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犬が鼻血を出す原因と受診が必要な場合の判断|動物福祉の視点から徹底解説

犬が鼻血を出す原因

 

「うちの犬が鼻血を出している。これって大丈夫?」

そう感じた瞬間、飼い主さんの心拍数は一気に上がるはずです。 人間でも鼻血は珍しくありませんが、犬の場合は背景にある原因が大きく異なります。 軽度のものから命に関わるものまで、原因は実に幅広い。

 

この記事では、犬の鼻血の原因・緊急受診が必要なサイン・自宅でできる応急処置まで、 動物福祉の観点を踏まえながら、獣医学的根拠をもとにわかりやすく解説します。

この記事を読み終えた時、あなたは「今すぐ病院へ行くべきか」「少し様子を見ていいか」を 自分で判断できるようになります。


犬の鼻血(鼻出血)とは何か

 

医学的な定義と犬特有の特徴

犬の鼻血は医学的に「鼻出血(びしゅっけつ)」と呼ばれます。 鼻腔内の血管が何らかの原因で破れ、出血が鼻孔から流れ出る状態です。

人間の鼻血との大きな違いは、犬の鼻腔構造が非常に複雑である点です。 犬の鼻腔は篩骨(しこつ)と呼ばれる複雑な骨構造に覆われており、 においを嗅ぐための嗅上皮が広く発達しています。 この精密な構造ゆえに、腫瘍や炎症が広がりやすく、発見も遅れやすいのです。

 

また、犬は人間と違い「鼻をかむ」行動をとれません。 出血が鼻腔内に溜まったり、喉に流れ込んだりすることで、 咳・嘔吐・血を飲み込む行動として現れることもあります。

一側性(片方の鼻孔)か両側性(両方)かを確認することが、診断の重要な手がかりになります。


犬が鼻血を出す原因|よくある7つのケース

 

外傷・物理的刺激による鼻血

最も頻度が高い原因のひとつが「外傷」です。

  • 散歩中にフェンスや岩に鼻をぶつける
  • 他の犬と遊んでいるときに接触する
  • 草むらに突っ込んで異物が刺さる

特に短頭種(フレンチブルドッグ・ボストンテリア・パグなど)は鼻孔が狭く、わずかな刺激でも出血しやすい傾向があります。

一時的な外傷による鼻血は、5〜10分で自然に止まることがほとんどです。 ただし、出血が続く・繰り返すといった場合は別の原因を疑う必要があります。

 

鼻腔内異物による鼻血

犬はにおいに引き寄せられて、草の種・砂利・食べかすなどを鼻に吸い込むことがあります。 異物が鼻粘膜を傷つけると出血が起きます。

典型的なサインは「突然の激しいくしゃみ」と片側からの鼻血の組み合わせです。 特に草むらで遊んだ後にこれらの症状が出たときは、異物の可能性を強く疑ってください。

放置すると感染を起こすため、早めの受診をおすすめします。 (関連:犬のくしゃみが止まらないときに考えられる原因と対処法)

 

感染症・炎症(鼻炎・副鼻腔炎)

細菌・ウイルス・真菌(カビ)による感染が鼻腔内で起きると、慢性的な鼻炎や副鼻腔炎に発展します。

特に注目すべきは「アスペルギルス症」です。 真菌の一種であるアスペルギルス属が引き起こすこの感染症は、 慢性的な鼻血・膿性鼻汁・鼻梁の変形などを引き起こすことが知られています。

環境省の動物の感染症に関するガイドラインでも、 犬の真菌性感染症は適切な診断と治療が必要な疾患として記載されています。

 

症状の特徴は以下の通りです。

  • 片側または両側からの慢性的な鼻水・鼻血
  • 食欲不振・元気消失
  • くしゃみが頻繁に起きる
  • 鼻梁周辺の腫れや変形(進行例)

 

歯科疾患(歯根膿瘍)による鼻血

意外に見落とされがちな原因が「歯の病気」です。

犬の歯根は鼻腔の底部に非常に近い位置にあります。 特に上顎の第4前臼歯(最大の奥歯)は鼻腔との距離がわずかしかなく、 歯根膿瘍が進行すると鼻腔に穿孔(せんこう)し、鼻血・鼻汁・顔面の腫れを引き起こします。

「歯が悪いだけ」と軽視せず、口腔内の異常も定期的にチェックすることが大切です。 

 

凝固異常・血液疾患による鼻血

血液が正常に固まらない状態になると、些細な刺激でも出血が止まらなくなります。

代表的な疾患は以下のものです。

  • 免疫介在性血小板減少症(ITP):免疫が自分の血小板を攻撃する病気
  • フォン・ウィルブランド病:遺伝性の凝固因子欠乏症。ドーベルマン・シェットランドシープドッグに多い
  • 肝疾患:凝固因子は肝臓で生成されるため、肝機能低下が出血傾向につながる
  • 鼠殺し剤(ワーファリン系)の誤食:凝固を阻害するため、大量出血の原因になる

