初めて犬を飼う人が後悔しやすい失敗10選と対策【動物福祉の視点から解説】

「こんなに大変だと思わなかった」「もっとちゃんと調べておけばよかった」——犬を迎えてから後悔する人が、残念ながら後を絶ちません。
衝動的なペット購入、準備不足、誤った飼育知識。
その結果、環境省の統計によると、2023年度に全国の動物愛護センターへ引き渡された犬の数は約2万頭にのぼります。
この記事では、初めて犬を飼う人が陥りやすい失敗と、その具体的な対策を動物福祉の観点から徹底解説します。
読み終えたとき、あなたは「犬を迎える覚悟と準備」が整った状態になっているはずです。
1. 初めて犬を飼う前に知っておくべき現実
犬を飼うとはどういうことか
犬の平均寿命は、小型犬で13〜15年、大型犬で8〜12年ほどです。
これはつまり、10年以上にわたって毎日世話をし続ける責任を負うということ。
旅行も、残業も、引越しも、すべて「犬のいる生活」を前提に考える必要があります。
環境省が定める「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」でも、飼い主には終生飼養(さいごまで責任を持って飼い続けること)が義務づけられています。
犬を飼うことは、自由と引き換えに命を預かることです。
この現実を最初に理解しておくことが、後悔しない犬の飼い方の第一歩です。
初めて犬を飼う人が後悔する主な理由
後悔の原因は大きく3つに分類されます。
- 情報不足:飼い始める前に十分な知識を得ていない
- 感情先行:かわいさだけで判断し、現実を直視しない
- 準備不足:環境・経済・時間の準備が整っていない
この3つが重なったとき、飼い主にとっても犬にとっても不幸な結果につながります。
2. 後悔その①:衝動買いで犬を迎えてしまった
よくある失敗パターン
ショッピングモールのペットショップで「目が合ってしまった」「子犬がかわいすぎて」という理由でその日のうちに購入してしまう——これが最も多い失敗の入口です。
日本獣医師会の調査では、ペットを迎えた理由の約40%が「衝動的・感情的な動機」と報告されています。
なぜ衝動的な購入が後悔につながるのか
衝動的に犬を迎えると、以下の問題が一気に押し寄せます。
- 住環境がペット可かどうか確認していない
- 家族全員の合意がとれていない
- 必要な用品が揃っていない
- かかりつけ動物病院を探していない
- 犬種の特性を理解していない
特に賃貸物件では、ペット不可の物件での飼育は契約違反となり、引越しを余儀なくされるケースもあります。
対策:「迎えるまでに最低2週間のリサーチ期間」を設ける
気に入った犬に出会っても、その場では決断しないことがルールです。
2週間で以下を確認しましょう。
- 住環境のペット可否
- 月々の費用試算(フード・医療費・トリミングなど)
- 家族全員への説明と合意
- かかりつけ動物病院のリサーチ
- 犬種の特性と自分のライフスタイルの一致度
この2週間を経てなお「迎えたい」と思えるなら、それは衝動ではなく意思です。
3. 後悔その②:犬種選びを見た目だけで決めてしまった
人気犬種ランキングの落とし穴
毎年発表されるジャパンケネルクラブ(JKC)の犬種登録頭数では、トイ・プードル、チワワ、ポメラニアンなどが上位に並びます。
しかしこれらの人気犬種が「すべての人に向いている」わけではありません。
犬種ごとに異なる本質的な特性
犬種は、何百年もかけて「特定の目的のために」繁殖されてきた歴史があります。
| 犬種グループ | 本来の目的 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|
| ボーダーコリー | 牧羊犬 | 極めて高い運動量・知的刺激が必須 |
| ダックスフンド | 狩猟犬 | 強い狩猟本能・吠えやすい |
| シベリアンハスキー | そり犬 | 広大な運動スペースが必要 |
