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アメリカの動物虐待取締り強化が加速中!何が変わる?日本との差はどこに?

アメリカ 動物虐待取締り強化

 

 

はじめに――「動物を傷つける者は人も傷つける」というアメリカの哲学

 

2019年、アメリカ連邦議会はある重要な法律を超党派・全会一致で可決しました。
その法律の名は「PACT法(Preventing Animal Cruelty and Torture Act/動物虐待・拷問防止法)」です。

 

法案を推進した議員たちはこう主張しました。

「文明社会の中において、動物に重傷を負わせたり拷問を許す場所はない。動物を傷つける精神のゆがんだ人間は、時には人間にも暴力行為を働く」

 

この言葉は、単なる感情論ではありません。
動物虐待と対人暴力の相関関係は、FBI(連邦捜査局)も公式に認めているほど科学的根拠のある事実です。
アメリカはその認識のもとで、着実に動物虐待の取締りを強化してきました。

 

そして2026年現在、さらに多くの新法が各州・連邦レベルで施行されつつあります。

このブログでは、アメリカの動物虐待取締り強化の最前線を詳しく解説します。どの法律が強化されているのか、具体的に何が変わるのか、そして日本との違いはどこにあるのかを徹底的に掘り下げていきます。

 

アメリカの動物虐待取締りを支える主要法律

 

PACT法(2019年)――連邦レベルで初めて動物虐待を「重罪」に

 

アメリカにおいて、動物虐待の取締りはもともと州ごとに異なる法律によって行われてきました。
50州すべてが動物虐待に対応する州法を持っていましたが、問題はその「連邦法としての統一性のなさ」でした。たとえば、ある州で動物虐待を犯した者が別の州に逃げた場合、州をまたいだ捜査や訴追が非常に困難だったのです。

 

そのギャップを埋めたのがPACT法(Preventing Animal Cruelty and Torture Act)です。

この法律では、以下の行為が連邦法の重罪(Felony)として明確に規定されています。

  • 動物への放火・溺死・窒息・刺突
  • 動物に対する性的搾取
  • 動物を残酷な方法で意図的に拷問・傷つける行為
  • これらの行為を映像・写真に記録し流通・販売すること

有罪となった場合、最長7年の禁錮刑と罰金が科されます。

 
また、「連邦政府の土地や施設内」で起きた虐待事案についても連邦捜査機関が直接介入できるようになりました。

これにより、州境を越えた逃亡も意味をなさなくなり、連邦捜査局(FBI)や連邦検事が積極的に動物虐待事案を取り扱えるようになりました。

 

大型ネコ科公衆安全法(Big Cat Public Safety Act)――2023年全面施行

 

Netflixドキュメンタリー「タイガー・キング」で話題となった「仔トラとのふれあい事業」。
幼いトラやライオンを金儲けのために次々と繁殖させ、大きくなれば処分するという非人道的なビジネスが、アメリカで長年横行していました。

 

これを禁じたのが「大型ネコ科公衆安全法(Big Cat Public Safety Act)」です。
2022年12月にバイデン大統領が署名し、2023年6月より全面施行されました。

規制の対象となる動物は以下のとおりです。

  • ライオン・トラ・ヒョウ・ジャガー・ピューマ・ユキヒョウ、およびこれらの雑種

この法律により、これらの大型ネコ科動物について次のことが全米で禁止されました。

  • 個人によるペット飼育・繁殖
  • 州間取引・国際取引(輸入・輸出・売買)
  • 動物園や許可施設以外での一般客との触れ合い(なでる・抱っこなど)

ただし、農務省(USDA)から動物福祉法上のライセンスを取得した認定動物園・大学・保護施設などは引き続き飼育が認められています。

 

それまで州によってバラバラだった規制が連邦法として統一されたことで、闇取引や劣悪な環境での飼育が一掃されることが期待されています。

 

虐待映像の所持・配布規制――オレゴン州など州単位での強化

 

2025年1月より、オレゴン州では動物虐待の映像・写真に関する新たな法律が施行されました。

この法律では、動物虐待の映像や写真を「作成・配布・所持」すること自体が違法となりました。
違反した場合の罰則は以下のとおりです。

  • 最大5年の懲役刑
  • 最大12万5,000ドル(約2,000万円)の罰金

これは画期的な規制です。

 

これまでの連邦法(PACT法)では、動物虐待映像の「販売・流通」は処罰対象でしたが、単純な「所持」や「閲覧目的のダウンロード」は明確な処罰対象に含まれないケースがありました。
今回の州法強化によってその抜け穴が塞がれ、虐待コンテンツのオンライン市場そのものを壊滅させる狙いがあります。

 

2025年に新たに施行された動物保護法の波

 

2025年1月1日、アメリカ各州で複数の新たな動物保護法が一斉に施行されました。
ここでは特に注目すべき内容をご紹介します。

 

ケージ飼育卵の販売禁止――コロラド州・ミシガン州

 

コロラド州とミシガン州では、2025年よりケージ飼育された鶏から生産された卵の製造・販売が禁止されました。

これは畜産分野における動物福祉の重大な前進です。

 

