猫スペースきぶん屋 猫スペースきぶん屋

犬のネグレクトを見つけたら?通報先と判断基準を徹底解説

犬 ネグレクト 通報

 

 

近所で痩せ細った犬を見かけた、いつも散歩に連れて行かれていない様子の犬がいる——。そんな光景を目にして、心を痛めたことはありませんか。犬のネグレクト(飼育放棄)は立派な動物虐待であり、動物愛護法で禁止されている行為です。

 

しかし、「どこまでがネグレクトなのか」「通報すべきか迷う」「通報したら近所トラブルにならないか心配」といった不安から、行動に移せない方も多いのが現実です。

 

この記事では、犬のネグレクトの具体的な基準、通報先、そして通報時の注意点について詳しく解説します。一匹でも多くの犬が適切な飼育環境で暮らせるよう、正しい知識を身につけましょう。

 

 

犬のネグレクトとは?具体的な基準を知ろう

 

ネグレクトとは、飼い主が飼育責任を放棄し、犬に必要な世話を怠ることを指します。では、具体的にどのような状態がネグレクトに該当するのでしょうか。

 

 

食事・水の不足

最も基本的な飼育義務である給餌と給水を怠ることは、明らかなネグレクトです。

  • 骨が浮き出るほど痩せている
  • 水入れが空のまま放置されている
  • 食べ物が何日も与えられていない様子
  • 成長期の子犬なのに極端に小さい

特に夏場、水が与えられていない状態は命に関わります。犬の体重が通常より20%以上減少している場合は、深刻な栄養不足の可能性があります。

 

 

不衛生な飼育環境

犬の健康を保つには、清潔な環境が不可欠です。以下のような状態は問題があります。

  • 糞尿が何日も片付けられず、悪臭が漂っている
  • 犬小屋が壊れたまま放置され、雨風をしのげない
  • 長期間シャンプーされず、毛玉だらけで皮膚病になっている
  • ノミやダニが大量発生している
  • 寝床が濡れたまま、または糞尿まみれ

 

医療ケアの欠如

病気や怪我をしているのに治療を受けさせないことも、ネグレクトに該当します。

  • 明らかに怪我をしているのに放置されている
  • 皮膚病や目の病気が悪化している
  • 爪が伸びすぎて歩行に支障が出ている
  • 必要な予防接種やワクチン接種を受けていない
  • 老犬なのに適切な介護がされていない

 

不適切な飼育方法

犬の習性や身体的特徴を無視した飼育も問題です。

  • 短いチェーンや鎖で常に繋がれ、ほとんど動けない
  • 狭いケージに長時間閉じ込められている
  • 極端な暑さや寒さから保護されていない
  • 散歩にほとんど連れて行かれない(運動不足)
  • 社会化の機会が全くない

 

精神的ネグレクト

身体的な世話だけでなく、犬の精神的な健康も重要です。

  • 長期間、人との交流がほとんどない
  • 常に吠えているのに対応されない
  • 遊びや刺激が全くない環境
  • 多頭飼育崩壊で個別のケアができていない

 

動物愛護法での位置づけと罰則

 

犬のネグレクトは、「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)」で明確に禁止されています。

 

動物愛護法第44条

動物愛護法第44条では、愛護動物に対する虐待や遺棄について規定しています。

 

第2項(虐待)では、愛護動物に対して、みだりに給餌・給水をやめ、酷使するなど衰弱させる行為は虐待とみなされます。ネグレクトはこの条項に該当し、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

 

第3項(遺棄)では、愛護動物を遺棄した者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

 

 

動物愛護法第7条(動物の所有者等の責務)

飼い主には以下の責務があると定められています。

  • 動物の健康と安全を保持する
  • 動物の種類や習性に応じて適正に飼養・保管する
  • 動物の感染症の予防に配慮する
  • 周辺環境の保全に配慮する
  • 動物が自己の所有であることを明らかにする(マイクロチップ等)

これらの責務を怠ることは、法律違反となる可能性があります。

 

