デグーが鳴く理由|鳴き声の意味と種類を徹底解説【動物福祉の視点から】

はじめに|「うちのデグー、なんで鳴いてるの?」と感じたことはありませんか?
デグーを飼い始めたばかりのころ、ふと気づくことがあります。
「ピッ」「クルル」「キーッ」——さまざまな声を出すデグーを前に、「今、何を伝えようとしているんだろう?」と思ったことはないでしょうか。
デグーは、げっ歯類の中でも特に鳴き声の種類が多い動物として知られています。 研究によれば、デグーは10種類以上の異なる鳴き声を使い分けるとされており、その複雑なコミュニケーション能力は科学者たちの注目を集めてきました。
しかし、飼い主としては「鳴き声の意味がわからない」「鳴き止まないけど大丈夫?」という不安を感じることも多いはずです。
この記事では、デグーが鳴く理由と鳴き声の意味を徹底的に解説します。 動物行動学の知見と動物福祉の観点を組み合わせながら、デグーとより深い絆を結ぶためのヒントをお届けします。
この記事を読むことで、あなたのデグーが「今何を感じているのか」が、少しだけ見えるようになるはずです。
デグーという動物を知る|なぜ鳴き声が豊かなのか
デグーの社会性と鳴き声の関係
デグーの学名は Octodon degus。 南米チリのアンデス山脈周辺に生息する社会性の高いげっ歯類です。
野生のデグーは、5〜10頭の群れを作って生活します。 敵から身を守るための見張り、仲間への警告、子育て中の親子間のやりとり——これらすべてを鳴き声で行ってきた歴史があります。
つまり、デグーが多彩な鳴き声を持つのは、高度な社会生活を送るために進化した結果なのです。
この背景を知るだけで、鳴き声に対する見方が変わってきます。 デグーが鳴くのは「うるさい」からではなく、あなたに何かを伝えようとしているサインなのです。
科学的に注目されるデグーのコミュニケーション能力
チリ大学やドイツの動物行動学研究グループによる研究では、デグーの鳴き声は超音波域を含む複数の周波数帯域にまたがることが確認されています。
特に注目されているのは、デグーの子どもが母親に対して発する超音波鳴き声です。 これは人間の赤ちゃんの泣き声と機能的に類似しており、哺乳類における親子間コミュニケーションの研究に重要な示唆を与えています。
また、環境省が策定する「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」においても、小動物の福祉に関する指針が示されており、デグーのような小型哺乳類の精神的健康(メンタルウェルフェア)への配慮が求められています。
デグーが鳴く理由|鳴き声の種類と意味を完全解説
① 「ピッ・ピッ」短い高音——挨拶・呼びかけ
最も聞き慣れるであろうこの鳴き声は、コンタクトコール(接触鳴き)と呼ばれます。
仲間や飼い主に対して「ここにいるよ」「元気?」と声をかける感覚に近いものです。
具体例: ケージから出してほしいとき、飼い主が部屋を出ていったとき、ほかのデグーが視界から消えたときなどに、この鳴き声が聞かれることが多いです。
- 音の特徴:短く、高め、繰り返す
- 感情の状態:穏やか・好奇心旺盛
- 対応のヒント:声で返事をしてあげると安心します
② 「クルクル・ルルル」低くやわらかい音——満足・甘え
これはデグー版の「ゴロゴロ」とも言える鳴き声です。
飼い主に撫でられているとき、ご飯をもらったとき、仲間とぴったりくっついて寝ているときなどに聞かれます。
リラックスしている証拠であり、飼い主にとっては最もうれしい鳴き声のひとつではないでしょうか。
- 音の特徴:低く、やわらかく、連続的
- 感情の状態:満足・安心・愛情
- 対応のヒント:そのまま優しく接し続けましょう
③ 「キーッ・キキキ」甲高い音——警戒・恐怖・痛み
この鳴き声はアラームコール(警戒鳴き)です。
野生では天敵を発見したときに発する声ですが、飼育下では以下のような状況でよく聞かれます。
- 突然大きな音がしたとき
- 慣れていない人に触られたとき
- 痛みや不快感を感じているとき
- 他のデグーと喧嘩しているとき
この鳴き声が続く場合は、ストレスや健康上の問題が隠れている可能性があります。 無視せず、原因を探ることが大切です。
- 音の特徴:甲高く、鋭く、突発的
- 感情の状態:恐怖・痛み・強いストレス
- 対応のヒント:刺激を取り除き、静かに見守る
④ 「ウーウー・グルグル」低く唸るような音——威嚇・不満
これは威嚇や怒りのサインです。
縄張りを侵されたとき、触られたくないときなどに発します。 特に複数飼いをしている場合、相性の悪いデグー同士の間で聞かれることがあります。
- 音の特徴:低く、連続的、押しつぶすような音
- 感情の状態:怒り・不快・威嚇
- 対応のヒント:無理に触らず、距離を置く
⑤ 「チチチ・チュチュ」細かく速い音——興奮・遊び
おもちゃや新しい環境への興奮、仲間と遊んでいるときに聞かれる鳴き声です。
ポジティブな興奮状態を表しており、デグーがいきいきしているサインです。
- 音の特徴:速く、細かく、変化がある
- 感情の状態:興奮・好奇心・遊び
- 対応のヒント:遊び相手になってあげると喜びます
⑥ 超音波の鳴き声——子デグーの「助けて」サイン
親デグーと子デグーの間では、人間には聞こえない超音波域(約20kHz以上)の鳴き声が交わされています。
これは「迷子鳴き」とも呼ばれ、子デグーが母親と離れたときに発します。 母親はこの声を聞くと、すぐに子どもを探しに向かいます。
飼育下では超音波は直接聞こえませんが、子デグーを扱う際はこの点を意識した配慮が必要です。
よくある疑問に答えます|Q&A形式で解説
Q1. デグーが夜中に鳴き続けるのはなぜ?
