猫に触った後、数日から数週間以内にかゆみ、発疹、リンパ節の腫れ、発熱などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。受診の際は、野良猫と接触したことを医師に伝えることが重要です。

 

 

野良猫との正しい向き合い方

 

野良猫に触れる行為が持つ意味

野良猫が人間に触れるというのは、その猫にとって決して安全な状況ではありません。人間に慣れすぎた野良猫は、悪意のある人間に虐待されるリスクが高まります。

日本では残念ながら、動物虐待の事件が後を絶ちません。人懐っこい野良猫ほど、虐待者のターゲットになりやすいという現実があります。安易に野良猫に近づき、触ることは、その猫を危険にさらす可能性があることを理解しておく必要があります。

 

可能であれば保護を検討してほしい

もし触れるほど人懐っこい野良猫に出会ったら、そして環境が許すのであれば、保護して家で飼うことを検討していただきたいのです。

 

保護する際の注意点

野良猫を保護する場合は、まず動物病院で健康チェックを受けることが重要です。ノミ・ダニの駆除、ワクチン接種、去勢・避妊手術などが必要になります。また、感染症の検査(猫白血病ウイルス、猫免疫不全ウイルスなど)も行うべきでしょう。

すでに自宅で猫を飼っている場合は、新しく保護した猫を先住猫から隔離し、健康状態を確認してから対面させる必要があります。急に一緒にすると、病気が伝染するリスクや、ストレスによる問題行動が生じる可能性があります。

 

保護が難しい場合の選択肢

自分で飼うことが難しい場合でも、地域の動物保護団体に連絡する、TNR活動(Trap-捕獲、Neuter-不妊手術、Return-元の場所に戻す)を行っている団体に相談するなど、できることがあります。

地域猫活動に参加することで、野良猫の数を適正に管理し、猫たちがより健康で安全に暮らせる環境を作ることができます。餌やりをする場合は、無秩序に行うのではなく、地域のルールに従い、責任を持って行うことが大切です。

 

適切な距離感を保つ

野良猫を見かけても、むやみに触らないという選択肢も重要です。遠くから見守るだけでも、その猫の存在を認め、尊重することになります。

どうしても触りたい場合は、手袋を着用する、触った後すぐに手を消毒できる準備をしておくなど、衛生面での対策を十分に行った上で接触するようにしましょう。

 

 

まとめ

 

野良猫を触った後のかゆみは、ノミ・ダニによるものや猫アレルギーが主な原因です。しかし、かゆみだけでなく、猫ひっかき病、トキソプラズマ症、パスツレラ症など、様々な感染症のリスクがあることを忘れてはいけません。

野良猫に触れてしまった場合は、すぐに手を洗い、アルコール消毒を行うことが重要です。引っかかれたり噛まれたりした場合は、適切な応急処置を行い、医療機関を受診してください。

そして何より、野良猫が人間に慣れすぎることは、その猫を虐待のリスクにさらす可能性があることを理解してください。もし可能であれば、保護して家族として迎え入れることを検討していただきたいと思います。保護が難しい場合でも、地域猫活動に参加するなど、猫たちのために できることがあります。

野良猫との適切な距離感を保ちながら、彼らの命と健康を守るために、一人ひとりができることを考えていきましょう。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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