ケージ飼育(バッテリーケージ)とは、鶏1羽あたりA4用紙一枚分にも満たない極めて狭いスペースに鶏を閉じ込める飼育方法であり、動物福祉の観点から長年批判されてきました。

 

この規制により、毎年1,000万羽以上の鶏が過酷なケージ飼育から解放されると推計されています。
「鶏は感情と痛みを持つ生き物であり、人道的な扱いを受ける権利がある」というアメリカの動物福祉思想が、ついに畜産現場にまで波及してきた証拠と言えるでしょう。

 

パピーミル規制の全米拡大――ニューヨーク州など

 

パピーミル(子犬工場)とは、商業目的で犬・猫を過酷な非人道的環境で大量繁殖させる悪質なブリーダービジネスです。

 

2024年12月より、ニューヨーク州で「パピーミル・パイプライン法(Puppy Mill Pipeline Act)」が施行され、ペットショップでの生体販売(商業目的の犬・猫・ウサギの小売販売)が禁止されました。

 
これによりニューヨーク州は、カリフォルニア・メリーランド・メイン・イリノイ州に続き5番目のペット生体販売禁止州となりました。

 

これらの州では今後、ペットショップが販売できるのはシェルターや保護団体から引き取った動物のみとなります。

 

動物虐待者レジストリ(登録制度)の普及

 

アメリカでは、一部の州・郡で「動物虐待者レジストリ(登録制度)」が導入されています。
性犯罪者が性犯罪者登録制度で管理されるのと同様の仕組みです。

虐待の前科がある者は以下の情報をデータバンクに登録しなければなりません。

  • 本名・住所・生年月日
  • 犯罪の内容・日時
  • 顔写真

このデータはインターネット上で一般公開され、誰でも確認できます。
ペットショップやシェルター、ブリーダーが動物を新しい飼い主に渡す前にこのリストを照合することで、虐待犯が新たなターゲットを確保するのを防ぐことが目的です。

 

アメリカと日本の動物虐待法の決定的な違い

 

ここで、アメリカと日本の動物虐待に関する法律を比較してみましょう。
その差は、一言でいえば「哲学的な差」です。

 

罰則の重さが段違い

 

まず最も明確な違いが罰則の重さです。

 

項目 日本 アメリカ(連邦法)
動物をみだりに殺した場合 2年以下の懲役または200万円以下の罰金 最長7年の禁錮刑+罰金(PACT法)
虐待映像の配布 明確な規定なし(間接適用のみ) 連邦重罪・最長7年
大型野生動物の無許可飼育 外来生物法による規制(罰則は軽微) 連邦法で禁止・重罪
パピーミル(商業繁殖工場) 法規制なし(業者登録制のみ) 5州以上で生体販売禁止

 

日本では、動物をみだりに殺しても2年以下の懲役というのが現行法の上限です(動物の愛護及び管理に関する法律)。
一方アメリカでは、PACT法のもとで最長7年の禁錮刑が科されます。

 
さらにカリフォルニア州での事例では、21匹の猫を虐待・殺害した男に16年の実刑判決が下された事例もあります。

日本の刑罰の軽さは、動物愛護活動家たちから長年批判されてきた問題点です。

 

「動物は財産か、命ある存在か」という根本的な哲学の違い

 

アメリカが動物虐待取締りを強化し続けている背景には、根本的な哲学の違いがあります。

アメリカではASPCA(米国動物虐待防止協会)が1866年という早期に設立され、「動物には権利があり、法律のもとで保護されなければならない」という思想が150年以上にわたって社会に根付いてきました。

 

また、FBI(連邦捜査局)は2016年から犯罪統計に「動物虐待」を独立した犯罪カテゴリとして組み込みました。これにより動物虐待と対人暴力との相関が科学的データとして蓄積されるようになり、「動物虐待は人間への暴力の前段階である」という認識が社会・法執行機関に広く共有されるようになりました。

 

日本においても動物愛護法は数次にわたって改正されてきましたが、依然として動物は法的に「所有物(財産)」として扱われる面が強く、「命ある存在としての権利」という概念はまだ十分に法体系に組み込まれていません。

 

ペット文化の構造的差異

 

ペット文化の在り方も大きく異なります。

アメリカではシェルターから動物を引き取る(アダプト)ことが一般的な文化として定着しています。
ASPCA推計によれば、アメリカには3,500以上の動物シェルターがあり、毎年数百万頭の動物が収容・保護・里親マッチングされています。

 

一方日本では、ペットショップでの生体販売が今も一般的です。
ペットショップに並ぶ子犬・子猫の多くはパピーミルで生産されており、その飼育環境の劣悪さが問題視されているにもかかわらず、規制は十分に進んでいません。

 

アメリカの「生体販売禁止の波」は今後も拡大するとみられており、日本のペット産業との乖離はさらに広がる可能性があります。

 

動物福祉は本当に前進しているのか――課題と展望

 

法律はできた。では執行力は?

