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【2029年までに廃止?】タスマニア州で広がるグレイハウンドレース禁止運動|動物福祉の観点から解説

グレイハウンドレース禁止の議論

 

 

 

はじめに:あなたが「グレイハウンドレース禁止」と検索した理由

 

「グレイハウンドレース禁止」というキーワードで検索しているあなたは、きっとこんな疑問を持っているはずです。

  • オーストラリアで何が起きているの?
  • グレイハウンドレースって、本当に問題なの?
  • 禁止法案の中身はどうなっている?
  • 日本にも関係ある話なの?

この記事では、2025年にタスマニア州議会に提出された「グレイハウンドレース廃止法案」の詳細を、公的機関のデータと専門家の見解をもとに徹底解説します。

 

動物福祉の観点から何が問題なのか、法案の具体的な内容、そして世界的な動物保護の潮流まで、この1記事で完全に理解できるよう構成しました。

ぜひ最後までお読みください。

 

グレイハウンドレース禁止とは?タスマニア州で何が起きているのか

 

タスマニア州政府が下した歴史的決断

 

2025年8月10日、タスマニア州のジェレミー・ロッククリフ州首相が、グレイハウンドレースを2029年6月30日までに段階的に廃止することを発表しました。

これは単なる政策変更ではありません。数十年にわたってタスマニアの「産業」として存続してきたグレイハウンドレースに、ついに終止符が打たれることを意味します。

レーシング担当大臣のジェーン・ハウレット氏は、「参加者と動物福祉を核心に据えた、合理的かつ段階的な廃止を実現する」と述べました。暫定予算には、実施支援のために50万ドルが計上されています。

 

廃止法案の正式名称と議会での経緯

 

法案の正式名称は「グレイハウンドレース法改正(段階的廃止改革)法2025年(Greyhound Racing Legislation Amendments (Phasing Out Reform) Bill 2025)」です。

この法案は2025年11月6日に議会に上程され、2025年12月4日に下院(House of Assembly)を通過しました。

ただし、上院(立法評議会)では、補償規定の欠如などを理由に審議が延期され、議会委員会による詳細審査に付託されました。この動きはグレイハウンドレース業界の積極的なロビー活動の結果でもあり、動物福祉団体は強く反発しています。

 

法案の具体的な内容:何がいつ変わるのか

 

2026年1月1日から即時施行される措置

法案が成立した場合、2026年1月1日から以下の措置が即時施行されます。

  • レース目的のグレイハウンド繁殖の即時禁止
  • タスマニア州外からのレース参加犬に対する追加要件
  • 非医療的理由によるレース用グレイハウンドの安楽死禁止

繁殖の禁止は特に重要です。これは「新たな命を産業のために生み出すことを止める」という、業界の根幹を揺るがす措置です。

 

2029年6月30日:グレイハウンドレースの完全終了

 

2029年までの移行期間は、グレイハウンドの福祉を最優先にしつつ、トレーナーや繁殖業者が将来に向けて調整・計画する時間を確保するための期間です。タスマニア・レーシング・インテグリティ・コミッショナー(TasRIC)が移行を計画・監督する責任を担います。

 

行き場を失う犬のために:里親移行計画

 

政府は、段階的廃止によって健康なグレイハウンドが1頭も安楽死させられないことを確約しています。この約束は法案に明記されており、里親移行戦略も並行して策定される予定です。

「犬を守る」という視点がこの法案の核心にあることは、他の動物産業規制とは一線を画す点です。

 

タスマニア市民はどう思っているのか?最新世論調査の結果

 

74%が廃止を支持:圧倒的な民意

 

2023年のEMRS調査では、グレイハウンドレースを支持したのはわずか11%で、反対は60%に上りました。そして、州首相が廃止を発表した2025年8月の調査では、74%の市民がこの政策決定を支持し、反対はわずか14%でした。

これは、タスマニア市民の明確な意思表示です。

 

史上最大規模のオンライン請願

 

2022年には、タスマニア議会史上最大のオンライン請願が提出されました。1万3,500人が署名し、グレイハウンドレース産業への税金補助を終わらせるよう求めました。

市民の声が、長年にわたって積み重なった結果が今回の法案につながっています。

 

よくある疑問Q&A:グレイハウンドレース禁止について

 

Q1. グレイハウンドレースは本当にそんなに危険なの?