 

近年の法改正で厳罰化

2020年の動物愛護法改正により、罰則が大幅に強化されました。以前は虐待に対する罰則が「100万円以下の罰金」のみでしたが、現在は懲役刑も科される可能性があります。

 

これは、動物の命を守ることへの社会的関心が高まり、より厳格な対応が求められるようになった証です。

 

 

犬のネグレクトを発見したときの通報先

 

では、実際にネグレクトの疑いがある犬を見つけた場合、どこに通報すればよいのでしょうか。

 

1. 最寄りの保健所・動物愛護センター

最も一般的な通報先は、各自治体の保健所または動物愛護センターです。

 

保健所には動物愛護に関する相談窓口があり、通報を受け付けています。通報を受けると、職員が現地調査を行い、飼い主への指導や改善命令を出すことができます。

 

連絡する際に伝えるべき情報

  • 犬がいる場所の詳細な住所
  • ネグレクトと思われる具体的な状況
  • いつから気づいているか
  • 犬の様子(痩せている、怪我をしているなど)
  • 可能であれば写真や動画

匿名での通報も可能ですが、詳細な情報提供のため連絡先を伝えることが推奨されます。

 

 

2. 警察(110番または最寄りの警察署)

緊急性が高い場合や、明らかな虐待行為を目撃した場合は、警察に通報することも有効です。

特に以下のようなケースでは警察への通報を検討してください。

  • 犬が瀕死の状態
  • 暴力的な虐待を目撃した
  • 飼い主が改善指導に従わない
  • 複数回の通報にも関わらず状況が改善されない

動物愛護法違反は刑事事件として扱われるため、警察には捜査権限があります。

 

 

3. 動物愛護団体・NPO

各地域には、動物保護活動を行うNPO法人や動物愛護団体があります。これらの団体は、ネグレクトケースに関する豊富な経験と知識を持っています。

  • 公益社団法人日本動物福祉協会
  • 公益財団法人日本動物愛護協会
  • 各地域の動物保護団体

これらの団体に相談すると、適切な通報先のアドバイスや、場合によっては直接介入してくれることもあります。

 

 

4. 地域の自治会・町内会

すぐに行政や警察に通報することが難しい場合や、まず穏便に解決したい場合は、自治会や町内会に相談する方法もあります。

地域のコミュニティを通じて飼い主に注意を促すことで、事態が改善されることもあります。ただし、深刻なケースでは専門機関への通報が必要です。

 

 

複数の窓口に相談することも有効

一つの窓口に通報しても対応が遅い場合や、改善が見られない場合は、複数の機関に相談することも検討しましょう。保健所、警察、動物愛護団体に同時に相談することで、より迅速な対応が期待できます。

 

 

通報時の注意点:近所トラブルを避けるために

 

犬のネグレクトを通報することは正しい行為ですが、やり方を間違えると近隣トラブルに発展する可能性があります。以下の点に注意しましょう。

 

 

証拠を記録しておく

感情的に通報するのではなく、客観的な証拠を集めることが重要です。

  • 日時を記録した写真や動画
  • ネグレクトの状況を記録した日記やメモ
  • 悪臭や騒音がある場合はその記録
  • 複数回にわたる観察記録

証拠があることで、通報の信憑性が高まり、行政も動きやすくなります。

 

 

直接対決は避ける

気持ちはわかりますが、飼い主に直接苦情を言うことは避けましょう。

  • 感情的な対立に発展しやすい
  • 報復行為を受ける可能性
  • かえって犬の状況が悪化することも
  • 法的な問題に発展する恐れ

まずは専門機関に相談し、適切な手続きを踏むことが大切です。

 

 

匿名通報を活用する

身元を明かさずに通報できる匿名通報の利用も検討しましょう。多くの保健所や動物愛護センターでは、匿名での通報を受け付けています。

ただし、匿名の場合は追加情報の提供が難しくなるため、最初の通報でできるだけ詳細な情報を伝えることが重要です。

 

