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猫が痩せすぎ?健康的に太らせる方法と注意点

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「うちの猫、最近痩せてきた気がする…」そんな不安を感じていませんか?猫の痩せすぎは、見た目の問題だけでなく、健康上の深刻なリスクを伴うことがあります。この記事では、猫が痩せすぎている場合の問題点から、その原因、そして健康的に太らせる方法まで、獣医学的な知見を交えながら詳しく解説します。

 

 

猫の痩せすぎは何が問題なのか

 

猫が痩せすぎている状態は、単に「細い」というだけでは済まされない、複数の健康リスクを抱えています。

 

免疫力の低下

適正体重を下回ると、猫の免疫システムが正常に機能しなくなります。体重が理想体重の85%以下になると、感染症にかかりやすくなり、風邪やウイルス性の病気から回復する力も弱まります。特に子猫や高齢猫では、この影響がより顕著に現れます。

 

筋肉量の減少

痩せすぎの猫は脂肪だけでなく筋肉も失っています。筋肉が減少すると、日常的な運動能力が低下し、ジャンプや階段の上り下りが困難になります。高齢猫の場合、筋肉量の減少は「サルコペニア」と呼ばれる状態を引き起こし、生活の質を著しく低下させます。

 

臓器機能への影響

極度の痩せすぎ状態では、体が生命維持のために筋肉組織を分解してエネルギーに変えようとします。この過程で肝臓に過度の負担がかかり、「肝リピドーシス(脂肪肝)」という深刻な病気を引き起こす可能性があります。特に肥満だった猫が急激に痩せた場合、このリスクが高まります。

 

体温調節の困難

脂肪は断熱材として体温を保つ重要な役割を果たしています。痩せすぎの猫は体温調節が難しくなり、寒さに弱くなります。冬場は低体温症のリスクも高まるため、特に注意が必要です。

 

傷の治りが遅くなる

栄養不足の状態では、皮膚の再生能力が低下し、小さな傷や皮膚トラブルの治癒に時間がかかります。これは感染症のリスクも高めます。

 

 

猫が痩せる原因とは

 

猫が痩せる原因は多岐にわたります。適切な対処をするためには、まず原因を特定することが重要です。

 

食事量の不足

最も単純な原因は、十分な量のフードを食べていないことです。多頭飼育の場合、他の猫に餌を取られている可能性もあります。また、フードの味や食感が好みでない、食器の位置や高さが不適切、といった環境要因も食欲に影響します。

 

口腔内のトラブル

歯周病、歯肉炎、口内炎などの口腔内疾患があると、痛みで食事ができなくなります。特に高齢猫では歯のトラブルが多く、よだれが増える、口臭がする、食べる時に首を傾けるなどの症状が見られたら要注意です。

 

ストレスと環境の変化

猫は環境の変化に敏感な動物です。引っ越し、新しいペットや家族の追加、生活リズムの変化などがストレスとなり、食欲不振を引き起こすことがあります。慢性的なストレスは食欲だけでなく、消化機能にも悪影響を及ぼします。

 

加齢による変化

高齢猫(11歳以上)は、嗅覚や味覚が衰え、食欲が低下することがあります。また、消化吸収能力も低下するため、同じ量を食べていても痩せてしまうことがあります。

 

 

痩せやすくなる病気

 

猫が痩せる背景には、様々な疾患が隠れている可能性があります。食欲があるのに痩せる場合は、特に注意が必要です。

 

甲状腺機能亢進症

高齢猫に多い病気で、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで代謝が異常に高まります。食欲は旺盛なのに痩せていく、落ち着きがない、水をよく飲む、嘔吐や下痢といった症状が見られます。治療せずに放置すると、心臓や腎臓にも負担がかかります。

 

慢性腎臓病

猫の死因として最も多い病気の一つです。腎臓の機能が徐々に低下し、老廃物を排泄できなくなります。食欲不振、多飲多尿、嘔吐、口臭などの症状とともに体重減少が見られます。早期発見と適切な管理が重要です。

 

糖尿病

インスリンの不足や作用不全により、血糖値が高くなる病気です。食欲はあるのに痩せる、水をたくさん飲む、尿の量が増えるといった症状が特徴的です。肥満猫がかかりやすい傾向にありますが、痩せている猫でも発症します。

 

消化器疾患

炎症性腸疾患(IBD)、膵炎、腸内リンパ腫などの消化器系の病気は、栄養の吸収を妨げます。慢性的な下痢や嘔吐、食欲不振とともに体重減少が見られます。これらの病気は診断が難しいこともあり、専門的な検査が必要になることがあります。

 

猫白血病ウイルス(FeLV)・猫免疫不全ウイルス(FIV)

これらのウイルス感染症は免疫系を弱め、様々な日和見感染を引き起こします。慢性的な体重減少、リンパ節の腫れ、口内炎、発熱などの症状が見られることがあります。

 

