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猫が縫い針・釣り針・爪楊枝を飲み込んだ|吐かせてはいけない理由と、今すぐ確認すること

縫い針・まち針・釣り針・爪楊枝・竹串のような先のとがった物を飲み込んだときは、家で吐かせようとしないでください。とがった物は、吐き戻すときに食道など消化管を傷つける恐れがあります。動物病院でも、鋭利な異物では吐かせる処置は選ばれません。

口や肛門から針や糸が見えていても、引っ張らないでください。そして、猫がまったく元気に見えても、それは待ってよい理由になりません。この記事では、電話の前に確認しておくこと、伝えるべき情報、自宅でやってはいけないことを順にまとめます。

鋭利なものを飲み込んだ可能性があるなら、症状がなくても今すぐ動物病院に電話してください。電話の最初に「先のとがった物を飲み込んだかもしれない」「糸が付いていたかどうか」を伝えると、受け入れと準備の判断が早くなります。

吐かせないでください。先のとがった物は、吐き出させるときに食道を傷つける恐れがあります。猫にオキシドール(過酸化水素水)を飲ませることは、推奨量でも重い出血性の胃炎を起こしうるため行ってはいけません。食塩・食塩水も同じく使ってはいけません。

見えている針や糸を引っ張らないでください。見えている部分が全体とは限らず、返しの有無も刺さっている深さも外からは分かりません。触らずに写真だけ撮って、そのまま電話してください。

30秒で判断|どの速さで動くか

動き方当てはまるもの
今すぐ受診
電話しながら向かう
  • 縫い針・まち針・釣り針・安全ピン・ホチキス針・爪楊枝・竹串などの鋭利なものを飲み込んだ、または飲み込んだ可能性がある(症状の有無にかかわらず)
  • 口や喉から針や糸が見えている(触らず、写真だけ撮る)
  • 肛門から糸が出ている(引っ張らない)
  • よだれが止まらない、何度も飲み込む動作をする、前足で口をこする、口を開けたまま閉じられない
  • えずく・吐こうとするのに何も出ない、食べたそうにするのに食べられない、水も飲まない
  • 発熱、呼吸が速い・苦しそう、咳が出る(食道の穿孔や胸の中の炎症が起きたときの所見として報告されています)
  • 隠れて出てこない、体を丸めて動かない、首や喉を触られるのを強く嫌がる
早めに相談
その日のうちに電話する
  • 動物病院で処置を受けて帰宅したあとに、食欲が戻らない、元気がない、便が出ない、便に糸が混じる
  • 多頭飼育で、同じ糸や同じ道具で遊んでいた可能性のある猫が他にもいる(口にした場面は見ていない)

これは受診の優先度を決めるための目安で、病名を判断するためのものではありません。どれにも当てはまらなくても、いつもと違うと感じたら電話して構いません。迷っている時間そのものが、動物にとっては待ち時間になります。

この表は受診の速さを決めるためのもので、飲み込んだ物を当てるためのものではありません。鋭利な物では「元気そうかどうか」が判断材料になりません。胃の中に針が写っているのに、まったく元気だった猫の症例が報告されています。

まず確認すること

動物病院に電話する前に、次の7つを手元にそろえてください。すべて分からなくても構いません。分からないこと自体が重要な情報なので、そのまま伝えてください。

  1. 何を飲み込んだ(と思われる)か(縫い針・まち針・釣り針・安全ピン・ホチキス針・爪楊枝・竹串など)
  2. 糸が付いていたか。付いていた場合は、糸の素材・太さ・もとの長さと、残っている長さ
  3. 釣り針の場合は、返し(バーブ)が1本か3本(トレブル)か、サイズ、釣り糸が付いていたか
  4. いつか(分からなければ「最後に猫が普段どおりだった時刻」と「無くなったことに気づいた時刻」)
  5. 飲み込む場面を見たか、それとも無くなっていたことから推測しているか
  6. 猫の体重と年齢、持病、飲んでいる薬、過去に全身麻酔を受けたことがあるか
  7. 最後に食べた時刻(処置で全身麻酔になる可能性があり、判断に使われます)

同じ針・同じ糸を、そのまま持って行く

無くなった物と同じ物が家にあるなら、袋に入れてそのまま持って行ってください。大きさ、太さ、返しの有無、素材が分かると、レントゲンでの見え方や取り出し方の判断が早くなります。

