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殺処分が多い国ランキング【2024年最新】日本の現状と世界との比較を徹底解説

殺処分 多い国 ランキング

 

 

「殺処分が多い国ってどこ?日本は本当に世界一なの?」

そう疑問に思って、この記事にたどり着いた方は多いのではないでしょうか。

 

SNSや動物保護団体の発信で「日本は殺処分大国だ」という言葉を見かけることがあります。しかし、その情報は本当に正確なのでしょうか。実態はもっと複雑で、単純な比較には注意が必要です。

 

この記事では、殺処分が多い国ランキングについて、公的機関のデータや国際比較をもとに、正確な情報をお伝えします。感情論だけでなく、事実に基づいた知識を持つことが、動物福祉の本質的な改善につながります。

 

この記事でわかること

  • 殺処分が多い国・少ない国の実態
  • 日本の最新殺処分データ(環境省発表)
  • 「殺処分ゼロ」を実現した国の具体的な方法
  • 今日から自分にできること

 

殺処分が多い国ランキング——世界の現状

 

まず前提として、「殺処分が多い国」を明確にランキング化することは非常に難しいという事実をお伝えしなければなりません。

 

その理由は、国によって統計の取り方・公開の有無・定義が異なるためです。日本の環境省のように毎年詳細なデータを公表している国は、実は世界的に見ても稀なのです。

 

それでも、公的機関や研究機関が発表しているデータをもとに、主要国の状況を整理することはできます。

 

アメリカ——殺処分数は世界でも飛び抜けている

 

殺処分が多い国として、まず挙げられるのがアメリカです。

アメリカの動物保護団体HSUSの推計によれば、2012〜2013年時点で全米の動物保護施設に収容された犬猫(年間600〜800万頭)のうち、約270万頭が殺処分されていました。(※国立国会図書館「諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況」2014年)

 

この数字は日本と比べると、圧倒的な規模です。ただし、アメリカの犬猫飼育頭数は日本の約10倍とされており、単純な頭数比較には注意が必要です。

 

また1970年代には年間1,200万〜2,000万頭もの犬猫が施設で殺処分されており、現在は大幅に改善されています。近年は特にカリフォルニア州など一部の州で積極的な改革が進んでいます。

 

イギリス——削減は進んでも課題は残る

 

イギリスでは主に民間の動物保護団体が施設を運営しています。2010年時点の調査では、施設における殺処分の割合は犬が約10.4%、猫が約13.2%と推定されていました。年間の殺処分頭数は犬が1〜1.3万頭、猫が1.7〜2万頭と見られています。

 

世界最大の動物保護団体RSPCAの施設では、2013年に犬約7,000頭・猫約1.4万頭が処分されています。その多くは病気・怪我によるものですが、収容スペース不足による健康な犬猫の処分も一部存在しました。

 

ドイツ——「ティアハイム」で実現した限りなくゼロに近い数

 

ヨーロッパの中でも特に注目されるのがドイツです。

ドイツには「ティアハイム」と呼ばれる動物保護施設が全国に数百カ所あり、収容された犬は基本的に殺処分しないことが定められています。1頭につき1部屋が与えられ、施設内には訓練場・病院なども整備されています。

 

ただし、ドイツ連邦狩猟法には、狩猟鳥獣を捕食しようとする犬や猫を処分することが合法的に認められている側面もあり、「殺処分ゼロ」と一概には言い切れない複雑さがあります。

 

オーストラリア——アニマルシェルターが機能する国

 

オーストラリアには動物を殺処分する専用施設がなく、多くのアニマルシェルターが機能しています。動物の権利を守る法律が州ごとに整備されており、動物愛護の意識が社会に根付いています。

 

スウェーデン——動物の「自然な行動」を守る独自の法律

 

スウェーデンは、人間と同様に動物も自然な行動をとれる環境づくりを重視した独自の動物保護法を持っています。ケージ内での飼育制限など、動物の本来の行動習性を尊重した法制度が特徴です。

 

日本の殺処分の現状——環境省データを読む

 

最新データ:2023年度の殺処分数は9,017頭

 

環境省が発表した令和5年度(2023年4月〜2024年3月)のデータによると、全国の犬・猫の殺処分数は9,017頭でした。内訳は以下のとおりです。

  • :2,118頭
  • :6,899頭

(出典:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分状況」令和5年度)

 

15年でここまで変わった——劇的な減少の軌跡

 

2012年当時、殺処分数は全体で161,847頭(犬38,447頭・猫123,400頭)でした。

約12年間で、殺処分数は約18分の1以下にまで激減しています。これは、動物愛護法の改正(2012年・2019年)、自治体の取り組み強化、そして民間ボランティアや保護団体の地道な活動の賜物です。

 

年度 殺処分数(犬猫合計)
2012年頃 約161,847頭
2022年度 約14,457頭
2023年度 9,017頭

 

都道府県別ワーストを見ると見えてくること

 

2023年度データでは、都道府県別の傾向も明らかになっています。

  • 犬のワースト:1位・徳島県、2位・長崎県、3位・香川県
  • 猫・犬猫合計のワースト:福島県・兵庫県・岐阜県

四国・九州エリアが特に犬の殺処分数で目立ちます。こうした地域差は、行政の体制・民間団体の活動状況・地域住民の意識など複合的な要因が絡んでいます。

 

毎日25頭が命を失っている現実

 

9,017頭 ÷ 365日 = 1日あたり約25頭

今日も、この瞬間にも、日本のどこかの施設で犬猫が命を落としています。数字は劇的に改善されましたが、まだゼロにはなっていないのです。

 

よくある疑問Q&A——「日本は世界一?」の真実

 

Q1. 日本は殺処分数が「世界一多い国」ですか?