 

A. データは明確に危険性を示しています。

2024年、オーストラリアの競馬トラックで128頭のグレイハウンドが死亡し、驚異的な1万1,445件の負傷が記録されました。

負傷による死亡の83%が骨折または複合骨折であり、8%は競走中の突然死(虚脱)によるものでした。

これは「スポーツのリスク」と呼べるレベルを大きく超えています。

 

Q2. 業界が反対しているのはなぜ?

 

A. 経済的損失と生計への影響が主な理由です。

グレイハウンドレースは、トレーナー、繁殖業者、調教師など多くの関係者の生計に直結しています。廃止法案に補償規定が不十分だという批判もあり、立法評議会議員のルース・フォレスト氏は、レースで収入を得ている業界参加者への補償規定がないことを指摘しました。

ただし、動物福祉の観点からは「補償は別途議論すべき問題」という立場も根強くあります。

 

Q3. グレイハウンドはレース後、どうなるの?

 

A. 多くが行き場を失うのが現実です。

グレイハウンドレース産業では毎年、レースに不向きな犬が生まれます。引退後や未使用の犬を里親に出す容量が飽和状態になりやすく、健康な犬が行き場を失い、ネグレクトや虐待、安楽死の対象になることがあります。

また、競走に登録されていない多くの健康な犬が、どこへ行ったか追跡できない状態になっています。

 

Q4. ACT(首都特別地域)ではすでに禁止されているの?

 

A. はい、2018年に禁止されました。

オーストラリア首都特別地域(ACT)はすでに2018年にグレイハウンドレースを法律で禁止しており、タスマニアはその前例に続こうとしています。

ACTでの禁止が機能していることは、タスマニア廃止の実現可能性を裏付けています。

 

Q5. タスマニアの税金がレース産業に使われているって本当?

 

A. 本当です。しかもかなりの額です。

独立エコノミストのソール・エスレイク氏は報告書の中で、「タスマニアのグレイハウンドレースを手厚い政府補助金が支え続ける説得力ある理由は、慣性以外に見当たらない」と結論づけています。2009年に締結された20年間の資金協定のもと、タスマニアのグレイハウンドレース産業は7,500万ドルの税金を受け取ってきました。

グレイハウンドレースがタスマニア経済に占める割合は、州内総生産のわずか0.2%、総雇用のわずか0.2%に過ぎません。一方、業界への資金は過去15年間で年平均5.6%増加しており、これは同期間の教育予算の増加率(4.1%)を上回るペースです。

 

グレイハウンドレースの何が問題なのか:5つの構造的課題

 

動物福祉の観点から、グレイハウンドレースには根深い構造的問題があります。感情論ではなく、具体的なデータと事実に基づいて整理します。

 

課題① 過剰繁殖と「廃棄」問題

 

レースに十分な数の犬を確保するために過剰繁殖が行われており、毎年レースに不適格な犬が生まれます。引退犬や未使用犬の里親募集が追いつかず、これらの健康な犬が路頭に迷ったり、虐待・安楽死の対象になるケースがあります。

 

課題② 負傷と死亡の実態

 

2025年の全国データによると、オーストラリア全土で119頭がトラックで死亡し、1万785件の負傷が記録されています。

さらに問題なのは、これらの数字が「氷山の一角」である可能性です。

トレーニング、試走、TAB非対象レースでの負傷については、統計が公表されていません。

 

課題③ 生涯追跡システムの不透明さ

 

個々のグレイハウンドの生涯(誕生から死亡まで)を追跡・確認するための透明性が現状では著しく欠けています。レースを離れた犬の行方については、業界は説明責任を果たしていません。

 

課題④ ライブベイティング(生き餌訓練)の問題

 

グレイハウンドレースにはライブベイティング(生き餌を使った訓練)などの残虐行為の歴史があります。ライブベイティングは現在オーストラリアのすべての州・準州で違法ですが、過去の調査では実態が明らかになっており、今もゼロになったとは言い切れません。

2015年のFour Cornersによる生き餌訓練と虐待の報道が、コミュニティの意識を大きく変えるきっかけとなりました。この報道により、ACTではグレイハウンドレースが禁止されました。

 

課題⑤ 禁止薬物の使用

 

競走犬に登録されている犬には、コカイン、アンフェタミン、バイアグラなどの禁止薬物が投与されるケースがあることが確認されています。

 

具体的なエピソード:レイダーズ・ガイドの悲劇

 

数字やデータだけでは伝わらない現実があります。

タスマニアでのグレイハウンドレース廃止決定のきっかけのひとつが、4歳の競走犬「レイダーズ・ガイド」の死でした。彼はその生涯で60万4,975ドルの賞金を獲得した、タスマニア記録を持つ優秀な犬でした。しかし、最後のレースで首を骨折する壊滅的な負傷を負い、苦しみながら獣医師のもとへ運ばれ、そこで安楽死させられました。

