猫が痩せる病気とは?体重減少の原因と対処法を徹底解説
はじめに
愛猫の体重が減ってきたことに気づいたとき、飼い主として心配になるのは当然のことです。猫の体重減少は、単なる食欲不振だけでなく、重大な病気のサインである可能性があります。本記事では、猫が痩せる原因となる病気や、病気以外の理由、そして適切な対処法について詳しく解説します。
猫の体重減少に気づくポイント
まず、猫が痩せているかどうかを判断する方法を知っておきましょう。以下のようなサインが見られたら、体重減少が起きている可能性があります。
- 肋骨や背骨が触ったときに明確に感じられる
- 腰のくびれが極端に目立つようになった
- 上から見たときに砂時計のような体型になっている
- 毛艶が悪くなり、被毛が薄くなった
- 以前より明らかに体が小さく見える
定期的に体重を測定し、記録をつけることで、わずかな変化にも気づくことができます。成猫の場合、1ヶ月で体重の5%以上減少した場合は注意が必要です。
猫が痩せる原因となる主な病気
1. 甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、特に高齢猫(7歳以上)に多く見られる病気です。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、代謝が異常に活発になります。
主な症状
- 食欲は旺盛なのに体重が減少する
- 活動量の増加、落ち着きのなさ
- 水を多く飲む
- 嘔吐や下痢
- 毛並みの悪化
この病気は血液検査で診断でき、投薬治療や食事療法で管理することが可能です。早期発見・早期治療が重要で、放置すると心臓や腎臓に負担をかけることになります。
2. 慢性腎臓病(腎不全)
慢性腎臓病は猫に非常に多い病気で、特に高齢猫の死因の上位を占めています。腎臓の機能が徐々に低下し、老廃物を体外に排出できなくなります。
主な症状
- 徐々に進行する体重減少
- 多飲多尿
- 食欲不振
- 嘔吐
- 口臭(アンモニア臭)
- 元気消失
慢性腎臓病は完治が難しい病気ですが、早期に発見して適切な治療を行えば、進行を遅らせて生活の質を維持することができます。
3. 糖尿病
猫の糖尿病は、インスリンの分泌不足や作用不足により、血糖値が高い状態が続く病気です。肥満猫に多いとされていますが、進行すると急激に痩せることがあります。
主な症状
- 食欲はあるのに体重が減る
- 多飲多尿
- 後ろ足の筋力低下(踵をつけて歩く)
- 毛並みの悪化
- 無気力
インスリン注射や食事管理により、多くの猫で血糖値のコントロールが可能です。
4. 消化器疾患(炎症性腸疾患、膵炎など)
消化器系の病気は、栄養の吸収不良を引き起こし、体重減少につながります。
炎症性腸疾患(IBD)の症状
- 慢性的な下痢や嘔吐
- 食欲不振または食欲のムラ
- 体重減少
- 腹部の不快感
膵炎の症状:
- 急性または慢性の腹痛
- 嘔吐
- 食欲不振
- 脱水
- 体重減少
これらの疾患は、血液検査、画像診断、場合によっては内視鏡検査や生検で診断されます。
5. がん(悪性腫瘍)
リンパ腫や消化器系のがんなど、様々な種類のがんが猫の体重減少を引き起こす可能性があります。
主な症状
- 進行性の体重減少
- 食欲不振
- 嘔吐や下痢
- しこりや腫れ
- 元気消失
- 発熱
がんの種類や進行度により、治療法や予後は大きく異なります。早期発見が重要です。
6. 歯科疾患・口内炎
重度の歯周病や口内炎は、痛みのために食事を十分に摂取できなくなり、体重減少につながります。
主な症状
- 食べたそうにするが食べられない
- 口臭
- よだれが多い
- 口周りを気にする
- 食べ物を落とす
定期的な歯科ケアと、症状が出た場合の早期治療が重要です。
7. 肝臓疾患(肝リピドーシスなど)
肝リピドーシス(脂肪肝)は、何らかの理由で食欲不振が続き、肝臓に脂肪が蓄積する病気です。特に肥満猫が急激に痩せたときに発症しやすくなります。
主な症状
- 急激な体重減少
- 重度の食欲不振
- 黄疸(白目や歯茎が黄色くなる)
- 嘔吐
- 元気消失
早期治療が非常に重要で、数日間食べないだけでも発症する可能性があるため、注意が必要です。
8. 寄生虫感染