| チワワ | コンパニオン | 寒さに弱い・骨折リスクが高い |
| 柴犬 | 猟犬・番犬 | 独立心が強く訓練に根気が必要 |
たとえばボーダーコリーは、映画やSNSで「賢くてかわいい」と人気ですが、1日2時間以上の運動と精神的な刺激がなければストレスで問題行動を起こすことも珍しくありません。
対策:ライフスタイルから犬種を逆算する
「どんな犬が好きか」ではなく、「自分のライフスタイルに合う犬種はどれか」という視点で選びましょう。
以下の質問に正直に答えてみてください。
- 1日何時間、犬のために時間を使えるか
- 住まいの広さはどのくらいか
- 運動は好きか、苦手か
- 犬のトレーニングに費やせる根気はあるか
- 毛の手入れ(トリミング費用)に予算を割けるか
この答えをもとに、ブリーダーや動物病院に相談すると、より客観的なアドバイスがもらえます。
4. 後悔その③:しつけを後回しにしてしまった
「かわいいからつい許してしまう」の代償
子犬のころの問題行動を「まだ小さいから」と放置すると、成犬になってから修正するのが格段に難しくなります。
犬の社会化期(生後3〜12週齢)は、人間・他の動物・環境への慣れを形成する最も重要な時期です。
この時期に適切な経験を積ませないと、過度な吠え、攻撃性、分離不安などの問題行動につながることが科学的に示されています。
よくある失敗例
- 噛みついても「甘噛みだから大丈夫」と放置 → 成犬で本噛みに発展
- 要求吠えに応えてしまう → 吠えれば要求が通ると学習
- 飛びつきを「かわいい」と許す → 来客への飛びつきが直らない
対策:迎えた初日からルールを統一する
しつけは「いつか始める」ではなく、迎えた初日から始めるものです。
家族全員で「同じルール」を守ることが最も重要です。
1人でも許してしまうと、犬は「この人には通じる」と学習します。
また、パピークラス(子犬のしつけ教室)への早期参加も非常に効果的です。
多くの動物病院や訓練士が開催しており、費用は1回3,000〜5,000円程度が一般的です。
ポジティブ強化(褒めて伸ばす)メソッドが現在の動物福祉の観点からも推奨されており、罰を使ったしつけは犬との信頼関係を損なうリスクがあります。
5. 後悔その④:医療費の高さに驚いてしまった
犬の医療費は「想像の3倍」を覚悟する
日本では犬の医療費に公的な価格規制がなく、動物病院によって費用が大きく異なります。
アニコム損保の「ペットにかける年間支出調査2023」によると、犬にかかる年間医療費の平均は約10万円。
しかし、重大な病気や手術が必要な場合は一気に跳ね上がります。
| 治療・手術の例 | 費用の目安 |
|---|---|
| 避妊・去勢手術 | 3〜8万円 |
| 骨折の手術 | 15〜30万円 |
| 椎間板ヘルニアの手術 | 20〜50万円 |
| がんの治療(化学療法) | 月5〜20万円 |
| 異物誤飲の手術 | 10〜30万円 |
これらは決して珍しいケースではありません。
対策:ペット保険への加入と医療費積立を両立する
ペット保険は、保険料の月額3,000〜8,000円程度で、診療費の50〜70%を補償するものが多くあります。
ただし、加入時期が遅れると既往症が補償外になるため、子犬のうちに加入することが鉄則です。
また、保険に入っていても自己負担分は残るため、月1万円の医療費積立も並行して行うことをおすすめします。
かかりつけ動物病院を早めに決め、年1〜2回の健康診断を欠かさないことが、病気の早期発見・治療費の抑制につながります。
6. 後悔その⑤:一人暮らしで迎えて留守番が問題に
一人暮らしでの犬の飼育は「不可能」ではないが、準備が必要
一人暮らしで犬を飼うこと自体は問題ありません。
しかし、1日8〜10時間の留守番が常態化する環境は、犬にとって深刻なストレス源になります。
