エシカル消費とは?わかりやすく解説|買い物で未来を変える方法
エシカル消費とは
エシカル消費とは、環境や社会に配慮した商品やサービスを選んで購入する消費行動のことです。英語の「Ethical(倫理的な)」が語源で、私たち一人ひとりが日々の買い物を通じて、より良い社会づくりに貢献できるという考え方に基づいています。
従来の消費行動では、価格や品質、デザインなどが購入の主な判断基準でした。しかしエシカル消費では、それらに加えて「この商品はどのように作られたのか」「環境への影響はどうか」「生産者は適正な対価を得ているか」といった背景にも目を向けます。
つまり、エシカル消費とは買い物という日常的な行為を通じて、自分が理想とする未来を実現するための選択なのです。
エシカル消費が注目される理由
近年、エシカル消費が世界中で注目を集めています。その背景には、気候変動や環境破壊、貧困や人権問題など、地球規模の課題が深刻化していることがあります。
国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、企業だけでなく消費者も行動を変える必要性が認識されるようになりました。特に若い世代を中心に、自分の価値観に合った消費をしたいという意識が高まっています。
日本でも消費者庁がエシカル消費の普及に力を入れており、2015年には「倫理的消費」調査研究会が設置されました。エシカル消費は、もはや一部の意識の高い人だけのものではなく、誰もが取り組むべき社会的なムーブメントになりつつあります。
エシカル消費の5つの柱
エシカル消費には、大きく分けて5つの重要な視点があります。
1. 環境への配慮
地球環境を守るための消費行動です。具体的には、プラスチック削減、CO2排出量の少ない商品の選択、再生可能エネルギーの利用、オーガニック製品の購入などが含まれます。使い捨てではなく長く使える商品を選ぶ、リサイクル・リユースを心がけることも重要です。
2. 人権・労働環境への配慮
商品を作る人々の労働環境や人権に配慮した消費です。フェアトレード商品を選ぶことで、発展途上国の生産者に適正な対価が支払われ、児童労働の防止にもつながります。また、障がい者や高齢者が作った商品を購入することも、社会的包摂を促進する行動です。
3. 地域社会への貢献
地元で生産された商品を購入する「地産地消」もエシカル消費の一つです。輸送距離が短いため環境負荷が少なく、地域経済の活性化にも貢献できます。被災地の産品を購入する「応援消費」も、地域社会を支える重要な行動です。
4. 食品ロスの削減
日本では年間約522万トン(2020年度)もの食品ロスが発生しています。これは国民一人当たり毎日お茶碗一杯分の食べ物を捨てている計算です。賞味期限が近い商品を選ぶ、食べ切れる量だけ購入する、食品ロス削減に取り組む企業やサービスを利用することで、この問題の改善に貢献できます。
5. 動物福祉への配慮
私が個人的に特に重視しているのが、この動物福祉の視点です。エシカル消費というと、環境問題や食品ロスに焦点が当たりがちですが、動物たちがどのような環境で飼育されているかという視点まで含まれていることが、この概念の素晴らしいところだと考えています。
動物福祉とは、動物が心身ともに健康で、本来の習性を発揮できる環境で飼育されることを意味します。特に食用として飼育される畜産動物の飼育環境に配慮した商品を選ぶことは、エシカル消費の重要な要素なのです。
日本の畜産動物が置かれている現状
ここで、日本の畜産動物、特に養鶏や養豚の現状についてお話ししたいと思います。実は、日本の畜産動物の福祉水準は、欧米諸国と比較すると大きく遅れているのが現実です。
採卵鶏の現状
日本で飼育されている採卵鶏(卵を産む鶏)の約90%以上が、「バタリーケージ」と呼ばれる狭い金網のケージで飼育されています。一羽あたりのスペースはB5サイズ程度しかなく、羽を広げることも、砂浴びをすることも、止まり木に止まることもできません。
EUでは2012年にバタリーケージが全面禁止となり、アメリカの多くの州でも段階的に廃止が進んでいます。しかし日本では、まだこうした狭いケージでの飼育が主流なのです。
豚の飼育環境
妊娠した雌豚の多くは、「妊娠ストール」と呼ばれる体がやっと入る程度の狭い檻に閉じ込められています。豚は本来、知能が高く社会性のある動物ですが、この環境では方向転換すらできず、ストレスから異常行動を起こすこともあります。
EUでは妊娠ストールの使用が原則禁止されており、イギリスやスウェーデンでは完全に禁止されています。日本でも徐々に改善の動きはありますが、まだ多くの養豚場で使用されているのが実情です。
なぜこのような状況が続いているのか
日本で畜産動物の福祉が遅れている理由には、以下のような要因があります。
