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オランダが「動物保護シェルター0」を目指す理由とフォスター制度が変えた未来|日本が今すぐ学ぶべき動物福祉の本質

オランダが「動物保護シェルター0」を目指す

 

 

はじめに|あなたが今この記事を読んでいる理由

 

「殺処分ゼロ」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。

でも、「シェルター0(ゼロ)」という概念は、まだ耳慣れない方がほとんどかもしれません。

 

シェルター0とは、「動物保護施設そのものが不要になる社会」を目指す考え方です。

保護が必要な動物をシェルターに収容するのではなく、地域社会のなかで人と動物が支え合う仕組みをつくる。オランダはその実現に向けて、国を挙げて取り組んでいます。

 

あなたが「オランダ 動物福祉」「フォスター制度 日本」「動物保護 先進国」などのキーワードでこの記事にたどり着いたとしたら、きっと今の日本の動物行政に疑問や課題を感じているのではないでしょうか。

 

この記事では、オランダのシェルター0方針が生まれた背景、フォスター制度の仕組みと実態、そして日本が今から何を学べるかを、データと具体例を交えながら徹底解説します。

 

この一記事で、動物福祉の「今」と「未来」が見えるようになります。ぜひ最後までお読みください。

 

オランダが「動物保護シェルター0」を目指す背景

 

世界が注目するオランダの動物福祉政策

 

オランダは、世界でも有数の動物福祉先進国として知られています。

 

2016年に誕生した「動物党(Partij voor de Dieren)」は世界初の動物権利政党として国政に議席を持ち、動物福祉は政治の重要テーマとして扱われています。

 

2022年時点で、オランダには約1,000万匹のペットが飼育されており、その一方で野良犬の数は国内でほぼゼロとされています。これはオランダ政府と民間団体、市民が一体となった長年の取り組みの成果です。

オランダが掲げる「シェルター0」方針の核心にあるのは、こうした考え方です。

 

「シェルターは動物問題の”解決策”ではなく、”症状”に過ぎない。根本的な問題を解決すれば、シェルターは必要なくなる。」

 

この発想の転換が、フォスター制度の爆発的な普及につながりました。

 

なぜ今「フォスター制度」なのか

 

フォスター制度(Foster Care System)とは、保護された動物を施設内で飼育するのではなく、一般家庭に一時預かりしてもらう制度です。

 

里親制度と似ていますが、最終的な譲渡を前提としない点が異なります。

「いずれは手放す」という前提があることで、里親になることへのハードルが大幅に下がります。また、シェルターに入らずに家庭環境で育つことで、動物のストレスが軽減され、社会化も進みやすくなります。

 

オランダでは、フォスター制度を国家的な動物保護政策の柱として位置づけています。その結果、2010年代以降、収容施設への依存度が急速に低下しました。

 

日本の現状|データで見る動物保護の課題

 

環境省データが示す日本の厳しい現実

 

日本では、環境省が毎年「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」を発表しています。

 

データ(2022年度)によると:

  • 犬の引取り数:約1万9,000頭
  • 猫の引取り数:約7万2,000頭
  • 殺処分数(犬+猫合計):約1万7,000頭

かつては年間30万頭以上が殺処分されていた時代と比べると、大幅に改善しています。しかし、年間1万7,000頭という数字は、今もなお無視できない水準です。

 

また、「殺処分ゼロ」を宣言した自治体でも、実際には「返還・譲渡不能」として処分されるケースが報告されており、数字の読み方には注意が必要です。

 

シェルター(動物愛護センター)の実態

 

日本全国には、都道府県・政令市が運営する動物愛護センター(旧:保健所)が約150か所あります。

多くの施設では慢性的な:

  • 人手不足
  • 資金不足
  • 収容スペースの限界
  • 職員の精神的疲弊

が報告されています。

 

民間のシェルターやレスキュー団体が補完的な役割を担っていますが、行政との連携が不十分な地域も多く、支援の質やアクセスに大きな地域格差が生じています。

 

日本においても、シェルターに依存しない動物保護の仕組み、つまりオランダ型の「コミュニティベースの動物福祉」が求められているのです。

 

よくある疑問にお答えします|Q&A形式

 

Q1. フォスター制度と里親制度の違いは何ですか?

 

A. 里親制度は「最終的にその家庭で飼育してもらうこと」が目標です。

一方、フォスター制度は「一定期間、一時的に家庭で預かること」が目的です。最終的な引取りを義務づけないため、「いつかは手放す」という前提で関われます。

 

たとえば、「今は飼えないけど、子猫の哺乳期だけ助けてあげたい」という方にも参加できる制度です。これがフォスター制度の最大の魅力です。

 

Q2. 日本でもフォスター制度は存在しますか?

