猫スペースきぶん屋 猫スペースきぶん屋

猫の歯が抜けた!原因と動物病院で確認すべきこと【獣医師監修レベルの解説】

猫の歯が抜けた!原因と動物病院で確認すべきこと

 

愛猫の歯が抜けているのを発見したとき、あなたはどう感じましたか?

「これって普通のこと?」「病院に行くべき?」「もしかして何か深刻な病気?」

そんな不安が頭を駆け巡るはずです。

 

実は、猫の歯が抜けるという現象には、年齢によって「正常な生理現象」と「早急に対処すべき病気のサイン」の両方が存在します。

正しい知識を持っていれば、冷静に判断できます。

 

この記事では、猫の歯が抜ける原因を年齢別・状況別に徹底解説し、動物病院で必ず確認すべきポイントまで、一つの記事で完結できるようにまとめました。

愛猫の歯と健康を守るために、ぜひ最後まで読んでください。


猫の歯が抜けるのは「普通」なのか?年齢別の基礎知識

 

子猫の乳歯が抜けるのは正常な成長過程

猫には、人間と同じように乳歯と永久歯の生え変わりがあります。

生後2〜3週間で乳歯が生え始め、生後3〜4ヶ月頃から永久歯への生え変わりがスタートします。 この時期に猫の歯が抜けているのを見つけても、基本的に心配はいりません。

乳歯の本数は全部で26本。 永久歯は30本で、生後6〜7ヶ月頃までにすべての生え変わりが完了するのが一般的です。

 

生え変わりの時期のサイン:

  • 歯ぐきが赤くなっている
  • 物を噛むことが増える(歯がむずがゆい)
  • 食欲がやや落ちることがある
  • 抜けた乳歯が床に落ちている

多くの場合、飼い主が気づかないうちに乳歯を飲み込んでいることもありますが、問題ありません。

ただし、乳歯が抜けないまま永久歯が生えてきてしまう「乳歯遺残(にゅうしいざん)」には注意が必要です。 このケースでは歯の重なりが起き、歯並びの異常や歯周病のリスクが高まります。 詳しくは後の章で解説します。

 

成猫・シニア猫の場合は要注意

一方、生後1年を過ぎた成猫、あるいはシニア期(7歳以上)の猫の歯が抜けた場合は、何らかの疾患が背景にある可能性が高いです。

成猫以降の猫の歯が抜けるとき、最もよく見られる原因は「歯周病」「歯根吸収」「外傷」の三つです。

 

環境省が発表している「動物の愛護及び管理に関する法律」の精神にも示されているように、ペットの健康管理はオーナーの重要な責任のひとつです。 愛猫の異変を見逃さないことが、動物福祉の観点からも求められています。


猫の歯が抜ける主な原因を徹底解説

 

歯周病(最多原因)

猫の歯が抜ける原因として、最も多いのが歯周病です。

歯周病は、歯と歯ぐきの間に溜まった歯垢(プラーク)が歯石となり、細菌が繁殖することで歯ぐき・歯を支える骨(歯槽骨)が破壊されていく病気です。

研究によれば、3歳以上の猫の約70〜80%が何らかの歯周病の症状を持っているとされています(日本小動物歯科研究会調査)。

これは非常に高い数字です。

 

歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶け、最終的に歯がぐらついて自然に抜け落ちます。 この状態になるまでには、かなりの時間が経過していることが多く、猫が慢性的な痛みを抱えてきた可能性があります。

 

歯周病のおもなサイン:

  • 口臭が強くなった
  • 食べるときに片側だけで噛む
  • ドライフードを食べにくそうにしている
  • 口を触られるのを嫌がるようになった
  • よだれが増えた、またはよだれに血が混じる
  • 歯ぐきが赤く腫れている

口臭の変化は歯周病の早期サインとして非常に重要です。 「最近、猫の口が臭う気がする」と感じたら、早めに動物病院に相談することをおすすめします。

 

歯根吸収(FORLs・ネコ歯頸部吸収病変)

歯根吸収(Feline Odontoclastic Resorptive Lesions:FORLs)は、猫に特有の歯の病気です。

歯の根っこの部分(歯根)や歯の表面が、猫自身の細胞によって吸収・破壊されていく現象で、原因はまだ完全には解明されていません。

 

猫への罹患率は非常に高く、成猫の約28〜72%に歯根吸収が見られるという報告もあります(Journal of Veterinary Dentistry)。

この病気では歯の構造が内側から崩壊するため、ある日突然歯が折れたり、根っこだけ残して歯冠部分が脱落することがあります。

 

歯根吸収はX線(レントゲン)検査をしないと診断できないことが多く、見た目だけでは判断が難しい疾患です。 猫の歯が抜けたときに動物病院でレントゲン検査を受けることが重要な理由のひとつがこれです。

 

歯根吸収の特徴的なサイン:

  • 歯の根元が赤みを帯びている
  • 歯の根元に穴が開いているように見える
  • 急に食欲が落ちた
  • 歯茎から出血している

 

外傷・事故による歯の脱落

高いところから落下したり、硬いものを噛んだ際の衝撃によって、猫の歯が抜けることがあります。

完全室内飼いの猫でも、家具の上からの落下や他の猫との喧嘩によって口腔内に外傷を受けるケースは少なくありません。

外傷による歯の脱落の場合、歯根が残っているケースが多く、残存した歯根が感染源になることがあります。 必ず動物病院でレントゲン検査を受け、歯根が残っていないか確認することが重要です。

 

乳歯遺残(子猫の場合)

先述の通り、乳歯が抜けないまま永久歯が生えてきてしまう状態を「乳歯遺残」といいます。

小型犬に多い印象がありますが、猫でも見られます。 特に上顎の犬歯(牙)に起こりやすいとされています。

乳歯遺残が起きると、歯が密集して歯垢が溜まりやすくなり、早期から歯周病リスクが高まります。 生後6ヶ月を過ぎても乳歯が残っている場合は、獣医師に相談しましょう。


動物病院で必ず確認すべきこと

 

猫の歯が抜けた場合、動物病院での診察では何を確認してもらえばいいのかを事前に知っておくことで、診察をより有効に活用できます。

 

抜けた歯を持参する

もし抜けた歯を発見した場合、動物病院に持参してください。

歯の大きさ、形、根っこの状態を獣医師が確認することで、乳歯か永久歯かの判断、歯根吸収の有無の把握が可能になります。 清潔なビニール袋や容器に入れて持参しましょう。

 

レントゲン(口腔内X線)検査の実施を確認する

口腔内のレントゲン検査は、猫の歯の健康状態を評価するうえで欠かせない検査です。

歯根の状態、歯槽骨の溶解具合、残存歯根の有無は、レントゲンを撮らなければわかりません。

特に歯根吸収(FORLs)の診断にはX線が必須です。

 

「歯が抜けただけだからレントゲンは不要では?」と思いがちですが、見た目には問題なさそうに見える隣接する歯に、すでに重大な病変が隠れていることが珍しくありません。

担当の獣医師が口腔内レントゲンを提案しない場合は、「口腔内のX線検査は必要ですか?」と積極的に質問してみましょう。

 

残存歯根の有無を確認する

外傷や歯周病で歯が抜けた場合、歯根が歯ぐきの中に残存しているケースがあります。

残った歯根は感染・炎症の温床となり、慢性的な痛みや全身への細菌感染につながる可能性があります。 レントゲンで確認し、必要であれば外科的に除去してもらうことが重要です。

 

他の歯の状態・歯周病の進行度を診てもらう

一本の歯が抜けたということは、他の歯にも同様の問題が起きている可能性があります。

診察の際には、「他の歯の状態も確認していただけますか?」と伝えましょう。

全体の歯周病スコア(歯周病の進行段階の評価)を教えてもらうことで、今後のケアの優先度が明確になります。

 

全身麻酔下でのスケーリング(歯石除去)の必要性を聞く

猫の歯石除去は、必ず全身麻酔下で行われます。

無麻酔でのスケーリングは見た目上の歯石は取れても、歯周ポケット内の処置ができないうえ、猫への強いストレスや誤嚥のリスクもあるため、動物歯科の専門家からは推奨されていません。

「スケーリングはした方がいいですか?」「麻酔のリスクはどれくらいですか?」と、具体的に質問することをおすすめします。


猫の口腔ケアを怠ることの深刻なリスク

 

歯周病菌が全身に影響を及ぼす

歯周病は「口の中だけの問題」ではありません。

歯周病菌は血流に乗って全身に広がり、心臓病(心内膜炎)、腎臓病、肝臓病との関連が指摘されています。

特に猫は腎臓病(慢性腎臓病)になりやすい動物で、歯周病がその悪化に寄与している可能性があることは、近年の獣医歯科学の分野で注目されています。

口腔内の健康管理は、愛猫の寿命と生活の質(QOL)に直結しています。

 

猫は痛みを隠す動物

猫は本能的に痛みを隠します。

これは野生下において「弱みを見せると捕食される」という生存本能の名残です。

猫が歯の痛みを訴えることはほとんどありません。

 

そのため、飼い主が「特に変わった様子がない」と感じていても、実際にはかなりの痛みを抱えていることがあります。

歯が抜けた、口臭が強い、食欲が落ちたなどのサインは、「いつもと違う」という貴重なシグナルです。

見逃さないようにしましょう。


自宅でできる猫の歯のケア

 

動物病院でのプロフェッショナルケアと並行して、自宅でのデイリーケアも非常に重要です。

 