糸が付いていた場合は、糸巻きやパッケージも一緒に持って行ってください。もとの長さと残っている長さが分かると、体の中にどれだけ入っている可能性があるかの推定に使われます。

糸が付いた針は、危険が二つ重なる

猫が針を飲み込むのは、針を食べようとしたからではありません。針に通った糸で遊んでいるうちに、口に入ってしまうのが典型です。ある動物病院は「猫は針を食べようとしたわけではなく、針が付いた糸で遊んでいて口に含んでしまったのだと思います」と説明し、そのうえで「とても珍しいわけではなく、年に数件来院されます」と書いています。

つまり実際に多いのは「針だけ」ではなく「糸付き針」です。この場合、鋭利な異物であると同時に、紐状のもの(線状異物)でもあるという二つの危険が同時に成立します。獣医学の標準的な資料も、猫では口の中に毛糸・糸・針の証拠がないかをよく調べることが重要だとしています。

糸そのものが腸に起こす変化については、この記事では扱いません。ここで押さえておいてほしいのは、電話のときに「糸が付いていたかどうか」を必ず伝えることと、見えている糸を引っ張らないことの二つです。糸の先に針が付いていれば、糸を引くことは針に組織を切り裂かせることになります。

すぐ動物病院へ相談すべきサイン

次のどれか一つでも当てはまれば、時間帯にかかわらず動物病院へ電話してください。そして、どれにも当てはまらなくても、鋭利なものを飲み込んだ可能性があるなら、それだけで受診の理由になります。

  • 裁縫箱の針・まち針・釣り針・安全ピン・ホチキス針・爪楊枝・竹串・カッターの刃などが無くなった
  • 糸だけが残っていて針が見当たらない、糸が途中で切れている
  • 口・喉から針や糸が見えている(触らず、写真だけ撮って電話)
  • 肛門から糸が出ている(引っ張らずに電話)
  • 口を気にする、前足で口をこする、口を開けたまま閉じられない、頭を振る
  • よだれが止まらない、何度も飲み込む動作をする、口の周りが血で汚れている
  • えずく・吐こうとするが何も出ない、食べた物をすぐ吐き戻す
  • ごはんの前で固まる、食べたそうにするのに食べられない、水も飲まない
  • 首や喉を触られるのを嫌がる、首の周りが腫れている
  • 元気がない、暗い場所に隠れて出てこない、体を丸めている(猫の痛みのサインです)
  • 発熱、呼吸が速い・苦しそう、咳が出る(食道の穿孔とそれに続く炎症、誤嚥性肺炎を疑う所見として報告されています)
  • 便が出ない、下痢、便に血や糸が混じる

なぜ吐かせてはいけないのか

誤食と聞くと「早く吐かせたほうがいい」と考えたくなります。鋭利な異物では、それが逆になります。

日本の動物病院の症例解説は、理由をはっきり書いています。胃の中の縫い針を内視鏡で取り出した猫の記録には、「通常、異物の誤食の場合は催吐処置が治療の一つとして挙げられますが、今回のような先の尖ったものだと吐かせたときに食道を傷つけてしまう恐れがある」とあります。別の動物病院も「針など鋭利なものを誤飲した場合は、吐く際に食道などの消化管を傷つける恐れがあるため、行いません」と、同じ理由を挙げています。

飲み込むときは、先端が下を向いて比較的すんなり通ることがあります。しかし吐き戻すときは向きが逆になり、縮んだり広がったりする食道の中を、とがった先端が上向きに通ることになります。これが、鋭利な異物で吐かせない理由です。

獣医師向けの臨床資料でも、異物の性質が「大きい・鋭利・腐食性」であることは、吐かせて回収してはいけない条件として挙げられています。同じ資料は、小腸まで進んだ異物は吐かせても出せないこと、猫ではアポモルヒネという薬が効かないことも書いています。吐かせるかどうかは、レントゲンで位置と形を確かめたうえで獣医師が決めることで、家庭で選べる選択肢ではありません。

家庭でオキシドール(過酸化水素水)を飲ませて吐かせる方法が紹介されることがありますが、猫では行ってはいけません。専門家の解説は、推奨量でも重篤な、ときに致死的な出血性胃炎を起こしうると明記しています。

