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猫を叱ると落ち込む?嫌われる?正しい叱り方と絶対NGな方法

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はじめに

 

愛猫がいたずらをしたとき、つい感情的に叱ってしまったことはありませんか。叱った後の猫の様子を見て「落ち込んでいるのかな」「嫌われてしまったかも」と不安になる飼い主さんは少なくありません。

 

猫を飼っていると、カーテンで爪とぎをする、テーブルの上に乗る、夜中に大騒ぎするなど、困った行動に直面することがあります。しかし、猫と人間では感情の伝わり方やコミュニケーション方法が大きく異なるため、人間の常識で叱ってしまうと逆効果になることも。

 

この記事では、猫を叱るとどうなるのか、嫌われないためにはどうすべきか、そして正しい叱り方と絶対にやってはいけない方法について、猫の習性や心理を踏まえながら詳しく解説します。愛猫との信頼関係を守りながら、問題行動を改善するヒントが見つかるはずです。

 

猫を叱るとどうなるか

 

猫は「叱られている」と理解できない

まず知っておくべき重要な事実があります。それは、猫は人間のように「叱られている」という概念を理解できないということです。

 

犬は群れで生活する動物であり、上下関係や社会的なルールを理解する能力が発達しています。そのため、飼い主に叱られると「これは悪いことなんだ」と学習することができます。

 

しかし、猫は本来単独で狩りをする動物です。野生では他の猫と協力して生活することはほとんどなく、上下関係の概念も希薄です。そのため、飼い主が「ダメでしょ!」と大きな声を出しても、猫は「なぜ急に怒鳴られているのか」が理解できません。

 

猫にとって叱られるという体験は、ただ「怖い思いをした」「不快な音がした」という恐怖体験として記憶されるだけなのです。

 

ストレスと恐怖心が生まれる

叱られた猫は、その状況を「危険」として認識します。大きな声や激しい動作は、猫にとって脅威そのものです。

繰り返し叱られると、猫は慢性的なストレスを抱えるようになります。ストレスを感じた猫は以下のような行動を示すことがあります。

  • 飼い主の近くに来なくなる
  • 隠れて出てこなくなる
  • 食欲が落ちる
  • 過度なグルーミング(毛づくろい)をする
  • 攻撃的になる
  • トイレ以外の場所で粗相をする

これらの行動は、猫が「落ち込んでいる」「嫌っている」というよりも、恐怖心とストレスから身を守ろうとしているサインです。猫は感情を言葉で表現できないため、行動でしか示すことができません。

 

信頼関係が崩れていく

最も深刻な影響は、飼い主との信頼関係が損なわれることです。

猫は記憶力が優れており、特に恐怖や不快な体験はしっかりと覚えています。叱られた場所や状況、そして叱った人物と、嫌な体験を結びつけて記憶するのです。

 

例えば、リビングで叱られた猫は、リビングそのものを嫌いになるかもしれません。あなたが手を伸ばすたびに叱られていた猫は、あなたの手を見るだけで逃げるようになるでしょう。

 

こうして、本来は安心できるはずの家が、猫にとって緊張する場所になってしまいます。飼い主は愛情を持って接しているつもりでも、猫からすれば「いつ怒られるかわからない怖い存在」になってしまうのです。

 

問題行動が悪化することも

意外かもしれませんが、叱ることで問題行動が悪化するケースもあります。

例えば、注目を求めるために問題行動をしている猫の場合、叱られることすら「飼い主が自分に注目してくれた」と認識してしまいます。すると、また同じ行動を繰り返すようになるのです。

 

また、ストレスが原因で問題行動をしている場合、叱ることでさらにストレスが増大し、行動がエスカレートすることもあります。夜中の運動会や粗相などは、ストレスが原因のことが多く、叱っても解決しないどころか悪化する典型的な例です。

 

嫌われないように感情を爆発させない

 

猫に感情をぶつけても伝わらない

仕事で疲れて帰宅したら、お気に入りの花瓶が割れていた。大切にしていたソファがボロボロになっていた。そんなとき、つい感情的になって猫を叱りつけてしまう気持ちは理解できます。

 

しかし、猫に人間の感情をぶつけても、何も伝わりません。むしろ、猫にとってはただの理不尽な攻撃にしか感じられないのです。

 

