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動物愛護センターの殺処分、現状はどうなのか訪問して聞いてみた

動物愛護センター=殺処分センター。

私が保護猫の存在を知り、猫カフェの運営を始めたのは2014年。

その頃の啓発ポスターには、「毎年20万匹の犬猫が殺処分されています」と書かれていました。

実際に推移を見てみるとこんな数字です。

 

犬猫の殺処分数の推移
犬猫の殺処分数の推移 環境省のホームページから引用

 

 

関わりたくないところ、腹が立つところ、そんなイメージでした。

実際に行ってみるとさらにイメージが悪くなったこと、それでも時代の流れでどんどんと変わって現状のいったこと。

おそらく日本で一番動物愛護センターの職員さんと話したことがあり、各地の動物愛護センターを訪問させてもらった経験を書かせていただきます。

 

 

動物愛護センターはクソなのか

 

 

・動物愛護センター=殺処分されているところ。

・動物の廃棄場なので、基本的にアクセスが悪くて車がないといけないような場所にある。

 

捨て猫を拾い、動物愛護センターという存在を知り、啓発ポスターに書かれていたことであまりいきたくない場所とイメージしていました。

それでも、猫カフェを始めるにあたって管轄区域の兵庫県動物愛護センター尼崎本所に行きました。

※ネット上でたまに尼崎市動物愛護センターと兵庫県動物愛護センターを同じだと思っている人がいますが、場所が同じなだけで組織は全く別物です。

中核市である尼崎市の管轄と、兵庫県の管轄で、宝塚市は独自の愛護センターを持てない市なので兵庫県の管轄になります。

 

 

猫カフェを始めるために、第一種動物取扱業を申請しなければなりません。

そのために、書類や現地を見てもらって不備がないかを確認してもらいます。

もうその人がやめたので書きますが、当時の職員さんは高圧的で苦手でした。

そして殺処分の話を聞くと、具体的な話をものすごく濁すんです。

数字は教えてくれないし、収容されている様子も見させてくれない。

ちなみにこれは動物愛護センターによりけりですが、収容現場を見学させてもらえたりするところのほうが殺処分は少なく、情報をオープンにしています。

 

 

「猫カフェをするにあたって兵庫県動物愛護センターに収容されている殺処分予定の猫を引き出すことはできるのか」と聞くと、ダメですと。

なぜかと問うと、「商売として利用されるのでダメです」と。

いやいや、殺処分される子を救うためにやってるんですがと言ってもその答えの一点張り。

ちなみに、ほかの自治体では同じような保護猫カフェが動物愛護センターから引き出すことができるところもあります。

とにかく兵庫県動物愛護センターは実態がよくつかめないなという印象でした。

その当時、引き出しボランティアやミルクボランティアになるのもものすごく難しかったようで、知り合いが断られていたりで生かすための努力をしているのか疑問がありました。

 

 

私がまだまだ視野の狭い人間だったなと思うのが、公務員は公平な立場を守り法律の範囲内で仕事をしなければならない存在で、決まりごとから外れることを例外として認めてしまうとかなり面倒なことにもなります。

公務員の立場という視点でモノを見るとわたしの主張が断られてもおかしくないなと思う部分もありますが、当時の動物愛護センターは動物をできるだけ生かすという方針だったのかと言われると今も疑問に思います。

事実として所長の方針でガラッと変わってきますからね。

 

 

そして一番職員さんの立場として私が分かってなかったことは、その仕事の辛さです。

 

 

誰が殺処分をしたくてするのか

 

動物愛護センターに勤める方は結構獣医師の免許を持つ人が多いです。

その人達はなぜ獣医師の免許を取ったのか。

動物の命を治療して救いたいからですよね。

けれど、待っていた業務は殺処分。

自らの手で麻酔の注射をし、死なせないといけない。

どれだけ辛い仕事なのか、ということを理解したことがありますか?

私はある職員さんに出会うまではその観点から見えていなくて、ただただ生かす努力もせずに殺処分しているものだと思っていました。

 

 

生かす努力をどれだけしようとも、毎日のように運ばれてくる大量の猫。

ミルクが必要だったり、動物愛護センターに収容されたときにはもう虫の息で、安楽死させるしかないような状態だったり。

収容する場所がないので無理やりケージを廊下に並べても、まだまだ収容は止まらずに殺処分するしかない現状の中で、生かす努力をと言われてもできないのが現実でした。

 

 

「自分の仕事を自分の子供になんて伝えていいかわからない」

動物愛護センターで勤める獣医師の職員さんの一言を聞いた時に、動物愛護センターはを批判していた自分の誤りに気が付きました。

一番殺処分をしたくないのは現場で働いている職員さんです。

私は給料をもらってでも自分の手で殺処分することなんてできません。

誰かがやらないといけない状況でやってくれていて、やらないといけない状況を作っている社会全体の問題だと認識しました。

 

 

そもそもおかしかった法律

 

 

動物愛護管理法は年々更新されていて、厳しくなってきています。

虐待死による刑罰も5年以下の懲役又は500万円以下の罰金とかなり厳しくなりました。

それまでは、正直動物はモノ扱いのような法律。

例えばブリーダーが売れなかった犬をセンターに持ち込んで殺処分してくださいと言われたら、引き受けないといけなかったんです。

これが引き取り拒否できるようになって、引き取り屋ビジネスや河川敷に大量遺棄という別の社会問題を生み出しましたが。

 

朝日新聞社sippoより引き取り屋ビジネスのニュース
朝日新聞社sippoより引き取り屋ビジネスのニュース

 

