猫が甘えなくなった理由:病気か成長か見極めるポイント
「最近、愛猫が甘えてこなくなった」「子猫の頃はあんなに懐いていたのに」そんな悩みを抱えている飼い主さんは少なくありません。猫が甘えなくなる理由は、成長による自然な変化から病気のサインまで様々です。この記事では、猫が甘えなくなった時に考えられる原因と、病気かどうかを見極めるポイントについて詳しく解説します。
猫が甘えなくなるのは成長の証?よくある自然な変化
子猫から成猫への成長過程
子猫の時期はべったりと甘えてきたのに、成長するにつれて距離を置くようになるのは、実は猫にとって自然な成長過程です。生後6ヶ月から1歳頃にかけて、猫は徐々に独立心が芽生え、自立した行動を取るようになります。
子猫の時期は母猫や人間への依存度が高く、常に誰かのそばにいたがる傾向があります。しかし成長とともに、猫本来の単独行動を好む性質が現れてきます。これは野生の猫が成長後に単独で狩りをして生活する本能の名残であり、決して飼い主を嫌いになったわけではありません。
成長による変化の特徴としては、以下のような行動が見られます。甘える頻度は減っても、自分のタイミングで寄ってくることがある。遊びの内容が変わり、一人で遊ぶ時間が増える。高い場所や静かな場所で過ごす時間が増える。飼い主の近くにいても、適度な距離を保つようになる。これらの変化が見られても、猫が健康で食欲があり、普段通りの生活を送っているなら、成長による自然な変化と考えて良いでしょう。
猫の性格と個体差
猫の甘え方は個体差が非常に大きく、もともと甘えん坊な猫もいれば、比較的クールな性格の猫もいます。子猫の頃は環境に慣れるために人間に頼る傾向が強いですが、成長して環境に慣れると本来の性格が表れてきます。
特にオス猫は去勢手術後も比較的甘えん坊な性格を保つことが多いですが、メス猫は独立心が強く、成長とともにツンデレな態度を取ることが増える傾向があります。ただし、これも個体差が大きく、一概には言えません。
多頭飼いで猫が甘えなくなるケース
先住猫に新しい猫を迎え入れた場合
先住猫がいる家庭に新しい猫を迎え入れた際、先住猫が人間に甘えなくなることはよくあります。これにはいくつかの理由があります。
まず、新入り猫への警戒心や緊張から、先住猫が人間とのコミュニケーションよりも、縄張りの確認や新入り猫の様子をうかがうことに意識が向いてしまいます。また、飼い主の注意が新入り猫に向けられることで、先住猫が嫉妬や不安を感じ、距離を置くようになることもあります。
興味深いことに、時間が経つと先住猫と新入り猫の関係性が深まり、猫同士でべったりとくっついて過ごすようになることがあります。この場合、人間への甘えは減っても、猫同士で社会的な欲求を満たしているため、猫自身は満足していることが多いです。
猫同士の関係が深まると人間への甘えが減る理由
猫は本来、適度な社会性を持つ動物です。特に子猫時代を一緒に過ごした猫同士や、相性の良い猫同士は、互いにグルーミングをしたり、寄り添って寝たりすることで、社会的な欲求を満たします。
こうした猫同士の絆が深まると、人間に甘える必要性が減少します。猫同士で遊んだり、温もりを共有したりすることで、人間から得ていた満足感を猫同士で補完できるようになるのです。これは猫にとって自然で健康的な関係性であり、飼い主としては少し寂しく感じるかもしれませんが、猫の幸福度は高い状態と言えます。
ただし、どちらの猫も人間にも猫にもあまり甘えなくなり、隠れる時間が増えたり、活動量が減ったりする場合は、ストレスや健康問題の可能性も考慮する必要があります。
病気のサイン?猫が甘えなくなる病気とは
猫が急に甘えなくなった場合、特に以下のような変化を伴う時は病気の可能性を疑う必要があります。食欲の低下や食べ方の変化、体重の減少または増加、毛づやの悪化やグルーミングの減少、トイレの回数や排泄物の変化、活動量の著しい低下、隠れることが増える、鳴き声の変化や減少。これらの症状が見られる場合は、早めに獣医師に相談することが重要です。