腫瘍・がん

様々な種類のがんが体重減少を引き起こします。特にリンパ腫、乳腺腫瘍、口腔内腫瘍などが猫に多く見られます。食欲不振、しこり、異常な出血などの症状にも注意が必要です。

 

寄生虫

特に子猫や外に出る猫では、回虫や条虫などの寄生虫が栄養を奪い、痩せの原因となることがあります。下痢、嘔吐、毛艶の悪化、お腹が膨らむなどの症状が見られることもあります。

 

 

病気の治療ができているかチェックする

 

既に病気が判明している場合、適切な治療が行われているかを定期的に確認することが重要です。

 

定期的な体重測定

自宅で週に1回、同じ時間帯に体重を測定し、記録をつけましょう。1週間で5%以上の体重変動があれば、獣医師に相談すべきサインです。体重計は、子猫用のキッチンスケールや人間用の体重計を使用できます。

 

血液検査の結果を理解する

慢性疾患の場合、定期的な血液検査が必要です。腎臓の数値(BUN、クレアチニン)、肝臓の数値(ALT、AST)、甲状腺ホルモン(T4)など、主要な指標の基準値と自分の猫の数値を把握しておくことで、治療効果を判断できます。

 

症状の変化を記録する

食欲、飲水量、排尿・排便の回数と状態、活動レベル、嘔吐や下痢の有無などを日記やアプリで記録することで、治療の効果や病気の進行を客観的に評価できます。

 

薬の効果と副作用

処方された薬を正しく投与できているか、副作用はないかを観察します。猫に薬を飲ませるのは難しいことがありますが、きちんと投与できていなければ治療効果は得られません。投薬が困難な場合は、獣医師に相談して注射や経皮吸収型の薬など、別の方法を検討しましょう。

 

セカンドオピニオンの検討

治療を続けているのに改善が見られない場合、別の獣医師の意見を聞くことも一つの選択肢です。特に複雑な症例や珍しい病気の場合、専門医の診察が有効なこともあります。

 

 

猫の理想的な体型と触り心地

 

猫が適正体重かどうかを判断するには、体重計の数字だけでなく、実際に触って確認する「ボディコンディションスコア(BCS)」が重要です。

 

理想的な体型(BCS 3/5)

猫を上から見たとき、肋骨の後ろに緩やかなくびれが見えます。横から見ると、お腹が適度に引き締まっています。

 

触り心地のポイント

 

肋骨: 軽く触れると肋骨の存在を感じられますが、くっきりと骨が浮き出て見えることはありません。薄い脂肪のクッションを通して触れる感覚です。人間の手の甲の骨を触ったときのような感触が理想的です。

 

背骨: 背中を撫でたとき、背骨の突起を感じられますが、尖って目立つことはありません。適度な筋肉と脂肪で覆われています。

 

腰骨(骨盤): 腰の部分を触ったとき、骨盤の骨は感じられますが、強く押さなくても簡単に触れるほど突出していません。

 

お腹: 適度な脂肪がついていて、柔らかさがあります。しかし、たるんでぶら下がるほどではありません。猫が立っているとき、お腹のラインは地面と平行か、やや上向きにカーブしています。

 

痩せすぎの体型(BCS 1-2/5)

肋骨、背骨、骨盤の骨が明らかに浮き出て見えます。触らなくても骨の輪郭がはっきりわかります。くびれが極端で、上から見ると砂時計のような形になっています。お腹に脂肪がなく、凹んで見えます。筋肉量も減少しており、全体的に骨ばった印象です。

このような状態であれば、早急に獣医師の診察を受け、原因を特定する必要があります。

 

品種による違い

猫の理想体重は品種によって大きく異なります。例えば、シャム猫やアビシニアンなどのオリエンタル系は元々スリムな体型が標準で、骨格も華奢です。一方、メインクーンやノルウェージャンフォレストキャットなどの大型品種は、成猫で6-10kgになることもあります。自分の猫の品種の標準体重を知っておくことが大切です。

 

 

猫を健康的に太らせるための工夫

 

痩せすぎの猫を健康的に太らせるには、単にフードの量を増やすだけでは不十分です。質の高い栄養を効率よく摂取させ、食欲を刺激する環境を整えることが重要です。

 

高カロリー・高タンパクフードの選択

 

総合栄養食を基本に: 必ず「総合栄養食」と表示されたフードを選びましょう。おやつや一般食だけでは栄養バランスが偏ります。

 

子猫用フードの活用: 子猫用フードは成猫用よりも高カロリー・高タンパクで、栄養価が高く設計されています。成猫でも問題なく食べられるので、体重を増やしたい場合に有効です。

 

ウェットフードの併用: ドライフードだけでなく、ウェットフードも取り入れましょう。水分含量が多く、香りが強いため食欲を刺激します。また、噛む力が弱い高齢猫や口腔内にトラブルがある猫でも食べやすいです。

 

療法食の検討: 病気が原因で痩せている場合、獣医師が推奨する療法食を使用します。回復期用の高カロリー療法食もあります。

 

食事の回数を増やす

 

