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野良犬問題を解決するために市民ができるボランティア活動7選|動物福祉の現場から

野良犬問題を解決するために市民ができるボランティア活動

 


「近所に野良犬がいるけど、自分には何もできない」

そう感じたことはありませんか?

実は、野良犬問題の解決には市民の力が欠かせません。 行政だけでは手が届かない現場を、日々支えているのはボランティアの存在なのです。

 

この記事では、野良犬問題の現状をデータで確認しながら、今日から始められる具体的なボランティア活動7つを詳しく解説します。 「動物が好きだけど何をすればいいかわからない」という方も、「すでに活動している方」も、読み終えたときに次の一歩が見えるよう構成しました。


野良犬問題の現状|数字が語る日本のリアル

 

殺処分数は減っているが、まだゼロではない

環境省の発表によると、2023年度(2023年4月〜2024年3月)における犬と猫の殺処分数は9,017頭で、過去最少を更新しました。このうち犬の殺処分数は2,118頭、猫は6,899頭でした。

この数字だけを見ると「改善している」と感じるかもしれません。

 

しかし、一歩立ち止まって考えてみてください。

ピースワンコ・ジャパンが活動を開始した2012年当時、殺処分数は全体で161,847頭(犬38,447頭、猫123,400頭)でした。当時と比べれば約15万頭以上も減少したことになります。しかし現在も、1日に全体で約25頭(犬は1日約6頭)が処分されています。

つまり、今この瞬間も、1日に6頭の犬が殺処分されているということです。

 

引き取り犬の約9割は「所有者不明」

現在、犬の引き取り状況を見ると、「飼い主からの引き取り」が全体の約12%で、「所有者不明の引き取り」が残りの約88%を占めています。所有者不明のケースは、迷子・負傷・野犬などが該当します。

この「所有者不明」の多くが、野良犬や野犬です。

 

野良犬とは、もともと飼われていた犬が迷子になったり遺棄されたりして外に出てしまったケースを指し、野犬は人間に慣れていない野生化した犬を指します。 どちらも保健所に収容された後、引き取り手が見つからなければ殺処分の対象となります。

 

地域によって大きな格差がある

四国の香川・愛媛・徳島の3県の合計殺処分数は559頭で、全国の犬の殺処分数の26.4%近くを占めています。比較的温暖な気候で森や山の多い四国地方は、野犬が生き延びやすい環境となっています。

 

一方で、行政と民間団体が連携して殺処分ゼロを達成している自治体も存在します。

茨城県では自治体とNPOが連携して犬の殺処分ゼロを達成するモデルケースも生まれています。また奈良市では、SNSを活用して積極的に譲渡機会を拡大した結果、譲渡数が過去最多となり、殺処分ゼロの継続に大きく貢献しています。

この差は何から生まれているのか。 それは、市民とボランティアの関与の深さにほかなりません。


なぜ市民のボランティア活動が必要なのか

 

行政だけでは限界がある

保健所・動物愛護センターは公共施設として犬の収容・管理を担っています。 しかし、スタッフ数・予算・設備には当然、限りがあります。

 

岡山市保健所では、野犬の保護から一般家庭への譲渡までを愛護団体に任せきりで、預かる団体側の負荷が課題となっていました。そのため市が解決策を模索し、里親に安心して飼ってもらえる状態の犬を増やすことが譲渡率向上につながると判断し、訓練を実施する専用施設を開設するに至りました。

この岡山の事例は、行政がボランティアや民間団体の力を頼りにしてきた歴史を示しています。 官民の連携なしに、殺処分ゼロは達成できません。

 

数字に表れない課題

殺処分数が減少した背景には、動物愛護センターが犬猫を引き取らないことで民間の愛護団体に保護要請がくること、もしくはセンターに入った後で登録ボランティアに団体譲渡されるなどが理由の一つとしてあります。しかし動物愛護団体にも収容キャパや労力の限界があり、過剰な保護や引き出しは、動物愛護団体の多頭飼育崩壊も招きかねません。

