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猫の痩せすぎの目安と対処法|健康的な体重を保つために

猫 痩せすぎ 目安

愛猫の体が以前より細くなった気がする、骨が浮き出て見える気がする──そんな不安を感じたことはありませんか?猫の痩せすぎは、見た目の問題だけでなく、健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。この記事では、猫の痩せすぎの目安や原因、そして気づいたときに取るべき対処法について詳しく解説します。

 

 

猫の痩せすぎを見分ける3つの目安

 

1. 見た目でわかる痩せすぎのサイン

健康的な猫の体型は、上から見たときに緩やかなくびれがあり、横から見ると腹部が適度に引き締まっています。痩せすぎている猫には、以下のような特徴が見られます。

 

上から見たとき

  • 腰のくびれが極端に深い
  • 肋骨の輪郭がはっきりと見える
  • 背骨が浮き出ている
  • 頭部と体の太さのバランスが不自然

横から見たとき

  • 腹部が極端にへこんでいる
  • 肋骨が目視できる
  • 腰骨が突出している
  • 全体的に骨ばって見える

特に長毛種の場合、被毛に隠れて痩せていることに気づきにくいため、定期的に体型をチェックすることが重要です。

 

2. 触った感触で判断する方法

見た目だけでは判断しにくい場合、実際に猫の体に触れて確認する方法が効果的です。これは「ボディコンディションスコア(BCS)」という評価方法の一部としても使われています。

 

肋骨周辺のチェック

猫の胸部を両手で優しく触ってみましょう。健康的な体型の猫は、薄い脂肪層を通して肋骨を感じることができますが、痩せすぎている猫は肋骨が簡単に数えられ、脂肪がほとんど感じられません。

 

背骨と腰骨のチェック

背中を撫でたときに背骨が突出して感じられる、腰骨が鋭く当たる場合は痩せすぎのサインです。健康的な猫であれば、これらの骨は触れてわかる程度で、突出することはありません。

 

筋肉量のチェック

太ももや肩甲骨周辺の筋肉量も重要な指標です。痩せすぎている猫は筋肉が減少しており、触ると骨がすぐに感じられます。

 

3. 体重の目安と理想的な数値

猫の理想体重は品種、年齢、性別によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

 

一般的な成猫の標準体重

  • 小型猫:3.0〜4.0kg
  • 中型猫:4.0〜5.5kg
  • 大型猫:5.5〜7.0kg以上

ただし、これはあくまで目安であり、その猫の骨格や体格によって適正体重は異なります。より重要なのは、その猫にとっての理想体重から何パーセント減少しているかという点です。

 

痩せすぎの判断基準

  • 理想体重の10%減少:やや痩せ気味(注意が必要)
  • 理想体重の15%以上減少:痩せすぎ(獣医師の診察が必要)
  • 理想体重の20%以上減少:危険な状態(緊急性が高い)

例えば、理想体重が5kgの猫が4.25kg以下になった場合は、痩せすぎと判断できます。

 

 

猫が痩せすぎることのデメリット

 

猫の痩せすぎは単なる見た目の問題ではなく、さまざまな健康リスクを引き起こします。

 

1. 免疫力の低下

適切な栄養が不足すると、免疫システムが正常に機能しなくなります。その結果、感染症にかかりやすくなり、風邪や皮膚炎などの病気が治りにくくなります。特に高齢猫や子猫では、免疫力の低下が命に関わることもあります。

 

2. 筋肉量の減少と運動能力の低下

痩せすぎは筋肉の分解を促進します。筋肉が減少すると、ジャンプ力が落ちる、歩行が不安定になる、疲れやすくなるなどの症状が現れます。特に高齢猫では、筋肉量の減少が生活の質を大きく低下させます。

 

3. 臓器機能への影響

長期的な栄養不足は、肝臓、腎臓、心臓などの重要な臓器に負担をかけます。特に「肝リピドーシス(脂肪肝)」は、猫が急激に痩せたときに発症しやすい危険な病気です。食事を数日間摂取しないだけで発症することもあり、治療が遅れると命に関わります。

 

4. 体温調節機能の低下

脂肪は体温を保つ重要な役割を果たしています。痩せすぎた猫は体温調節が難しくなり、特に冬場は低体温症のリスクが高まります。

 