食塩・食塩水も使ってはいけません。ナトリウムが体に残って高ナトリウム血症を起こし、けいれん・昏睡に至りうるとされています。喉を指で刺激して吐かせる方法も、不適切な除染法として明確に否定されています。

なお、猫では吐かせる処置そのものの成功率が低く、有効率は50%程度とする記載もあります。家で吐かせようとして費やす時間は、そのまま受診の遅れになります。

「元気だから待つ」が成り立たない理由

鋭利な異物でいちばん怖いのは、飲み込んだ直後に何も起きないことがあるという点です。

胃に針が写っているのに、けろりとしていた猫

「縫い針を食べたかも」ということで来院した1歳の猫の記録が公開されています。レントゲンには胃の中の針がはっきり写っていました。それでも記録には「体調は問題なく、本人はいたってケロっとしていました」とあります。

この猫はそのまま様子を見られたわけではありません。放置すれば消化管を傷つける、あるいは穿孔する可能性があるとして、内視鏡で摘出されています。元気そうに見えることは、針が安全な場所にとどまっている証拠にはなりません。

約2週間後に、胸の中で見つかった針

もう一つ、獣医救急の専門誌に報告された猫の症例があります。10歳の避妊済みの雌猫が、胸部のレントゲンで見つかった胸の中の金属異物のために紹介されて来院しました。約2週間前に縫い針を飲み込んだ可能性がありました。

来院時、循環の状態は不安定で、超音波検査では心臓の周りに液体がたまり、心臓が圧迫されていました。その液体は膿のようなもので、培養では細菌が検出されています。手術で異物を取り出し、胸の中の膿の処置と心臓を包む膜の一部切除を行い、10日間の入院を経て退院しました。

報告した著者は、消化管の外、とくに胸の中に移動した縫い針が、猫に重い病態を起こしうることを示す症例だと述べています。これは1例の報告です。しかしこの1例は、「胃に落ちれば終わり」「そのうち便に出る」という考え方が成り立たないことを示しています。

「◯%は自然に出る」という数字は使えません

「飲み込んだ針の多くは自然に便に出る」という説明を見かけることがありますが、猫についてそれを裏づける資料は確認できませんでした。この記事では、自然に出るかどうかを家庭で見込む書き方はしません。

待つかどうかを決められるのは、レントゲンで針の位置と向きを見た獣医師だけです。そして時間が経つほど、選べる方法は減ります。異物が小腸まで進んでしまえば、吐かせても出せませんし、内視鏡も届きません。「何時間以内なら取れる」という線引きの根拠はありませんが、早いほど選べる方法が多いことは確かです。

今、自宅でできること

ここに書くのは治療ではありません。病院に着くまでに、これ以上悪くしないことと、診察に必要な情報をそろえることが目的です。

  1. 動物病院へ電話する。最初に「先のとがった物を飲み込んだ可能性がある」「糸が付いていたかどうか」を伝えてください。夜間・休診日ならこのあとの案内を見てください
  2. 同じ針・同じ糸・同じ製品を袋に入れて確保する。釣り針なら仕掛けごと。捨てない
  3. 糸のもとの長さと残っている長さを確認して記録する
  4. 口や肛門から見えているものがあれば、触らずにその状態を写真に撮る
  5. 無くなったことに気づいた時刻と、最後に猫が普段どおりだった時刻を書き留める
  6. 最後に食べた時刻を書き留め、以後は指示があるまで食べ物も水も与えない(全身麻酔になる可能性があります)
  7. 猫を静かな部屋に移し、裁縫道具・釣り具・串などを片づける。他の猫も同じ部屋から出す
  8. 床・ソファ・カーペットを見て、他に落ちている針がないか確認する(人が踏むのを防ぐ意味もあります)
  9. 嘔吐があれば回数・時刻・内容を記録し、吐いた物の写真を撮る
  10. キャリーを準備し、移動中に猫が暴れないよう安全を確保する
  11. 家族に、すでに何かをしたか(引っ張った・切った・何かを飲ませた)を確認しておく