皮膚の紫斑(アザ)・歯茎からの出血・血尿なども同時に見られる場合は、血液疾患の緊急サインです。

 

鼻腔内腫瘍による鼻血

犬の鼻血の原因の中で、最も注意が必要なのが腫瘍です。

鼻腔腫瘍の約80%以上は悪性(癌)であるとされており、 その中でも腺癌・扁平上皮癌・軟骨肉腫が代表的です。

注目すべき特徴は、初期症状がありふれた「鼻水・鼻血」であることです。

日本獣医癌学会の資料によれば、鼻腔腫瘍の発見が遅れる理由のひとつは、 飼い主が初期症状を「ただの鼻炎」と判断してしまうことにあります。

 

以下のサインが複合的に現れたときは迷わず専門医に相談してください。

  • 片側からの慢性的な鼻血・鼻水が数週間以上続く
  • 顔面の非対称な変形・腫れ
  • 眼球が突出してきた
  • 食欲・元気の低下

高齢犬(7歳以上)や大型犬では特にリスクが高まります。

 

高血圧・全身性疾患による鼻血

犬も慢性腎臓病・甲状腺機能低下症・クッシング症候群などを発症することがあります。 これらの疾患に伴う高血圧が、鼻腔内の血管を破綻させ鼻血の原因になることがあります。

中高齢犬(6歳以上)で繰り返す鼻血がある場合は、血圧測定・血液検査を含む全身スクリーニングが重要です。


今すぐ受診すべき?緊急度を判断する基準

 

すぐに動物病院へ行くべきサイン

以下の状態に当てはまる場合は、その日のうちに受診してください。

  • 出血が10〜15分経っても止まらない
  • 大量の鮮血が流れ出ている
  • 顔・鼻梁が腫れている・変形している
  • 呼吸が苦しそう・口で息をしている
  • 歯茎が白い・ぐったりしている
  • 皮膚に紫色のアザが複数見える
  • 鼠殺し剤・農薬などの誤食が疑われる

特に誤食による中毒と思われる場合は、夜間救急病院の利用も迷わず検討してください。

農林水産省・消費者庁が公開している「ペットの誤飲誤食に関する注意喚起」でも、 早期治療の重要性は繰り返し強調されています。

 

数日以内に受診すべきサイン

緊急ではないものの、3〜5日以内に受診が推奨される状態です。

  • 片側の鼻血が2日以上繰り返している
  • くしゃみと鼻水が同時にある
  • 食欲は普通だが、元気がやや低下している
  • 鼻血が止まったが、また出ることがある

 

自宅で様子を見ていいケース

以下の条件がすべて揃っているときは、一時的な観察も選択肢に入ります。

  • 明確な外傷(ぶつけた・こすった)があった
  • 出血量が少量で、5〜10分以内に自然に止まった
  • 元気・食欲は正常
  • 初めての鼻血で繰り返していない

ただし「様子を見る」のはあくまで一時的な判断です。 翌日以降も鼻血が出る場合は必ず受診するようにしましょう。


自宅でできる応急処置の手順

 

正しい止血の方法

犬が鼻血を出したとき、まず落ち着いて以下の手順を試みてください。

 

手順1:犬を安静にさせる 興奮・運動は血圧を上げ、出血を悪化させます。 静かな場所に連れて行き、できるだけリラックスさせましょう。

 

手順2:鼻の根元を軽く圧迫する 清潔なガーゼやタオルを鼻孔の外側に当て、優しく5〜10分間圧迫します。 強く押すと痛がるため、あくまでも「軽く添える」程度にとどめてください。

 

手順3:頭を心臓より高い位置に保つ 横にさせるより、座った姿勢・立った姿勢の方が血圧がかかりにくくなります。

やってはいけないこと

  • ティッシュを鼻孔に詰め込む(粘膜を傷つける・嘔吐の原因になる)
  • 犬の頭を後ろに傾ける(血液を飲み込む・誤嚥のリスク)
  • 鼻を強くつまむ(骨折・痛みの原因)
  • 人間用の止血剤を使う(成分が犬に有害なものもある)

動物病院ではどんな検査が行われるか

 

受診時に行われる主な検査の流れ

動物病院を受診した際、一般的に以下の流れで診察が進みます。

 

問診で確認される内容

  • 鼻血の持続時間・頻度・量
  • 片側か両側か
  • 最近の外出先・他の動物との接触
  • 鼻血以外の症状(くしゃみ・食欲不振・行動変化など)
  • ワクチン接種歴・投薬歴