この犬は優秀で、稼ぎ続けていた。それでも、ひとつの事故で「用済み」となった。

このエピソードは、グレイハウンドレース産業の構造的な問題を象徴しています。勝てる間は価値があり、負傷すれば終わり。犬の命は、産業の「コスト」として扱われているのです。

タスマニアの動物保護団体「Animal Liberation Tasmania」が発表したレポート『A Few Bad Apples』では、2023年8月から2024年7月までの1年間にグレイハウンドレース産業で起きた虐待の記録が詳述されています。ボランティアたちの無償の調査活動が、今日の法案実現につながりました。


廃止法案のメリット・デメリット:冷静に考える

 

動物福祉の観点から廃止を支持しつつも、この法案をめぐる多様な立場を公平に整理します。

 

メリット

 

1. グレイハウンドへの直接的な苦しみが終わる

繁殖の禁止から始まり、2029年の完全廃止まで、トラックで死傷するグレイハウンドの数は確実に減少します。

 

2. 税金の無駄遣いが解消される

グレイハウンドレースが経済に占める割合はわずか0.2%であるにもかかわらず、数千万ドルの税金が投入されてきました。廃止によって、この資金を教育・福祉など社会的に有益な分野に振り向けることができます。

 

3. 社会的信頼の回復

74%の市民が廃止を支持している現状では、産業を維持することは民主主義的観点からも疑問があります。

 

4. 里親移行による「第二の人生」

政府は健康なグレイハウンドを1頭も安楽死させないと確約しており、包括的な里親移行戦略が開発されます。グレイハウンドは穏やかで愛情深い犬種として知られており、家庭犬として非常に適しています。

 

デメリット・課題

 

1. 業界従事者の生活問題

トレーナー、繁殖業者、調教師など、レース産業で生計を立てている人々にとって、廃止は直接的な収入喪失を意味します。十分な補償と再就職支援が不可欠です。

 

2. 移行期間中の「増産」リスク

グリーン党のMLC(立法評議会議員)のキャシー・オコナー氏は、法案の通過が遅れる間に業界が意図的に繁殖を増やしているのではないかという懸念を表明しました。移行期間中に生まれた子犬の里親先が確保されるかどうかが課題です。

 

3. 地方経済への影響

グレイハウンドレースが盛んな一部の地域では、観光・飲食・賭博関連の経済活動が落ち込む可能性があります。

 

注意点:廃止法案はまだ「成立」していない

 

重要な点を明確にしておきます。

2025年12月時点で、この法案はタスマニア州議会の下院(House of Assembly)を通過しましたが、上院(立法評議会)での審議は延期されています。

立法評議会は、グレイハウンドレース廃止法案の審議を翌年(2026年)初めまで延期することを決定しました。グリーン党のスポークスパーソン、キャシー・オコナー氏は「業界が法案の終了を望んでいない。その政治的代弁者は労働党だ」と批判しました。

つまり、廃止の方向性は決まっていますが、法律として確定するかどうかは2026年の議会審議次第です。

動物福祉支持者にとって、この動向を注視し続けることが重要です。

 

世界的潮流:グレイハウンドレース禁止の国際動向

 

タスマニアの動きは、孤立した動きではありません。世界規模でグレイハウンドレースへの批判が高まっています。

 

オーストラリア国内の状況

  • ACT(首都特別地域):2018年に完全禁止(先進事例)
  • タスマニア州:2029年廃止に向けて法整備進行中
  • 西オーストラリア州:2024年の議会調査で深刻な動物福祉問題が浮上し、改革議論が進行中
  • 南オーストラリア州:2025年の全国データで死亡・負傷率の高さが指摘され、RSPCA SAが強く警告を発しています。

 

国際的な動き

 

ニュージーランド政府もグレイハウンドレースの段階的廃止を発表しています。商業的なグレイハウンドレースが今も行われている国は、アメリカ、イギリス、アイルランド、メキシコ、ベトナム(現在トラック稼働なし)など非常に限られています。

かつてグレイハウンドレースが盛んだった国々が次々と廃止・縮小に向かっています。これは「時代の要請」と言っても過言ではありません。

 

なぜ今、世界が変わっているのか

 

