ノネコ問題、沖縄の動物愛護問題。沖縄県動物愛護管理センターで聞いたこと。
沖縄県、やんばる地域でのノネコ駆除の問題を知り、沖縄県の現状を自分の目で確かめるために沖縄県動物愛護管理センターに訪問しました。
ノネコ自体は沖縄県動物愛護管理センターの管理ではないので具体的なことを聞き出せませんでしたが、沖縄県はノネコ以外にも地域独特な特殊な事情があり野良猫もとても多いです。
今回分かったこと、沖縄県がこれから変わっていかないといけないことをまとめます。
沖縄県動物愛護管理センターへ
動物愛護管理センターは那覇空港から車で20分くらいの場所にあります。
基本的に他県の動物愛護センターもレンタカーを借りていかないとたどり着けない場所にあることが多いです。
野犬の収容が多いセンターならなおのこと、山奥で運営しないと吠える声がうるさくて近隣住民からの苦情が絶えない場所になってしまいます。
沖縄も野犬が多く、訪問した3月の情報では1日3頭前後収容されています。
那覇など都心部は野犬が全くいませんが、自然の多い地域になるほど野犬が多いようです。
建物に入ります。
空気感で大体分かるのですが、歓迎されていないムード。
受付の方に情報を聞きながら、【ノネコ】のことを質問すると雰囲気が変わって担当の方を呼んできますねと奥に行かれました。
担当らしき人が出てきて「うちではノネコを引き取ってませんのでお話しすることはありません。ホームページに書かれていることが全てです。」とそれだけ言って帰っていきました。
なぜこんな対応をするかというと、全国からこのノネコ問題に対する苦情や批判の電話が来ているから相当ストレスが溜まっているのでしょう。
事実として、動物愛護センターが管理している問題ではないのでお話することはないというのが正解です。
この問題は沖縄県環境部自然保護課が担当で動物愛護推進センターに電話しても特に効果がありませんし業務に支障が出るので電話しないようにしましょう。
SNSの情報が正しいわけでもなく、感情論であったり噂話がどんどんエスカレートしているだけの場合も。
対話を冷静にしましょう。
動物愛護推進センターにノネコはいない。
では捕獲されたノネコはどこへ??
後半に書いていきますが、一旦この施設の話を進めます。
新しくできた譲渡推進棟
隣には動物愛護管理センター譲渡推進棟があります。
最近リニューアルして犬猫が暮らして、飼い主さんを待っている場所になりました。
元々はハブの研究所だっだそうですが、その面影もほとんどなくきれいな建物です。
譲渡推進棟は沖縄県が運営しているわけではなく民間委託です。
いきなり訪問したにも関わらず職員さんが施設を案内してくださっていろんな話を聞けました。
動物愛護管理センターでほとんど聞けなかったのでこのままでは帰れないと思っていたところだったので助かりました。
まず、野犬。
なぜ動物愛護管理センターに一日3頭ペースで収容されているのか。
まだまだ沖縄県全体にたくさんいるそうで通報があれば捕獲しに行かなければならない現状です。
なぜこんなにもいるのかというと、野犬は元々は人が飼っていた犬が繁殖を繰り返すうちに人の管理から離れていって、野生化したわけですが原因は避妊去勢手術をせずに放し飼いの文化がまだ残っていることもあります。
早急に飼い犬も飼い猫も避妊去勢の手術をしないといつまで経っても殺処分がなくなりませんし、現地の動物愛護団体が崩壊してしまいます。
次に外猫について。
とにかく猫が多く、冬も暖かいので凍死することもなく生き延びて年中子猫が育つというほかにはない気候も特殊です。
とにかく数も多いし、飼い猫が脱走していなくなってもまた次のネコを拾えばいいやという県民の意識だそうで猫を飼いたくなったらその辺の公園で拾いに行くような軽い存在だそうです。
同じ日本とは思えませんね。
この話は地元の愛護団体の方も同じことを言ってましたが今まで訪れてきたどの地域よりも猫を飼うという考え方が違っています。
これ以上増やさないようにするためには行政の取り組みも重要です。
調べてみたところ、那覇市が地域猫助成金を出しているそうです。
他の市町村も早急に予算を組んで1代限りの命を見守るという方向に進んでほしいです。
現地ボランティアさんはえげつない数のTNR活動をされています。
どうかこういう方たちを支えてください。
そしてノネコ。
ノネコ自体も元々は人が飼っていた猫が外で過ごすうちに野生化したわけですが、その猫たちがどんどんと繁殖して北上してヤンバル地域まで繁殖していった結果だそうです。
ノネコが捕獲され、殺処分の可能性があるのにも関わらず、相変わらず沖縄県の人は去勢避妊手術もせずに外に放して飼うという腹の立つ話。
もちろん昔に比べたら改善されていますし全員ではなく少数派だと思いますが、日本の中でも意識の低さが目立つ県の一つです。
