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野犬は捕獲しなければならないのか。 狂犬病予防法との関係と山口県に見に行ってきた話。

野犬は駆除しなければならない存在か

 

地域猫はいるのに地域犬はいないのはなぜか。
猫は危害を加えてくることはないけれど大きな犬がその辺を歩いていて襲われたら怖いから。
それもあると思いますが、一番の要因は狂犬病予防法という法律があるから。

 

野犬に関しては素人意見ですが、山口県で実際に見てみて変えていかないと動物愛護団体がどれだけ頑張っても解決しないだろうと思ったことを書いていきます。

 

山口県へ

 

山口県の周南市保健所→野犬の保護をしているまあくんハウス→山口県愛護センターと回ってきました。

 

私は兵庫県宝塚市に昔も今もいるのですが野良犬という概念がそもそもなくて、外で見たことあるのは迷い犬らしき犬のみ。
今39歳になりますが生まれてから今までもちろん野良犬に襲われたこともありません。
なので全然その感覚が分からないのですが、実際に山口県に行ってみて分かったのは野犬が普通に道路を歩いていて結構怖い。
人間が襲われたら逃げても追ってきてスピードでは勝てなさそうだし、飼い犬の散歩をしていて野犬に襲われたら多分小型犬ならひと噛みで殺されてしまいます。
その地に住んでいる人が駆除してほしいという意見も理解できます。

 

 

実際に狂犬病予防法が施行されてから狂犬病が広がらないようにするためにたくさんの犬が捕獲して殺処分されてきました。

全国的に野犬を見かける地域が少なくなったのは、勝手にいなくなったわけではなく過去にどんどん捕獲していたからです。

山口県や広島県は元々野犬も多かったので今でも捕獲して殺処分されるかもしれないということが日常茶飯事です。
地域によってはもう駆除が終わり野犬を全く見ないというところが日本各地でありますしほとんどの地域がそうでしょう。
この法律がある限り、通報されたら行政は捕獲しなければならないし実質的に野良犬は外で生きてはいけないことになります。

 

本来は捕獲していくうちに減っていくものですが、野良猫と同じで誰かがかわいそうだと餌をやっていることが一番の増える原因だとセンターの方が仰っていました。
「無責任な餌やりは〜」とは言うけれど、猫のように避妊去勢手術をして地域で育てるということは狂犬病予防法がある限り無理だし、狂犬病予防法のおかげで私たちは怖い思いをせずに外に安心して出られているという恩恵を受けているのも事実です。

世界でも珍しい狂犬病清浄国である日本がこれからも狂犬病が発生しないことを願います。

 

世界の狂犬病発生状況マップ
https://www.osakafuju.or.jp/hydrophobia/happen.html より引用

 

とはいえお腹を空かせた犬が目の前にいるのに放っておけないという方の気持ちも理解できます。
どちらにせよかわいそうだけでは解決できませんね。

捕獲された犬はもちろんリリースするわけにもいかないので、殺処分されるか動物愛護団体が引き取るかの2択です。
それ以外の選択肢があれば良いのですが存在しません。

 

ここから先は個人的な意見も書いていきます

 

狂犬病が日本で最後に犬が発症の確認がされたのが1956年。
もう70年近く前の話で幸いにも島国であり他の国から狂犬病に感染しているキツネやコウモリなどがやってくるリスクはほぼありません。

ちなみに狂犬病という名前ですが、犬が発生源ではなく海外では主にコウモリやキツネがウィルスを持っていて噛まれることによって感染が広がりやすいそうです。

国内には存在しないであろう狂犬病の犬をいつまで殺処分をするのか。
0と1では全然違い、再び日本に狂犬病が発生したら国中がパニックになるのはコロナ騒動で感じました。

しかし0を守り続けるために年間何千匹もの犬の命を殺処分するのはどうなのか。

発生していない今のうちに別の方法で野犬を減らして経緯処分しなくてもよくなる方向に進めないのか。

 

私個人は狂犬病の蔓延と感染リスクと野犬の殺処分を比べた時に、何十年も発生していない今の段階では何千匹の殺処分対象の犬の命の方をなんとかしたいです。
海外のように毎年何十人と狂犬病にかかった犬に噛まれて死んでいるという事例があるのであれば現状のやり方を間違っていないとも思います。

法律をもっと柔軟にして発生したらこうする、発生していないうちはこうすると野犬が外で生きられて繁殖しないような方法を模索できないのでしょうか。

 

野犬と共存できないのか

バングラデシュに行った時に驚いたのは野良犬の数。

こちらはミャンマーの写真ですが、こんな感じで路上に普通にいます。

 

ミャンマーの野犬

野良猫はあまり見かけませんでしたが野良犬はうじゃうじゃいます。
よく見るとさくらねこのように耳カットされています。
帰国後に知ったのですがバングラデシュは狂犬病が多い国です。
安易に犬に触りにいくことは海外ではしてはいけない行為です。
スラム街に住んでいる野良犬が多かったのですが人を襲うようなこともせずにうまく共存していました。
アジア系の国はこういう光景が時々あるようです。

 

野犬を捕獲して手術して元の場所にリリースするTNR活動ができるようになれば繁殖せず高確率で野犬も減ります。

前例がほぼ聞いたことがないので断言できませんがおそらくそうなるでしょう。

しかし、猫とは違い大きいし噛まれた時のダメージも比べものにならないし、課題は山積みで野犬のTNRを進んでやりたいと手を挙げる獣医師はどれだけいるのでしょうか。
山口県でも野犬の去勢不妊手術をする病院は限られています。
野犬をTNRすること自体は法律で罰せられることもありませんが、捕獲から病院に連れていくまでがなかなかの難易度の高さです。
かといってこのまま野犬を捕獲し続け動物愛護団体が引き取るのも限界があります。

 

私にとてつもないお金があるのであればこんな記事を書かずに黙って現地で動物病院を構えてひたすら手術したいものですが、そんなこともできず猫のことでも手一杯。
何が一番なのかは人それぞれ意見が分かれますが、どれだけの人がこの問題を知りどう考えるか。

狂犬病予防法はこのままでいいのか。

しかし、野犬がいない地域の人の意見と野犬がウロウロしている地域の人の意見とではまた違ってきます。

感情的にならずにどの方法が一番なのかというよりもお互いにとってベターな方法を模索していきたいものです。

 

 

私自身はTNRで一代限りの命を見守れるように緩和してもらいたい。
反対意見が山ほどきそうな記事ですが、野犬の命を守るために今すぐやれることは現地の保護団体さんの支援をすることでしょうね。
長期的には狂犬病予防法の改正に向けて議員さんに伝え続けること。

そして日本で犬のTNRの文化を広げていくこと。
命を守るために一人ひとりができることを!

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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