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保護猫のトライアル期間で返したいと思ったら?保護主と譲受人の気持ちを紡ぐ

猫 トライアル 返したい

 

 

保護猫団体から猫を迎え入れるとき、多くの施設では「トライアル期間」を設けています。この期間は猫と家族の相性を確認し、本当に一緒に暮らせるかを見極める大切な時間です。しかし、いざ猫を家に迎えてみると、思っていたのと違う状況が生じることもあります。「この子を返したい」そう感じる飼い主さんは少なくありません。

本記事では、猫のトライアル期間で返したいと考えるようになったときの対処法、その背景にある感情、そして双方にとって最善の選択について、詳しく解説します。

 

 

猫のトライアルで返したいと思う理由

 

夜泣きが止まらない

 

猫を迎え入れてから、予想外の夜泣きに悩まされることは珍しくありません。新しい環境への不安やストレスから、夜間に繰り返し鳴く猫も多いのです。

特に保護施設から来た猫の場合、前の環境との変化が大きく、心理的な不安が強いことがあります。初めての家族、初めての部屋、聞いたことのない音や臭いに、猫も必死に適応しようとしているのです。しかし飼い主さん側からすると、数日間の夜泣きは睡眠不足につながり、仕事や生活に支障が生じてしまいます。「この子とは合わないのではないか」そうした不安から「返したい」という気持ちが芽生えるのは、自然なことなのです。

 

 

懐かない、警戒心が強い

 

猫が一向に人間に懐かず、常に警戒心を保ったままという状況も、トライアル期間での悩みです。同じ家の中にいても、猫が隠れてばかりで姿を見せない。抱っこを嫌がり、撫でられることを拒否し続ける。そうした状況が続くと、飼い主さんも「本当に一緒に暮らしていけるのか」と不安になります。

懐かない猫と暮らすことは、想像していた「猫との温かい関係」とは異なる現実に直面することでもあります。この時点で「返したい」と感じるのは、決して珍しくないのです。

 

 

先住猫との相性が悪い

 

すでに家に猫がいる場合、新しく迎え入れた猫との相性が想像以上に悪いというケースもあります。先住猫が激怒したり、新入り猫に攻撃を加えたり、あるいはその逆であったり。二匹の猫の関係が改善する見通しが立たないと、「この選択は間違っていたのではないか」と考えるようになります。

先住猫のストレスも増し、新入り猫も落ち着くことができない。そうした状況では、双方の福祉のために「返したい」と判断することは、責任ある選択かもしれません。

 

 

その他の予期しない問題

 

トイレの粗相、食が細い、健康上の問題が後から判明する、家族の誰かがアレルギーを発症するなど、様々な理由でトライアルを続けることが難しくなる場合があります。こうした予期しない状況の中で、「返したい」という気持ちが生じるのは、人間の心情として当然のことなのです。

 

 

猫のトライアル期間で返したいと思ったときの対処法

 

まずは早めに保護主に相談する

 

「返したい」と感じたときの最初のステップは、保護主や保護団体に早めに連絡することです。ここで大切なのは、躊躇してはいけないということです。多くの飼い主さんは申し訳ないという気持ちから、返却を言い出しにくいと感じるかもしれません。しかし、保護主の多くは「無理に飼い続けることよりも、早めに相談してほしい」と考えています。

なぜなら、猫にとって「返される」ことより「相性の合わない環境で無理に飼われ続ける」ことの方が、ずっとストレスが大きいからです。飼い主さんも猫も、双方が不幸な状態を続けるより、早い段階で次のステップに進むことが、最善の選択なのです。

連絡する際は、「返したい理由」を具体的に説明することが重要です。「夜泣きが続いている」「先住猫と合わない」「懐かない」など、具体的な状況を伝えることで、保護主も改善策があるかどうかを判断できます。

 

 

保護主と相談しながら改善策を検討する

 

返却を検討する前に、保護主と相談しながら改善できる余地がないかを一度、冷静に考えてみる価値があります。もちろん、本当に相性が悪い場合もあります。しかし、多くの場合、環境への不安からくる行動上の問題は、時間と工夫で改善することが可能なのです。

