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野犬と狂犬病予防法。日本の野犬は外では生きてはいけないのか。

野犬と狂犬病

 

狂犬病予防法がある限り、日本では犬は外で生きていくということが実質的に禁止されています。

これにはいろんな立場の人がいるので一概に正解不正解を決められないことなのですが、背景を知り冷静に判断することが大事です。

何も知らずに感情だけで「野犬を捕まえないで」というのも危険だし、かといって70年間狂犬病が発生していないこの国で1950年に制定された当時のままの狂犬病予防法でいいのか。

皆が冷静に判断すれば殺処分を減らすことも野犬を減らすことも両立できると考えています。

 

まずはザッと狂犬病について知っていきましょう。

 

 

狂犬病の歴史

 

狂犬病が日本で記録に残っているのはおそらく平安時代の文書で。

982年に著された『医心方』という文書に、狂犬病の症状の記述があったのですが、平安時代に犬がたくさんいたかどうかは不明です。

中国など貿易をしていた国からやってきた犬が発症したから文書が残っているかもしれません。

 

 

犬がたくさん増えていたという記録が残っているのは江戸時代の生類憐れみの令で有名な徳川綱吉の時代。

東京ドーム4つ分ほどの広さのシェルターをつくり、江戸にいる飼い主不明の野良犬を収容して管理していたそうです。

この時代に狂犬病が大流行した記録があり、イヌ、ウマ、キツネ、タヌキなどが多数犠牲になったようです。

狂犬病という名前ですがすべての哺乳類に感染する恐れがあり、昔は犬からの感染が一番多かったので狂犬病という名前になりました。

今では例えばアメリカは犬よりもコウモリ、キツネ、アライグマなどの野生動物からの感染が多いようです。

 

 

1886年には東京府下で7名の狂犬病による死者が出たという記録が残っていて、人数としてはそこまでかもしれませんが人は犬に対して恐怖していたでしょうね。

1893年2月には長崎市に貿易で入国する外国人が持ち込んだ犬が狂犬病に感染しており、そのまま他の犬を噛むことで長崎で大流行し5月までに犬に咬まれた被害者は76名、狂犬病による死者は10名という記録が。

感染しないために人々は犬を殺すようになり、その年735匹の犬が撲殺されたようです。

 

 

その後も各地で流行しては犬を処分して流行をなくしていくイタチごっこ。

狂犬病予防法が制定されたから犬を殺処分するようになったのではなくその前からずっと狂犬病対策として野良犬を捕獲しては殺処分していました。

1950年に制定された狂犬病予防法により、飼い犬の狂犬病予防ワクチンの義務化と徹底した野犬駆除が行われ、結果として犬の発症は1956年、猫の発症が1957年を最後に日本では狂犬病が確認されていません。

 

 

個人的には犬には申し訳無さすぎるけれど混乱を抑えるためには必要だったのかなとも思ったり、判断が難しいことですが世界で見ても滅多にない狂犬病清浄国であるのはたくさんの犠牲があったからなのは間違いないです。

野犬には本当に申し訳ないのですが、今、外に出たら犬に噛まれるかもしれないという不安が全く無く安心して外を出かけられるのは狂犬病予防法による先人の努力(と言ったら殺処分を正当化してしまうのですが言葉が思い浮かびません)であったのかなと。

当時の人はこの狂犬病予防法を必要としていたのでしょうし、ただしだからといって今そのやり方が正しいかどうかは一度議論すべきことでもあると思っています。

 

 

感染源と防ぐための各国の対策

 

人間が狂犬病で毎年6万人以上亡くなっているという報告があります。

実際はもっとなくなっていると予想されています。

大半がアジアとアフリカ。

 

ミャンマーの野犬

 

