デグーが懐くまでの期間はどれくらい?懐かせ方のステップと注意点を徹底解説

はじめに:「うちのデグー、全然懐いてくれない…」と感じていませんか?
デグーを迎えてから数週間が経つのに、近づくたびに逃げてしまう。
ケージに手を入れると固まってしまう。
呼んでも来ない。
そんな悩みを抱えて、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
デグーは「アンデスの歌うネズミ」とも呼ばれる、非常に知性と感情が豊かな小動物です。 適切なコミュニケーションを続ければ、飼い主の肩に乗ってくつろいだり、名前を呼ぶだけで駆け寄ってきたりするほど、深い絆を築くことができます。
しかし、デグーが懐くまでの期間には個体差があり、「正しい方法」を知らないまま進めると、かえって信頼関係を壊してしまうこともあります。
この記事では、デグーが懐くまでの期間の目安と、その背景にある行動学的な理由、そして段階的な懐かせ方のステップを、動物福祉の視点からわかりやすく解説します。 この記事を読み終えれば、焦らず、正しく、愛情を持ってデグーと向き合うための知識が揃います。
デグーという動物を理解する:懐くまでに時間がかかる理由
デグーの生態と社会性
デグー(Octodon degus)は、南米チリのアンデス山脈に生息する草食性の齧歯類です。 野生では群れを形成し、天敵から身を守るために非常に高い警戒心を持っています。
この「警戒心の高さ」こそが、新しい環境やヒトに慣れるまでに時間がかかる最大の理由です。
野生での行動研究によれば、デグーは新しい刺激に対して「フリーズ(凍りつき)」「フライト(逃避)」の反応を示しやすく、これは本能的な生存戦略です。 飼育下においても、この本能はそう簡単には消えません。
環境省の飼育基準とデグーへの影響
環境省が定める「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」では、動物の飼養にあたって動物の習性・本能を尊重した適切な飼育環境の提供が求められています。
デグーに関しても、「種特有の行動ニーズを満たした環境設計」が信頼関係形成の前提となります。 つまり、デグーが安心できる環境づくりなしに「懐かせること」を優先するのは、動物福祉の観点から見ても望ましくありません。
まず環境を整えること。それが、デグーが懐くまでの期間を短縮する最初の一歩です。
デグーが懐くまでの期間の目安:個体差を知ることが大切
一般的な懐くまでの期間
デグーが飼い主に慣れ、信頼関係が芽生えるまでの目安は以下のとおりです。
| フェーズ | 期間の目安 | 状態の目安 |
|---|---|---|
| 環境への慣れ(適応期) | 1〜2週間 | ケージ内で落ち着いて行動できる |
| 飼い主の存在を認識 | 2〜4週間 | 逃げなくなる、近くにいても食事できる |
| 手からエサを食べる | 1〜2ヶ月 | 手を差し出すと近寄ってくる |
| 手の上に乗る・触れる | 2〜4ヶ月 | スキンシップを受け入れ始める |
| 深い信頼関係(懐いた状態) | 3〜6ヶ月以上 | 名前に反応、自発的にスキンシップを求める |
この期間はあくまで目安です。 ペットショップ出身か、ブリーダー出身か、兄弟と一緒に育ったかどうか、過去のヒトとの接触経験など、多くの要因が影響します。
焦りが最大の敵
「もう1ヶ月経つのに全然懐かない」と感じる飼い主さんは多いですが、デグーが懐くまでの期間を急かすことは逆効果です。
焦って無理に触ろうとすると、デグーの中で「ヒトは怖い存在」という認識が強化され、信頼回復にさらに時間がかかってしまいます。
デグーは一度恐怖体験を記憶すると、それを長期間保持する能力があります。 これは齧歯類の認知研究でも確認されており、特に「嫌な体験をしたヒト」を記憶する力は非常に高いとされています。
だからこそ、ゆっくりと、段階的にアプローチすることが最重要です。
よくある疑問(Q&A):デグーが懐くまでの期間に関するリアルな声
Q1. 迎えてすぐ触っても大丈夫ですか?
A. 最初の1〜2週間は、できるだけそっとしておくことをおすすめします。
新しい環境は、デグーにとって強いストレス源です。 ケージの場所を変えない、大きな音を立てない、無理に触らない、という「3つのしない」を守ることで、デグーは少しずつ安心感を得ていきます。
Q2. 1匹と2匹では懐くまでの期間は変わりますか?