1日の食事回数を3-5回に分けることで、1回あたりの負担を減らし、消化吸収を助けます。特に高齢猫や病気の猫では、少量頻回の食事が効果的です。自動給餌器を使えば、飼い主が不在の時間帯でも定期的に給餌できます。

 

フードの温めと香り付け

 

温める: ウェットフードを人肌程度(約38度)に温めると、香りが立ち食欲が増します。電子レンジで数秒温めるか、湯煎にかけましょう。ただし、熱すぎると火傷の危険があるので注意してください。

 

トッピングの追加: 鶏ささみの茹で汁、かつお節、ちゅーるなどの嗜好性の高いトッピングを少量加えることで、食欲を刺激できます。ただし、トッピングは全体の10%以下に抑え、主食の栄養バランスを崩さないようにしましょう。

 

食事環境の最適化

 

静かで安全な場所: 猫は食事中に邪魔されることを嫌います。人通りの少ない、落ち着いた場所に食器を置きましょう。

 

食器の高さ: 特に高齢猫では、床に直置きするよりも5-10cm程度の高さがある台を使うと、首や関節への負担が減り、食べやすくなります。

 

清潔な食器: 猫は清潔さにこだわる動物です。食器は毎回洗い、常に清潔に保ちましょう。

 

多頭飼育の場合: 他の猫に邪魔されずに食べられるよう、別々の場所で給餌するか、時間をずらして与えます。

 

サプリメントと栄養補助食品

 

高カロリーペースト: 動物病院で処方される高カロリージェルやペーストは、少量で効率よくカロリーを摂取できます。食欲不振の猫にも与えやすいです。

 

プロバイオティクス: 腸内環境を整え、消化吸収を改善します。特に下痢や軟便がある場合に有効です。

 

オメガ3脂肪酸: 炎症を抑え、食欲を改善する効果があります。魚油のサプリメントなどが利用できます。

 

消化酵素: 膵臓の機能が低下している場合、消化酵素のサプリメントが栄養吸収を助けます。

 

強制給餌が必要な場合

 

48時間以上まったく食べない場合、肝リピドーシスのリスクが高まります。このような場合、獣医師の指導のもと、シリンジを使った強制給餌が必要になることもあります。専用の流動食を注射器で少しずつ口に入れる方法ですが、誤嚥のリスクもあるため、必ず獣医師の指導を受けてから行いましょう。

重症の場合は、鼻から胃に通す経鼻チューブや、外科的に設置する胃瘻チューブを使った栄養管理が必要になることもあります。

 

運動と筋肉の維持

 

適度な運動は食欲を刺激し、筋肉量を維持するために重要です。ただし、痩せすぎの猫に激しい運動をさせるのは禁物です。

 

軽い遊び: 猫じゃらしやレーザーポインターを使った短時間(5-10分)の遊びで、無理なく体を動かします。

 

キャットタワー: 上下運動は猫の本能を刺激し、筋肉を使います。ただし、体力がない猫には低めのものから始めましょう。

 

ストレス管理

 

安定した生活リズム: 食事、遊び、睡眠の時間をできるだけ一定に保ちます。

 

隠れ場所の提供: 猫が安心して休める場所(キャットハウス、段ボール箱など)を複数用意します。

 

フェロモン製品: フェリウェイなどの猫用フェロモン製品は、環境ストレスを軽減する効果があります。

 

定期的なモニタリング

 

体重増加の目安は、1週間に50-100g程度が理想的です。急激な体重増加は内臓に負担をかける可能性があるため、ゆっくりと確実に増やしていくことが大切です。

週1回の体重測定、食事量と水分摂取量の記録、排泄の状態チェック、活動レベルの観察を継続し、変化があればすぐに獣医師に相談しましょう。

 

 

まとめ:猫の健康的な体重管理のために

 

猫の痩せすぎは、単なる外見の問題ではなく、健康状態のバロメーターです。免疫力低下や臓器への負担など、様々な健康リスクを引き起こす可能性があります。

痩せの原因は、食事量の不足から甲状腺機能亢進症、慢性腎臓病、糖尿病などの深刻な病気まで多岐にわたります。まずは獣医師の診察を受けて原因を特定し、必要に応じて適切な治療を開始することが最優先です。

理想的な体型かどうかは、体重だけでなく、実際に触って確認するボディコンディションスコアで判断します。軽く触れて肋骨の存在を感じられるが、浮き出て見えない状態が理想です。

健康的に太らせるには、高カロリー・高タンパクなフードの選択、食事回数の増加、食欲を刺激する工夫、ストレスの少ない食事環境の整備などが重要です。サプリメントや栄養補助食品も効果的ですが、必ず獣医師に相談してから使用しましょう。

体重増加は焦らず、週に50-100g程度のペースでゆっくりと増やしていくことが大切です。定期的な体重測定と観察を続け、変化があればすぐに獣医師に相談する体制を整えましょう。

愛猫の健康と幸せのために、適切な体重管理を心がけてください。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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