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野良犬に吠えられたとき・追いかけられたときの正しい逃げ方|動物福祉の視点から徹底解説

野良犬に吠えられたとき・追いかけられたときの正しい逃げ方

 

散歩中や旅行先で、突然野良犬に吠えられた経験はありませんか?

体が固まって、足がすくんで、何もできなかった——そんな記憶を持つ方は少なくないはずです。

でも、パニックになるのは当然のことです。犬は人間よりも速く走れますし、牙を持っています。「どう対処すればいいのか」を知らなければ、誰だって怖い。

 

この記事では、野良犬に吠えられたとき・追いかけられたときの具体的な対処法を、動物行動学と動物福祉の両面から解説します。「ただ逃げる」だけでなく、なぜその行動が効果的なのかを理解することで、いざというときに体が自然に動くようになります。

 

また、国内の野良犬の現状や、公的機関が示すガイドラインについても触れていきます。情報が整理されているので、この記事だけで必要な知識がすべて揃います。


野良犬に吠えられたとき・追いかけられるのはなぜ?まず犬の心理を知ろう

 

対処法を覚える前に、まず「なぜ野良犬は吠えたり追いかけたりするのか」を理解することが重要です。

犬は本来、縄張り意識が強く、見知らぬ存在に対して警戒心を持ちます。野良犬の場合、人間との接触経験が少ないため、恐怖や不安からくる防衛反応として吠えることが多いのです。

 

野良犬が吠える主な理由

  • 縄張りへの侵入と感じたとき
  • 突然の物音や動きに驚いたとき
  • 食事中や子犬の近くにいるとき
  • 過去に人間から虐待・トラウマを受けているとき
  • 群れで行動しており、仲間を守ろうとしているとき

追いかけてくる行動は、多くの場合「逃げる存在=弱いもの・追うべきもの」という本能的な反応です。これは犬が持つ「追跡本能(プレイドライブ)」と密接に関係しています。

つまり、野良犬に追いかけられたとき、全力で走って逃げると、むしろ追跡本能を刺激してしまう可能性があるのです。


野良犬に吠えられたときの正しい対処法【即実践できる5ステップ】

 

ステップ1:絶対に走って逃げない

野良犬に追いかけられたときの最大の誤りが「全力で走って逃げること」です。

前述のとおり、犬は動くものを追いかける本能を持っています。突然走り出すと、それが遊びや追跡の合図になってしまい、むしろ危険が増す場合があります。

 

正しい行動:その場でゆっくりと止まる。動きを止めることで、犬の追跡本能が刺激されにくくなります。

 

ステップ2:犬と目を合わせない

野良犬と目が合ったとき、じっと見つめ返したくなるかもしれません。しかし、犬の世界では「目を合わせること=挑発・威嚇」のサインになります。

特に警戒状態にある野良犬に対して、正面から視線を向け続けることは攻撃を誘発するリスクがあります。

 

正しい行動:視線をそらし、斜め下方向を向く。目を合わせずに、体の向きも犬に対して正面を向けないようにします。

 

ステップ3:体を小さく見せず、堂々と立つ

「怖い」という気持ちから、体を縮めてしまう方が多いですが、犬は人間の体の動きや緊張感を敏感に感じ取ります。

かがんだり縮こまったりすると、弱いと判断されて攻撃性が増す場合があります。

 

正しい行動:背筋を伸ばし、できるだけ落ち着いた姿勢を保つ。声を出す必要がある場合は、低くはっきりした声で「ダメ」「シット(Sit)」などと言う。

 

ステップ4:ゆっくりと横向きに移動する

完全に動かないまま何分も対峙し続けるのも現実的ではありません。野良犬が落ち着いてきたと感じたら、少しずつ横向きに移動して距離を取ります。

 

正しい行動:犬に背を向けずに、横歩きでゆっくりと離れていく。後退する場合も、犬から目を離さずにゆっくりと。

 

ステップ5:バッグや傘などを盾代わりにする

もし野良犬が距離を詰めてくる場合、持ち物を体の前に出して物理的なバリアを作ります。

犬は物体に対して一時的に距離を置く場合があります。噛みつこうとしたとき、バッグやリュックを差し出すことで、腕や脚への被害を防ぐことができます。

 