 

A. そうは言い切れません。

アメリカの推計殺処分数(2012〜2013年で約270万頭)と比べると、日本の現在の数字(約9,000頭)はけた違いに少ない状況です。

重要なのは、多くの国では日本のような詳細なデータを公表していないという点です。「殺処分が多い国ランキング」を正確に作成できる公式データは、実質的に存在しません。「日本が世界一悪い」という言説は、一面的な情報に基づくことが多いので注意が必要です。

 

Q2. 「殺処分ゼロ」の国は本当に存在しますか?

 

A. 「ほぼゼロ」に近い国は存在しますが、完全なゼロを達成した国の確認は難しい状況です。

ドイツはティアハイムの整備により行政主導の殺処分をほぼ行っていませんが、狩猟法による処分は合法とされています。「殺処分ゼロ」の定義によって、答えが変わってきます。

 

Q3. 日本でも「殺処分ゼロ」を宣言した自治体はありますか?

 

A. はい、複数の自治体が宣言・達成しています。

熊本市は2015年度以降、継続的に殺処分ゼロを達成したことで知られています。長野県、神奈川県なども積極的に取り組んでいる代表例です。ただし「ゼロ」の定義は自治体によって異なります。

 

Q4. なぜ猫の殺処分数は犬より多いのですか?

 

A. 野良猫の存在と、飼い主の特定の難しさが主な理由です。

猫は野良個体が多く、繁殖力も高いため施設への収容数自体が多くなります。また飼い猫か野良猫かの判断が難しく、適切な管理が行き届きにくい現状があります。

 

殺処分を減らした国の方法——実践パートから学ぶ

 

殺処分を大幅に減らした国・地域には、共通する取り組みがあります。

 

① 法整備——制度が変われば現実が変わる

 

ドイツの取り組み

  • 2001年「動物保護—犬に関する命令」施行、飼育基準の数値化
  • 「犬税」の導入による無責任な飼育の抑制
  • ペットショップでの犬の販売を間接的に抑制する規制

イギリスの取り組み

  • 雌犬の繁殖に関する法律上の制限(1歳未満の繁殖禁止、6回を超えての出産禁止)
  • 母犬と子犬を一緒に購入者に見せることの義務化

日本の近年の変化

  • 2019年改正:8週齢規制の導入、虐待罰則強化
  • 2022年施行:繁殖犬猫の年齢・回数制限、マイクロチップ義務化

 

② 保護施設の充実——「収容」から「橋渡し」へ

 

殺処分が少ない国の施設は、単なる「収容施設」ではなく、新しい家族へつなぐ「橋渡し施設」として機能しています。ドイツのティアハイムでは1頭1室の個別ケアが行われ、施設内に訓練場・病院も整備されています。

 

③ 不妊・去勢手術(TNR活動)の推進

 

野良猫対策として有効なのが「TNR活動」です。Trap(捕獲)→ Neuter(不妊・去勢手術)→ Return(元の場所に戻す)というプロセスを地域ぐるみで進めることで、野良猫の個体数を徐々に減らしていけます。

 

④ 「保護犬猫から迎える」文化の定着

 

動物先進国では、ペットを迎える際にブリーダーか動物保護施設から引き取るのが一般的です。この文化が定着するほど施設への収容圧力が下がり、殺処分数の減少につながります。

 

殺処分ゼロ政策のメリット・デメリット

 

メリット

  • 社会全体の動物福祉意識の向上:命の尊重という価値観が社会に根付いていきます
  • 地域コミュニティの強化:行政と民間ボランティアの連携体制が育まれます
  • 経済的な合理性:長期的には収容・処分より譲渡促進の方が費用対効果が高まります
  • 子どもへの教育効果:命を大切にする姿勢が次世代に伝わっていきます

デメリット・課題

  • 民間団体への負荷集中:自治体が引き取りを絞ることで民間の保護団体に依頼が集中し、多頭飼育崩壊を招くリスクがあります
  • 「数字だけのゼロ」の問題:統計上の殺処分ゼロでも、行き場のない動物が増えているケースがあります
  • 施設整備コストの負担:高品質な保護施設の整備には相応の財源が必要です
  • 定義の不統一:自治体・国間で「殺処分ゼロ」の定義がバラバラで、単純比較ができません

 

ある保護活動家が語った現場の声

 