歯磨きを習慣化する

理想は毎日の歯磨きです。

猫用の歯ブラシと歯磨きペーストを使い、少しずつ口を触ることに慣れさせるところから始めましょう。

慣れていない猫に最初から歯ブラシを入れようとしても嫌がります。

 

ステップアップの手順:

  • まず指で口周りや歯ぐきを触ることに慣れさせる
  • 次に指にガーゼを巻いて歯をこする
  • 慣れてきたら小さな歯ブラシを使う
  • 猫用の味付き歯磨きペーストで抵抗感を下げる

歯磨きが難しい場合は、デンタルジェルや歯磨きガムなどの補助グッズも活用してみてください。 ただし、これらは歯磨きの代替品にはならず、あくまで「補助」であることを忘れずに。

 

定期的な動物病院での口腔チェック

年に一度以上、動物病院での口腔内チェックを受けることを習慣にしましょう。

特にシニア期(7歳以上)に入ったら、半年に一度のチェックが理想的です。

日本獣医師会も「ペットの定期健康診断」を推奨しており、早期発見・早期治療が動物の苦痛軽減につながることを強調しています。

 

食事内容の見直し

ドライフードはウェットフードよりも歯垢が付きにくいという説もありますが、実際には食事内容だけで歯周病を完全に防ぐことは難しいとされています。

デンタルケア用に設計されたフードやおやつ(VOHC認証製品など)を補助的に活用するのもひとつの方法です。


動物病院を選ぶポイント

 

猫の歯の問題を診てもらう動物病院を選ぶ際は、以下のポイントを参考にしてください。

  • 口腔内レントゲン(デンタルX線)設備がある
  • 全身麻酔下でのスケーリングに対応している
  • 猫の扱いに慣れているスタッフがいる(猫専門・猫に優しい診療を掲げている施設は特に◎)
  • 治療方針をわかりやすく説明してくれる

 

近年、日本でも「キャットフレンドリークリニック」(国際猫医学会:ISFMが認定する猫に配慮した病院)の認定を受けた動物病院が増えています。

猫は犬と異なり、病院での強いストレスを受けやすい動物です。 猫の特性を理解した病院を選ぶことが、愛猫への負担を減らすことにもつながります。


こんなときは今すぐ病院へ

 

以下のような症状が見られる場合は、緊急性が高い可能性があります。 できるだけ早く動物病院に連絡してください。

  • 口から出血が止まらない
  • 顔が腫れている、または顎の形が変わって見える
  • まったく食事を受け付けない
  • よだれが大量に出ている
  • 口を前足で頻繁に触ろうとする(痛みのサイン)
  • 顔を床や壁にこすりつける

これらは歯根の骨折、重度の感染、顎骨の骨折などが起きている可能性を示すサインです。


まとめ

 

猫の歯が抜ける原因と、動物病院で確認すべきことをまとめます。

 

猫の歯が抜ける主な原因:

  • 子猫の乳歯から永久歯への生え変わり(正常な成長)
  • 歯周病(最多原因。3歳以上の猫の約7〜8割が何らかの歯周病を持つ)
  • 歯根吸収(FORLs)(猫特有の疾患。成猫の約28〜72%に見られる)
  • 外傷・事故
  • 乳歯遺残(子猫期)

動物病院で確認すべきこと:

  • 抜けた歯を持参する
  • 口腔内レントゲン(デンタルX線)検査を受ける
  • 残存歯根の有無を確認する
  • 他の歯の状態と歯周病の進行度を評価してもらう
  • スケーリング(全身麻酔下での歯石除去)の必要性を聞く

猫の歯のトラブルは、見た目だけでは判断が難しく、痛みを隠す猫の性質上、発見が遅れやすいです。

だからこそ、飼い主が日頃から口腔内の変化に気を配り、異変を感じたら迷わず動物病院に相談することが、愛猫の健康と生活の質を守る最善の方法です。

 

動物福祉の観点からいえば、苦痛のない生活は、すべての動物が持つべき権利です。 猫の口腔ケアを「たかが歯のこと」と軽視せず、全身の健康管理の一部として捉えてください。


まずは今日、愛猫の口の中を一度覗いてみましょう。 口臭、歯ぐきの赤み、歯石の付着など「いつもと違う」サインを見つけたら、それが動物病院に相談するタイミングです。あなたの行動が、愛猫の痛みを取り除く第一歩になります。

 

 

猫の飼い方・しつけ・健康管理をまとめて知りたい方は

 

猫の飼育完全ガイド|迎え方・しつけ・健康管理・老猫ケアまでまとめて読める

 

 

古着買取、ヴィーガン食品やペットフードの買い物で支援など皆様にしてもらいたいことをまとめています。
参加しやすいものにぜひ協力してください!

 

猫スペースきぶん屋が皆様に協力していただきたいこと一覧

この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

SNS LINK

この著者の記事一覧

関連情報

コメントは受け付けていません。

特集

Instagram でフォロー