動物福祉に対する社会の意識は、過去20年で劇的に変化しました。

  • SNSの普及によって、現場の映像・証拠が瞬時に拡散されるようになった
  • 動物を「財産」ではなく「感情を持つ存在」として保護する法的枠組みが広がった
  • 若い世代を中心に「娯楽のために動物を苦しめることは許容できない」という価値観が主流になりつつある

グレイハウンドレースへの批判は、単なる動物愛護の感情論ではありません。それは、社会としての倫理的成熟の表れです。

 

今後の社会的視点:動物福祉と産業の関係

 

「動物福祉」が産業の持続可能性を左右する時代

 

グレイハウンドレース産業の最大の危機は、動物福祉への批判だけではありません。それは「社会的許認可(ソーシャル・ライセンス)」の喪失です。

どんな産業も、社会に受け入れられなければ持続できません。調査結果が示すように、タスマニア市民の74%がグレイハウンドレースの廃止を支持している現実は、この産業がすでに社会的支持を失っていることを意味します。

グレイハウンドレースについて、動物福祉への懸念が適切に対処されなければ、この産業の将来の持続可能性とコミュニティの受容性(社会的許認可)に深刻なリスクがあると指摘されています。

 

日本への示唆

 

日本では現在、競馬・競輪・競艇・オートレースが公営ギャンブルとして認められています。グレイハウンドに相当する公認のレースは存在しませんが、動物を使った娯楽・産業全般への社会的視線は、着実に厳しくなっています。

タスマニアの事例は、日本における動物を取り巻く産業・政策を考えるうえでも、重要な参照点となるはずです。

「動物の福祉を守ることが、社会全体の倫理的な成熟度を示す」という考え方は、今後ますます国際的なスタンダードになっていくでしょう。

 

グレイハウンドの本来の姿

 

グレイハウンドは、英国王室にも愛されてきた歴史を持つ、穏やかで知性的な犬種です。時速70km以上で走る能力を持ちながら、家では静かにくつろぐ「ソファドッグ」として知られています。

彼らは生まれつき「レースに出ること」を望んでいるわけではありません。むしろ、人間との穏やかな生活を最も好む犬種のひとつです。

 

まとめ:グレイハウンドレース禁止が意味するもの

 

タスマニア州の「グレイハウンドレース廃止法案2025」を振り返ってみましょう。

  • 2025年8月:州首相がグレイハウンドレースの2029年廃止を発表
  • 2025年11月:廃止法案が議会に上程
  • 2025年12月:下院通過、上院は審議を2026年に延期
  • 2026年1月予定:繁殖禁止など即時措置の施行(法案成立後)
  • 2029年6月30日:グレイハウンドレースの完全終了

法案の行方はまだ確定していませんが、方向性は明確です。

74%のタスマニア市民が廃止を支持し、議会史上最大のオンライン請願が提出され、38人の獣医師が廃止を求めて声を上げた。これは「一部の動物愛護家の感情論」では決してありません。

データが示すように、毎年数万頭が負傷し、数百頭が死亡し、税金が膨大に投入され続けてきたグレイハウンドレース産業に対して、社会が「NO」を突きつけた歴史的な転換点です。

動物福祉は、私たちの社会が「どんな価値観を持つか」を映す鏡です。

タスマニアの決断は、その問いに対するひとつの、そして明確な答えです。

 

あなたにできること:行動のための一歩

 

タスマニアの状況に関心を持った方は、ぜひ以下の行動を検討してみてください。

  • 情報を広める:この記事をSNSでシェアして、グレイハウンドレースの現実を多くの人に届けましょう。
  • 里親になる:オーストラリアや日本でも、グレイハウンドの里親募集が行われています。引退犬に「第二の人生」を与えることを検討してみてください。
  • 動物福祉団体を支援する:RSPCA・Animals Australia・Animal Liberation Tasmaniaなど、現場で活動する団体への寄付や署名活動への参加も力になります。
  • 関連政策に関心を持つ:日本でも動物福祉に関わる法整備が進んでいます。地域の政策動向をフォローする習慣を持ちましょう。

グレイハウンドたちは、自分の声で訴えることができません。声を持つ私たちが、代わりに行動することで、世界は少しずつ変わっていきます。

「知ることが、変えることの第一歩です。あなたが今この記事を読んだこと、それがすでに一歩です。」


最終更新日:2026年3月 参考資料:タスマニア自然資源・環境省(NRE Tasmania)、タスマニア州首相府、RSPCA Australia、Animals Australia、Coalition for the Protection of Greyhounds、Tasmanian Racing Integrity Commissioner(TasRIC)

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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