正しい行動:荷物・傘・自転車などを盾にして、体を守る。石を投げつけるなど攻撃的な行動は、逆に興奮させる可能性があるため避ける。


野良犬に追いかけられたとき、状況別の対処法

 

徒歩のとき

徒歩で追いかけられた場合は、前述のステップを基本として動きます。

加えて意識してほしいのが「高い場所への移動」です。野良犬は高低差に弱く、階段や縁石の上、車の上などに上ることで、追いつかれにくくなる場合があります。

また、近くに建物や車があれば、その陰に入ることも有効です。視界から消えることで、追跡の動機が下がります。

 

自転車に乗っているとき

自転車で走行中に野良犬に追いかけられた場合、スピードで逃げ切れると思いがちですが、犬の瞬発力はかなりのものです。短距離では人間の自転車を上回ることもあります。

 

自転車での対処法

  • 自転車を降りて犬と自転車の間に自転車を置く
  • 自転車を盾にしながらゆっくり距離を取る
  • 安全を確認してから乗り直す

速度を上げることで追いつかれるリスクが減る場合もありますが、転倒の危険もあるため、状況を見て判断してください。

 

子どもが一緒のとき

子どもは突然大きな声を出したり、走り出したりしやすく、野良犬を刺激してしまいがちです。

 

子どもがいる場合の対処法

  • まず子どもを自分の背後に隠す
  • 子どもに「静かにして」「動かないで」と低く落ち着いた声で伝える
  • 大人が犬と子どもの間に立ち、体を大きく見せる
  • 一緒にゆっくりと離れる

子どもへの事前教育も重要です。「野良犬を見たら走らない、叫ばない、目を見ない」という3つのルールを家庭で共有しておくと安心です。


野良犬に噛まれてしまった場合の緊急対応

 

すぐにすべき3つのこと

もし野良犬に噛まれてしまった場合、冷静に次の行動を取ってください。

 

1. 傷口を流水で十分に洗い流す 石けんを使いながら、最低でも5〜10分以上、流水で丁寧に洗います。これが感染予防において最も重要なステップです。

 

2. 速やかに医療機関を受診する 野良犬の場合、狂犬病ウイルスのリスクがゼロではありません。日本国内の野良犬における狂犬病感染は現在確認されていませんが(2023年時点・厚生労働省)、万が一に備えて必ず受診してください。破傷風の予防接種も必要になる場合があります。

 

3. 自治体や保健所に報告する 噛まれた犬の特徴(色、大きさ、場所など)を覚えておき、最寄りの保健所や自治体に報告します。その犬が他の人を傷つけるリスクを減らすためにも、報告は市民として大切な行動です。


日本における野良犬の現状|環境省データから読み解く

 

野良犬は減っているが、ゼロではない

環境省の「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」によると、全国の犬の引き取り数は年々減少傾向にあります。

1990年代には年間数十万頭が引き取られていましたが、2022年度の犬の引取り数は約1万5,000頭前後にまで減少しています(環境省調べ)。

 

これは動物愛護意識の高まりや、行政による適正飼育の普及、不妊・去勢手術の促進などの取り組みの成果です。

しかしながら、地方や観光地、海外との国境付近などでは、依然として野良犬・放浪犬と接触するリスクが存在します。

 

また、海外渡航先では状況がまったく異なります。WHOのデータによれば、世界では年間約5,900万人が犬に噛まれており、狂犬病による死者は年間約5万9,000人に上ります(WHO, 2023)。旅行先での野良犬対策は、国内以上に重要です。

 

地域によって対応が異なる

自治体によっては、野良犬・放浪犬の保護・不妊手術・返還(TNR類似の取り組み)を行っているケースもあります。

気になる方は、お住まいの自治体の動物愛護センターや保健所のウェブサイトを確認してみてください。各自治体の連絡先は、環境省の「動物愛護管理行政事務提要」でも確認できます。


動物福祉の視点から考える「野良犬問題」

 

野良犬は悪者ではない

ここまで、野良犬に対する対処法をお伝えしてきましたが、大切なことを一つ伝えさせてください。

野良犬は、本来「悪い存在」ではありません。

その多くは、かつて人間に飼われていたか、飼育放棄された犬の子孫です。過酷な環境で生きるために、防衛本能が強くなっているだけです。

動物福祉の観点では、「野良犬を怖いから排除する」という発想ではなく、「なぜ野良犬が生まれるのか」という根本的な問題にアプローチすることが重要です。

 