例えば、夜泣きが止まらないのであれば、猫の不安を軽くするための専用グッズの活用、部屋環境の見直し、スケジュール調整など、試すことができる方法があります。懐かないのであれば、猫のペースに合わせた接し方、環境への慣れるまでの期間の設定などが考えられます。先住猫との相性が悪い場合でも、導入期間を長くする、別々の空間を確保する、食事の工夫をするなど、試行錯誤の余地があるのです。

保護主は、多くの猫の行動パターンを経験しています。「我が家ではこのような状況になっています」と相談することで、専門的なアドバイスをもらえる可能性も高いのです。

 

 

環境への慣れを促すための工夫

 

猫が新しい環境に慣れるには、一般的に1週間から4週間程度の時間が必要とされています。この期間に、猫本来の姿が見え始め、問題行動が軽減される傾向があります。

 

隠れ場所の確保

 

まず大切なのは、猫が安心できる隠れ場所を複数用意することです。押し入れ、段ボール、キャットハウスなど、猫が「逃げ込める場所」があると、猫のストレスは大きく軽減されます。安心できる場所があると、猫は徐々に家全体の探索を始め、環境への不安が薄れていくのです。

 

スケジュールの一定化

 

毎日同じ時間に餌やり、トイレ清掃、遊び時間を設定することで、猫も生活リズムを理解し、不安が減少します。予測可能な環境は、猫にとって安心につながるのです。

 

焦らない関係構築

 

懐かない猫に対して、飼い主が無理に関わろうとすると、猫はさらに警戒心を強めます。猫のペースに合わせ、猫が寄ってくるのを待つ、そうした忍耐強い態度が重要です。時間が経つにつれて、自然と距離が縮まることもあるのです。

 

フェロモン製品の活用

 

フェロモンディフューザーやスプレーなど、猫をリラックスさせる製品の活用も有効です。これらは猫の自然な落ち着きを促進し、環境への適応を助けます。

 

先住猫との関係改善

 

先住猫と新入り猫がいる場合、別々の部屋に分ける期間を設け、徐々に顔合わせの時間を増やすというステップを踏むことが重要です。焦らずに、専門家のアドバイスを受けながら進めることで、関係が改善することもあります。

 

 

保護主の気持ち:返却を受け入れる理由

 

一方、保護主の立場から考えると、「猫が返ってくる」ことは複雑な感情をもたらします。保護団体は多くの場合、厳しい環境から猫を救い出し、新しい家族との幸せな生活を願っています。しかし同時に、保護主たちは重要な真実を理解しています。

 

 

無理な飼育は誰も幸せにしない

 

保護主は、心の底から「この猫を無理に飼い続けることはしないでほしい」と思っています。なぜなら、猫にとって、相性の悪い環境で無理に飼われ続けることほど、つらいことはないからです。飼い主さんがストレスを感じていると、それは猫にも伝わり、猫もまた深刻なストレスを抱えることになります。

保護主から見ると、「返したい」と正直に言ってくれる飼い主さんは、実は猫のことを真摯に考えてくれている人なのです。

 

 

次の家族を見つけるチャンス

 

猫が返却されることで、その猫は新たな家族候補との出会いの機会を得ます。同じ猫でも、別の家族とならば相性が良いかもしれません。返却により、その猫にとって最適な家族が見つかる可能性が高まるのです。

 

 

環境への慣れの時間について

 

保護主たちは、猫が新しい環境に慣れるまでには時間がかかることを理解しています。しかし同時に、1ヶ月以上経っても相性が改善しない場合、その猫にとってその家族は合わないのかもしれないとも理解しています。環境の変化への対応が難しい期間は、見守ってほしい気持ちもありますが、無理に飼い続けることが最善ではないことも、保護主たちは知っているのです。

 

 

返却を検討する際の心構え

 

後ろめたい気持ちは不要

 