5. 毛艶の悪化と皮膚トラブル

栄養不足は被毛や皮膚の健康にも影響します。毛がパサパサになる、抜け毛が増える、皮膚が乾燥するなどの症状が現れます。

 

6. 傷の治りが遅くなる

タンパク質やビタミンが不足すると、傷の治癒過程が遅くなります。手術後の回復や、ちょっとした怪我でも治るまでに時間がかかるようになります。

 

 

猫が痩せる原因

 

猫が痩せる原因は大きく分けて、食事の問題と病気の問題があります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

 

フードを食べない場合の原因

1. フードの好みや品質の問題

猫は非常にグルメな動物です。フードの種類、匂い、食感、温度などに敏感で、気に入らないと食べないことがあります。

  • フードを変更した直後
  • フードが古くなって酸化している
  • ウェットフードの温度が冷たすぎる
  • 食器の材質や形が気に入らない

2. ストレスや環境の変化

猫はストレスに敏感な動物です。以下のような環境変化が食欲不振を引き起こすことがあります。

  • 引っ越しや模様替え
  • 新しい家族やペットの加入
  • 飼い主の生活リズムの変化
  • 工事などの騒音
  • 食事場所が落ち着かない(トイレの近く、人通りが多いなど)

3. 加齢による食欲の変化

高齢猫は嗅覚や味覚が衰えるため、食欲が減退することがあります。また、歯や歯茎の問題で硬いフードが食べにくくなることもあります。

 

4. 食事の与え方の問題

  • 一度に大量のフードを与えすぎている(酸化や乾燥の原因)
  • 給餌回数が少なすぎる
  • フードボウルが清潔でない
  • 水が新鮮でない

 

病気が原因の場合

食欲があるのに痩せる、または食欲がなくなって痩せる場合は、病気が隠れている可能性があります。

 

1. 口腔内の病気

 

歯周病・歯肉炎 猫の約80%が3歳以上で何らかの歯の問題を抱えているといわれています。歯や歯茎が痛むと、食べたくても食べられない状態になります。

 

口内炎 口の中に炎症ができると、激しい痛みのため食事ができなくなります。よだれが増える、口臭がきつくなるなどの症状も見られます。

 

2. 消化器系の病気

 

炎症性腸疾患(IBD) 腸に慢性的な炎症が起こり、栄養の吸収が妨げられます。下痢や嘔吐を伴うことが多いです。

 

膵炎 膵臓に炎症が起こる病気で、腹痛、嘔吐、食欲不振を引き起こします。

 

腸管リンパ腫 消化管にできる悪性腫瘍で、慢性的な下痢、嘔吐、体重減少が見られます。

 

3. 内分泌系の病気

 

甲状腺機能亢進症 中高齢猫に多い病気で、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されます。食欲はあるのに痩せる、活動的になりすぎる、攻撃的になるなどの症状が特徴です。

 

糖尿病 インスリンの不足や作用不全により、食べているのに痩せていきます。多飲多尿も特徴的な症状です。

 

4. 腎臓・肝臓の病気

 

慢性腎臓病 猫に非常に多い病気で、腎機能が徐々に低下します。食欲不振、多飲多尿、嘔吐、体重減少が見られます。

 

肝臓病 肝機能の低下により、栄養の代謝が妨げられます。黄疸、嘔吐、食欲不振などの症状があります。

 

5. 感染症

猫白血病ウイルス(FeLV) 猫免疫不全ウイルス(FIV) これらのウイルス感染症は、免疫力を低下させ、慢性的な体重減少を引き起こします。

 

6. 寄生虫

腸内寄生虫(回虫、条虫など)は、栄養を奪い、下痢や嘔吐を引き起こします。特に子猫や外出する猫に多く見られます。

 

7. 悪性腫瘍(がん)

さまざまな臓器にできる腫瘍は、食欲不振や代謝の異常を引き起こし、急速な体重減少につながります。

 

 

痩せていると感じたら:病院での検査

 

愛猫が痩せてきたと感じたら、できるだけ早く動物病院を受診することをおすすめします。早期発見・早期治療が、猫の健康を守る最善の方法です。

 

病院で行われる主な検査

 