私たちにできること

  • 無責任な飼育放棄をしない:ペットを飼うときは、最後まで責任を持つことが大前提です。
  • 不妊・去勢手術の普及を支持する:地域の動物愛護活動を応援することが、長期的な野良犬問題の解決につながります。
  • 地域の行政活動に参加・関心を持つ:保護犬の譲渡会や、自治体の動物愛護センターの取り組みに関心を持つことも貢献の一つです。

野良犬と人間が安全に共存できる社会をつくることが、動物福祉の未来につながっています。


野良犬に関するよくある誤解と正しい知識

 

誤解1:「食べ物を見せれば落ち着く」

食べ物を持っていると、逆に犬の興奮を高めてしまうことがあります。特に複数の野良犬がいる場合は危険です。食べ物を使って気を引こうとするのは避けてください。

 

誤解2:「大きな声を出せば怖がって逃げる」

大きな声や叫び声は、犬をさらに興奮させたり、攻撃性を高めたりする場合があります。声を出す場合は、低くて落ち着いたトーンで短く。「ノー」「シット」などのシンプルな言葉が有効です。

 

誤解3:「石を投げれば追ってこない」

石を投げるなどの攻撃的な行動は、犬の防衛本能を刺激し、より激しい攻撃を招く危険があります。基本的に、攻撃的な対応は逆効果です。

 

誤解4:「野良犬は必ず危険」

すべての野良犬が攻撃的なわけではありません。多くの場合、犬は相手から害が加えられないと分かれば、それ以上近づいてきません。冷静な対応が、犬と人間双方にとって最善の結果を生みます。


旅行・アウトドアで野良犬に遭遇しないための予防策

 

野良犬に追いかけられるリスクを事前に減らすための行動習慣も重要です。

 

事前にできる予防策

  • 旅行先の野良犬状況を事前にリサーチする(特に東南アジア・南アジアなど)
  • アウトドア時は犬忌避スプレーを携帯する(国内外で市販されている)
  • 早朝・深夜の単独行動を避ける(野良犬の活動が活発な時間帯)
  • 食べ物をむき出しで持ち歩かない
  • 犬が近づいてきたときに備えて、荷物を前に抱えて持ち歩く習慣をつける

アウトドア・ランニング愛好家へ

ランニング中は特に野良犬に追いかけられやすい状況です。走るという動作自体が追跡本能を刺激するためです。

ランニングルートに野良犬がいる可能性がある場合は、事前にルートを変更するか、複数人で走るようにしましょう。また、超音波式の犬撃退グッズをランニングベルトに取り付けておくと、いざというときに役立ちます。


まとめ:野良犬に吠えられたとき・追いかけられたときに覚えておくべきこと

 

この記事でお伝えしたことを、最後に整理します。

 

野良犬への対処の基本5か条

  • 走って逃げない(追跡本能を刺激する)
  • 目を合わせない(挑発と受け取られる)
  • 堂々と立つ(弱さを見せない)
  • ゆっくり横向きに距離を取る
  • 荷物を盾にして体を守る

そして、噛まれた場合は流水で傷口を洗い、すぐに医療機関を受診し、自治体に報告することが大切です。

野良犬問題は、個人の対処法だけで終わる話ではありません。無責任な飼育放棄をなくすこと、地域の動物愛護活動を支えること——そのひとつひとつの積み重ねが、野良犬と人間が安全に共存できる社会をつくっていきます。

 

もしこの記事が役に立ったと感じたなら、ぜひ周りの方にシェアしてください。あなたの一つの行動が、誰かの命と、一頭の犬の未来を守るかもしれません。


参考情報:環境省「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」/WHO「Rabies」ファクトシート(2023年)/厚生労働省「狂犬病に関する情報」

 

 

ペットの社会問題について、殺処分・野良猫・多頭飼育崩壊・ペット業界の課題などを
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犬猫に関する社会問題まとめ|殺処分・野良猫・多頭飼育崩壊・繁殖問題までわかりやすく解説

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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