猫には「飼い主を困らせてやろう」「仕返しをしてやろう」といった悪意はありません。花瓶を落としたのは、単に高いところに登りたかっただけ。ソファで爪とぎをしたのは、本能的な行動に過ぎません。猫は人間のように、先のことを考えて行動しているわけではないのです。

 

感情的になると判断力が鈍る

感情的になっているときは、冷静な対応ができません。必要以上に大きな声を出したり、乱暴な態度をとったりしてしまいがちです。

 

そして、感情に任せた行動は、後になって後悔することが多いものです。「あんなに怖がらせなくてもよかった」「もっと違う方法があったのに」と反省しても、猫に与えた恐怖心はすぐには消えません。

 

また、感情的になると、なぜその行動をしたのかという根本的な原因を見逃してしまいます。猫の問題行動には必ず理由があります。環境の変化、病気、ストレス、退屈など、様々な要因が隠れていることがあるのです。

 

深呼吸して一度冷静になる

猫のいたずらを発見したら、まずは深呼吸をして気持ちを落ち着けましょう。感情が高ぶっている状態では、適切な対応はできません。

 

以下のステップを意識してみてください。

  1. その場を離れる – いたずらを見つけたら、すぐに猫に向かわず、一度別の部屋に移動します
  2. 深呼吸を3回する – ゆっくりと息を吸い、吐くことで心拍数を落ち着かせます
  3. 状況を客観的に見る – 「これは直せるか」「猫に悪意はあったか」と考えます
  4. 原因を探る – なぜその行動をしたのか、猫の立場で考えてみます

この数分の間が、あなたと猫の関係を守る重要な時間になります。

 

怒りの矛先を猫に向けない

どうしても怒りが収まらないときは、猫以外の方法でストレスを発散しましょう。

  • クッションを叩く
  • 誰もいない場所で大声を出す
  • 紙に気持ちを書き出す
  • 散歩に出かける
  • 友人に話を聞いてもらう

重要なのは、猫はあなたのストレス発散の対象ではないということです。猫は家族の一員であり、尊重されるべき存在です。人間側の都合で感情をぶつけてしまうことは、虐待につながる可能性もあります。

 

もし頻繁に猫に対してイライラしてしまうなら、あなた自身が疲れているサインかもしれません。自分のメンタルヘルスにも目を向け、必要であれば専門家に相談することも大切です。

 

正しい猫の叱り方

 

「叱る」ではなく「環境を整える」

猫の問題行動に対処する最善の方法は、実は「叱る」ことではなく、問題が起きない環境を作ることです。

猫は習性に従って行動しているだけなので、その習性を満たしつつ、人間にとって困らない方法を提供すればいいのです。

 

例えば:

  • 家具で爪とぎをする → 専用の爪とぎを複数用意し、好む素材や場所を見つける
  • テーブルに乗る → キャットタワーなど、もっと高くて魅力的な場所を作る
  • 夜中に走り回る → 寝る前にしっかり遊んであげて、エネルギーを発散させる
  • ゴミ箱を漁る → ふた付きのゴミ箱にする、猫が入れない場所に置く

このように、予防的なアプローチが最も効果的です。叱る必要がない環境を作ることが、猫との平和な共生への近道なのです。

 

現行犯でのみ「音」で注意

どうしても注意が必要な場合は、必ず現行犯の瞬間に、音で知らせることが基本です。

猫は時間の概念が曖昧で、後から叱っても何について叱られているのか理解できません。ソファで爪とぎをした10分後に叱っても、猫は「今くつろいでいたら急に怒鳴られた」としか認識できないのです。

 

効果的な方法は

  • 手を叩いて「パン!」と音を立てる
  • 「あっ!」と短く鋭い声を出す
  • 猫が嫌がる音(ビニール袋をカシャカシャ、小銭をシャラシャラなど)を出す

ポイントは、あなたが怒っているのではなく、その行動をすると嫌な音がすると猫に学習させることです。そのため、怒った表情や態度は見せず、淡々と音を出すだけにとどめます。

 

猫が嫌がることと結びつける

より高度な方法として、問題行動と「嫌な体験」を結びつける方法があります。これも叱るのではなく、行動の結果として自然に不快なことが起こると学習させる方法です。

 