 

A. はい、一部の民間団体や自治体で「一時預かりボランティア」という形で実施されています。

たとえば、東京都動物愛護相談センターや、大阪市の動物管理センターでも、ボランティアによる一時預かりの取り組みが行われています。

 

ただし、制度の整備状況や支援体制は自治体によって大きく異なります。オランダのように国として体系化されている例は、まだ日本には存在しません。

 

Q3. フォスターになるには何が必要ですか?

 

A. 団体や自治体によって異なりますが、一般的には以下が求められます:

  • 住居環境が動物を飼育できること(賃貸の場合はペット可物件であること)
  • 家族全員の同意があること
  • 定期的なフォローアップ報告への協力
  • 預かり期間中の医療費は団体が負担する場合が多い

詳しくは、お住まいの地域の動物愛護団体や自治体の動物愛護センターにお問い合わせください。

 

Q4. オランダのシェルター0は本当に実現可能ですか?

 

A. 完全な「シェルター0」は理想論だという批判もあります。しかし重要なのは、その目標に向かってシステムを作り続けることです。

 

オランダでは、目標を「収容数の最小化」と捉え、行政・民間・市民が協力して動物保護のエコシステムを構築しています。

 

「0を目指す」という姿勢が、制度を進化させ続けているのです。

 

フォスター制度の具体的な仕組みと流れ

 

オランダにおけるフォスター制度の実際

 

オランダのフォスター制度を支えるのは、主にDieren Bescherming(オランダ動物保護協会)などの民間団体と、地方自治体との連携です。

制度の流れはおおむね以下のとおりです:

 

Step 1:保護動物の受付 迷子・遺棄・虐待などで保護された動物が、行政または動物保護団体に引き渡されます。

 

Step 2:健康診断・ワクチン・マイクロチップ処置 すべての動物は医療チェックを受け、必要に応じて治療を行います。費用は団体または自治体が負担します。

 

Step 3:フォスターファミリーのマッチング 動物の性格・年齢・健康状態に合わせて、登録済みのフォスターファミリーとマッチングします。このマッチングの精度が高いほど、動物も人も安心できます。

 

Step 4:一時預かり開始 フォスターファミリーが動物を受け取り、自宅で世話をします。定期的に担当スタッフと連絡を取りながら状況を報告します。

 

Step 5:譲渡または返還 里親候補が見つかった場合は引き継ぎを行います。フォスターファミリー自身が正式な里親になるケースも多くあります。

 

日本でフォスター制度を実践するには

 

日本で今すぐ動物保護に関わりたい方は、以下の方法から始められます:

 

① 地元の動物愛護団体を検索する 「(お住まいの地名) 動物 一時預かりボランティア」で検索すると、地元の団体を見つけやすくなります。

 

② 動物愛護センターに問い合わせる 各都道府県・政令市の動物愛護センターでは、ボランティア登録を受け付けています。

 

③ 寄付で支援する 直接の預かりが難しい場合でも、フォスター制度を支援する団体への寄付が動物保護の現場を助けます。

 

④ SNSで情報を拡散する 一時預かり・里親募集の情報をシェアするだけで、命がつながることがあります。

 

フォスター制度のメリットとデメリット

 

フォスター制度のメリット

 

① シェルターの過密状態を緩和できる 施設に収容される動物の数を減らすことで、残った動物へのケアの質が向上します。

 

② 動物のストレスが大幅に減少する 家庭環境で育つことで、動物は社会化が進みやすく、譲渡後のトラブルも減ります。

 

③ 里親が見つかりやすくなる 施設内の写真より、家庭でのびのびと過ごす姿の方が里親候補の心に響きます。実際、フォスター制度を導入した団体では譲渡率が向上したという報告が多くあります。

 

④ 地域のつながりが生まれる フォスターを通じて、近隣住民や動物愛護コミュニティとのつながりが育まれます。

 

⑤ 飼い主を失った動物の緊急避難先になる 飼い主の入院・災害・DV被害など、緊急の状況で動物を一時的に預かることができます。

 

フォスター制度のデメリット・課題

 

① 預かる側の精神的負担 特に重篤な病気や老齢の動物を預かる場合、別れ(死亡・譲渡)に際して精神的なダメージを受けることがあります。

 

② 管理の難しさ 預かる家庭の状況は多様であり、適切な環境かどうかの確認と継続的なサポートが団体側に求められます。

 

③ 制度の標準化が不十分 日本では、団体ごとに制度の内容・サポートのレベルが大きく異なります。国として制度を整備することが急務です。

 

④ 費用負担の問題 医療費・フード代などの費用負担をどこが担うかによって、フォスターへの参加しやすさが変わります。 

 

実体験から見えるフォスター制度の力

 

Aさん(40代・東京都在住)は、昨年初めて保護猫の一時預かりに挑戦しました。

「最初は正直、愛着がわいたら手放せないんじゃないかと不安でした。でも担当のスタッフさんが『その愛着が動物を救うんです』と言ってくれて。その言葉に背中を押されました」

