ペット飼育放棄を防ぐために知っておくべきこと|後悔しない飼い主になるための完全ガイド
近年、ペットブームの影で深刻化しているのが「飼育放棄」の問題です。かわいいペットを家族に迎えたものの、さまざまな理由で飼い続けることができなくなり、保健所や動物愛護センターに持ち込まれるケースが後を絶ちません。この記事では、ペット飼育放棄の実態と原因、そして私たちができる具体的な対策について詳しく解説します。
ペット飼育放棄の現状
日本では毎年、数万頭もの犬や猫が飼い主によって手放されています。動物愛護センターや保健所に収容された動物のうち、新しい飼い主が見つからなかった場合、残念ながら殺処分されてしまうこともあります。近年は殺処分数は減少傾向にありますが、飼育放棄そのものは依然として大きな社会問題となっています。
飼育放棄は単にペットがかわいそうというだけでなく、行政のコスト負担、動物愛護団体への過度な負担、そして何より命を預かる責任を放棄するという倫理的な問題を含んでいます。
飼育放棄が起こる主な原因
1. 高齢者の施設入居
最も深刻な理由のひとつが、飼い主の高齢化による問題です。ペットを飼い始めた時は元気だった飼い主が、10年、15年という歳月を経て高齢になり、自分自身の健康問題や介護が必要になるケースが増えています。
特に一人暮らしの高齢者が病気で入院したり、介護施設に入居することになった場合、ペットの引き取り手が見つからず、やむを得ず手放さざるを得ない状況に陥ります。多くの介護施設や病院ではペットの同伴が認められていないため、長年連れ添ったペットと離れ離れになってしまうのです。
2. 経済的な困窮
予想以上にかかるペットの飼育費用に耐えられなくなるケースも少なくありません。ペットを迎える際には、食費やトイレ用品などの日常的な費用だけを考えがちですが、実際には医療費、ワクチン代、去勢・避妊手術費用、トリミング代など、さまざまな出費が発生します。
特に突発的な病気や怪我による高額な医療費は、家計に大きな打撃を与えることがあります。また、飼い主自身の失業や収入減少により、ペットの飼育を続けることが経済的に難しくなることもあります。
3. 引っ越し先がペット不可物件
転勤や結婚、離婚などのライフイベントによる引っ越しで、新居がペット不可物件だったために飼育を断念するケースも多く見られます。特に賃貸住宅に住んでいる場合、ペット可物件は数が限られており、家賃も高めに設定されていることが多いため、経済的な理由と複合的に作用することもあります。
4. その他の理由
上記以外にも、「思っていたより世話が大変だった」「アレルギーが発覚した」「鳴き声や臭いで近隣トラブルになった」「大きくなりすぎた」「家族が増えて飼えなくなった」など、さまざまな理由で飼育放棄が起こっています。
ペット飼育放棄を防ぐための具体的な対策
対策1:ライフプランを考慮したペット選び
ペットを迎える前に、必ず自分のライフプランとペットの寿命を照らし合わせて考えましょう。
猫の平均寿命は約15年、犬は犬種にもよりますが12〜15年程度です。 仮に60歳で子猫を迎えた場合、その猫が天寿を全うする頃には飼い主は75歳前後になります。その年齢でも責任を持って世話ができるか、もし自分に何かあった時に引き取ってくれる人がいるか、真剣に考える必要があります。
特に高齢の方がペットを迎える場合は、以下の選択肢を検討してみてください:
- 成猫・成犬を迎える:保護猫・保護犬の中には5歳以上の落ち着いた子もいます
- 小型で世話がしやすい種類を選ぶ:体力的な負担を考慮して選びましょう
- 家族や親族と事前に相談する:万が一の時の受け皿を確保しておきましょう
対策2:飼育費用の現実を知っておく
ペットを飼うには、想像以上にお金がかかります。迎える前に、生涯でどれくらいの費用が必要か把握しておくことが重要です。
猫の場合、生涯で約150万円〜250万円の飼育費用がかかると言われています。 内訳は以下の通りです:
- 初期費用(ワクチン、去勢・避妊手術、ケージ、食器など):5〜10万円
- 年間費用(フード、トイレ砂、ワクチン、健康診断など):10〜15万円
- 医療費(病気や怪我の治療費):数万円〜数十万円(病気によって大きく変動)
犬の場合はさらに費用がかかり、生涯で約250万円〜500万円が目安です。 特に大型犬は食費が高額になるほか、病気の際の治療費も高くなる傾向があります。