- 消費者の認知度が低く、動物福祉への関心が十分に高まっていない
- 生産コストを抑えて安い価格で提供することが優先されてきた
- 動物福祉に関する法規制が緩やか
- 畜産業界における従来のやり方からの転換が難しい
しかし、この状況を変えられるのは、私たち消費者の選択です。
買い物で未来を変える:畜産動物の福祉を改善するための具体的アクション
私は、日本の特に畜産動物の福祉を変えていきたいと強く願っています。そして、それは決して不可能な夢ではありません。私たち一人ひとりが日々の買い物で意識的な選択をすることで、確実に変化を起こすことができるのです。
動物福祉に配慮した商品を選ぶ
卵の選び方
卵を購入する際は、以下のような表示がある商品を選びましょう。
- 平飼い卵: 鶏が地面の上を自由に歩き回れる環境で飼育されている卵です。止まり木や砂浴び場が設置されており、鶏が自然な行動をとることができます。
- 放牧卵: 平飼いに加えて、屋外にも自由に出入りできる環境で飼育された卵です。
- アニマルウェルフェア認証卵: 第三者機関によって動物福祉基準を満たしていると認証された卵です。
スーパーマーケットでは一般的な卵に比べて価格は高めですが、1パック50円から100円程度の差です。この差額が、鶏たちのより良い生活環境につながると考えれば、決して高くはないのではないでしょうか。
肉の選び方
豚肉や鶏肉を購入する際も、同様に動物福祉に配慮した商品を選びましょう。
- 放牧豚・放牧鶏: 屋外で自由に動き回れる環境で育てられた動物の肉です。
- アニマルウェルフェア認証: 動物福祉の基準を満たしている農場で生産された肉です。
- ブランド肉の中にも動物福祉に配慮しているもの: 飼育方法を明示している生産者の商品を選びましょう。
動物福祉に取り組む企業・ブランドを応援する
企業の姿勢や取り組みを調査し、動物福祉に配慮している企業を積極的に応援しましょう。
先進的な取り組みをしている企業例
- ケージフリー宣言をしている企業: 一部の大手食品メーカーや飲食チェーンは、将来的にケージフリー卵のみを使用すると宣言しています。こうした企業の商品やサービスを利用することで、取り組みを後押しできます。
- 動物福祉方針を公開している企業: ウェブサイトで動物福祉への取り組みを明示している企業は、透明性があり信頼できます。
- 第三者認証を取得している生産者: アニマルウェルフェア認証や有機JAS認証などを取得している生産者の商品を選びましょう。
オンラインショップの活用
近くのスーパーで動物福祉に配慮した商品が見つからない場合は、オンラインショップを活用しましょう。平飼い卵や放牧肉を専門に扱うショップや、生産者から直接購入できるサービスもあります。
レストランやカフェの選び方
外食する際も、エシカルな選択ができます。
- 動物福祉に配慮した食材を使用していることを明示しているレストラン
- オーガニックや地産地消にこだわるカフェ
- ベジタリアンやヴィーガンのオプションが豊富な店
こうした店を利用し、SNSで紹介したり、直接店主に「動物福祉への配慮が素晴らしい」と伝えることで、さらなる取り組みを促すことができます。
消費を減らす・代替品を選ぶという選択
動物福祉に配慮した畜産物が入手困難な場合や、より根本的なアプローチとして、以下のような選択肢もあります。
- 量を減らす: 肉や卵の消費量を減らし、野菜や豆類、穀物を増やす「フレキシタリアン」という食生活も、動物への負担を減らす一つの方法です。
- 植物性代替品: 大豆ミートや植物性ミルク、オーツミルクなど、植物由来の代替品も充実してきています。完全に切り替えなくても、週に数回取り入れるだけでも違います。
動物福祉以外のエシカル消費の実践方法
動物福祉への配慮は私の最優先事項ですが、もちろん他のエシカル消費の視点も大切です。日常生活で実践できる具体的な方法をご紹介します。
環境に配慮した買い物
- エコバッグを持参: レジ袋を断り、繰り返し使える袋を使用しましょう。
- マイボトル・マイカップ: 使い捨てペットボトルやカップを減らすことができます。
- 詰め替え商品: シャンプーや洗剤は詰め替え用を購入し、容器を繰り返し使いましょう。
- 長く使える商品: 安価で使い捨てのものではなく、修理しながら長く使える質の良い商品を選びましょう。
- リサイクル素材の商品: ペットボトルや海洋プラスチックから作られた商品など、リサイクル素材を使用した商品を選びましょう。
食品ロスを減らす
- 賞味期限が近い商品を選ぶ: スーパーで棚の手前にある商品を選ぶことで、廃棄を防げます。
- 必要な量だけ購入: まとめ買いで結局使い切れないより、必要な分だけこまめに買う方が無駄になりません。