A. 環境によって異なりますが、1匹飼いのほうが飼い主に依存しやすく、早く懐く傾向があるという報告もあります。
ただし、デグーは本来群れで生きる動物です。 複数飼いは精神的安定につながり、動物福祉の観点からも推奨されることが多いです。 懐くまでの時間は少し長くなるかもしれませんが、デグー自身のQOL(生活の質)は向上します。
Q3. 鳴き声が少ないのは懐いていないサインですか?
A. 必ずしもそうではありません。
デグーはリラックスしているとき、静かに過ごすこともあります。 むしろ警戒しているときや不満なとき、高い「ピッ」という声を出すことがあります。 鳴き声の種類と意味を理解することが、デグーとの信頼構築に役立ちます。
Q4. 噛まれた場合、懐いていない証拠ですか?
A. 必ずしも敵意ではありません。
デグーは口で物を確認する習性があり、軽く噛むのは「これは何だろう?」という探索行動であることも多いです。 ただし、強く噛まれる場合は強いストレスや恐怖を感じているサインでもあります。 その場合は、アプローチを一段階戻すことが大切です。
デグーが懐くまでの実践ステップ:段階的な慣らし方
ステップ1:環境を整える(迎えてから最初の1〜2週間)
まず、デグーが安心できる生活基盤を整えます。
- ケージの場所:人の動きが少なく、直射日光・エアコンの風が当たらない静かな場所
- 温度管理:デグーの適正温度は20〜25℃。環境省の動物適正飼養ガイドラインでも温度管理は最重要事項とされています
- 隠れ家の設置:ハウスやトンネルなど、デグーが身を隠せるアイテムを必ず用意する
- 騒音対策:テレビの音量や急な大声などを避ける
この期間は、ただそばにいるだけでOK。 声をかけたり、ゆっくり動いたりすることで、「この人間は安全だ」という認識を少しずつ育てます。
ステップ2:「声と存在」に慣れさせる(2〜4週間目)
デグーは声をよく聞き分けます。 毎日同じ時間に、穏やかな声でゆっくり話しかけましょう。
- 「おはよう」「ごはんだよ」など、決まったフレーズを使う
- 急に大きな声を出さない
- ケージの外からそっと様子を見る時間を作る
飼い主の声が「良いことが起こるサイン」になると、デグーは自然に反応し始めます。
ステップ3:手をケージに入れる(1ヶ月前後)
デグーがケージ内で落ち着いて動けるようになったら、手をそっとケージ内に入れてみます。
- いきなり触ろうとしない。ただ「手がそこにある」状態を作る
- 手の甲を上にして、床に置くイメージ
- デグーが自分から近寄ってきたら、静かに待つ
この段階で焦って追いかけると、大きく後退します。 あくまでも「デグーのペース」を尊重してください。
ステップ4:手からエサを与える(1〜2ヶ月目)
デグーの大好物(かぼちゃの種、ヒマワリの種、乾燥野菜など)を手のひらに乗せて差し出します。
- 最初は手の近くにエサを置くだけでもOK
- デグーが食べに来るまで、手を動かさない
- 食べてくれたら、小さな声で「えらいね」と褒める
食べ物を介したポジティブな体験の積み重ねが、信頼関係の土台を作ります。
ステップ5:スキンシップへ(2〜4ヶ月目)
手からエサを食べることに慣れてきたら、そっと背中を一本指で触れてみます。
- 触る前に「触るよ」と声をかける習慣をつける
- 嫌がったらすぐに止める
- 触れる時間は最初は数秒から始める
デグーが自発的に手に乗ってきたり、体をすり寄せてきたりするようになれば、本当の意味で懐いた証拠です。
メリットとデメリット:懐かせることで何が変わるか
懐かせることのメリット
- 健康管理がしやすくなる:触れるようになると、体の異常(腫瘍・体重変化・毛並みの変化)に気づきやすくなる
- 動物病院での負担が減る:ハンドリングに慣れたデグーは、診察時のストレスが大幅に軽減される
- 精神的な安定につながる:デグーは社会的な動物のため、信頼できるヒトとの関係は精神的充実をもたらす
- 飼い主との生活の質が向上する:一緒に過ごす時間がより豊かになる
注意すべき点(デメリット・リスク)
- 過度な依存関係のリスク:特に1匹飼いの場合、飼い主がいないと強いストレスを感じる「分離不安」につながることがある
- 懐かせようとする行為がストレスになることも:無理なアプローチは逆効果。デグーのサインを読む力が必要
