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SDGsと動物福祉の関係とは?持続可能な社会のために知っておきたい基礎知識

SDGsと動物福祉

 


この記事でわかること

  • SDGsと動物福祉がどのように結びついているか
  • 日本と世界の動物福祉の現状(データ・公的機関情報つき)
  • 動物福祉に配慮した具体的な行動・選択の方法
  • 個人・企業・社会それぞれができること

はじめに:「動物のこと」はSDGsに関係ないと思っていませんか?

 

「SDGs」という言葉を聞いたとき、多くの人は気候変動や貧困問題、ジェンダー平等を思い浮かべるかもしれません。

では、動物福祉はどうでしょうか。

「動物のことはSDGsとは別の話では?」と感じる人も多いと思います。

 

しかし、それは大きな誤解です。

SDGsが目指す「持続可能な社会」を実現するためには、動物との関係を見直すことが不可欠なのです。

この記事では、SDGsと動物福祉の深いつながりを、データや公的機関の情報をもとにわかりやすく解説します。

「なんとなく動物がかわいそう」という感情論ではなく、科学的・社会的根拠に基づいた視点でお伝えします。

読み終えた頃には、あなたの日常の選択が動物福祉とSDGsにどれだけ影響しているかが、はっきりと見えてくるはずです。

 

SDGsとは何か?動物福祉との接点を理解する

 

SDGs17の目標と動物福祉の関係

SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)は、2015年の国連サミットで採択された、2030年までに達成すべき17の国際目標です。

 

この17の目標は、人間社会だけに向けたものではありません。

動物福祉と特に関連が深いSDGsの目標は次の通りです。

 

SDGs目標 動物福祉との関係
目標2「飢餓をゼロに」 畜産・養殖の持続可能な管理と動物の扱い
目標3「すべての人に健康と福祉を」 人畜共通感染症の予防、ワンヘルス
目標12「つくる責任 つかう責任」 持続可能な消費・生産と畜産環境改善
目標14「海の豊かさを守ろう」 水産資源・海洋生物の保護
目標15「陸の豊かさも守ろう」 野生動物の生息地保護・生物多様性

 

このように、SDGsの17目標のうち少なくとも5つが動物福祉と直接関係しています。

 

「ワンヘルス」という重要な概念

SDGsと動物福祉を結ぶキーワードのひとつが「ワンヘルス(One Health)」です。

ワンヘルスとは、人間・動物・環境の健康は一体であり、三者を統合的に守ることが必要という考え方です。

世界保健機関(WHO)や国連食糧農業機関(FAO)も推進しており、日本でも環境省・農林水産省・厚生労働省が連携してワンヘルスの取り組みを進めています。

例えば、新型コロナウイルスの約70%は人畜共通感染症(ズーノーシス)が起源とも言われており(WHO推計)、動物の健康管理は人間社会の健康にも直結しています。

 

現状の問題:日本と世界の動物福祉はどのくらい遅れているのか

 

日本の動物福祉の現状

日本は動物福祉の取り組みにおいて、国際的に見て遅れが目立つ国のひとつです。

世界動物保護協会(WAP) が発表した「動物保護指数(API)」では、日本はD評価(A〜Gの7段階)にとどまっています(2023年最新版)。

これは先進国の中でも低い水準であり、欧米の主要国と比較すると大きな差があります。

日本の動物福祉における主な課題は以下の通りです。

  • 畜産動物の飼育環境:バタリーケージ(鶏の狭小飼育)の普及率が高い
  • 実験動物の使用数:農林水産省によると年間約450万匹が実験に使用(2020年度)
  • 殺処分数:環境省の統計では2022年度に全国で約1万7千頭の犬猫が殺処分されている
  • 野生動物の扱い:外来種問題や密猟・違法取引への対策が不十分な側面がある

 

世界の畜産と環境への影響

動物福祉の問題は、環境問題とも深く絡み合っています。

国連食糧農業機関(FAO)の報告によると、畜産業は全世界の温室効果ガスの約14.5%を排出しており、これは全交通機関の排出量を上回る数字です。

また、畜産のために利用される農地は世界の農地の約80%に相当しますが、生産される食物エネルギーはわずか20%にすぎません(FAO, 2023)。

このような非効率な資源利用と動物への負荷は、SDGsが掲げる「持続可能な生産」からほど遠い現状です。

 

よくある疑問:SDGsと動物福祉についてのQ&A

 

Q1. 「動物福祉」と「動物愛護」は同じですか?