A. デグーは基本的に薄暮性(朝夕に活動が活発になる)の動物ですが、飼育環境によっては夜間に鳴くこともあります。
考えられる原因:
- 寂しさ・孤独感(単飼いの場合に多い)
- 部屋が明るすぎる・暗すぎる
- 温度・湿度の不快感
- 体調不良や痛み
- ストレスによる不安状態
特に単独飼育のデグーは孤独を感じやすく、夜間の鳴き声が増える傾向があります。 デグーは本来群れで生活する動物なので、可能であれば複数飼育が推奨されます。
Q2. デグーの鳴き声がうるさい場合、どう対処すればいい?
A. まず「なぜ鳴いているか」を特定することが先決です。
鳴き声への対処ステップ:
- 鳴き声の種類を確認する(警戒音?甘え声?)
- 環境に問題がないか確認する(温度・明るさ・騒音)
- 体調をチェックする(食欲・排泄・動き方)
- スキンシップを増やす(特に単飼いの場合)
- 改善しない場合は獣医師に相談する
鳴き声を「問題」として封じるのではなく、コミュニケーションのサインとして読み解く姿勢が大切です。
Q3. 鳴かないデグーは大丈夫?
A. デグーによって個体差はありますが、まったく鳴かないのは少し注意が必要です。
考えられる理由:
- もともとおとなしい性格
- 環境に慣れておらず、警戒している
- 体調が悪く、エネルギーがない
- 強いストレスや抑圧状態
特に「以前はよく鳴いていたのに急に鳴かなくなった」場合は、体調不良のサインである可能性があります。 (デグーに詳しい)エキゾチックアニマル専門の獣医師に相談することをおすすめします。
実践パート|鳴き声から読み解くデグーの気持ちと対応方法
STEP 1|鳴き声を「記録」する習慣をつける
デグーとの信頼関係を深めるには、まず鳴き声を観察・記録することから始めましょう。
おすすめの方法:
- スマートフォンのメモアプリに「鳴いた時間・状況・音の種類」を記録する
- 可能であれば動画撮影しておく(獣医師への相談時にも役立ちます)
- 1週間続けると、パターンが見えてきます
STEP 2|環境を整えてストレス要因を取り除く
デグーが過度に鳴く場合、環境の見直しが効果的です。
理想的な飼育環境のチェックリスト:
- 温度:20〜26℃(高温多湿に弱い)
- 湿度:40〜60%
- ケージの広さ:高さのあるもの(60cm以上推奨)
- 騒音・振動がない静かな場所
- 適切な明暗サイクル(夜は暗くする)
- 砂浴びができる環境
- かじり木などの環境エンリッチメント
STEP 3|声で答える・名前を呼ぶ
デグーは声によるコミュニケーションを好みます。
飼い主が「ピッ」と返事をしたり、優しく名前を呼んだりすることで、デグーは「ちゃんと聞いてくれている」と感じ、安心します。
実践のポイント
- 毎日決まった時間に声をかける
- 穏やかで優しいトーンを心がける
- 高音の「ピッ」という声を真似てみる
- 呼んだら来たときは必ず褒める
STEP 4|獣医師との連携を怠らない
鳴き声が急変した場合や、行動の変化が見られる場合はエキゾチックアニマルを診察できる獣医師への相談が不可欠です。
日本では、エキゾチックアニマルを専門に扱う動物病院が徐々に増えてきています。 「デグー 動物病院 [お住まいの地域名]」で検索し、かかりつけ医を見つけておきましょう。
(関連情報:デグーの健康管理についての詳細は、別記事「デグーの病気サイン早期発見ガイド」もご参照ください)
デグーの鳴き声を理解するメリット・デメリット
メリット
-
健康状態の早期発見につながる 鳴き声の変化が体調不良のサインになることが多い
-
信頼関係が深まる デグーの気持ちに応えることで、絆が強くなる
-
ストレスの原因を取り除きやすくなる 「何に反応しているか」がわかると対策が打てる
-
飼育の満足度が上がる コミュニケーションが成立すると、飼育が一段と楽しくなる
デメリット・注意点
-
個体差があるため、完璧には判断できない 同じ鳴き声でも、デグーによって意味が異なる場合がある
-
慣れるまでに時間がかかる 鳴き声の意味を覚えるには、継続的な観察が必要
-
過剰な解釈に注意 「鳴いているから必ず不満がある」とは限らない。全体の状態で判断する
実体験エピソード|鳴き声が教えてくれた大切なこと
ある飼い主の方から伺ったエピソードをご紹介します。
Aさんは2頭のデグーを飼っていましたが、ある日から1頭が「キキキ」と甲高い声で頻繁に鳴くようになりました。