アジアの国の中には私が行ったことのあるバングラデシュのように野良犬が当たり前のようにウロウロしている国が結構多いのが原因でしょう。

良くも悪くも過剰に狂犬病や野良犬を恐れずに共存できていると言ったら微妙なニュアンスになりますが野良犬が普通に日常に溶け込んでいます。

感染が多い国に行くときは必ず犬を触らないこと、心配ならば人間用の狂犬病予防のワクチンを先に接種しておくこと。

そして噛まれたり傷口を舐められたりしたらエタノールなどで消毒し即病院で治療し、帰国したら発症する前に狂犬病予防のワクチンを。

潜伏期間が長いので噛まれた後でもワクチンは有効な場合があるそうです。

 

 

ヨーロッパやアメリカは先程も書きましたが犬からの感染ではなくコウモリ、キツネ、アライグマからの感染が多く、いくら狂犬病予防のワクチンを犬に接種させても人間が野生動物に噛まれてしまうと感染してしまうので、もちろん飼い犬に対しての狂犬病予防のワクチンを接種することも大事ですがそれ以外の対策が必要になってきます。

ドイツのベルリン、ケルン、デュッセルドルフに行きましたがもちろん都心部に野良犬の姿もアライグマやキツネの姿もありません。

なので感染するリスクはほとんどないでしょうが自然の多い地域になるほど野生動物と遭遇するリスクも増えます。

 

 

本で読んだのですが、ヨーロッパでは森で野生動物の狂犬病が蔓延しないように餌のタイプの口から接種できるワクチンをヘリからばらまいているそうです。

スイス・アルプス地方の狂犬病の狐の数はこの方法のお陰で激減しましたが、逆にキツネ自体の数は増えてしまっているそうです。

こちらの日本獣医学学会のまとめが予防法について詳しく書かれています。

 

https://www.jsvetsci.jp/05_byouki/prion/pf17.html

 

 

日本でもできないのか

 

狂犬病予防法にはこう記載されています。

 

第二条 この法律は、次に掲げる動物の狂犬病に限りこれを適用する。ただし、第二号に掲げる動物の狂犬病については、この法律の規定中第七条から第九条まで、第十一条、第十二条及び第十四条の規定並びにこれらの規定に係る第四章及び第五章の規定に限りこれを適用する。

一 犬
二 猫その他の動物(牛、馬、めん羊、山羊、豚、鶏及びあひる(次項において「牛等」という。)を除く。)であつて、狂犬病を人に感染させるおそれが高いものとして政令で定めるもの
 
 
つまり、政令で定めることによって猫の対象になる?
猫も哺乳類なので狂犬病に感染しますしその事例も日本であります。
これは専門機関で調べてみてからまたリライトします。
仮説ですが狂犬病に感染した猫が発見されたらその地域一帯の野良猫の駆除が行われる可能性があります。
 
 
犬はというと犬が外でウロウロしていたら各地の動物愛護センター、保健所が捕獲しなければなりません。
名目は狂犬病の予防のためでしょうが、実際は地域住民が通報するので存在が迷惑なのでしょう。
ちなみに野犬の多い山口県の周南市でもさすがに市の栄えているところで犬がウロウロしているようなことはありませんでした。
大きな市民公園にたくさんいましたが、あとはかなり人の住んでいる地域から離れているようなところに生息しています。
それでも生息していることが嫌なんでしょうね。
通報して処分してほしいという気持ちも分からなくはないのですが、どれだけ人間の都合なのだという愛護活動家の視線でどうしても見てしまう私です。
 
 
ヨーロッパのように餌から狂犬病予防ワクチンを接種させ、野犬の繁殖を防ぐために去勢避妊手術をして元の場所に返すTNR活動はできないのか。
同じ減らす目的であるならば捕まえて殺処分するよりもこれ以上繁殖させないようにしながら1代限りの命を見守るということはできないのか。
「だったらお前が野犬の多い地域に住んでみろ、わたしたちの気持ちがわかるわけがない」と言われそうな蚊帳の外からの私の意見ですが、いつかこの件に関しては記事にして発信するのではなく実際に行動します。
野犬専門の手術病院を経営して実際に野犬を減らせるかを検証します。
もっと力をつけなければ。
ぜひ記事も色々と更新していきますので引き続きご覧ください。
 
 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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