 

「殺処分が減っている=問題が解決した」ではありません。

民間団体が限界に達したとき、しわ寄せを受けるのは動物たちです。 だからこそ、一人ひとりの市民がボランティアとして加わることが今、強く求められているのです。


野良犬問題を解決するために市民ができるボランティア活動7選

 

1. 「預かりボランティア」で命をつなぐ

預かりボランティア(フォスターケア)とは、保護された犬を一定期間自宅で預かり、里親が見つかるまでの橋渡し役を担うボランティアです。

 

主な役割:

  • 保護犬に人間との暮らしを慣れさせる
  • 基本的なしつけやトイレトレーニングをサポートする
  • 体調や性格の変化を団体スタッフへ報告する
  • 里親候補への情報提供を行う

保護施設はスペースに限りがあります。 預かりボランティアが1頭引き受けることで、施設には別の犬を受け入れるスペースが生まれます。これはシンプルながら、非常に大きな貢献です。

 

始め方: 地元の動物愛護センターや保護団体に「預かりボランティアをしたい」と相談してください。 多くの団体は、犬の飼育経験や住環境の確認(一軒家・マンションなど)を行った上でマッチングを行います。

 

注意点: 「かわいいから試しに」という気持ちでは犬にストレスを与えてしまいます。 犬にとって環境の変化は大きな負担です。継続的に関われるか、家族全員で合意が取れているかを確認してから始めましょう。


2. 「譲渡会スタッフ」として里親探しを支援する

譲渡会は、保護犬と里親候補者を結びつける重要なイベントです。

全国各地で定期的に開催されており、ボランティアスタッフとして参加することができます。

 

主な役割:

  • 会場の設営・撤収の補助
  • 犬のケアや誘導
  • 来場者への説明・案内
  • 里親申込書の受付補助

譲渡会は1頭の命の行く末を決める場です。 スタッフとして関わることで、その場の雰囲気を整え、里親候補者が安心して決断できる環境をつくることができます。

 

具体例: 東京都動物愛護相談センターや、各都道府県の動物愛護センターは、定期的に「ふれあい譲渡会」を開催しており、ボランティアスタッフを募集しています。 お住まいの自治体のウェブサイトで日程と募集状況を確認してみてください。


3. 「シェルターボランティア」で日々のケアを支える

保護施設(シェルター)では、多くの犬が里親を待ちながら生活しています。 施設スタッフだけではすべての犬に十分な時間を割けないことも多く、ボランティアによる日常ケアのサポートが欠かせません。

 

主な役割:

  • 散歩・運動のサポート
  • ケージや施設の清掃
  • 給餌・給水
  • 犬との触れ合いによる社会化促進

シェルターによっては「犬たちは毎週同じ人が来てくれることで安心し、心を開く」として、週1回以上・固定曜日で継続できるボランティアを募集しているところもあります。

つまり、継続して通うことそのものが支援になります。

「特別なスキルがなくても大丈夫」という団体がほとんどですが、犬のペースに合わせられる落ち着きと継続力が何より求められます。


4. 「搬送ボランティア」で命を届ける

あまり知られていませんが、搬送ボランティアは野良犬問題の解決に欠かせない存在です。

搬送ボランティアは、保護犬や支援物資を必要な場所へ安全に届ける役割を担います。具体的には、保護施設から譲渡先や預かり先、譲渡会の会場、動物病院などへの移動をサポートします。活動には、犬の扱いに関する基本的な知識と運転免許が求められます。

 

車の運転ができる方であれば、移送に特化して活動することもできます。

特に地方では公共交通機関が限られており、搬送ボランティアの存在が保護活動全体を支えることになります。 「体力的な作業は自信がない」という方にとっても参加しやすい活動の一つです。


