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スコットランドの動物保護施設が閉鎖危機に!馬やロバはどこへ行く?資金難の実態と日本への影響を徹底解説

スコットランド 動物保護施設 閉鎖危機

 

 

はじめに:遠い国の話では済まされない「動物保護施設の閉鎖危機」

 

スコットランドの動物保護施設が相次いで閉鎖の危機に瀕しているというニュースが、動物愛護の世界に衝撃を与えています。長年にわたって傷ついた馬やロバ、その他の動物たちを守り続けてきた施設が、資金難や人手不足によって存続の岐路に立たされているのです。

 

「スコットランドの出来事だから、日本には関係ない」と思う方もいるかもしれません。しかし、この問題は動物保護という普遍的な課題を浮き彫りにしており、日本の保護施設が直面している問題とも深く共鳴しています。本記事では、スコットランドの動物保護施設の閉鎖危機の実態を掘り下げながら、保護された動物たちの行方、資金難の構造的な原因、そして日本の動物保護の現状まで、幅広く解説していきます。

 

スコットランドの動物保護施設とは何か?

 

スコットランドにおける動物保護の歴史

 

スコットランドはイギリスの中でも特に動物愛護の精神が強い地域として知られています。広大な農村地帯と牧草地を持つこの土地では、馬やロバ、羊などの農業動物が古くから人間の生活と密接に結びついてきました。

 

19世紀後半には、労働用の馬が過酷な環境で働かされることへの反発から動物愛護運動が盛んになり、保護施設の前身となる組織が各地に設立されました。SSPCA(Scottish Society for the Prevention of Cruelty to Animals)は1839年に設立され、今なおスコットランドにおける動物保護の中心的役割を担っています。

 

また、スコットランド特有の存在として「馬専門保護施設」や「ロバ保護団体」が多数存在します。これらの施設は主に善意の寄付やボランティアによって運営されており、行政からの補助金だけでは成り立たない構造になっています。

 

代表的な保護施設の役割

 

スコットランドには数十か所に及ぶ中小の動物保護施設が点在しており、それぞれが地域コミュニティと連携しながら運営されています。これらの施設が担う役割は、虐待・放棄・ネグレクト(適切な世話の放棄)を受けた動物の緊急保護から始まります。馬やロバは特に放棄されやすく、経済的に困窮した農家や個人オーナーが世話をできなくなった際に遺棄されるケースが後を絶ちません。

 

次に、保護した動物の医療ケアとリハビリテーションがあります。栄養失調、蹄の病気、外傷など、様々な健康問題を抱えた動物たちを回復させるには、専門的な獣医療と長期的なケアが必要です。さらに、回復した動物の新しい家族への里親マッチングや、地域の学校や施設と連携した動物介在教育プログラムの実施なども重要な役割を担っています。

 

なぜ長年続いた施設が閉鎖の危機に?

 

閉鎖危機の直接的なトリガー

 

近年、スコットランドを含むイギリス全土で動物保護施設の閉鎖が相次いでいます。その直接的なきっかけとして最も大きいのが、物価高騰と光熱費の急上昇です。2021年以降のエネルギー危機によって、施設の暖房費・電気代が数倍に膨れ上がりました。馬やロバを収容する厩舎(きゅうしゃ)は広大なスペースを必要とするため、冬季の暖房コストは特に深刻です。

 

加えて、飼料価格の高騰も施設経営を直撃しました。ウクライナ危機による穀物の国際価格上昇は、干し草や穀物飼料のコストを大幅に引き上げ、多数の馬やロバを抱える施設にとって致命的な打撃となりました。

 

構造的な問題:寄付依存体制の脆弱性

 

しかし、閉鎖危機の根本には物価高騰だけでは説明できない構造的な問題があります。イギリスの動物保護施設の多くは、収入の60〜80%を個人や企業からの寄付に依存しています。これは施設の財政基盤が極めて不安定であることを意味します。景気が悪化したり、社会的な関心が別のトピックに移ったりすると、寄付が急減する可能性があります。

 

2020年代に入ってからは、生活費の高騰によって一般市民の可処分所得が減少し、慈善団体への寄付が全体的に落ち込む傾向が見られました。特に月額会費や定期寄付といった継続的な支援の解約が増加し、施設の予算計画が根底から崩れるケースが続出しています。

