バタリーケージで育てる鶏の卵のメリットは?食生活にも大きく関わる値段
動物福祉という言葉をメディアでも取り上げるようになってから少しずつ鶏の生活環境を見直そうという声も増えつつあります。
特にバタリーケージについては、知っている人からは廃止を求める声もありつつ、卵の値段が上がると困るから廃止されては困るという声もありつつ。
今は知らないから廃止を求める声の絶対数も少ないのですが、バタリーケージのメリット、デメリットを知っていきましょう。
メリットは圧倒的な安さ
バタリーケージの養鶏場を見に行ったことがあります。
ケージが数段積み重なっていて、上下に重ならずに階段状になっています。
理由は糞尿が下に落ちるようにするため。
下にはたくさんの鶏の糞があり、それを肥料としても利用します。
金網で糞がそのまま下に落ちるので掃除をすることもあまりなく、私が見に行った養鶏場は体育館くらいの小屋に5000〜10000羽の鶏が住んでいました。
餌や水も自動で出るので鶏を管理する人件費もかなり削減できます。
平飼い卵を生産しようとするとどうしても土の上で育てることになるので藁を敷き糞尿の掃除もしなければならず、バタリーケージのように大量の鶏を1人で管理することはできません。
また、バタリーケージのメリットとして糞がそのまま下に落ちることで鶏同士の糞の接触も少なくサルモネラ汚染リスクが低いと言われてますが、実際は平飼い飼育の方がサルモネラ汚染が低いことが科学的に証明されています。
ケージに入れることで鶏同士の喧嘩が防げるという説もあります。
ひよこの時にくちばしを無麻酔で切断し、ケージの中で喧嘩しても傷つかないようにしているのがバタリーケージですが、喧嘩が防げるというのは人間目線でしかないメリットですね。
確かに平飼いで飼っているといじめは起こります。
全てゼロリスクではありません。
喧嘩は止まり木や逃げ場を作ってやることで防ぐこともできます。
デメリットも色々
まず最大のデメリットはその密集率のリスク。
一羽の鶏が鳥インフルエンザに感染するとその小屋、もしくはその業者全部の鶏を殺処分することになります。
令和5年の4月に発表された鶏の殺処分数が1700万羽。
2022~23年シーズンにウィルスが流行したという原因もありますが恐ろしい数字が増えた原因の一つは密集されたバタリーケージです。
平飼いだから鳥インフルエンザが発生しないというわけではありませんが、アニマルライツセンターのブログで発表している2020年のデータによると鳥インフルエンザにより殺処分された全ての鶏はバタリーケージだったそうです。
令和5年、卵が高騰しました。
同じ過ちを繰り返すのでしょうか。
値段の問題ではありませんよね。
ありえない数の鶏が人間の都合で殺されています。
殺処分する人の精神衛生的にも、今の方法を変えていくことを私は望みます。
どんな方法であっても感染はするし私達が卵を食べる限り殺処分はゼロにはなりませんが、リスクを分散ことはできるのではないでしょうか・
もう一つ大きなデメリットは動物の福祉が守られていないこと。
①飢えと渇きからの解放
②不快からの解放
③痛み,怪我,病気からの解放
④正常行動発現の自由
⑤恐怖・苦悩からの解放
のうち、1以外は守られていないのではないでしょうか。
人間だけが良ければそれで全て良いのでしょうか。
昔と違って動物を大切にする意識が高まってきていると言われていますが、昔は庭先で鶏を飼って大切に育てていました。
そういう習慣がなくなり、畜産動物からかけ離れた生活を送るようになり、見えないから残酷な選択ができてしまっています。
全ての人が庭で鶏を飼って自分たちが食べる卵は自分たちで育てた鶏からいただくという生活ができればいいのですがそれは全員しようとしても今の時代は不可能です。
誰かに任せて卵を飼うならば、私は幸せに育てられた鶏の卵をいただきたい。
ついに放送された!
畜産業界に関しては触れるのはタブーのような空気があり、肉を取り扱っている会社がスポンサーであることも重なりなかなか踏み込めなかったのですが、NHKで2021年のクローズアップ現代で放送されました。
記事でも残っていますのでよかったらご覧ください。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4613/
勉強なりました。
巣箱以外で生んだ卵は生食ではリスクがあるので加工用に回すとか、平飼いの業者だからこその悩みも書かれています。
アメリカではマクドナルドがケージフリーの卵を使うと宣言していたり、世界中でアニマルウェルフェアへの関心が高まっています。
日本も遅れるわけにはいかないのですが島国の悪いところで情報が入ってこないこと、卵も肉も輸出が少ないので、飼育環境によって輸出を拒否されたり国際的な批判をされることもなく時代遅れの独自の畜産文化になってしまっています。
一人ひとりが答えを出すこと。
これにつきます。
答えを出すために現状を知ること。
ほとんどの人が知らないというのは残念なことでもありますが伸び代でもあります。
確実にバタリーケージ廃止の声の数は少数派ではありますが増えてきています。
そういう話をいきなり知り合いとすることは気まずい雰囲気を作ってしまうかもしれませんが、キッカケさえあれば相手は聞く姿勢になります。
私はそのきっかけを美味しいから生み出しています。
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