 

同じように飼えなくなったので殺処分してと持ち込まれても説得はしますが拒否できなかったのが昔の動物愛護法。

その辺にいる猫を捕まえて邪魔だから殺してというのも拒否できず。

そりゃ収容数が今よりも格段に多いし、収容しきれなくなって殺処分せざるを得なくなりますよね。

 

その状況を変えたのが、令和2年6月から施行された法改正では終生飼養等の趣旨に照らして、引取りを求める相当な事由がない場合は、引取りを拒否できることが規定。

これは外で暮らす野良猫にも適応されます。

 

その前の平成18年の法律を引用すると

 

●動物の愛護及び管理に関する法律施行規則(平成18年環境省令第1号)

 

(犬猫の引取りを求める相当の事由がないと認められる場合)

第二十一条の二 法第三十五条第一項ただし書の環境省令で定める場合は、次のいずれかに該当する場合とする。

ただし、次のいずれかに該当する場合であっても、生活環境の保全上の支障を防止するために必要と認められる場合については、この限りでない。

 

一 犬猫等販売業者から引取りを求められた場合

二 引取りを繰り返し求められた場合

三 子犬又は子猫の引取りを求められた場合であって、当該引取りを求める 者が都道府県等からの繁殖を制限するための措置に関する指示に従っていない場合

四 犬又は猫の老齢又は疾病を理由として引取りを求められた場合

五 引取りを求める犬又は猫の飼養が困難であるとは認められない理由により引取りを求められた場合

六 あらかじめ引取りを求める犬又は猫の譲渡先を見つけるための取組を行っていない場合

七 前各号に掲げるもののほか、法第七条第四項の規定の趣旨に照らして引 取りを求める相当の事由がないと認められる場合として都道府県等の条例、 規則等に定める場合

 

 

平成18年から流れが変わり、最近やっと所有者不明の猫に関しても法律として規定。

ちなみに外に住む犬は、狂犬病予防法の観点から通報された場合、捕獲にしに行かないとならなくて、動物愛護団体が捕獲された子をセンターから引き出しているのが現状です。

 

 

どうすれば殺処分を減らせるか。

答えの一つは動物愛護センターに収容される数を減らすことであり、自分勝手な都合で収容されることが法改正によってなくなったことは殺処分数を減らす大きな要因になりました。

 

 

まだまだ法律で変えないといけないことはあります。

けれども明日急に変わるものでもないです。

私達の声を集めて選挙の時、そしてその後も医師を表示し続けることが大切ですね。

 

 

進化する動物愛護センター

 

 

法改正もあり、動物愛護センターは昔までの禍々しい雰囲気で、職員さんがピリッとしたムードで働いているようなところは少なくなっています。

私は西日本と関東圏は7割近くの動物愛護センターに行きましたが、見るからに入ってくんなと言わんばかりの雰囲気で、話を聞かせてもらえなかったところはあまりなく、沖縄県動物愛護管理センターと上に書いた10年前の兵庫県動物愛護センターくらいが悪い印象であとはかなり詳しく情報を聞かせてもらえました。

 

その中で印象的だったセンターを4つ。

これはまた別の記事で詳しく書きます

 

1,神奈川県動物愛護センター

施設がやばすぎる。

人が住めるような広い部屋で猫たちがのびのびと暮らしていて、エイズ白血病キャリアの子も殺処分されずに里親さんを待っています。

横浜市動物愛護センターも病院のような巨大な施設で神奈川県は一体どれだけの予算をかけているのかと思う驚きの施設と殺処分0を継続しているという結果を出し続ける凄さを知りました。

 

 

2,川崎市動物愛護センター ANIMAMALL

住宅地の中に突然現れる動物愛護センター。

人が行き来しやすい場所にあるセンターって結構珍しいのです。

なぜならにおいや犬の吠える鳴き声などが苦情になってしまうので。

そんな中で街の中にあるのは驚き。

小学生が放課後に遊びに来るんだそうで、そんな愛護センター聞いたことない!

京都動物愛護センターも同じようなコンセプトで、府民がドッグランなどを利用しやすいように街の中心地につくったそうです。

 

 

3,西宮市動物管理センター

施設自体はすごいというわけではないのですが、ふるさと納税がたくさん集まり、登録ボランティアが金銭面の負担無しで活動できる制度はすごすごて他の市が参考にするような動物愛護先進の市です。

新しく勤めていた職員さんが、「赴任して1年経つが殺処分する場面がなく、自分の手で殺処分しなくてよかったのでホッとしてる」とのことでした。

 

 

4,豊田市動物愛護センター‐

西宮と同じ理由です。

違うのは施設もすごくて、地域猫活動も盛んで動物愛護センターで地域猫の不妊去勢手術を無料でします。

センターでの譲渡会も定期的に行われ、愛護センターからボランティアさんに預かってもらっている猫が参加。

ボランティアの負担なく活動ができるという行政と活動者がうまく力を合わせてできている良い事例です。

 

 

ほかにもたくさん紹介したいところがあるのですが、ふるさと納税の取り組みと合わせて細かく別記事で書いていきますね。

 

まとめ

 

10年前とガラッと変わった各地の動物愛護センター。

動物愛護センターは行きたくないという私のイメージが変わり、職員さんと手を取り合ってこの問題を取り組んでいきたいと思えるような場所になっていました。

叩き合っていても問題は解決できません。

お互いの立場や視点を理解し、対立ではなく対話を。

確実に良い方向に向かっています。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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