分離不安症と呼ばれる状態になると、飼い主が外出するたびに吠え続ける、破壊行動をする、自分を傷つけるといった問題行動が現れることがあります。
具体的な対策3つ
① 留守番トレーニングを徹底する
「一人でいることは安全で退屈ではない」と犬に覚えさせるトレーニングを、迎えた当初から少しずつ行います。
最初は数分から始め、徐々に時間を延ばしていきます。
② ペットシッター・ドッグランを活用する
一人暮らしでの長時間留守番が避けられない場合、ペットシッターや犬の幼稚園(デイケア)の利用も選択肢です。
費用は1回2,000〜5,000円程度が相場です。
③ カメラとおもちゃで環境を整える
留守中の様子を確認できるペットカメラの設置、知育玩具(コングなど)による刺激提供が有効です。
7. 後悔その⑥:散歩・運動量を甘く見ていた
「小型犬だから散歩は少なくていい」は誤解
「小さい犬はあまり運動しなくていい」と思っている人は多いですが、これは大きな誤解です。
たとえばミニチュア・ダックスフンドやジャック・ラッセル・テリアは、体は小さくても運動欲求はかなり高い犬種です。
運動不足は肥満、関節疾患、問題行動の直接的な原因になります。
環境省の「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」においても、飼い主は動物の本来の習性を理解し、適切な運動環境を提供する責任があるとされています。
対策:犬種別の運動目安を事前に把握する
| 運動レベル | 対象犬種(例) | 1日の目安 |
|---|---|---|
| 高運動量 | ボーダーコリー、ハスキー、ラブラドール | 2時間以上 |
| 中運動量 | 柴犬、コーギー、ビーグル | 1〜2時間 |
| 低〜中運動量 | トイ・プードル、マルチーズ、ポメラニアン | 30分〜1時間 |
散歩は単なる「排泄の場」ではなく、犬にとっての社会勉強・精神的刺激の場です。
雨の日も、疲れている日も、基本的には毎日続ける覚悟が必要です。
8. 後悔その⑦:家族全員の合意を得ていなかった
「自分が世話をするから大丈夫」は通用しない
「私が全部やるから」と言って家族を説得して犬を迎えても、現実は違います。
犬は家族全員に影響を及ぼします。
- アレルギーがある家族は毎日症状が出る
- 世話が「当番制」になり不満が生まれる
- 旅行・外食の機会が制限される
- 鳴き声・においに誰かがストレスを感じる
こうした状況が積み重なると、家族間の摩擦が生まれ、結果として犬が「問題の象徴」になってしまうことがあります。
対策:家族会議を複数回開く
犬を迎える前に、以下を家族全員で話し合いましょう。
- 世話の役割分担(散歩・食事・トイレ掃除)
- 費用負担の方法
- 旅行時の対応
- アレルギーの有無の確認(事前にアレルギー検査も有効)
- 高齢者・小さな子どもとの生活シミュレーション
全員が「積極的に関わる意志」を持っているかどうかが、長期的な成功の鍵です。
9. 後悔その⑧:ペットショップだけで選んでしまった
ペットショップの犬がすべて悪いわけではないが、リスクを知っておく
日本のペットショップでは、生後8週齢(56日)以降でなければ販売できないと動物愛護管理法で定められています(2021年改正)。
しかし、生産環境が不明な「パピーミル(大量繁殖業者)」出身の犬は、遺伝的疾患や社会化不足のリスクが高い場合があります。
信頼できる迎え方の選択肢
① 優良ブリーダーから迎える
ブリーダーは親犬の健康状態・性格・飼育環境を直接確認できます。
JKCや各犬種のクラブに登録された認定ブリーダーを探すのが安全です。
② 保護犬を迎える
全国の動物愛護センター・民間の保護犬団体から迎えることも、立派な選択肢です。
環境省のデータでは、2023年度に約2万頭の犬が自治体に引き渡され、そのうち約1.7万頭が返還または譲渡されています。