捕獲されたノネコの中には野生で過ごしてきたと思えないくらい甘える猫もいます
ノネコがヤンバルクイナなど希少種を狩りしているかどうかも詳しく教えてくれました。
ノネコのフンからヤンバルクイナの羽が出てくるので狩りをしているのは事実だそうですが、ノネコが年間どれだけの数のヤンバルクイナの命を奪ってしまっているかは不明です。
そして問題はヤンバルクイナだけではなく色々な希少種が存在するということ。
希少種がノネコによって絶滅の危機にさらされているのかどうか、正確なデータがないと判断もできないのですが正確なデータが集められるのかというとそれもまた難しい話です。
正確でなくてもある程度増えているのか減っているのか、それはマングースの駆除を行ってからどうなのか。
例えばノネコの駆除をするにしても一旦は地域を限定してデータを取るという方法はできないのか。
そんなことしていると絶滅する可能性があるくらい切羽詰まっている話であれば駆除という意見が多くなってしまうのですがなんせこの話がなかなか表に出てこないのでわからないことばかりです。
捕獲したノネコの行き先
冒頭にも書きましたが、沖縄県動物愛護管理センターがノネコの問題を担当しているわけではありません。
では捕獲したノネコをどうしているのか。
沖縄県環境部自然保護課が担当していますが、現状は各地の保健所がノネコを管理し殺処分したり動物愛護団体が受け入れると手を上げたらそちらに渡すことになります。
そして私が訪問した動物愛護団体、ケルビムさん。
私が行った当時で500匹を超える猫がいましたが、人生でこれだけ猫を見たのは初めてで苦しくなりました。
こちらの団体さんは経営破綻しNPOの代表が変わるかどうかでいろいろ揉めてSNSで賛否が真っ二つに分かれていて、話を聞いてみないとわからないので代表の中村さんのお話しを聞かせてもらいました。
どんなことが起きているかはNHKで取材記事が出ていきます。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20230116/5090021579.html
私が現地で聞いた話をそのまま記事にすることでほかの問題が起きかねないので取材記事の情報以外は書きませんが経営状況は最悪の状態のようです。
その後どうなったかは追いかけていませんが、落ち着いて経営危機を脱したらまたノネコを保護するのだと思われます。
経営状況や保護している頭数や管理に対して言いたいことがある方もいるでしょう。
けれどぎりぎり持ちこたえているこの状況で炎上しようものなら500匹の猫の行き場がなくなります。
否定的な言葉は今は何の役にも経ちません。
それよりも具体的な手助けを。
中村さんのやり方に疑問を持つ方もいらっしゃるでしょうが情熱と過去にしてきた行動は本物で、罪のない命が殺処分されてはいけないと何年も前から沖縄の動物愛護の問題に取り組まれてきました。
代表が私財も投げ出して借りているビルに毎日のように捨てられる猫の保護をしたり、ノネコを保護する活動をされているのは事実です。
誰かが悪いと悪者を探して解決する問題ではありませんし、中村さんが悪いというのであれば避妊手術もせずに外で飼い、猫が産まれたらケルビムの入っているビルの前に捨てていく県民のほうが悪くないのかと個人的に思いますが、結局根っこは動物に対しての意識の低さであり変わらないと第2のケルビムが現れます。
目を背けたくなるような現実と、解決策も希望も全く見えなかった沖縄遠征。
いつもならば、未来は明るいと締めくくるのですがどうやったら解決するのか全く見えなかったのは初めてです。
けれど、いきなり今日明日で変わるわけでもなく10年後にどうなっているのかが重要です。
地道にTNR活動、地域猫活動を進めるしかありません。
私自身は兵庫県にいますのでこうやって伝えることしかできませんが、沖縄県はどうぶつ基金さんの協力病院も多数ありTNR活動を負担なくしてもらおうと思ったらどうぶつ基金さんに寄付をすることも手段の一つです。
大き過ぎる問題に圧倒されて帰ってきましたが、県内だけで解決するような問題ではなかったです。
特に大人の猫の行き先に困っています。
県外譲渡もどんどん進めていかないと次の猫を受け入れる事ができません。
本当は地域で解決していく問題でしょうが今は無理です。
よかったら空輸ボランティア、沖縄県外の里親希望の方をお手伝いするなどできることで支援をしてください。
スマホでポチポチポイ活、古着買取、ヴィーガン食品やペットフードの買い物で支援など皆様にしてもらいたいことをまとめています。
参加しやすいものにぜひ協力してください!
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