 

ボランティア不足と人材の高齢化

 

資金難と並んで深刻なのが人手不足です。動物保護施設のスタッフは、その多くがボランティアや低賃金のパートタイム労働者で構成されています。コロナ禍以降、ボランティア活動への参加者が減少し、回復が遅れている施設も少なくありません。

 

また、長年施設を支えてきたボランティアの高齢化も問題です。50代・60代のベテランボランティアが引退する一方、若い世代の担い手が育っていないという課題は、スコットランドの動物保護施設に限らず、世界共通の悩みとなっています。動物保護の仕事は精神的・肉体的に過酷であることも人材確保を難しくしており、給与水準が低いため専門知識を持つ人材が流出してしまう傾向があります。

 

行政支援の不足とブレグジットの影響

 

イギリスでは動物保護は基本的に民間主導であり、行政からの直接的な補助金は限定的です。スコットランド政府は動物福祉に関する法整備を進めてきましたが、保護施設への財政支援は手薄なままです。

 

EUを離脱したブレグジット以降、農業補助金の構造変化も農村部の動物保護に影響を与えており、複合的な要因が施設の存続を脅かしています。「動物保護は民間の善意に委ねるべきだ」というイギリス特有の文化的背景が、この問題をより深刻にしています。

 

保護された馬やロバはどうなるのか?

 

施設閉鎖後に待ち受ける現実

 

施設が閉鎖した場合、そこで保護されていた動物たちは深刻な状況に置かれます。理想的には他の施設や里親への移送が行われますが、現実はそれほど単純ではありません。

 

馬やロバは犬や猫とは異なり、飼育に広大なスペースと専門的な知識、そして高額なコストが必要です。一頭の馬を適切に飼育するためには、年間数十万円から百万円以上の費用がかかるとも言われています。そのため里親を見つけることは非常に難しく、一つの施設が閉鎖するだけで数十〜数百頭の動物の行き場が一気に失われてしまいます。特に高齢の馬やロバ、慢性的な健康問題を抱えた個体については、里親が見つかる可能性がさらに低くなります。

 

「玉突き効果」による連鎖崩壊

 

さらに深刻なのは「玉突き効果」と呼ばれる連鎖崩壊のリスクです。一つの施設が閉鎖すると、そこに収容されていた動物たちを周辺の施設が引き受けることになります。しかし、すでに多くの施設が収容能力の限界に近い状態で運営されているため、追加の動物を受け入れることで財政的な負担がさらに増大します。その結果、別の施設も閉鎖の危機に追い込まれるという悪循環が生まれ、イギリス全体の動物保護ネットワークが機能不全に陥るリスクが指摘されています。

 

安楽死という最後の選択肢

 

施設閉鎖の際に受け入れ先が見つからない動物については、やむを得ず安楽死が選択されるケースもあります。動物保護の観点からは最も避けるべき結末ですが、適切なケアが受けられない状態で生き続けることが動物にとってより残酷だという判断から、苦渋の決断が行われることがあります。施設の存続は単なる組織の問題ではなく、生命の問題なのです。

 

国際的な支援ネットワークの活用

 

一方で、施設閉鎖の危機に際して、国際的な動物保護ネットワークが動き出すケースも増えています。ヨーロッパ各国の動物保護団体が連携して動物の移送を行ったり、クラウドファンディングを通じて世界中から緊急支援を集めたりする取り組みも見られます。SNSの普及によってこうした活動の情報拡散力は飛躍的に向上しましたが、こうした緊急支援は持続的ではなく、一時的な問題解決にとどまりやすいという課題も残っています。

 

資金難はなぜ起きるのか?構造的な問題を深掘り

 

動物保護のビジネスモデルの限界

 

動物保護施設のビジネスモデルは、根本的に持続可能性に問題があります。主な収入源は寄付金・会費、遺贈(遺産の一部を施設に残す形式)、グッズ販売・チャリティイベント、施設見学・体験プログラムの参加費などですが、これらはいずれも安定性に欠けます。一方で支出は固定費として毎月一定額以上が必ず発生する構造です。収入が不安定であるにもかかわらず支出は削ることができないという構造的な矛盾が、慢性的な財政難を生み出しています。