これらの費用を15年間継続的に支払い続けられるか、緊急時の医療費に対応できる貯蓄があるか、よく考えてから迎えましょう。ペット保険への加入も検討する価値があります。
対策3:住まいの問題をクリアにする
「引っ越し先がペット不可だから」という理由で、大切な家族同然のペットを手放すくらいなら、最初から飼わないでください。 これは非常に厳しい言い方かもしれませんが、命を預かる責任とはそういうものです。
ペットを迎える前に、以下の点を確認しておきましょう:
- 現在の住まいがペット飼育可能か:賃貸の場合は必ず契約書を確認
- 将来の転勤や引っ越しの可能性:その場合もペット可物件を探す覚悟があるか
- 家族全員の同意:全員がペットとの暮らしに責任を持てるか
もし転勤が多い職業の方や、近い将来引っ越しの予定がある方は、ペットを迎えるタイミングを見直すか、どんな状況でも手放さないという強い覚悟を持つことが必要です。
対策4:勢いで飼わない、よく考えてから決断する
ペットショップでかわいい子犬や子猫を見て、衝動的に「飼いたい!」と思ってしまうこともあるでしょう。SNSで人気のペット動画を見て憧れることもあるかもしれません。
しかし、ペットを飼うという決断は、決して勢いでしてはいけません。 以下のような現実をしっかりと理解してから決めましょう:
- 毎日の世話が必要:食事、トイレ掃除、散歩(犬の場合)は欠かせません
- 夜泣きや早朝の世話:特に幼い頃は睡眠時間が削られることも
- 旅行や外出の制限:長期間家を空けることが難しくなります
- 抜け毛や臭いの問題:掃除の頻度が増えます
- しつけの時間と労力:思い通りにいかないことも多々あります
- 病気や介護の可能性:高齢になれば介護が必要になることも
これらすべてを受け入れ、それでも最期まで責任を持って世話をする覚悟があるか、家族でよく話し合ってから決めてください。
対策5:終生飼育の責任を深く理解する
動物愛護法では、「動物の所有者は、その動物が命を終えるまで適切に飼養する責任がある」と明記されています。これを「終生飼育の責任」と言います。
終生飼育とは、ペットを迎えたその日から、その子が天寿を全うするまで、どんな状況になっても責任を持って世話をし続けることを意味します。
- 病気になっても見捨てない
- 高齢になって介護が必要になっても世話をする
- 経済的に苦しくても、自分の生活を切り詰めてでも飼育を続ける
- 引っ越しが必要になっても、ペット可物件を探す努力をする
これらすべてを覚悟できない限り、ペットを迎えるべきではありません。
それでも飼えなくなった時の適切な対処法
どんなに覚悟を持って迎えても、予期せぬ事態で飼育継続が困難になることもあるかもしれません。そんな時でも、決して捨てたり、無責任な形で手放したりしてはいけません。
適切な対処法
- 家族・親族・友人に相談する:まずは身近な人に引き取りを相談しましょう
- 動物愛護団体に連絡する:保護団体が新しい飼い主を探してくれることがあります
- 獣医師に相談する:かかりつけの獣医師が里親探しの情報を持っていることも
- SNSや里親募集サイトを活用する:責任を持って適切な里親を探しましょう
決して、公園や山に捨てる、保健所に匿名で持ち込むなどの無責任な行動をとってはいけません。
まとめ:後悔しないペットライフのために
ペット飼育放棄を防ぐためには、飼い主一人ひとりの意識と覚悟が何より大切です。
ペットを迎える前にチェックすべきポイント:
✓ 自分の年齢とペットの寿命を考慮したか
✓ 生涯で150万円〜500万円の費用を負担できるか
✓ 現在と将来の住環境でペット飼育が可能か
✓ 家族全員が同意し、協力できる体制があるか
✓ 毎日の世話を15年間続けられる自信があるか
✓ 終生飼育の責任を理解し、覚悟できているか
これらすべてに自信を持って「はい」と答えられる時、初めてペットを迎える準備ができたと言えるでしょう。
ペットは私たちに無償の愛と癒しを与えてくれる、かけがえのない家族です。その小さな命に対して、最期まで責任を持つことが、飼い主としての最低限の義務であり、愛情の証です。
勢いではなく、深い覚悟と責任感を持ってペットを迎えること。それが、飼育放棄をゼロにするための第一歩です。あなたとペットが、最期まで幸せに暮らせることを心から願っています。
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