やってはいけないこと

以下は猫を危険にさらすか、受診を遅らせる行為です。ひとつも行わないでください。

  • 自宅で吐かせようとする。鋭利な異物では吐かせる処置そのものが禁忌で、吐くときに食道を傷つける恐れがあります
  • オキシドール(過酸化水素水)を猫に飲ませる。推奨量でも重篤な、ときに致死的な出血性胃炎を起こしうるとされています
  • 食塩・食塩水を飲ませる。高ナトリウム血症でけいれんや昏睡に至りうるため、使ってはいけません
  • 指を喉に入れて吐かせる。不適切な除染法として明確に否定されています
  • 口や喉から見えている針を引き抜いて取ろうとする。返しの有無も、刺さっている深さも、糸が付いているかも外からは分かりません
  • 口や肛門から出ている糸を無理に引っ張る。組織に食い込んだ状態で引くと穿孔を招くと明記されています。針が付いていればさらに危険です
  • 自己判断で糸をハサミで切る。切ってよいかどうかは、電話で獣医師に確認してください
  • 釣り糸を引っ張る。針が食道の壁に食い込み、内視鏡で取り出せなくなることがあります
  • 口の奥に指やピンセットを入れて探る
  • パンや脱脂綿を食べさせて針を包ませようとする(そうしてよいという資料はありません)
  • 下剤・浣腸・油などで排出を促そうとする
  • 「元気だから」「そのうち便に出るかもしれないから」と一晩置く
  • 食べ物や水を与える(処置の妨げになり、吐いたときに誤嚥する危険もあります)
  • 人用の胃薬・鎮痛薬・吐き気止めを与える
  • レントゲンで写らなかったことを理由に、そこで検査を打ち切る(木・竹・糸は写りにくいものです)

かつては「家庭でオキシドールを使って吐かせる」という方法が紹介されることがありました。現在は推奨されません。猫では効きにくいうえ、胃を傷つける危険のほうが上回るためです。そして鋭利な異物では、そもそも吐かせること自体が選ばれません。

動物病院へ伝える情報

  • 飲み込んだと思われる物(縫い針・まち針・釣り針・爪楊枝・竹串・安全ピンなど)。同じ物があれば持参する
  • 糸が付いていたか。付いていた場合、糸の素材・太さ・もとの長さと残っている長さ
  • 釣り針の場合は、返しの数(1本かトレブルか)、サイズ、釣り糸が付いていたか
  • 飲み込んだ時刻、または「最後に普段どおりだった時刻」と「異変に気づいた時刻」
  • 飲み込む場面を見たか、無くなっていたことからの推測か
  • すでに引っ張った・切った・何かを飲ませた場合は、そのまま正直に伝える(処置の方針が変わります)
  • 最後の食事の時刻と内容(全身麻酔の判断に使われます)
  • 嘔吐の回数・時刻・内容、よだれ、食欲、最後の排便の時刻と便の状態
  • 猫の体重・年齢・品種、持病と現在の薬、過去の麻酔歴
  • 同じ物で遊んでいた他の猫がいるか
  • 撮れた写真・動画
  • 病院までの所要時間

病院での検査と治療

最初に行われるのは、多くの場合レントゲン検査です。金属の針はX線に写ります。猫の食道異物30例を扱った研究では、レントゲンだけで30例すべての異物の位置と種類を特定できたと報告されています。

一方、木や竹(爪楊枝・竹串)、糸、布、多くのプラスチックは写りにくいことが知られています。「写らなかった=何もない」とは言えないため、症状が続く場合は造影検査や超音波検査が追加されることがあります。無くなった物と同じ物を持参できると、素材から写る/写らないの見当がつきます。

取り出す方法は、全身麻酔をかけたうえでの内視鏡胃の切開(開腹手術)のいずれかになります。内視鏡が使えるのは基本的に胃までで、幽門より先へ進んだ異物や、複数の場所にある異物には開腹が必要になるとされています。

また、鋭利な物は内視鏡で引き上げるときに食道や口の中を傷つける危険があるため、あえて胃切開が選ばれることも多いと説明されています。どちらになるかは、異物の位置と形、そして病院の設備で決まります。内視鏡のない病院では、紹介になることもあります。

釣り針は「引っ張れば抜ける」物ではありません

釣り針には返し(バーブ)があり、刺さった方向へは戻りません。釣り糸を引っ張ると、針が食道の壁に食い込みます。飼い主向けの解説でも、最も取り出しにくいのは「釣り糸を引っ張った結果、食道に引っかかった針」だと説明されています。