 

インフレと固定費の増大

 

たとえば寄付金総額が昨年比5%増だったとしても、飼料費が30%、光熱費が50%増加していれば、実質的には大幅な赤字となります。善意の支援者が増えていても、それ以上の速度でコストが上昇しているという皮肉な状況が、多くの施設で起きています。スコットランドは気候的に冬が長く厳しいため、暖房コストが他の地域よりも高い傾向があり、施設の財政をさらに圧迫しています。

 

大型施設への寄付集中と中小施設の疲弊

 

慈善団体への寄付において、世界的に見られるトレンドとして「大型・有名施設への集中」があります。知名度の高い国際的な動物保護組織には多額の寄付が集まる一方、地域に根ざした小規模な施設には寄付が届きにくいという格差が生じています。

 

SNSや広告宣伝に費やすリソースがない小規模施設は知名度を高めることが難しく、寄付を集める競争で大手に敗れてしまいます。皮肉なことに、地域の小規模施設の方が地域の動物問題に直接的に対応しており、保護した動物へのケアも行き届いているケースが多いのですが、その「見えにくさ」が寄付集めの障害となっています。

 

獣医療費の高騰

 

馬やロバの保護施設が直面するもう一つの深刻な問題が、獣医療費の高騰です。大型動物の医療は犬や猫の何倍ものコストがかかります。骨折の治療、蹄病の手術、歯科処置など、一頭の治療に数十万円〜数百万円が必要になることも珍しくありません。突発的な医療費が施設の財政を一気に悪化させるリスクは常につきまとっており、これが経営予測をさらに困難にしています。

 

日本の保護施設は大丈夫なのか?

 

日本における動物保護の現状

 

スコットランドの問題を「対岸の火事」として見ることはできません。日本の動物保護施設もまた、深刻な課題を抱えています。

 

日本では2019年の動物愛護法改正によって、動物の殺処分ゼロに向けた取り組みが加速しました。犬猫の殺処分数はピーク時の10分の1以下にまで減少しており、大きな進展があったと言えます。しかし、この流れは同時に、民間保護施設への収容動物数の増大という新たな問題を生み出しました。行政が動物を引き取らないケースが増えた結果、民間施設が「受け皿」となって定員を超えた状態で運営を続けるという問題が生じています。

 

日本の保護施設が抱える共通課題

 

財政面では、日本の保護施設の多くが寄付とボランティアに大きく依存しており、安定した収入基盤を持つ施設は少数です。物価上昇や光熱費高騰の影響は日本でも同様に発生しており、施設運営を圧迫しています。

 

人材面では、ボランティアの高齢化と若手不足は日本でも深刻です。「動物が好き」という気持ちだけで参加したボランティアが、現実の過酷さに直面してバーンアウトするケースも多く報告されています。また、いわゆる「多頭飼育崩壊」に陥った保護施設が行政に介入されるケースも報告されており、保護を目的に始めた活動が逆に動物を苦しめる結果になることも起きています。

 

馬の保護に関する日本固有の問題

 

日本では競馬産業と馬の保護問題が密接に関連しています。引退した競走馬の処遇は長年議論の的となっており、引退馬協会などの団体が保護活動を行っていますが、その規模はスコットランドの専門施設と比較しても小さく、財政的な脆弱性は同様の問題を抱えています。競走馬として活躍した後の「セカンドキャリア」の概念が注目を集めていますが、乗馬人口の減少や乗馬クラブの経営難もあって、すべての引退馬が適切な受け入れ先を得られるわけではないのが現状です。

 

日本の保護施設を守るために私たちができること

 

スコットランドの事例は重要な教訓を与えてくれます。継続的な支援という観点では、一度きりの大きな寄付よりも、少額でも毎月継続的に寄付するマンスリーサポーターとして関わることが施設の財政安定に大きく貢献します。多くの保護施設がマンスリーサポーター制度を設けており、月々500円〜1,000円から始められるものも多くあります。

 