多くの飼い主さんが「猫を返すことは申し訳ない」「猫を見捨てるようで罪悪感がある」と感じます。しかし、その気持ちは本当に大事ですが猫にとっても自分にとってもその決断は大事だと思います。

相性が合わない状況で、無理に飼い続けることの方が、実は猫にとって残酷なのです。飼い主さんがストレスを感じながら世話をすれば、猫もそれを察知し、落ち着きを失います。双方が不幸な状態を続けることは、責任ある飼い主として避けるべき選択肢なのです。

返却という判断は、決して逃げることではなく、「この猫にはこの家が合わない」という事実を認識し、その猫にとってより良い環境を探す、責任ある選択なのです。

 

 

他の猫を選択することについて

 

返却後、別の猫との出会いがある飼い主さんもいるでしょう。その際に「前の子を返してしまったから、今度こそ絶対に…」と無理に飼い続けることは、避けるべきです。

猫との相性は、誰にも完全には予測できません。今度の猫との相性が良い可能性もあれば、それでも難しいかもしれません。大切なのは、自分たちの生活スタイルや環境に合った猫を冷静に判断することです。

新しく迎え入れた猫と相性が良かったとしても、それは「今度は成功した」のではなく、「この猫とこの家が合致した」ということに過ぎません。以前の猫を返したことに対して後ろめたさを感じる必要はないのです。猫のために最善の選択をした結果、新しい出会いがあるだけなのです。

 

 

猫のトライアルで返したいと思ったときの流れ

 

ステップ1:状況の整理

 

返したいと感じたとき、まずはその理由を具体的に書き出してみましょう。夜泣き、懐かない、先住猫との関係など、何が問題かを明確にすることで、改善の余地があるかどうかも判断しやすくなります。

 

ステップ2:保護主への相談

 

躊躇せず、保護主に連絡してください。メールや電話で、具体的な状況を説明します。「申し訳ないのですが…」という前置きは不要です。「現在このような状況で、このままの環境で飼い続けることが難しいかもしれません」という事実を、率直に伝えることが大切です。

 

ステップ3:改善策の検討

 

保護主と相談しながら、改善できる点がないかを一緒に検討します。実現可能な改善策があれば、試してみる期間を設けます。トライアル期間の延長を申し出ることも、この段階では適切です。

 

ステップ4:判断の決定

 

試行錯誤の後、それでも相性が改善しない場合、返却を決定します。この時点での返却は、双方にとって最善の選択なのです。

 

ステップ5:返却と手放す気持ち

 

返却の日が来たとき、飼い主さんは複雑な感情を感じるかもしれません。しかし、その猫が新しい家族との幸せな出会いを期待できる環境に戻ることを、温かく見守ってあげてください。

 

 

まとめ:猫のトライアルと「返したい」の気持ちについて

 

「猫 トライアル 返したい」というキーワードで検索している飼い主さんへ、最後に伝えたいことがあります。

猫のトライアル期間で「返したい」と感じることは、決して珍しくなく、また恥ずかしいことでもありません。それは、猫の福祉を真摯に考えている証拠かもしれないのです。

環境への不安からくる問題行動は、時間と工夫で改善することもあります。だからこそ、返却を検討する前に、保護主と相談しながら、改善の余地があるかどうかを冷静に判断することが重要です。

しかし、試行錯誤の後、それでも相性が合わない場合、返却という選択は決して後ろめたい気持ちで行うべきではありません。相性の悪い環境で無理に猫を飼い続けることの方が、猫にとってずっとつらいのです。飼い主さんがストレスを抱えながら世話をすれば、猫もそれを感知します。

双方が幸せでない状態から脱し、その猫にとってより良い環境を探すことは、責任ある愛情の表現なのです。返却後に別の猫との出会いがあったとしても、それに対して罪悪感を感じる必要はありません。

保護主たちは心から、猫と飼い主さんの関係が幸せなものになることを願っています。その願いを叶えるために、時には返却という選択が必要なのです。返したいと感じたら、迷わず保護主に相談し、猫と自分たち家族にとって本当に最善の道を歩んでください。

その先に、本当の幸せが待っているかもしれません。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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