- 懐いても個性は消えない:デグーにはそれぞれ個性があり、「完全に自由に触れる」状態にならない子もいる。それも個性として尊重することが動物福祉の本質
実体験から学ぶ:3ヶ月かかって初めて手に乗ってきた日
あるデグーの飼い主さんの話です。
「最初の1ヶ月は、ケージに近づくたびに逃げて、ハウスの中に隠れてしまいました。 焦って触ろうとしたこともありましたが、その後1週間ほどさらに距離が開いてしまって……。
それから方針を変えて、毎日ただそばに座るだけ、声をかけるだけに徹しました。 1ヶ月半くらい経ったころ、初めて手の近くに来て、においを嗅いでくれたんです。
そして3ヶ月目のある朝、手のひらの上にちょこんと乗ってきてくれました。 あの瞬間の感動は、言葉にならないものがありましたね。」
この体験が教えてくれるのは、デグーが懐くまでの期間を「待てる」ことが、飼い主としての最大の資質だということです。
注意点:やってはいけないNG行動
デグーが懐くまでの期間に、特に避けてほしいことをまとめます。
- 無理に追いかけて捕まえる:強いトラウマになる可能性がある
- 大きな音や急な動き:デグーの警戒心を高め、信頼関係を後退させる
- 毎日同じ人以外が頻繁に触る:馴染みのない人が多いと混乱する
- 空腹時以外にしつこくエサを使ったアプローチ:かえって食に対する不信感につながることがある
- 部屋んぽ(部屋での放し飼い)を慣れる前に行う:環境に不慣れな状態での放し飼いは脱走・事故の原因になる
- SNSの「すぐ懐いた」情報を信じすぎる:個体差を無視した情報は参考程度に留める
社会的視点:動物福祉の潮流とデグー飼育の未来
日本における小動物の飼育実態
一般社団法人ペットフード協会の調査によると、日本ではここ数年、小動物の飼育頭数が緩やかに増加傾向にあります。 特にデグーのような「インタラクティブな小動物」への関心は高まっており、その反面、「懐かない」「育てられない」という理由での手放しが問題になることもあります。
動物愛護管理法の改正と飼い主の責任
2019年の動物愛護管理法改正では、飼い主に対する適切な飼養・保管義務が強化されました。 「生涯にわたる飼育責任」が明記され、安易な放棄・遺棄はより厳しく問われるようになっています。
デグーが懐くまでの期間を「知らなかった」では済まない時代になっています。 飼う前に正確な情報を得て、覚悟を持って迎えることが、法的にも倫理的にも求められています。
動物福祉の本質:「懐かせること」は目的ではない
動物福祉の国際基準「5つの自由(Five Freedoms)」には、以下が含まれます。
- 飢えと渇きからの自由
- 不快からの自由
- 痛み・傷・病気からの自由
- 正常な行動を発現する自由
- 恐怖と苦悩からの自由
「懐かせること」を強制する行為は、4・5の自由を侵害するリスクがあります。 デグーが懐くまでの期間は、飼い主がこれらの自由を尊重しているかどうかの「試される期間」でもあるのです。
デグーに選んでもらえる飼い主になること。 それが、動物福祉の観点から見た「懐かせること」の本質です。
まとめ:焦らず、段階を踏んで、デグーと本物の信頼を築こう
デグーが懐くまでの期間は、早くて1〜2ヶ月、平均的には3〜6ヶ月以上かかることも珍しくありません。
大切なのは、以下の3点です。
- デグーの本能(警戒心)を理解する
- 段階的なアプローチを、デグーのペースで進める
- 動物福祉の視点を忘れず、強制しない
焦りは信頼関係を壊します。 しかし、正しい知識と辛抱強さがあれば、デグーは必ずあなたに心を開いてくれます。
今日からできることは、まず「ただそばにいること」から始めることです。
あなたとデグーの間に、本物の絆が生まれる日を心から応援しています。
今すぐできること:今日から「声かけ」だけを1週間続けてみてください。デグーとの関係が少しずつ変わっていくのを実感できるはずです。
本記事は動物福祉および行動学の観点から作成しています。個体差や飼育環境によって状況は異なります。心配なことがあれば、エキゾチック動物専門の獣医師にご相談ください。
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