1. 身体検査

獣医師が猫の全身を触診し、以下をチェックします。

  • 体重測定とボディコンディションスコアの評価
  • 被毛や皮膚の状態
  • リンパ節の腫れ
  • 腹部の触診(臓器の大きさや異常)
  • 体温、心拍数、呼吸数の測定

2. 口腔内検査(歯科検査)

口の中を詳しく調べ、以下を確認します。

  • 歯周病や歯肉炎の有無
  • 歯石の蓄積
  • 口内炎や潰瘍
  • 歯の破損や脱落
  • 口臭の程度

場合によっては、鎮静下での詳しい歯科検査が必要になることもあります。

 

3. 血液検査

血液検査は、内臓の機能や全身の健康状態を把握する重要な検査です。

 

血球計算(CBC)

  • 赤血球数:貧血の有無
  • 白血球数:感染症や炎症の有無
  • 血小板数:出血傾向の有無

生化学検査

  • 肝酵素(ALT、AST):肝臓の機能
  • 腎臓マーカー(BUN、クレアチニン、SDMA):腎機能
  • 血糖値:糖尿病の有無
  • 総タンパク、アルブミン:栄養状態、肝機能
  • 電解質:脱水や内分泌異常

甲状腺ホルモン測定(T4) 特に中高齢猫では、甲状腺機能亢進症を調べるために重要です。

 

4. 尿検査

腎臓病や糖尿病、尿路感染症などを調べます。尿比重、尿糖、尿タンパク、pH値などを測定します。

 

5. 画像検査

必要に応じて、以下の画像検査が行われます。

 

レントゲン検査 胸部や腹部の臓器の大きさや形、異常な影などを確認します。

 

超音波検査(エコー) 臓器の内部構造をより詳しく観察できます。腫瘍や臓器の異常を発見しやすい検査です。

 

6. その他の検査

症状や初期検査の結果に応じて、以下のような追加検査が必要になることがあります。

  • 感染症検査(FeLV、FIV検査)
  • 便検査(寄生虫検査)
  • 細胞診や生検
  • 内視鏡検査

 

病院受診時の準備

スムーズな診察のために、以下の情報を整理しておきましょう。

  1. いつから痩せてきたか(具体的な期間)
  2. 最近の体重の変化(可能なら数値で)
  3. 食欲や食事量の変化
  4. 飲水量の変化
  5. 排泄の状態(頻度、量、色、硬さ)
  6. 嘔吐や下痢の有無と頻度
  7. 行動の変化(元気がない、隠れるなど)
  8. 与えているフードの種類と量
  9. 最近の環境の変化

 

健康的な体重を保つための日常ケア

 

定期的な体重測定

月に1回程度、同じ条件で体重を測定し、記録しましょう。体重計に乗らない猫の場合は、キャリーバッグに入れて測定し、後でキャリーの重さを引く方法もあります。

 

適切なフード選び

猫のライフステージ(子猫、成猫、高齢猫)や健康状態に合わせた、高品質なフードを選びましょう。主原料が肉や魚などの動物性タンパク質であることが重要です。

 

ストレスの少ない環境づくり

  • 静かで落ち着いて食事ができる場所の確保
  • 清潔なトイレの維持
  • 適度な運動と遊びの時間
  • 安心できる隠れ場所の提供

定期的な健康診断

年に1回(高齢猫は年に2回)の健康診断を受けることで、病気の早期発見につながります。

 

 

まとめ

 

猫の痩せすぎは、見た目の変化だけでなく、触った感触や体重の数値から判断できます。痩せすぎは免疫力の低下や臓器機能への影響など、さまざまな健康リスクを伴います。

痩せる原因は、フードの問題や環境ストレスから、口腔内疾患、内臓疾患、内分泌疾患まで多岐にわたります。愛猫が痩せてきたと感じたら、自己判断せず、できるだけ早く動物病院を受診し、血液検査や歯科検査などの適切な検査を受けることが大切です。

早期発見・早期治療により、多くの病気は改善できます。日頃から愛猫の体型や体重、食欲、行動をよく観察し、小さな変化も見逃さないようにしましょう。愛猫の健康で幸せな生活のために、飼い主としてできる最善のケアを心がけたいものです。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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