5. 「情報発信ボランティア」でSNSを武器にする

直接会いに行けなくても、できるボランティアがあります。 それが情報発信ボランティアです。

情報発信も重要なボランティア活動の一つです。SNSやブログで保護動物の情報を発信したり、里親希望者とのマッチングをサポートしたりします。インターネットを活用した作業なので、離れた地域からでも参加可能な点が特徴です。

たとえば、以下のような活動が該当します。

  • 保護犬の里親募集情報をSNSでシェアする
  • 動物愛護センターの収容情報を拡散する
  • 地域の野良犬問題についてブログや投稿で啓発する
  • 保護団体のSNSアカウント運用を手伝う

1つのシェアが1頭の命を救うことがあります。 「フォロワーが少ないから意味がない」と感じる必要はありません。 情報は必要な人に届きます。


6. 「啓発・教育活動」で問題の根っこに働きかける

野良犬問題を根本から解決するためには、なぜ野良犬が生まれるのかという原因へのアプローチが必要です。

動物保護団体では、日本の殺処分や飼育などの現状を多くの人に知ってもらうために啓発活動を行っています。飼い主のいない動物を増やさないよう、最後まで責任を持って飼育することの大切さを発信しています。

 

市民レベルでできる啓発活動の例:

  • 地域のイベントや学校で動物福祉について話す
  • 不妊・去勢手術の重要性を周囲に伝える
  • 「野良犬に餌をあげるだけ」でなく、必要な措置を促す情報を発信する
  • ペットを飼う前の責任について、SNSや口コミで伝える

日本で野良犬が生まれる大きな要因の一つは、無責任な飼育放棄と不妊・去勢手術の未実施です。 この事実を広く知らしめることが、長期的な問題解決につながります。


7. 「寄付・物資支援」という間接的だが重要な関与

直接的な活動が難しい場合も、寄付や物資支援という形で野良犬問題の解決に貢献できます。

寄付は税制優遇の対象となる場合があり、認定NPO法人への寄付では1年間で寄付した金額のうち2,000円を超える部分について、最大で40%が税額から控除されます(所得や居住地域によって異なります)。

 

物資支援として求められることが多いもの:

  • ドッグフード(ウェット・ドライ)
  • ペットシーツ・おむつ
  • タオル・毛布
  • ケージ・キャリーバッグ
  • 医療費・手術費への寄付

認定NPO法人への寄付は税控除の対象となるため、経済的なメリットもあります。 ただし控除の条件は団体の法人格や所在地によって異なるため、事前に確認することをおすすめします。


ボランティアを始める前に知っておきたいこと

 

自分に合った活動を選ぶことが継続のカギ

保護犬のボランティア活動は基本的に無償であることが多く、交通費や活動に必要な物品を自己負担するケースもあります。特に預かりボランティアなどでは、犬の飼育経験や家族の同意、住宅の環境などが条件として求められることもあります。

「やってみたけど続かなかった」という状況は、犬にとっても団体にとっても負担になります。

始める前に自分へ問いかけてください。

  • 時間:週にどれくらい活動できるか?
  • 体力:身体を使う作業ができるか?
  • 環境:犬を家に迎え入れられるか?家族の同意はあるか?
  • 継続性:半年・1年と続けられるか?

「できないこと」を正直に把握することが、自分にとっても犬にとっても最善の活動選択につながります。

 

団体選びで気をつけること

残念ながら、すべての保護団体が適切に運営されているわけではありません。 以下の点を確認した上で関わる団体を選びましょう。

  • 法人格の有無(NPO法人・一般社団法人など)
  • 活動実績と情報公開の透明性
  • スタッフの対応が丁寧かどうか
  • 動物の飼育環境が適切かどうか

環境省の「つなぐ絆、つなぐ命」パートナーシッププロジェクトに登録されている団体は、一定の審査を経ているため参考にできます。


地域で動く!自治体と連携したボランティアの可能性

 