例えば

  • キッチンのカウンターに乗る → アルミホイルを敷いておく(猫はアルミの感触が苦手)
  • 観葉植物を噛む → 柑橘系のスプレーをかけておく(猫は柑橘系の匂いが苦手)
  • 特定の場所に近づく → 自動で空気が出るセンサー式デバイスを設置する

この方法の利点は、飼い主が怒っているわけではないので、猫との信頼関係を損なわないことです。猫は「ここに行くと嫌なことが起きる」と学習し、自然とその行動を避けるようになります。

 

ポジティブリインフォースメント(正の強化)を活用

最も推奨される方法は、良い行動をしたときに褒めるというポジティブリインフォースメントです。

悪い行動を叱るのではなく、望ましい行動をしたときにご褒美を与えることで、猫は「これをすると良いことがある」と学習します。この方法は、猫との信頼関係を深めながら、望ましい行動を増やすことができる最良の方法です。

 

例えば

  • 爪とぎ器を使ったら、すぐにおやつを与える
  • トイレで排泄したら、優しく撫でる
  • 名前を呼んだら来てくれたら、たくさん褒める

コツはタイミングです。良い行動の直後、できれば3秒以内に褒めることで、猫は「この行動が良いことだ」と理解しやすくなります。

 

また、おやつだけでなく、優しい声かけ、撫でる、遊ぶなど、その猫が好むご褒美を見つけることも重要です。猫によって何が嬉しいかは異なるので、愛猫の好みを観察してみましょう。

 

一貫性を持った対応

猫に何かを教える際は、一貫性が非常に重要です。

今日はテーブルに乗っても何も言わないのに、明日は叱られる。お母さんは怒るけど、お父さんは何も言わない。このような不一致は、猫を混乱させるだけです。

 

家族全員で以下のルールを共有しましょう

  • どの行動を許可し、どの行動を制限するか
  • 問題行動にはどう対応するか
  • どのタイミングでご褒美を与えるか

ルールが曖昧だと、猫は何が正しいのか分からず、ストレスを感じます。明確で一貫したルールがあることで、猫は安心して生活できるのです。

 

やってはいけない猫の叱り方

 

大声で怒鳴る

猫は聴覚が非常に敏感な動物です。人間の約4倍もの高い周波数まで聞くことができ、小さな音も正確に聞き取ります。

そのため、大声で怒鳴ることは、猫にとって耐えがたい苦痛となります。人間が普通に話す声でも、猫には十分大きく聞こえているのです。

 

大声での叱責は

  • 猫の聴覚にダメージを与える可能性がある
  • 強い恐怖心を植え付ける
  • 飼い主を「危険な存在」として認識させる
  • 慢性的なストレスの原因になる

特に子猫や臆病な性格の猫は、大声に過敏に反応します。一度強い恐怖を感じると、その記憶が長く残り、関係修復に時間がかかることもあります。

 

叩く、蹴るなどの体罰

絶対にやってはいけないのが、身体的な暴力です。どんな理由があっても、猫を叩いたり蹴ったりすることは虐待であり、許されません。

 

体罰は

  • 骨折や内臓損傷などの深刻な怪我を引き起こす可能性がある
  • 猫を攻撃的にさせ、咬みつきや引っかきが増える
  • 完全に信頼を失い、二度と心を開かなくなることもある
  • 法律違反(動物虐待)に該当する

また、「軽く叩く程度なら大丈夫」という考えも危険です。猫は人間よりもはるかに小さく、骨も細いため、人間にとっては「軽いタッチ」でも、猫には大きなダメージになることがあります。

 

もし怒りのあまり手が出そうになったら、その場をすぐに離れてください。それは猫の問題ではなく、あなた自身がサポートを必要としているサインです。

 

水をかける

猫のしつけ方として「水鉄砲で水をかける」という方法を聞いたことがあるかもしれません。しかし、これも推奨できない方法です。

 

確かに猫は水が苦手なので、一時的には行動を止めるでしょう。しかし、この方法には問題があります

  • 飼い主を見ただけで逃げるようになる(水をかける人=危険な人と学習)
  • 水への恐怖が強まり、必要なときにお風呂に入れられなくなる
  • ストレス反応を引き起こす
  • 飼い主がいないときは問題行動を続ける(根本的な解決にならない)

特に、感情的になって大量の水をかけたり、冷たい水をかけたりすることは、猫の体温調節に影響を与え、健康被害をもたらす可能性もあります。

 