SNSで保護施設の活動や支援を呼びかける情報拡散も重要な貢献です。お金を出すことが難しくても、情報を広めることで寄付者や里親候補を増やすことができます。時間と体力に余裕がある方は、直接ボランティアとして関わることも大きな力になりますし、一時的に動物を預かる「フォスター(一時預かり)」や正式な里親として動物を迎えることも、施設の収容能力を高める大切な協力です。

 

スコットランドの事例から学ぶ、持続可能な動物保護のあり方

 

成功している施設の共通点

 

危機的状況の中でも持続的に運営できている施設には共通した特徴があります。まず収入の多様化として、体験プログラム、教育事業、グッズ販売、農場直売など複数の収入源を持つ施設は財政的に安定しています。馬やロバとのふれあい体験やサマーキャンプなどは、収入を得ながら動物保護の啓発活動にもなる一石二鳥の取り組みです。

 

地域コミュニティとの強固な連携も重要で、地元の学校、企業、行政と深く結びついている施設は危機時にも助けを求めやすい環境があります。また、財務状況や動物の状況を積極的に公開して支援者との信頼関係を築いている施設は、長期的なサポーターを獲得しやすいという傾向があります。動物一頭一頭に名前をつけてストーリーを発信することで、支援者が当事者意識を持ちやすくなります。

 

政策レベルでの変革と今後の展望

 

個々の施設の努力だけでなく、政策レベルでの変革も必要です。動物保護施設への直接補助金の創設、チャリティ活動への税制優遇の拡充、動物遺棄・ネグレクトへの罰則強化、施設の認証制度の整備——これらは日本でも同様に議論が必要な政策課題です。

 

テクノロジーの活用も進んでいます。AIを使った健康モニタリング、マッチングアルゴリズムを活用した里親探しなどが、施設の運営効率化や資金調達に貢献しています。こうした新しいアプローチと従来の地道な活動を組み合わせることが、持続可能な動物保護の鍵となるでしょう。

 

まとめ:スコットランドの危機は、世界の動物保護の危機

 

スコットランドの動物保護施設の閉鎖危機は、孤立した問題ではありません。それは物価高騰、寄付文化の変容、人手不足、行政支援の不足といった複合的な要因が絡み合った、現代の動物保護が直面する構造的な危機の縮図です。

 

保護された馬やロバたちは、施設が閉鎖されれば行き場を失います。他の施設に移れる幸運な個体もいる一方で、最悪の事態として安楽死を迎える動物も出てくる可能性があります。こうした現実から目を背けることなく、私たちは動物保護のあり方を真剣に考え直す必要があります。

 

日本においても、この問題は決して他人事ではありません。身近な保護施設を支えること、寄付や里親制度に参加すること、情報を拡散すること——できることは小さくても、積み重ねれば大きな力になります。

 

動物は言葉を持ちません。しかし、その命は私たちと同じように貴重なものです。スコットランドの馬やロバの声なき叫びに耳を傾け、自分にできる行動を今日から始めてみませんか。施設への支援は、遠い国の動物を助けるだけでなく、日本の動物保護の未来をも守ることにつながっています。

 

よくある質問(FAQ)

 

Q:スコットランドの動物保護施設に日本から寄付することはできますか?

A:多くの施設が国際送金に対応しており、クレジットカードやPayPalでの寄付が可能です。ただし、為替手数料や国際送金手数料がかかる場合があります。

 

Q:馬やロバの里親になるには何が必要ですか?

A:広大な牧草地または厩舎、専門的な知識、継続的な飼育費用が必要です。日本では乗馬施設や農場が引き取るケースが多く、個人での引き取りハードルは高いです。

 

Q:日本にも馬やロバの保護施設はありますか?

A:引退馬協会(NPO法人)や一部の農業体験施設が馬の保護活動を行っています。ロバの専門保護施設は非常に少なく、課題となっています。

 

Q:動物保護施設が閉鎖しそうな時、どうサポートできますか?

A:緊急の寄付金支援、SNSでの情報拡散、里親・フォスターとしての動物引き取り、ボランティアとしての参加などが有効です。


本記事は動物保護施設の現状についての情報提供を目的としています。支援を検討される際は、各団体の公式情報を必ずご確認ください。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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