痛みを伴う病気
関節炎や関節症
高齢猫に多い関節炎は、動くと痛みを感じるため、飼い主のところまで歩いて来る回数が減ります。高い場所への上り下りを避けるようになり、撫でようとすると嫌がったり、触ると痛がる仕草を見せたりすることがあります。グルーミングの頻度が減り、毛づやが悪くなることも特徴です。
歯周病や口内炎
口の中の痛みは、猫にとって非常に辛いものです。痛みがあると食欲が低下し、よだれが増えたり、口臭が強くなったりします。顔を触られることを嫌がるようになり、結果として人間との接触を避けるようになります。
尿路結石や膀胱炎
排尿時の痛みや不快感から、トイレに頻繁に行くようになったり、トイレ以外の場所で排尿したりすることがあります。下腹部を触られることを嫌がり、落ち着きがなくなります。
内臓の病気
慢性腎臓病
猫の高齢化に伴い増加している慢性腎臓病は、初期段階では目立った症状が出にくい病気です。進行すると水を大量に飲むようになり、尿の量が増えます。食欲不振、体重減少、嘔吐などの症状が現れ、全体的に元気がなくなり、甘える気力も失われます。
甲状腺機能亢進症
中高齢の猫に多く見られる病気で、食欲は旺盛なのに体重が減少するという特徴があります。落ち着きがなくなり、攻撃的になることもあります。性格が変わったように感じられ、以前のように甘えなくなることがあります。
糖尿病
水を大量に飲み、尿の量が増えるという症状が特徴です。食欲はあるのに体重が減少し、後ろ足の筋力が低下してかかとを地面につけて歩くようになることもあります。全身の倦怠感から、活動量が減り、甘える余裕がなくなります。
神経系の病気
認知症(猫の認知機能不全症候群)
高齢猫に見られる認知症は、人間に対する反応が鈍くなったり、飼い主を認識できなくなったりすることがあります。夜鳴きが増えたり、同じ場所をぐるぐる回ったり、トイレの場所を忘れたりする症状が現れます。
脳腫瘍や神経系の疾患
性格の急激な変化、バランス感覚の喪失、痙攣などの症状が見られる場合は、神経系の深刻な問題の可能性があります。
感染症
猫風邪(猫ウイルス性鼻気管炎など)
くしゃみや鼻水、目やにが増え、食欲が低下します。体調不良から人間との接触を避けるようになります。
猫白血病ウイルス感染症(FeLV)や猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)
免疫力が低下し、様々な病気にかかりやすくなります。慢性的な体調不良から、活動量が減り、甘える気力がなくなります。
病気か成長か?見極めるためのチェックポイント
愛猫が甘えなくなった時、病気なのか成長による自然な変化なのかを見極めることは重要です。以下のチェックポイントを確認してみましょう。
急激な変化か緩やかな変化か
成長による変化は通常、数ヶ月かけて緩やかに起こります。一方、病気の場合は数日から数週間で急激に行動が変わることが多いです。「昨日まで普通だったのに、今日は全く寄ってこない」といった急激な変化は要注意です。
他の症状の有無
甘えなくなっただけでなく、食欲の変化、排泄の変化、毛づやの悪化、体重の変化、嘔吐や下痢、呼吸の異常、目や鼻の分泌物などの症状が伴っているかを確認しましょう。これらの症状がある場合は病気の可能性が高くなります。
特定の行動だけが変わったか全体的に変わったか
成長による変化の場合、「飼い主の膝に乗らなくなった」など特定の行動が変わるだけで、他の日常行動は変わらないことが多いです。病気の場合は、複数の行動パターンが同時に変化したり、全体的に元気がなくなったりします。
環境の変化の有無
引っ越し、家族構成の変化、新しいペットの導入、工事などの騒音、来客の増加など、環境の変化がなかったか振り返ってみましょう。環境変化による一時的なストレスの場合、数週間から1ヶ月程度で徐々に元に戻ることが多いです。
年齢と変化のタイミング