身体検査

  • 鼻腔・口腔の視診・触診
  • 歯の状態のチェック
  • リンパ節の腫れの確認

主な検査メニュー

  • 血液検査(CBC・生化学):貧血・血小板数・肝機能・腎機能の評価
  • 凝固検査:PT・APTTによる凝固能の確認
  • X線検査:鼻腔・副鼻腔の透明度・構造変化の確認
  • CT検査:腫瘍の疑いがある場合に実施。鼻腔内の詳細な評価が可能
  • 鼻腔内視鏡・細胞診・生検:最終的な確定診断に使用

これらの検査を通じて、適切な治療方針が決定されます。 診断から治療まで、信頼できる獣医師と二人三脚で進めることが、犬のQOL(生活の質)を守る上で最も重要です。


犬種・年齢別のリスク傾向

 

気をつけたい犬種と年齢

犬の鼻血リスクは、犬種・年齢・生活環境によって異なります。

 

鼻血リスクが高い犬種

犬種 主なリスク要因
フレンチブルドッグ・パグ 短頭種特有の鼻腔狭窄・粘膜脆弱性
ドーベルマン・シェルティ フォン・ウィルブランド病(遺伝性凝固異常)の発症率が高い
ゴールデンレトリーバー 中高齢以降の腫瘍リスク・免疫疾患
ダックスフンド・マルチーズ 歯周病・歯根膿瘍の発症率が高い

 

年齢別の注意ポイント

  • 1〜3歳(若齢):異物・外傷・感染症が多い。遺伝性疾患の初発も
  • 4〜7歳(壮年):歯科疾患・アレルギー性鼻炎・ポリープ
  • 8歳以上(シニア):腫瘍・血液疾患・高血圧・腎臓病に伴う鼻血に要注意

環境省の「動物の愛護及び管理に関する法律」に基づき、地方自治体は定期的な健康診断の受診を飼い主に推奨しています。 年に1〜2回の健康診断は、こうした疾患の早期発見に直結します。


予防のためにできること

 

日常的なケアで鼻血リスクを下げる

「治療」よりも大切なのは「予防」です。 以下の日常ケアを継続することで、多くのリスクを軽減できます。

 

口腔ケアの徹底

歯周病・歯根膿瘍による鼻血は、定期的な歯磨きと歯科検診で防げます。 理想は毎日のブラッシングですが、週2〜3回でも大きな効果があります。

 

定期的な健康診断

特に6歳を過ぎたシニア犬には、年2回の血液検査・尿検査・X線検査が推奨されます。 早期発見が、治療の選択肢と犬の寿命を大きく左右します。

 

異物誤飲の防止

散歩中のルートに草の種や小石が多い場所がある場合は、ハーネス+リードで鼻を突っ込まないよう誘導しましょう。 (関連:犬の散歩中の誤飲誤食を防ぐための環境整備)

 

ストレスのない生活環境の整備

慢性的なストレスは免疫力を低下させ、感染症のリスクを高めます。 犬が安心できる居場所・適切な運動・規則正しい生活リズムを整えることも、間接的に健康を守ることにつながります。


動物福祉の観点から考える「鼻血」という症状

 

症状のサインを読む力が犬の命を救う

動物福祉の世界では、「Five Freedoms(五つの自由)」という国際的な指針が知られています。 その中に「病気・怪我・苦痛からの自由」が含まれています。

日本でも動物の愛護及び管理に関する法律(動愛法)の改正が続き、 飼い主の「適切な飼養・管理義務」はより明確なものになりつつあります。

鼻血はその多くが「何かのサイン」です。 犬は言葉で痛みや苦しさを伝えられません。 だからこそ、飼い主が症状を正確に読み取り、適切に行動する力を持つことが、 動物福祉の実践そのものだと言えます。

 

病院に連れて行くかどうかを迷う気持ちは誰しも持ちます。 でも「大丈夫だろう」という自己判断が、取り返しのつかない事態につながることもある。

この記事が、その迷いを少しでも減らす助けになれば幸いです。


まとめ|犬の鼻血は「原因の見極め」が最重要

 

犬が鼻血を出す原因は、外傷・異物・感染症・歯科疾患・血液疾患・腫瘍・全身疾患と多岐にわたります。 一時的な外傷であれば自然に止まることも多いですが、繰り返す・量が多い・他の症状を伴う場合は迷わず受診が必要です。

この記事のポイントを整理します。

  • 鼻血が片側か両側かを確認する
  • 10〜15分で止まらなければ即受診
  • 顔の変形・呼吸困難・皮膚の紫斑は緊急サイン
  • 定期健診と口腔ケアが最大の予防策
  • 高齢犬の慢性的な鼻血は腫瘍・全身疾患を強く疑う

あなたの愛犬に少しでも異変を感じたら、今日のうちにかかりつけの獣医師に相談してみてください。 早期発見・早期治療が、犬の苦痛を最小限にし、あなたとの時間をより長く豊かにしてくれます。


この記事は獣医学的な情報提供を目的として作成しています。実際の診断・治療はかかりつけの獣医師にご相談ください。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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