保護犬は成犬が多く、すでに性格が形成されているため「どんな犬か」がわかりやすいというメリットもあります。
10. 後悔その⑨:老犬になったときの準備をしていなかった
シニア期は「第二の準備期」
犬は7歳を過ぎるとシニア期に入り、体の変化が加速します。
- 視力・聴力の低下
- 関節疾患(変形性関節症)の発症
- 認知症(犬の認知機能不全症候群)
- 排泄コントロールの低下
これらは避けられない加齢ですが、準備しているかどうかで介護の質は大きく変わります。
対策:シニア期を見越した長期計画
- 自宅の段差をスロープで解消する
- 滑りにくいマットを敷く
- シニア用フードへの切り替えを獣医師と相談する
- 自分自身が60代・70代になったときの「犬の行く末」を考えておく
最後の点は非常に重要です。
自分が病気になったり、介護が必要になったりしたとき、犬を誰に託すかを事前に決めておく人はほとんどいません。
しかしそれを考えておくことこそ、責任ある飼い主の姿です。
11. 後悔その⑩:情報収集が不十分だった
SNSやYouTubeの「かわいい犬動画」だけでは足りない
今は情報が溢れている時代ですが、バイアスのかかった情報も多く存在します。
SNSで発信される犬の情報は「うまくいっているケース」が中心で、苦労や失敗はほとんど発信されません。
初めて犬を飼う人が参考にすべき情報源は以下のとおりです。
- 環境省「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」
- 日本獣医師会の公式情報
- かかりつけ動物病院の獣医師のアドバイス
- 実際に同じ犬種を飼っている経験者の話
- 信頼性の高いペット専門書籍
対策:「迎える前」と「迎えた後」の情報収集を分ける
迎える前:犬種・費用・環境・法律を中心に調べる
迎えた後:しつけ・医療・行動学を中心に学び続ける
犬の飼育は「ゴールのない学び」です。
知識をアップデートし続ける姿勢が、犬との豊かな生活を支えます。
12. まとめ:後悔しない犬の飼い方のために
この記事で紹介した「初めて犬を飼う人が後悔しやすい失敗」を振り返ります。
| # | 失敗 | 対策のポイント |
|---|---|---|
| ① | 衝動買い | 2週間のリサーチ期間を設ける |
| ② | 犬種選びのミス | ライフスタイルから逆算する |
| ③ | しつけの先送り | 初日からルールを統一する |
| ④ | 医療費の想定不足 | 保険加入+積立を両立 |
| ⑤ | 留守番問題 | トレーニング+環境整備 |
| ⑥ | 運動量の過小評価 | 犬種別の目安を把握 |
| ⑦ | 家族合意の不足 | 事前に複数回の家族会議 |
| ⑧ | 購入先の一択 | ブリーダー・保護犬も検討 |
| ⑨ | シニア期の無計画 | 長期視点で準備する |
| ⑩ | 情報収集の偏り | 公的・専門的な情報を重視 |
最後に伝えたいこと
初めて犬を飼うことは、間違いなく人生を豊かにしてくれます。
しかし同時に、それは命を預かる10年以上の約束でもあります。
後悔する飼い主を減らすことは、犬が幸せに生きられる社会をつくることと同義です。
動物福祉の観点から言えば、「飼い主が幸せでなければ、犬も幸せになれない」。
だからこそ、事前の準備と正しい知識が何より大切なのです。
あなたの「迎える前のリサーチ」が、一頭の犬の一生を守ります。今日からこの記事を参考に、準備を始めてみてください。
参考資料:環境省「令和5年度犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」/アニコム損保「ペットにかける年間支出調査2023」/日本獣医師会 公式ホームページ/ジャパンケネルクラブ(JKC)犬籍登録統計 2023年度版
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