- 規格外野菜を購入: 見た目は悪くても味は変わらない野菜を積極的に購入しましょう。
- フードシェアリングサービス: 閉店間際の食品を割引価格で購入できるアプリなどを活用しましょう。
フェアトレード商品を選ぶ
- コーヒー・紅茶・チョコレート: フェアトレード認証マークがついた商品を選びましょう。
- コットン製品: フェアトレードコットンの衣類や寝具を選ぶことで、生産者を支援できます。
地産地消・応援消費
- 地元の農産物: 直売所や道の駅で地元の野菜や果物を購入しましょう。
- 被災地の産品: 被災地の復興を支援するために、その地域の商品を購入しましょう。
- 伝統工芸品: 地域の伝統を守るために、職人が作った商品を購入しましょう。
エシカル消費を実践するための心構え
エシカル消費を始める際に大切なのは、完璧を目指さないことです。すべての買い物を100%エシカルにすることは難しいですし、そのハードルの高さが実践を妨げてしまっては本末転倒です。
できることから始める
まずは自分が特に関心のある分野から始めてみましょう。私のように動物福祉に関心があるなら卵や肉の選び方を変えることから、環境問題に関心があるならプラスチック削減から、といった具合です。
小さな一歩でも、続けることで大きな変化につながります。
情報を集め、学び続ける
エシカル消費の分野は常に進化しています。新しい認証制度ができたり、企業の取り組みが変わったりします。SNSやウェブサイト、ニュースなどから情報を得て、学び続けることが大切です。
周りに伝える
自分だけが実践するのではなく、家族や友人にもエシカル消費について話してみましょう。押し付けるのではなく、自分がなぜその選択をしているのか、どんな良いことがあるのかを共有することで、少しずつ輪が広がっていきます。
企業にフィードバックする
良い取り組みをしている企業には感謝のメッセージを送り、改善してほしい点があれば建設的な意見を伝えましょう。消費者の声は企業にとって重要なフィードバックとなり、変化を促す力になります。
私たちの選択が未来を作る
エシカル消費は、単なる買い物の方法ではありません。それは「どんな未来を作りたいか」という意思表示です。
私たちが動物福祉に配慮した卵を選ぶとき、それは「動物たちがより良い環境で暮らせる社会を望んでいる」というメッセージになります。環境に配慮した商品を選ぶとき、それは「持続可能な地球を次世代に残したい」という意思表示です。
企業は消費者の需要に応じて商品を開発し、生産方法を変えていきます。つまり、私たち一人ひとりの選択が積み重なることで、市場全体が変わり、社会が変わっていくのです。
私は日本の畜産動物、特に養鶏や養豚の環境を変えていきたいと願っています。すべての動物が、本来の習性を発揮できる環境で生きられる社会を実現したいのです。
そのために、私は今日も平飼い卵を選び、動物福祉に配慮した肉を購入します。そして、同じ思いを持つ人たちとつながり、情報を共有し、企業に働きかけます。
あなたも、今日の買い物から始めてみませんか?
完璧である必要はありません。週に一度だけでも、月に一度だけでも、エシカルな選択をすることで、確実に変化は起こります。
一人の力は小さいかもしれません。しかし、その小さな選択が集まれば、社会を動かす大きな力になります。買い物という日常的な行為を通じて、私たちは理想の未来を作り出すことができるのです。
まとめ:エシカル消費で実現したい未来
エシカル消費とは、環境、人権、地域社会、食品ロス、そして動物福祉に配慮した買い物を通じて、より良い社会を実現する取り組みです。
特に私が注目しているのは、動物福祉の視点です。日本の畜産動物の飼育環境は欧米と比較して遅れており、多くの動物が狭い檻の中で一生を過ごしています。しかし、私たちが動物福祉に配慮した商品を選び、それを支持する企業を応援することで、この状況を変えることができます。
エシカル消費は難しいことではありません。今日から、できることから始めてみましょう。
- 平飼い卵や放牧肉を選ぶ
- 動物福祉に取り組む企業を応援する
- 食品ロスを減らす
- 環境に配慮した商品を選ぶ
- 地元の生産者を支援する
あなたの選択が、未来を変えます。
私たちの毎日の小さな選択が積み重なることで、動物たちがより良い環境で暮らせる社会、環境が守られる社会、すべての人が尊重される社会を実現できるのです。
今日からエシカル消費を始めて、理想の未来を一緒に作っていきましょう。
古着買取、ヴィーガン食品やペットフードの買い物で支援など皆様にしてもらいたいことをまとめています。
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