腸内寄生虫(回虫、条虫など)は、特に子猫や若い猫で栄養の吸収を妨げ、体重減少を引き起こすことがあります。
主な症状
- 体重減少または成長不良
- お腹が膨らんでいる
- 下痢(血便を伴うこともある)
- 嘔吐
- 被毛の状態悪化
定期的な駆虫薬の投与で予防・治療が可能です。
9. 心臓病
慢性的な心臓病も、食欲不振や代謝の変化により体重減少を引き起こすことがあります。
主な症状
- 呼吸困難
- 運動不耐性(すぐに疲れる)
- 食欲不振
- 咳(猫では稀)
- チアノーゼ(舌や歯茎が青紫色になる)
定期的な健康診断で早期発見することが大切です。
10. 感染症(猫免疫不全ウイルス、猫白血病ウイルスなど)
ウイルス感染症は免疫力を低下させ、二次的な感染症や病気を引き起こし、体重減少につながることがあります。
主な症状
- 慢性的な体重減少
- 繰り返す感染症
- 口内炎
- リンパ節の腫れ
- 貧血
予防にはワクチン接種が有効です。感染が確認された場合は、対症療法や免疫力をサポートする治療が行われます。
病気以外で猫が痩せる理由
体重減少の原因は病気だけではありません。日常生活の中にも、猫が痩せる要因が潜んでいます。
1. フードの好き嫌い・フードの変更
猫は非常にグルメな動物で、フードの好き嫌いが激しい子も少なくありません。
よくあるケース
- 突然今までのフードを食べなくなった
- フードを変更したら食べる量が減った
- 特定のフレーバーや食感を嫌う
- 新鮮でないフードを拒否する
フードの保存状態が悪く酸化していたり、開封後長期間経過していると、味や香りが変わって食べなくなることもあります。また、猫は温度にも敏感で、冷蔵庫から出したばかりの冷たいフードを嫌う傾向があります。
2. 家庭環境の変化によるストレス
猫はストレスに非常に敏感な動物です。環境の変化が食欲不振や体重減少を引き起こすことがあります。
ストレスの原因となる環境変化
- 引っ越しや模様替え
- 新しい家族(人やペット)の追加
- 家族構成の変化(同居人が減る、家を出る)
- 飼い主の生活パターンの変化(在宅勤務から出社へ、など)
- 工事音などの騒音
- 来客が増えた
これらの変化により、猫は不安を感じて食欲が低下することがあります。環境を整え、安心できる場所を提供することが大切です。
3. 多頭飼育での競争・いじめ
複数の猫を飼っている場合、食事時の競争や他の猫からのいじめにより、十分に食事が摂れないことがあります。
注意すべきポイント
- 食事場所で他の猫に邪魔される
- 支配的な猫が複数の食器を独占する
- 弱い立場の猫が食事の機会を逃す
- ストレスによる食欲低下
それぞれの猫に個別の食事スペースを用意し、ゆっくり食べられる環境を作ることが重要です。
4. 加齢による食欲や代謝の変化
高齢猫(11歳以上)は、加齢に伴い嗅覚や味覚が衰え、食欲が低下することがあります。また、歯の問題で硬いフードが食べづらくなることもあります。
ただし、高齢だからといって体重減少を「年のせい」と決めつけるのは危険です。高齢猫は病気のリスクも高いため、体重減少が見られたら必ず動物病院で診察を受けましょう。
5. 季節による食欲の変動
夏場の暑い時期は、猫も人間と同様に食欲が落ちることがあります。ただし、短期的で軽度な変化であれば問題ありませんが、著しい体重減少が見られる場合は注意が必要です。
6. フードの量や質の問題
- 与えているフードの量が少なすぎる
- 活動量に対してカロリーが不足している
- 低品質なフードで栄養が不足している
- 子猫や若猫に成猫用フードを与えている
成長期の猫や活動的な猫は、より多くのカロリーを必要とします。適切な量と質のフードを与えることが重要です。
原因を特定するためには病院での検査が最も確実
猫の体重減少の原因は多岐にわたるため、自己判断は危険です。動物病院での専門的な検査が原因特定の最も確実な方法です。
動物病院で行われる主な検査
1. 身体検査
- 体重測定
- 体温、心拍数、呼吸数の確認
- 全身の触診(リンパ節、腹部、しこりの有無など)
- 口腔内検査
- 被毛や皮膚の状態確認
2. 血液検査
- 一般血球計算(CBC):貧血、感染、炎症の有無
- 生化学検査:肝臓、腎臓、血糖値、電解質など