 

A. 異なる概念です。

「動物愛護」は主にペットなどの身近な動物を愛し大切にすることを指し、感情的な側面が強い言葉です。

一方、「動物福祉(Animal Welfare)」は科学的・倫理的な概念であり、動物が身体的・精神的に良好な状態(ウェルビーイング)を保てることを指します。

国際的には「5つの自由(Five Freedoms)」が動物福祉の基本原則とされており、これは英国農場動物福祉評議会が1979年に提唱したものです。

 

5つの自由

  1. 飢えと渇きからの自由
  2. 不快からの自由
  3. 痛み・傷・病気からの自由
  4. 恐怖と苦痛からの自由
  5. 正常な行動を表現できる自由

 

Q2. 個人が動物福祉を意識しても、SDGs達成に本当につながるのですか?

 

A. はい、確実につながります。

消費者の行動は市場を動かす力を持っています。

例えば、ケージフリー(平飼い)卵を選ぶ消費者が増えることで、2023年には日本マクドナルド・イオン・イトーヨーカドーなどの大手企業が相次いでケージフリー方針を表明しました。

個人の選択が企業を動かし、産業構造を変える——これがSDGsにおける「消費者の力」です。

 

Q3. 動物福祉に取り組むとコストが増えるのではないですか?

 

A. 短期的にはコストが増える場合がありますが、長期的には逆です。

動物福祉に配慮した飼育環境は、ストレス軽減により動物の病気を減らし、薬剤(抗生物質など)の使用量を削減できます。

欧州では農場動物の抗生物質使用削減が進んでおり、これは人間の薬剤耐性菌問題(AMR)の予防にもつながっています。

薬剤耐性は年間70万人が死亡(WHO推計)する世界的問題であり、動物福祉への投資は医療費削減という長期的メリットをもたらします。

 

具体的な方法:SDGsを意識した動物福祉の実践ステップ

 

個人でできる動物福祉×SDGsの行動

難しく考える必要はありません。日常の小さな選択から始められます。

 

STEP 1:食の選択を見直す

  • ケージフリー卵・平飼い卵を選ぶ
  • 週1〜2日のミートフリーデー(肉を食べない日)を設ける
  • MSC・ASC認証(持続可能な漁業・養殖業)のシーフードを選ぶ
  • 地産地消を心がける(輸送コスト削減=CO2削減)

STEP 2:消費行動を変える

  • 動物実験を行っていないクルエルティフリー(Cruelty-Free)化粧品・日用品を選ぶ
  • ファッションでは本革・本毛皮よりも代替素材を検討する
  • ペットを迎える際はショップ購入ではなく、保護犬・保護猫の引き取りを検討する

STEP 3:情報を広める

  • SNSでSDGsと動物福祉の関係を発信する
  • 企業の動物福祉方針を確認し、取り組みの良い企業を応援する
  • 地域の動物保護活動やボランティアに参加する

 

企業・自治体でできる取り組み

企業・自治体レベルでも、SDGsと動物福祉を結ぶ取り組みは加速しています。

 

企業の事例

  • イオン:2025年までにケージフリー卵への移行方針を発表
  • スターバックス:植物性代替ミルクの提供拡大によるCO2排出削減
  • 資生堂:化粧品の動物実験廃止(国内外)

自治体の事例

  • 東京都:「東京都動物愛護管理推進計画」(2022〜2026年)により殺処分ゼロを目標に掲げる
  • 神奈川県:TNR(捕獲・不妊去勢・返還)事業の推進で地域猫の管理を適正化
  • 環境省:「人と動物が幸せに生きる社会の実現プロジェクト」を展開中

 

メリット・デメリット:動物福祉に取り組む際の正直な評価

 

動物福祉を推進するメリット

 

社会・環境面

  • 温室効果ガス排出量の削減に貢献(持続可能な畜産への移行)
  • 薬剤耐性菌(AMR)問題の緩和
  • 生物多様性の保全
  • ズーノーシス(人畜共通感染症)のリスク低下

経済面

  • 動物福祉市場の拡大(欧米では急成長中)
  • ESG投資の観点から企業価値の向上
  • 長期的な医療費・環境対策コストの削減

個人・社会心理面

  • 倫理的消費による自己効力感の向上
  • 動物との共生による精神的豊かさ
  • 次世代への持続可能な価値観の継承

 

動物福祉推進の課題・デメリット

公平に見るため、課題も正直にお伝えします。

  • コストの増加:動物福祉に配慮した製品は一般的に割高になりやすい
  • 情報の複雑さ:認証制度が多岐にわたり、消費者が判断しにくい
  • 業界・産業への影響:既存の畜産・製造業への急激な変化は経済的混乱を招く可能性がある
  • 国際的な競争力への懸念:規制強化が企業の国際競争力に影響する場合がある

これらの課題に対しては、段階的な移行支援・補助金制度・国際標準化などの政策的アプローチが必要です。

日本でも農林水産省が「農業のグリーン化」を推進しており、動物福祉への移行支援が始まっています。

 

実体験エピソード:ある消費者の「気づき」の物語

 