 

預かったのは、生後3週間の子猫2匹。ミルクの時間に合わせて起きる夜中の授乳、体重測定、ウンチの介助……。それは想像以上に大変な日々でした。

 

「でも、2匹が元気に育ってご縁のある家族に引き渡せた日、本当に涙が出ました。あの子たちが幸せになれたのは、私が一時的に全力で関われたからだと思えて。次の預かりも申し込みました」

 

Aさんのような経験をした人が増えることで、動物保護は「施設の問題」から「社会全体の問題」へと変わっていきます。

これがフォスター制度の、データには表れない「力」です。

 

フォスター制度・動物保護に関わるときの注意点

 

感情だけで動くと消耗する

 

動物保護の現場は、感情移入しやすい分、燃え尽き症候群(バーンアウト)に陥りやすい環境でもあります。

「自分にできる範囲で関わる」という境界線を最初に引いておくことが、長く続けるための大切な条件です。

 

所属する団体の信頼性を確認する

 

残念ながら、動物保護の名のもとに不適切な活動を行っている団体も存在します。

関わる前に以下を確認しましょう:

  • 法人登録の有無(NPO法人、一般社団法人など)
  • 活動報告・会計報告の公開状況
  • 口コミや評判(SNS・動物愛護系コミュニティなど)
  • 担当スタッフとの面談の有無

 

動物のストレスサインを理解する

 

一時預かりをする場合、動物のストレスサインを正しく読み取れるようにしておくことが重要です。

下痢・食欲不振・過度な鳴き声・隠れがちになるなどの行動は、環境変化によるストレスのサインです。早めに担当者に相談しましょう。

 

動物福祉の未来|日本社会が進むべき方向

 

「殺処分ゼロ」の先にある社会像

 

日本でも「殺処分ゼロ」を目標に掲げる自治体が増えています。しかし、本当の意味での動物福祉の実現は、殺処分ゼロの「先」にあります。

 

オランダのシェルター0という概念は、そのビジョンを指し示しています。

動物が「収容される存在」ではなく、「地域社会の一員」として位置づけられる社会。その実現のためには、法整備・教育・文化の変容が必要です。

 

日本の動物愛護法と今後の改正動向

 

日本では「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」が、動物保護の根拠法となっています。

2019年の改正では、虐待の罰則強化や飼い主の飼養義務強化が行われました。しかし、フォスター制度の法的位置づけや、民間シェルターへの公的支援については、まだ整備が不十分です。

 

今後の改正では、以下のような方向性が求められています:

  • フォスター制度の制度的な位置づけ
  • 動物愛護センターと民間団体の連携強化
  • 動物の5つの自由(Five Freedoms)に基づく飼育基準の明確化
  • 繁殖業者・販売業者への規制強化

 

教育と文化が変わることで社会は変わる

 

オランダが動物福祉先進国になれたのは、制度だけの力ではありません。

幼い頃から動物の命を尊重することを学ぶ教育、動物を「もの」ではなく「感情を持つ存在」として扱う文化が、社会の土台を作っています。

 

日本でも、学校での動物愛護教育の拡充や、ペット産業における倫理基準の引き上げが、長期的な動物福祉の向上につながります。 

 

まとめ|日本の動物福祉に「今日」から関われること

 

この記事では、オランダの「動物保護シェルター0」方針と、その核心を担うフォスター制度について詳しく解説してきました。

改めて重要なポイントを整理します:

  • オランダはシェルターへの収容を最小化する「シェルター0」を目指し、フォスター制度を国の政策として整備している
  • 日本では年間約1万7,000頭が今も殺処分されており、施設の過密・人手不足が深刻な問題となっている
  • フォスター制度は里親制度より参加ハードルが低く、地域コミュニティ全体で動物を守る仕組みをつくれる
  • 日本でも一部の自治体・民間団体がフォスター的な取り組みを始めているが、国として制度化するには課題が多い
  • 動物福祉の本質的な改善には、法整備・教育・文化の変容がセットで必要

動物福祉は、遠い国の話でも、特別な人だけの使命でもありません。

あなたが今日、地元の動物愛護センターのホームページを開くことも、友人に一時預かりの話を広めることも、全部が動物保護の「一歩」です。

オランダが証明しているのは、「社会は変わる」という事実です。

日本の動物福祉の未来も、あなたの小さな行動の積み重ねによって、確実に形づくられています。


【参考・出典】

  • 環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」(令和4年度)
  • 環境省 動物の愛護及び管理に関する法律
  • オランダ動物保護協会(Dieren Bescherming)公式サイト
  • 東京都動物愛護相談センター公式サイト
  • 公益社団法人 日本動物福祉協会(JAWS)

この記事は動物福祉に関心を持つすべての方に向けて、公的データと専門情報をもとに作成しています。掲載情報は作成時点のものです。最新情報は各公的機関・団体にご確認ください。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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