- 甲状腺ホルモン測定
- 膵特異的リパーゼ(膵炎の検査)
- ウイルス検査(FIV、FeLVなど)
3. 尿検査
- 腎臓機能の評価
- 糖尿病の確認
- 尿路感染症の有無
4. 画像診断
- X線検査:胸部や腹部の異常、腫瘍、臓器の大きさ
- 超音波検査:内臓の詳細な観察、腫瘍の有無
- CT/MRI:より詳細な検査が必要な場合
5. 糞便検査
- 寄生虫の有無
- 消化不良の確認
6. その他の専門検査
- 内視鏡検査
- 生検(組織検査)
- 特殊な血液検査
受診時に伝えるべき情報
動物病院を受診する際は、以下の情報を整理しておくとスムーズです。
- いつから体重が減り始めたか
- どのくらいの体重減少があったか
- 食欲の状態(食べる量、食べ方の変化)
- 飲水量の変化
- 排泄の状態(尿や便の回数、量、色、固さ)
- 嘔吐や下痢の有無
- 行動の変化(活動量、性格の変化)
- 環境の変化(引っ越し、新しいペットなど)
- 与えているフードの種類と量
日頃から愛猫の様子を観察し、記録をつけておくことをおすすめします。スマートフォンで体重を記録したり、気になる症状を動画で撮影しておくと、獣医師への説明がしやすくなります。
様子見は危険!早めの診断と対処が重要
「少し痩せただけだから様子を見よう」「そのうち食べるようになるだろう」と考えて放置するのは非常に危険です。
早期受診が重要な理由
1. 病気の早期発見・早期治療 多くの病気は、早期に発見して治療を始めるほど、予後が良くなります。特に甲状腺機能亢進症や糖尿病、初期のがんなどは、早期治療により管理や完治が可能な場合があります。
2. 急速な悪化の防止 肝リピドーシスのように、数日食べないだけで発症する危険な病気もあります。「少しくらい大丈夫」という考えが、命に関わる事態を招くこともあります。
3. 苦痛の軽減 病気が進行すると、猫は痛みや不快感を感じています。早期に治療を始めることで、猫の苦痛を最小限に抑えることができます。
4. 治療の選択肢の確保 病気が進行してしまうと、治療の選択肢が限られてしまいます。早期であれば、より多くの治療法から選択でき、成功率も高くなります。
5. 二次的な問題の予防 一つの病気が他の臓器に負担をかけ、連鎖的に問題を引き起こすことがあります。早期治療により、こうした二次的な問題を予防できます。
すぐに受診すべき緊急のサイン
以下の症状が見られた場合は、緊急性が高いため、すぐに動物病院を受診してください。
- 24時間以上全く食べない、または水を飲まない
- 急激な体重減少(数日で明らかに痩せた)
- 繰り返す嘔吐や下痢
- 呼吸困難や開口呼吸
- ぐったりして動かない
- 痙攣やふらつき
- 黄疸(白目や歯茎が黄色い)
- 尿が出ない
予防的な定期健診の重要性
症状が出てからではなく、健康なうちから定期的に健康診断を受けることをおすすめします。
推奨される健診頻度
- 子猫(1歳未満):成長に合わせて数回
- 成猫(1〜7歳):年1回
- シニア猫(7〜11歳):年1〜2回
- 高齢猫(11歳以上):年2回以上
定期健診により、症状が出る前の段階で病気を発見できる可能性が高まります。
まとめ:愛猫の健康を守るために
猫の体重減少は、重大な病気のサインである可能性があります。甲状腺機能亢進症、慢性腎臓病、糖尿病、消化器疾患、がんなど、様々な病気が体重減少を引き起こします。一方で、フードの好き嫌いや家庭環境の変化といった病気以外の要因も考えられます。
しかし、原因が何であれ、自己判断や様子見は禁物です。体重減少に気づいたら、できるだけ早く動物病院で診察を受け、適切な検査により原因を特定することが最も確実で安全な方法です。
早期発見・早期治療により、多くの病気は管理可能ですし、愛猫の苦痛を最小限に抑えることができます。日頃から愛猫の体重や様子を観察し、少しでも気になることがあれば、すぐに獣医師に相談しましょう。
あなたの愛猫が健康で長生きできるよう、日々のケアと定期的な健康チェックを心がけてください。猫は痛みや不調を隠す動物です。飼い主であるあなたの気づきと行動が、愛猫の命を守る鍵となります。
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