釣り針についての研究は、いずれも犬が大半を占めます。1995年に報告された犬と猫の75例(うち猫は3例)の研究では、内視鏡での回収に成功したのは62例中41例で、返しが3本あるトレブルフックは、返しが1本の針より内視鏡での回収に失敗しやすいという結果でした。回収できるかどうかは、体重・経過時間・針の位置・食道内での向きとは関係がありませんでした。

2018年に報告された犬と猫の33例(うち猫は2例)では、位置は食道の入口側と胃が多く、内視鏡での回収に成功したのは33例中27例、合併症は食道の穿孔6例で、6例が手術になり、全頭が生存しています。これらは猫のデータとして読むことはできませんが、返しのある針は引き抜けないこと、引っ張ると選べる方法が減ることは、猫でも同じように考えられています。

食道に残ったままにすると何が起きるか

食道に異物が留まったままになると、食道の穿孔から胸の中の炎症(縦隔炎)や膿胸、誤嚥性肺炎、食道の狭窄といった合併症につながることが報告されています。約2か月間、食道に骨が留まっていた猫の症例報告では、元気消失・食欲不振・発熱・咳・呼吸困難といった症状が、これらの合併症を示唆する所見として挙げられています。

飲み込んだ物が食道に引っかかりやすいのは、猫の体の作りとも関係します。猫30例の研究の著者は、猫の食道には鋭い角度が複数あり、硬くて角のある異物が引っかかりやすいと述べています。この研究では、異物の83.3%(30例中25例)が縫い針でした。ただしこれはエジプトの単一施設のデータで、日本での頻度を表すものではありません。

もう一度起きないために

針を飲み込む事故は、特別に不注意な家庭だけで起きるものではありません。ある動物病院は「年に数件来院されます」と書いています。猫が反応しているのは針ではなく、揺れる糸のほうです。その前提で環境を整えると、対策が具体的になります。

  • 糸を出しっぱなしにしない。縫いかけの糸付き針を刺したまま席を立たない
  • 裁縫箱は蓋を閉めて、猫が入れない場所にしまう
  • まち針・安全ピン・ホチキス針・画鋲は、作業のあとに床へ落ちていないか確認する
  • 釣り具は仕掛けごと、猫の入れない場所へ。釣行後の道具を玄関やリビングに置いたままにしない
  • 爪楊枝・竹串は、使ったあとすぐ蓋つきのゴミ箱へ(食べ物のにおいが残っている物は特に狙われます)
  • 猫が糸で遊びたがるなら、代わりに安全なおもちゃを用意し、遊んだあとはしまう

夜間・休日でかかりつけの動物病院が閉まっている場合

夜間や休診日にかかりつけの病院が閉まっているときは、近くの夜間・救急動物病院を確認してください。向かう前に必ず電話をしてください。夜間は予約制のところや、受け入れられる状態かどうかがその時々で変わるところがあります。

電話では、「何が起きたか」「いつからか」「猫の年齢と体重」「今の様子」を伝えてください。その場でできることを教えてもらえたり、より適した病院を案内してもらえることがあります。

電話の最初に「先のとがった物を飲み込んだ疑い」と伝えてください。そのひと言で、受け入れの可否と、レントゲンや内視鏡の準備の判断が早くなります。糸が付いていたかどうかも、あわせて伝えてください。

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よくある質問

針を飲んだかもしれません。まず何をすればいいですか?

吐かせようとせず、動物病院に電話してください。症状がなくても電話してください。最初に「先のとがった物を飲み込んだ可能性がある」「糸が付いていたかどうか」を伝えると話が早くなります。

同じ針・同じ糸を確保し、糸のもとの長さと残りを確認して持って行ってください。最後に食べた時刻を書き留め、以後は指示があるまで食べ物も水も与えないでください。全身麻酔になる可能性があります。

なぜ吐かせてはいけないのですか?

先のとがった物は、吐き出させるときに食道など消化管を傷つける恐れがあるからです。飲み込むときは先端が下を向いて通っても、吐き戻すときは向きが逆になり、縮んだり広がったりする食道の中を通ることになります。

獣医師向けの資料でも、異物が「大きい・鋭利・腐食性」であることは、吐かせて回収してはいけない条件に挙げられています。吐かせるかどうかは、レントゲンで位置と形を確認したうえで獣医師が判断することです。

口から糸(または針)が見えています。抜いてもいいですか?