最初はケンカかと思い見守っていましたが、その鳴き声は夜中も続き、食欲も落ちてきました。
「なんとなく様子がおかしい」と感じたAさんが動物病院に連れて行ったところ、歯の過成長(不正咬合)が見つかりました。
口の中の痛みを「キキキ」という鳴き声で訴えていたのです。
早期に発見できたことで、適切な処置が間に合いました。
このエピソードが示すように、デグーの鳴き声は体の異変を伝える重要なサインでもあります。
「いつもと違う」を見逃さないことが、命を守ることに直結します。
注意点|鳴き声対応で絶対にやってはいけないこと
デグーの鳴き声に困ったとき、善意からであっても逆効果になる対応があります。
❌ 鳴くたびにおやつを与える
「鳴いたらおやつがもらえる」と学習し、要求鳴きが増えるだけです。 鳴き声の意味を理解した上で、適切に対応しましょう。
❌ 大きな声で叱る・ケージを叩く
デグーは大きな音に敏感です。 怖がらせることで長期的なストレスにつながり、信頼関係も壊れます。
❌ 鳴いても無視し続ける
痛みや恐怖によるSOSを見逃す可能性があります。 鳴き声の種類を見極め、必要なケアを提供してください。
❌ インターネットの情報だけで判断する
鳴き声の変化が続く場合は、必ず専門の獣医師に相談しましょう。 この記事も参考情報のひとつとして、プロの判断を優先してください。
動物福祉の視点から|デグーの「声」が問いかけるもの
日本における小動物の扱いの変化
近年、日本社会における動物観は大きく変わりつつあります。
環境省は2023年に「動物の愛護及び管理に関する法律」を改正し、動物の「五つの自由」(飢えや渇きからの自由、苦痛からの自由、恐怖からの自由、正常な行動を表現する自由など)に基づいた飼育を推進しています。
これは犬や猫だけでなく、デグーのようなエキゾチックアニマルにも適用される考え方です。
デグーの声を「聞く」ことの意味
デグーが鳴く理由を理解しようとすること——それは単なる飼育テクニックではありません。
「この動物は今何を感じているのか」を想像し、応えようとすること。 それこそが、動物福祉の根本にある姿勢です。
動物が声を出せることと、その声を聞いてもらえること——この両方が揃ったとき、初めて「飼育」は「共生」になります。
エキゾチックアニマルの認知が広がる未来へ
デグーをはじめとするエキゾチックアニマルの飼育者は、日本でも着実に増えています。 それに伴い、専門知識を持つ獣医師の育成や、飼育情報の質的向上が求められています。
飼い主一人ひとりが正確な知識を持ち、デグーの気持ちに寄り添うことが、日本の動物福祉の水準を底上げすることにもつながります。
あなたのデグーへの関心が、その大きな流れの一部です。
まとめ|デグーの鳴き声は「言葉」だった
この記事では、デグーが鳴く理由と鳴き声の意味について、以下の観点から解説してきました。
| 鳴き声の種類 | 感情・状態 | 対応 |
|---|---|---|
| ピッ・ピッ(短い高音) | 挨拶・呼びかけ | 声で返す・近くに行く |
| クルクル(低くやわらか) | 満足・甘え | そのまま優しく接する |
| キーッ・キキキ(甲高い) | 恐怖・痛み・警戒 | 刺激を除去・受診検討 |
| ウーウー(低く唸る) | 威嚇・怒り | 距離を置く |
| チチチ(速く細かい) | 興奮・遊び | 遊び相手になる |
デグーの鳴き声は、感情・健康状態・欲求のすべてを映し出す鏡です。
聞き流してしまえばただの「音」ですが、意味を知って耳を傾ければ、それは大切なメッセージになります。
今日からぜひ、デグーの鳴き声を少し意識して聞いてみてください。 きっとこれまでよりも、あなたのデグーのことが深く理解できるようになります。
あなたのデグーが今日も元気に鳴いているなら、それはあなたへの最高のメッセージです。 ぜひこの記事を参考に、デグーとのコミュニケーションをさらに深めてみてください。
もし「もっと詳しく知りたい」「うちのデグーの鳴き声が心配」という方は、エキゾチックアニマル専門の獣医師への相談や、信頼できる飼育コミュニティへの参加もおすすめです。
参考情報:環境省「動物の愛護及び管理に関する法律」/家庭動物等の飼養及び保管に関する基準
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