 

継続的な観察と複数回の通報

一度の通報で改善されないこともあります。状況を継続的に観察し、改善が見られない場合は複数回通報することも必要です。

「以前○月○日に通報したが改善されていない」といった情報は、行政の対応を促す材料になります。

 

 

感情的にならず冷静に

動物への虐待を見るのはつらいことですが、通報時は冷静さを保つことが重要です。感情的な通報は、かえって信頼性を損なう可能性があります。

事実を淡々と伝え、専門家の判断に委ねる姿勢が大切です。

 

 

現実の課題:法律だけでは救えない命

 

ここまで、犬のネグレクトの基準や通報方法について解説してきました。しかし、正直に申し上げて、現行の制度には限界があります。

 

 

常識のない飼い主の存在

残念ながら、一定数の人間は動物を「物」としか考えていません。命あるものへの責任や愛情を理解できない人が、安易にペットを飼ってしまう現実があります。

 

個人的な意見ですが、そういった常識のない人間にはペットを飼ってほしくありません。しかし、そういう人がこの記事を読むはずもなく、啓発だけでは限界があるのが現実です。

 

 

動物愛護法の規制強化が必要か

となると、やはり動物愛護法でさらに規制を強めるしかないのでしょうか。

近年の法改正で罰則は強化されましたが、それでもネグレクトや虐待はなくなりません。より厳格な飼育基準や、違反者への厳罰化が必要かもしれません。

 

一部の自治体では、多頭飼育の届出制度や、飼育前の講習会受講を義務付けるなどの取り組みが始まっています。こうした制度が全国に広がることが望まれます。

 

 

室内飼いのネグレクトは発見困難

しかし、法律を強化しても、室内で飼育されている犬のネグレクトや虐待は外から見えません。密室で行われる虐待は発見が非常に困難であり、法律で裁くことすらできないのが現実です。

 

定期的な飼育状況の確認制度や、動物病院での健康診断の義務化なども検討される必要があるかもしれません。

 

 

ペットショップの販売規制強化を

根本的な解決策として、ペットショップが誰にでも簡単に動物を販売できる現状のシステムを見直すべきではないでしょうか。

 

購入できる飼育基準を設けることを強く望みます

  • 飼育環境の事前審査
  • 飼育知識のテスト合格
  • 経済的能力の証明
  • 定期的なフォローアップ

こうした基準を設けることで、安易な購入や衝動買いを防ぎ、本当に責任を持って飼育できる人だけが動物を迎えられる仕組みが必要です。

 

ドイツなどの動物先進国では、ペット購入前の審査や講習が義務付けられています。日本でも同様の制度導入が検討されるべきでしょう。

 

 

まとめ:一匹でも多くの命を救うために

 

犬のネグレクトは、動物愛護法で禁止されている立派な犯罪です。もしネグレクトの疑いがある犬を見つけたら、ためらわず保健所や動物愛護センター、警察に通報してください。

 

通報することは決して悪いことではありません。むしろ、声をあげられない動物たちの代弁者となる勇気ある行動です。

同時に、私たち一人ひとりが動物の命の重さを認識し、安易なペット飼育を戒めることも大切です。ペットを飼うことは、一つの命に対する重大な責任を負うことに他なりません。

 

制度の不完全さや、心ない飼い主の存在に無力感を覚えることもあるでしょう。それでも、あなたの通報が一匹の犬の命を救う可能性があります。

 

すべての犬が、愛情と適切なケアを受けながら幸せに暮らせる社会を目指して、できることから始めていきましょう。

通報は勇気ある一歩です。あなたの行動が、苦しむ犬を救うかもしれません。

 

 

古着買取、ヴィーガン食品やペットフードの買い物で支援など皆様にしてもらいたいことをまとめています。
参加しやすいものにぜひ協力してください!

 

 

猫スペースきぶん屋が皆様に協力していただきたいこと一覧

この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

SNS LINK

この著者の記事一覧

関連情報

コメントは受け付けていません。

特集