生後6ヶ月から1歳半頃の変化であれば、成長による自然な変化の可能性が高いです。成猫になってから、特に7歳以上の中高齢猫で急に変化が見られた場合は、病気の可能性を考慮する必要があります。
獣医師に相談すべきタイミング
以下のような状況では、早めに獣医師に相談することをおすすめします。
急激な行動の変化があり、それが1週間以上続いている。食欲不振や体重減少が見られる。排泄の回数や様子が明らかに変わった。嘔吐や下痢が続いている。毛づやが悪くなったり、グルーミングをしなくなったりした。隠れることが増え、ほとんど出てこなくなった。触ろうとすると痛がる仕草を見せる。呼吸が荒い、または苦しそう。目や鼻に異常な分泌物がある。
特に、複数の症状が同時に現れている場合や、高齢猫の場合は、早期発見・早期治療が重要です。「様子を見よう」と思っているうちに症状が進行してしまうことがあるため、気になることがあれば遠慮なく獣医師に相談しましょう。
甘えなくなった猫との関係を改善する方法
病気ではなく、成長や環境の変化が原因で甘えなくなった場合、以下の方法で関係を改善できることがあります。
猫のペースを尊重する
無理に抱っこしたり、しつこく構ったりするのは逆効果です。猫が自分から寄ってくるのを待ち、寄ってきた時にだけ優しく接するようにしましょう。猫は自分のペースを尊重してくれる人間を好みます。
遊びの時間を充実させる
甘える回数が減っても、一緒に遊ぶ時間は猫との絆を深める重要な機会です。猫じゃらしやレーザーポインターなどを使い、1日10分から15分程度、猫が興奮して遊べる時間を作りましょう。遊びを通じて、飼い主への信頼感が深まります。
快適な環境を整える
キャットタワーや隠れ家など、猫が安心できる場所を用意しましょう。多頭飼いの場合は、それぞれの猫に専用のスペースを確保することが大切です。食事やトイレの場所も、猫の数プラス1個用意するのが理想です。
おやつやブラッシングでコミュニケーション
猫が好きなおやつを使って、ポジティブな関連付けを作りましょう。また、多くの猫はブラッシングを好みます。特に換毛期には、優しくブラッシングしてあげることで、スキンシップの機会が増えます。
健康管理を徹底する
定期的な健康診断を受けることで、病気の早期発見につながります。特に7歳以上の猫は、少なくとも年に1回は健康診断を受けることをおすすめします。健康な体があってこそ、猫は安心して甘えることができます。
まとめ:愛猫の変化を見逃さないために
猫が甘えなくなる理由は、成長による自然な変化から深刻な病気まで様々です。子猫から成猫への成長過程で、独立心が芽生えて甘える頻度が減るのはよくあることです。また、多頭飼いの場合、猫同士の絆が深まることで人間への甘えが減ることもあります。
しかし、急激な行動の変化や、食欲不振、排泄の異常、体重の変化などの症状を伴う場合は、病気のサインかもしれません。関節炎、歯周病、慢性腎臓病、甲状腺機能亢進症、糖尿病など、様々な病気が猫の行動を変化させる可能性があります。
大切なのは、日頃から愛猫の様子をよく観察し、小さな変化にも気づけるようにしておくことです。変化が緩やかで他に異常がなければ成長や環境適応と考えられますが、急激な変化や複数の症状が見られる場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
猫との暮らしは、一方的に甘えてもらうだけでなく、猫の成長や変化を受け入れ、その時々の関係性を楽しむことが大切です。甘える頻度が減っても、猫は飼い主のことを大切に思っています。猫のペースを尊重しながら、健康管理を徹底し、質の高いコミュニケーションを心がけることで、年齢を重ねても良好な関係を維持できるでしょう。
愛猫の幸せと健康を第一に考え、変化を見逃さず適切に対応していくことが、飼い主としての責任であり、愛情の証でもあります。
古着買取、ヴィーガン食品やペットフードの買い物で支援など皆様にしてもらいたいことをまとめています。
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