抜かないでください。引っ張らないでください。触らずに写真を撮って、すぐ電話してください。獣医学の標準的な資料は、口の中の紐状の異物は組織に埋まっている場合、引くと穿孔を招くため決して引っ張って取り出してはならないと明記しています。

猫30例の研究では、口から針が突き出た状態で来院した例のほかに、針が喉頭蓋を貫通していた例、食道の壁を貫通していた例、首の骨の高さで突き抜けて胸の筋肉に反応を作っていた例が報告されています。見えている部分が全体とは限りません。釣り針の場合は返しがあり、引けば食道の壁に食い込みます。

糸が付いた針だと、何が違いますか?

鋭利な異物であると同時に、紐状のもの(線状異物)でもあるという、二つの危険が同時に成立します。糸の端が体の中で引っかかった状態のまま糸を引けば、その糸に付いた針が組織を切り裂きながら動くことになります。

猫が針を飲むのは糸で遊んでいたからであることが多く、実際には「糸付き針」のほうが典型的なパターンです。電話のときに、糸が付いていたかどうかを必ず伝えてください。

元気で食欲もあります。便に出るのを待てませんか?

待たないでください。胃の中に針が写っていても、まったく元気だった猫の症例が報告されています。その猫も、放置すれば消化管を傷つける・穿孔する可能性があるとして摘出されています。

飲み込んだ可能性から約2週間後に、胸の中へ移動した針が化膿性の心膜炎と膿瘍を起こしていた猫の症例報告もあります。1例の報告ですが、「胃に落ちれば終わり」ではないことを示しています。「猫が飲んだ針の◯%は自然に出る」という信頼できる数字は確認できませんでした。

レントゲンで何も写らなかったと言われました。安心していいですか?

金属の針は写りますが、木・竹・糸・布・多くのプラスチックは写りにくいものです。「写らなかった=異物はない」とは言えません。

症状が続く場合は、造影検査・超音波検査・再検査について改めて相談してください。無くなった物と同じ物を持参すると、素材から見当がつきます。

内視鏡なら体に傷をつけずに取れますか?

内視鏡で取り出せるのは基本的に胃までで、幽門より先へ進んだ異物や、複数の場所にある異物には開腹が必要になるとされています。

また鋭利な物は、内視鏡で引き上げるときに食道や口の中を傷つける危険があるため、あえて胃切開が選ばれることも多いと説明されています。どちらの方法でも全身麻酔が必要で、選択は異物の位置・形と病院の設備で決まります。

犬でも同じことが起きますか?

鋭利な物で吐かせないこと、金属はレントゲンに写ること、返しのある釣り針は引き抜けないことは、犬でも猫でも同じです。実際、釣り針の症例研究は犬が大半を占めています。

違うのは起こり方です。猫では、針そのものではなく針に通った糸が狩りの行動を引き出し、遊んでいるうちに口に入るという経路が典型で、そのぶん「糸付き針」になりやすくなります。

まとめ

  • 鋭利なものでは吐かせない。吐き出させるときに食道など消化管を傷つける恐れがあると、複数の動物病院が同じ理由を挙げている
  • 見えている針・糸を引っ張らない。返しの有無も刺さっている深さも外からは分からず、口の中の紐状異物は引くと穿孔を招くと明記されている
  • 無症状は安全の根拠にならない。胃に針が写っていてもけろりとしていた猫の症例があり、約2週間後に胸の中へ移動した針が化膿性心膜炎を起こした症例報告もある
  • 猫が飲み込むのは針ではなく糸で遊んでいた結果のことが多く、その場合は鋭利な異物と紐状の異物の危険が重なる
  • 金属の針はレントゲンに写るが、木・竹・糸は写りにくい。「写らなかった」で終わりにしない
  • 取り出し方は全身麻酔下の内視鏡か胃切開。時間が経つほど選べる方法は減るので、気づいた時点で電話する
  • 同じ針・同じ糸・パッケージを確保し、最後に食べた時刻を控えて動物病院へ

参考資料

この記事は次の資料を参照して作成しました(2026年9月9日確認)。記載内容は一般的な情報であり、個々の症例の診断・治療に代わるものではありません。判断に迷うときは、自己判断せず動物病院に相談してください。

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