自治体登録ボランティアになる

多くの都道府県では、動物愛護センターと連携する登録ボランティア制度を設けています。

たとえば千葉県動物愛護センターでは、飼い主さがしの会における運営補助や、譲渡動物のケアなどの活動をボランティアの方々に担ってもらっています。

自治体の登録ボランティアになることで、より組織的・計画的に活動できます。 問い合わせは、お住まいの都道府県の動物愛護センターまたは保健所で受け付けていることがほとんどです。

 

地域犬活動への参加

野良犬問題の解決には、地域全体での取り組みが効果的です。

地域住民が協力して特定の犬を管理する「地域犬活動」は、日本の一部地域で取り組まれています。 不妊・去勢手術を行った上で、地域全体で世話をするこのアプローチは、殺処分に頼らずに数を管理できる持続可能な方法として注目されています。

 

ただし、犬の場合は猫のTNR(捕獲・不妊手術・返還)とは法的・衛生的に異なる課題があります。 日本で犬のTNRを実施するにあたっては、狂犬病予防法との関係整理が必要で、環境省が各自治体に技術的助言を行うことが求められています。

地域犬活動を始める際は、必ず自治体・獣医師・地域住民の合意形成と連携が不可欠です。 独断で始めることは避け、まずは地元の動物愛護センターや保護団体に相談することをおすすめします。


ボランティア活動が生み出す変化|成功事例から学ぶ

 

岡山市:官民連携で殺処分ゼロを達成

岡山市保健所では、野犬を捕獲・保護するだけでなく、一般家庭で幸せに暮らせるよう訓練を実施する施設「ZOOねるパーク」を独自に運営しています。岡山市では2017年から殺処分ゼロを達成しており、保健所の取り組みと愛護団体の協力と努力により成された結果です。

この事例が示すのは、行政が正直に限界を認め、民間ボランティアと協力体制を築いたことが成功の鍵だったということです。

 

ピースワンコ・ジャパン:全国規模の保護活動

「ピースワンコ・ジャパン」は全国に9つのシェルターと譲渡センターを持ち、これまでに4,000頭以上の犬を里親のもとに送り出してきました。愛護センターで殺処分の対象となった犬を引き取り、獣医師のもとで診察・治療し、散歩や人慣れのトレーニングを行い、譲渡会で里親に送り出しています。

このような団体の活動は、何千人ものボランティアと支援者の関与によって成り立っています。


ボランティアに参加する方法|今すぐできる3ステップ

 

野良犬問題の解決に関わるための第一歩は、思ったよりシンプルです。

 

ステップ1:地元の保護団体・動物愛護センターを検索する 「〇〇県 動物愛護センター ボランティア」で検索してみてください。 多くの自治体がボランティア募集ページを公開しています。

 

ステップ2:問い合わせ・説明会に参加する いきなり申し込むのが不安なら、まず問い合わせるだけでも構いません。 多くの団体が見学・説明会の機会を設けています。

 

ステップ3:できることから始める 最初から完璧にやろうとする必要はありません。 情報発信・物資寄付・譲渡会へのお手伝いなど、今の自分にできることを一つ選んで始めるのが長続きの秘訣です。


まとめ|野良犬問題の解決は、市民の行動から始まる

 

かつて年間16万頭を超えていた殺処分数は、2023年度には9,017頭まで減少しました。

この数字は、長年にわたるボランティアや保護団体、行政の努力が積み重なった結果です。

しかし、まだゴールにはほど遠い現実があります。

 

野良犬問題は、遠い誰かの話ではありません。 あなたの地域にも、今日も保護を待っている犬がいます。 一人の市民ができることは小さく見えても、それが集まれば社会を変える力になります。

預かりボランティア・シェルター支援・情報発信・寄付—— できることは必ずあります。

今日、地元の動物愛護センターのウェブサイトを開いてみるところから、始めてみませんか。


本記事の情報は環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況(令和5年度)」などの公的データをもとに作成しています。各自治体の制度・募集状況は変更される場合があるため、最新情報は各機関に直接ご確認ください。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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