長時間閉じ込める

問題行動の罰として、ケージやキャリーバッグ、狭い部屋に長時間閉じ込めることも避けるべきです。

猫は閉じ込められること自体にストレスを感じますが、それ以上に問題なのは

  • なぜ閉じ込められているのか理解できない
  • ケージやキャリーを「嫌な場所」と学習し、病院に連れて行くときなど、本当に必要なときに入ってくれなくなる
  • 長時間の閉じ込めは、排泄の問題や不安障害を引き起こす可能性がある

どうしてもクールダウンのために分ける必要がある場合は、数分程度にとどめ、猫が安心できる場所(ベッドやおもちゃがある部屋など)を選びましょう。

 

ご飯を抜く、減らす

「罰として食事を与えない」「量を減らす」という方法も絶対にやってはいけません。

食事は猫の基本的な権利であり、生命維持に不可欠です。

食事制限は

  • 健康被害を引き起こす(特に猫は数日食べないだけで肝臓病のリスクが高まる)
  • 食事に対する不安を生み、食べ物への執着が強まる
  • 飼い主への信頼を完全に失う

猫は自分の健康のために食べているのであって、飼い主を喜ばせるために食べているわけではありません。食事を制限しても、何の教育効果もなく、ただ苦しめるだけです。

 

後から叱る

先ほども触れましたが、時間が経ってから叱ることは全く効果がありません。

猫の記憶力は優れていますが、それは「怖かった体験」や「楽しかった体験」として記憶されるのであって、人間のように「あのときあれをしたから怒られている」という因果関係を理解することはできません。

 

仕事から帰宅して、昼間のいたずらを発見しても、その時点で叱っても無意味です。猫は「なぜ突然怒られているのか」が分からず、ただ怯えるだけです。

 

これは数分後、あるいは数十秒後でも同じです。猫に何かを伝えたいなら、まさにその瞬間でなければ意味がないのです。

 

しつこく追いかける

猫が逃げているのに、しつこく追いかけ回すことも避けましょう。

猫が逃げるということは、「もう十分怖い思いをした」「これ以上近づかないでほしい」というサインです。それを無視して追いかけることは、猫のストレスをさらに増大させます。

 

追いかけ回された猫は

  • 家の中に安全な場所がないと感じる
  • 常に警戒状態になり、リラックスできなくなる
  • 飼い主を見るだけで逃げるようになる
  • 極度のストレスで体調を崩すこともある

猫が距離を取りたがっているときは、そっとしておいてあげましょう。猫が自分から近づいてくるまで待つことが、関係修復の第一歩です。

 

まとめ:猫との信頼関係を大切に

 

猫を叱ることについて詳しく見てきましたが、最も重要なポイントをまとめます。

 

猫は叱られても理解できません。叱ることで得られるのは、恐怖心とストレス、そして信頼関係の崩壊だけです。「落ち込んでいるように見える」のは、実際には恐怖で身を縮めているサインなのです。

 

感情的になっても何も伝わりません。深呼吸をして冷静になり、なぜその行動をしたのか、どうすれば防げるのかを考えましょう。猫はあなたを困らせようとしているわけではありません。

 

正しいアプローチは環境整備と正の強化です。問題が起きない環境を作り、良い行動をしたときに褒めることで、猫は自然と望ましい行動を学んでいきます。

 

絶対にやってはいけない叱り方には、大声で怒鳴る、体罰を加える、水をかける、閉じ込める、食事を制限するなどがあります。これらは虐待に該当し、猫との関係を取り返しのつかないほど悪化させます。

 

猫との生活は、互いに歩み寄り、理解し合うプロセスです。猫に人間のルールを押し付けるのではなく、猫の習性を理解し、共存できる環境を作ることが、幸せな共同生活への道です。

 

もし今、猫との関係に悩んでいるなら、叱る方法を変えるのではなく、叱る必要がない環境を作ることから始めてみてください。猫はあなたの家族です。愛情と理解をもって接すれば、必ず心を開いてくれるはずです。

 

どうしても問題行動が改善しない場合は、獣医師や動物行動学の専門家に相談することをおすすめします。病気やストレスが隠れている可能性もありますし、専門家ならではのアドバイスがもらえるでしょう。

 

猫との毎日が、あなたにとっても猫にとっても、幸せで安心できる時間になりますように。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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