 

強力な法律が制定されても、実際に執行されなければ意味はありません

アメリカでは、アニマルポリス(Animal Control Officer)と呼ばれる動物虐待専門の法執行官が存在する都市も多くあります。

 
専門の訓練を受けた職員が動物虐待の通報に対応し、現場調査・逮捕・証拠収集を行います。これは日本にはほぼ存在しない仕組みです。

 

しかし課題もあります。州によって予算・人員・法律が異なるため、取締り能力に大きなばらつきがあります。農村部や財政が厳しい地域では、アニマルポリスが存在しないことも多いです。また、パピーミル規制が普及していない州へと悪質ブリーダーが移転するというモグラたたき的問題も発生しています。

 

虐待者の「登録制度」は完全ではない

 

動物虐待者レジストリも万能ではありません。
現時点では一部の州・郡にとどまっており、全国統一のデータベースが存在しません

 

そのため、登録されている地域から離れた地域に引っ越した虐待者が再び動物を手に入れることは依然として可能です。全米統一の動物虐待者データベース整備は今後の大きな課題となっています。

 

畜産分野はまだ遠い道のり

 

ケージ飼育卵の禁止は大きな前進ですが、工場型畜産全体を見れば動物福祉の実現はまだまだ道半ばです。

 

アメリカでは年間数十億羽の鶏・数億頭の豚・牛が畜産業で扱われています。その大部分は、依然として過密・ストレスの多い環境下に置かれています。農業免除条項(Agricultural Exemption)により、農場動物の多くは連邦の動物虐待法の適用対象外となっているのが現実です。

 

動物福祉団体は「5つの自由(恐怖・苦痛・渇き・痛み・正常行動欠如からの自由)」を畜産動物にも適用するよう求め続けていますが、食肉産業の巨大なロビー活動がその前進を阻んでいる面もあります。

 

それでも確実に変わってきている

 

しかしそれでも、アメリカの動物福祉は着実に前進していると言えます。

法律の数だけでなく、社会意識の変化も大きいです。

 

「動物は権利を持つ命ある存在」という認識が若い世代を中心に急速に広まり、植物性食品市場の拡大・ビーガン人口の増加・シェルターアダプション文化の普及など、社会全体が動物と共存する方向に舵を切りつつあります。

 

企業の側も変化しています。マクドナルドやウォルマートなどの大手企業がケージフリー卵の採用を表明し、パピーミル出身の動物を取り扱わないことを宣言するペットショップも増えてきました。

 

法律・文化・ビジネスの三位一体で、アメリカの動物福祉は前進しています。

 

日本が学べること――取締り強化の本質とは何か

 

アメリカの動物虐待取締り強化を見てきて、日本が学べることは何でしょうか。

 

まず、罰則の強化は不可欠です。
2年以下の懲役という日本の現行罰則は、その抑止力として明らかに不十分です。動物虐待を重罪として明確に位置づけることで、「やったら終わり」という社会的メッセージを発信することが必要です。

 

次に、執行体制の整備です。
法律があっても取り締まる専門の人員がいなければ絵に描いた餅に終わります。アニマルポリスのような専門職の創設、あるいは警察内の動物虐待専門捜査部門の強化が求められます。

 そ

して生体販売規制の抜本的見直しです。
ペットショップでの生体販売を段階的に廃止し、シェルターアダプション文化を根付かせることで、パピーミルへの需要そのものを断ち切ることが最も効果的な動物福祉の実現につながります。

 

最後に、最も重要なのは社会全体の意識変革です。
アメリカが150年以上かけて育ててきた「動物は命ある存在である」という文化的基盤は、一朝一夕には築けません。しかし、教育・メディア・法律の三位一体で取り組むことで、日本社会も確実に変わっていけるはずです。

 

まとめ:アメリカの動物虐待取締り強化が示す未来

 

アメリカの動物虐待取締り強化は、単なる「動物かわいそう」という感情論ではありません。
それは「暴力を許さない社会」「弱者の権利を守る社会」という普遍的な価値観の実践です。

 

PACT法による連邦レベルの重罪化、大型ネコ科公衆安全法による野生動物取引禁止、パピーミル規制の全国拡大、ケージ飼育卵の禁止、虐待映像の所持禁止――

 

これらの法律が示すメッセージはシンプルです。

「動物への暴力は、社会への暴力である」

日本もこのメッセージを真剣に受け止め、法律・文化・執行体制の三位一体で動物虐待取締りを強化する時が来ています。アメリカの歩みは、その最良の手本となるでしょう。


参考情報・関連リンク

  • ASPCA(米国動物虐待防止協会)公式サイト:https://www.aspca.org
  • FBI 犯罪統計(動物虐待カテゴリ):https://www.fbi.gov
  • Big Cat Public Safety Act(WWFジャパン解説)
  • PACT法(CNN日本語版解説)

最終更新:2026年2月
このブログは「アメリカ 動物虐待取締り 強化」に関する情報をまとめたものです。法律の詳細は各州・連邦機関の公式情報をご確認ください。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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