東京都内に住む30代の会社員・Aさんは、ある日スーパーで卵を買おうとしたとき、ふと棚を見渡しました。

「ケージフリー」という文字が書かれた卵は、通常の卵より1パック100円ほど高い。

「高いから買わなくていいか」と思いかけたとき、たまたまスマホで見た動画が頭をよぎりました。

それは、バタリーケージの中で身動きも取れない鶏たちの映像でした。

「この100円の差は、何のための差なんだろう」

Aさんはその日からケージフリー卵を選ぶようになりました。

さらに調べていくと、ケージフリー卵を選ぶことは、鶏の福祉だけでなく、CO2排出の削減にもつながることを知りました。

「自分の選択がSDGsに関係していたなんて、思ってもみなかった」とAさんは言います。

小さな100円の違いが、産業と社会を変える力を持っている。

これはAさんだけの話ではなく、私たち全員が持つ「選択の力」の話です。


 

注意点:動物福祉×SDGsに取り組む際に気をつけること

 

① 「グリーンウォッシュ」に騙されない

企業の中には、実態が伴わないまま「動物福祉に配慮」「サステナブル」とラベルを貼るケースがあります。

 

信頼できる認証の例:

  • MSC認証(海洋管理協議会):持続可能な漁業
  • ASC認証(水産養殖管理協議会):持続可能な養殖
  • Cruelty-Free(リーピングバニー):動物実験なし
  • RSPO認証(パーム油の持続可能性)

企業の主張だけを鵜呑みにせず、第三者認証の有無を確認することが大切です。

 

② 感情論だけで語らない

動物福祉への関心は大切ですが、感情論だけでは社会的議論が深まりません。

畜産農家や関連業者には生活があり、急激な変化は生計を脅かします。

科学的データと経済的現実を踏まえたバランスある議論が、持続可能な変革につながります。

 

③ 自分の行動が「完璧」でなくてもいい

「ヴィーガンにならないと動物福祉に貢献できない」というわけではありません。

週1回の肉食を減らす、ケージフリー卵を選ぶ、クルエルティフリー製品を試してみる——そのような小さな一歩の積み重ねが、社会全体の方向性を変えます。

完璧主義は行動の妨げになります。できることから始めることが最も重要です。

 

今後の社会的視点:動物福祉は「次のESG」になる

 

欧州での規制強化が示す未来

欧州連合(EU)は2023年に「Farm to Fork(農場から食卓まで)戦略」を推進し、2027年までにバタリーケージを全面禁止する方針を発表しています。

これにより、EUに食品を輸出する日本企業も動物福祉基準への対応が求められる可能性があります。

つまり、動物福祉は今後の国際ビジネスにおける競争力の条件になりつつあるのです。

 

ESG投資と動物福祉の結びつき

世界的なESG投資(環境・社会・ガバナンスを重視した投資)の拡大に伴い、動物福祉はESGのS(社会)の重要指標として認識されはじめています。

2023年には、FAIRR(Farmと動物農業の責任ある投資を推進するイニシアティブ)が35兆ドル以上の資産を管理する投資家グループをまとめ、大手食品企業に動物福祉方針の開示を求めました。

日本企業も、この国際的な流れに対応しなければ、投資家からの評価が下がるリスクがあります。

 

「動物福祉」が消費者の購買基準になる時代

日本でも若い世代を中心に、倫理的消費(エシカル消費)への関心が急速に高まっています。

消費者庁の調査(2021年)では、約7割の消費者が「環境や社会に配慮した商品を選びたい」と回答しています。

この意識が行動に移るとき、動物福祉に配慮した製品・サービスへの需要は飛躍的に増加するでしょう。

SDGsと動物福祉の関係を理解することは、未来の市場を読む力にもなります。

 

まとめ:SDGsと動物福祉は「地続き」の問題

 

この記事でお伝えしたことを振り返ります。

  • SDGsの17目標のうち少なくとも5つが、動物福祉と直接関係している
  • 動物の健康・環境・人間の健康は「ワンヘルス」として一体である
  • 日本の動物福祉は国際的に見て課題が多く、改善の余地が大きい
  • 個人の選択(食・消費・情報発信)が産業と社会を変える力を持つ
  • 動物福祉はESG投資・国際ビジネスの重要指標になりつつある
  • 完璧主義でなく、できることから一歩ずつ始めることが大切

SDGsと動物福祉は、「別の問題」ではありません。

人間・動物・環境が共に持続可能に生きられる社会——それがSDGsの本質であり、動物福祉が目指す未来です。

今日から、あなたの食卓と消費の選択を少しだけ変えてみませんか。

その小さな変化が、2030年の世界を確実に変えていきます。


最終更新:2026年3月 参考:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」、FAO「Livestock’s Long Shadow」、WHO「One Health Joint Plan of Action」、世界動物保護協会「Animal Protection Index 2023」、消費者庁「エシカル消費に関する消費者意識調査」、農林水産省「農業のグリーン化に向けた取組」

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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