ここで少し、現場の声をお届けします。

ある地方都市で保護猫活動を続けているAさん(50代女性)は、こう語っています。

 

「10年前に初めて保護猫の譲渡会を開いたとき、来てくれた人は数人でした。今は毎回50〜60人が来てくれます。社会が変わってきていることを、肌で感じます」

 

「でも、施設の収容数が落ち着いた一方で、多頭飼育崩壊の相談が増えています。数字が良くなることと、問題が解決することは、必ずしも同じではない。根本的な飼い主教育が必要だと痛感しています」

 

この言葉は、殺処分数というデータの背後にある複雑な現実を教えてくれます。数字の改善は確かな進歩ですが、「なぜ殺処分が生まれるのか」という根本的な問いへの答えは、まだ途上にあります。

 

注意点——データの読み方に潜む罠

 

殺処分に関するデータを読む際には、いくつかの重要な注意点があります。

 

① 国際比較は極めて困難

 

日本ほど詳細な統計を毎年公表している国は、世界的に見ても稀です。「日本が世界一悪い」という主張は、比較対象となるデータの非対称性を無視したものです。

 

② 「殺処分ゼロ」の定義を確認する

 

病気・怪我による安楽死を「殺処分に含む」かどうかは国や自治体によって異なります。また施設での数字と、狩猟法など別の法律による数字が別にカウントされることもあります。

 

③ 古いデータが今も流通している

 

「日本では年間39万頭が殺処分されている」という情報は、十数年前のデータです。情報を見る際は、必ず「いつのデータか」を確認してください。

 

④ 問題の本質を見失わないために

 

殺処分数の減少は喜ばしいことです。しかしその背景に、民間団体への過剰な負荷、多頭飼育崩壊の増加、飼育放棄の問題が隠れていることも忘れてはなりません。

 

動物福祉の未来——世界の潮流と日本の進む道

 

世界が向かっている方向——「感受性のある存在」としての動物

 

国際社会では、動物を単なる「財産」や「モノ」ではなく、「感受性のある存在(sentient beings)」として法的に認める方向に進んでいます。動物が「命あるもの」から「感受性のある存在」として認められるとき、人間の動物に対する考え方は根本から変わります。

 

日本の動物愛護法の進化

 

日本でも、動物愛護法は着実に進化しています。

  • 2012年改正:終生飼養の義務化強化、業者規制の強化
  • 2019年改正:8週齢規制の導入、虐待の罰則強化
  • 2022年施行:繁殖犬猫の年齢・回数制限、マイクロチップ義務化

これらの改正は欧米先進国と比べてまだ途上ですが、確実に前進しています。

 

「殺処分ゼロ」を超えた先にある動物福祉

 

本当の意味での動物福祉は、単に「殺処分をなくすこと」ではありません。国際的な基準として知られる「動物福祉の5つの自由」があります。

  1. 飢えと渇きからの自由
  2. 不快からの自由
  3. 痛み・傷害・疾病からの自由
  4. 正常な行動を表現する自由
  5. 恐怖と苦悩からの自由

こうした基準を国内の法律に落とし込み、すべての動物が尊厳を持って生きられる社会——それが、動物福祉先進国が目指しているものです。

 

日本の若い世代が変えていく

 

近年、日本でも動物福祉への関心を持つ若い世代が増えています。保護犬・保護猫の譲渡率は上昇し、SNSを通じた啓発活動も広がっています。「保護犬・保護猫から迎えることが当たり前」という文化が根付けば、殺処分が多いという問題は自然に解消に向かっていくでしょう。

 

まとめ——あなたにできることがある

 

この記事では、殺処分が多い国ランキングという検索意図に答えながら、日本と世界の実態を幅広くお伝えしました。

 

重要なポイントの整理

  • 殺処分の国際比較は正確なデータが乏しく、単純なランキングは存在しない
  • アメリカは頭数ベースで世界最大規模、ドイツはティアハイムにより限りなくゼロに近づいている
  • 日本の2023年度殺処分数は9,017頭(環境省発表)、2012年比で約18分の1に激減
  • しかし今日もなお、1日約25頭の命が失われている現実がある
  • 殺処分を減らすには「法整備・施設充実・不妊去勢推進・文化変容」の4つが鍵

「殺処分が多い国」という問いへの答えは、数字だけでは語れません。大切なのは、どの国がより良い方向に進んでいるか、そして私たち一人ひとりが何をできるかを考えることです。

 

今日から始められる行動

 

次にペットを迎えるとき、ペットショップではなく保護施設やシェルターからの譲渡を選んでみてください。地域の動物愛護団体にボランティアや寄付という形で関わることもできます。そして信頼できる情報を広め、正確な知識を持つことも立派な行動のひとつです。

動物福祉の未来は、あなたの小さな選択の積み重ねで変わっていきます。ぜひ今日から、一歩踏み出してみてください。

 


参考資料:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分状況」令和5年度 / 国立国会図書館「諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況」2014年 / 公益社団法人アニマル・ドネーション / 公益財団法人動物環境・福祉協会Eva / ピースワンコ・ジャパン

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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