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犬が飛びつくのをやめさせるしつけ方法【獣医師監修】原因から実践トレーニングまで完全解説

犬が飛びつくのをやめさせるしつけ方法

 

監修:動物行動学・犬のトレーニングに関する最新エビデンスに基づく記事


愛犬が玄関で飛びついてくる。

その瞬間、思わず「かわいい!」と感じる飼い主さんも多いでしょう。

でも、ちょっと待ってください。

その飛びつきは、相手が子どもや高齢者だったとき、本当に「かわいい」で済むでしょうか?

環境省の「動物の愛護及び管理に関する法律」では、飼い主は犬が他人に危害を加えないよう適切に管理する義務があると明示されています。飛びつきによる転倒・ケガは、法的責任を問われるケースも実際に存在します。

 

この記事では、犬が飛びつく根本的な原因から、科学的根拠に基づいた具体的なしつけ方法まで、この記事だけで完結できる情報をお届けします。


なぜ犬は飛びつくのか?行動の根本原因を理解する

 

飛びつきは「愛情表現」ではなく「コミュニケーションの誤学習」

犬が飛びつく行動には、主に以下の理由があります。

  • 興奮・喜びの表現:帰宅した飼い主を見て、感情が高ぶった状態
  • 注目を求める行動:飛びつくと構ってもらえる、という経験の蓄積
  • リーダーシップの確認:社会的な順位を確かめようとする本能的行動
  • 子犬時代の習慣の継続:幼犬期に許していた行動が成犬でも続く

特に重要なのは、「飛びついたら構ってもらえた」という成功体験の繰り返しです。

犬は非常に賢い動物です。「この行動をすると、良いことが起きる」というパターンを瞬時に学習します。

つまり、飛びつくことを許してしまうたびに、その行動は強化されていくのです。

 

犬種・年齢による違い

飛びつきの強さや頻度は、犬種・年齢・個体差によっても異なります。

 

要因 特徴
小型犬(チワワ・トイプードルなど) 飛びつきを見逃されやすく習慣化しやすい
大型犬(ラブラドール・ゴールデンレトリーバーなど) 体重・力が大きく危険性が高い
子犬(〜1歳) 学習能力が高くしつけが最も効果的な時期
成犬(1〜7歳) 習慣が固まっているが、適切なアプローチで改善可能
シニア犬(7歳〜) 関節への負担もあり、行動修正と健康管理を並行して

犬が飛びつくことのリスク【データで見る危険性】

 

転倒・ケガのリスクは想像以上

「うちの犬は小さいから大丈夫」——そう思っていませんか?

実は、犬による飛びつきが原因の転倒事故は、決して珍しくありません。

東京都福祉保健局が公表している動物による事故データによれば、犬が関係するケガの事案の中で、「飛びつき・引っ張り」による転倒が一定数含まれています。特に65歳以上の高齢者や、幼児(3歳以下)への飛びつきは、骨折・打撲などの重大な傷害につながるリスクがあります。

また、日本獣医師会の資料においても、飼い主への咬傷・引っかきと並んで、「飛びつきによるケガ」が飼育管理上の問題行動として挙げられています。

 

法的責任を問われる可能性も

環境省が定める「動物の愛護及び管理に関する法律(動愛法)」では、飼い主は動物が人の生命・身体・財産に害を加えないよう努めなければならないと規定されています(第7条)。

飛びつきによって他人がケガをした場合、民法709条(不法行為)に基づく損害賠償請求を受ける可能性があります。

「かわいいから」「うちの子はそんなことしない」という感覚的な判断ではなく、適切なしつけは飼い主の社会的責任であることを、まず理解しておきましょう。


犬が飛びつくのをやめさせるしつけの基本原則

 

原則①「反応しない」が最も強力な抑止力

結論:犬が飛びついたときは、完全に無視してください。

犬にとって「注目される」こと自体がご褒美です。たとえ叱られても、飼い主が自分に向き合ってくれたという事実が、行動を強化してしまいます。

帰宅したとき、愛犬が飛びついてきたとします。このとき、声をかけず、目を合わせず、触れず、背中を向けます。犬が四本足で地面に着いた瞬間に初めて、穏やかに声をかけて撫でてあげます。

「飛びつく→無視される」「落ち着く→構ってもらえる」という経験を積み重ねることで、犬は自然と飛びつかない選択をするようになります。

 

原則②「代わりの行動を教える」

ただ禁止するだけでは不十分です。

犬に「飛びつく代わりに、これをすれば良いことが起きる」という代替行動を教えることが重要です。

代替行動として有効なのは以下の通りです。

  • 「オスワリ」で挨拶する
  • 「フセ」で落ち着く
  • 「マテ」で待つ

これらのコマンドをしっかり身につけさせることが、飛びつきのしつけの土台になります。

 

原則③「全員が同じ対応をする」

しつけで最もよくある失敗が、家族によって対応がバラバラになることです。

飼い主がいくら「飛びつきを無視する」を徹底していても、家族の一人が飛びつきを許してしまうと、犬にとってその行動は「たまに成功する」ものになります。

行動心理学では、「間欠強化」と呼ばれるこの状態は、むしろ行動をより強固にすることが知られています。

パチンコで「たまに当たる」から続けてしまうのと同じ原理です。

家族全員・来客にも「飛びついてきたら無視する」というルールを共有しましょう。


実践トレーニング:段階別しつけ方法

 

ステップ1:基本コマンドを先に習得させる(1〜2週間)

飛びつきのしつけを始める前に、まず「オスワリ」「マテ」などの基本コマンドを確実に習得させておきましょう。

 

「オスワリ」の教え方

  1. おやつを犬の鼻先に持っていく
  2. おやつをゆっくり後ろ上方に動かす
  3. 自然とお尻が下がった瞬間に「オスワリ」と声をかける
  4. 即座におやつとほめ言葉でご褒美を与える

これを1回3〜5分、1日3セットを目安に続けます。

 

重要なポイント

  • セッションは短く、楽しく終わる
  • 失敗しても叱らない
  • 成功したら必ず即座にご褒美を

 

ステップ2:「飛びつき無視」を実践する(2〜4週間)

基本コマンドが定着したら、実際の飛びつきへの対応を始めます。

 

具体的な手順

  1. 帰宅する前に深呼吸して、冷静な状態を整える
  2. 玄関を開け、犬が飛びついてきたら無言で背中を向ける
  3. 犬が落ち着いたら(四本足が地面についたら)振り向く
  4. 再び飛びついたらまた背中を向ける
  5. 落ち着いた状態で「オスワリ」を指示し、できたら思い切り褒める

最初は5〜10分かかることもあります。

焦らず、一貫して対応することが大切です。

 

ステップ3:コマンドで挨拶を習慣化する(4〜8週間)

飛びつかなくなってきたら、挨拶のルーティンを作りましょう。

 

理想の挨拶フロー

飼い主が帰宅 → 犬が来る → 「オスワリ」と指示 → 犬が座る → 「よし!」でご褒美+撫でる

このルーティンを繰り返すことで、「お客さんが来たらオスワリして待つ」という行動パターンが定着します。

 

ステップ4:様々な状況でのトレーニング(継続)

家の中だけでなく、以下の場面でも練習しましょう。

  • 散歩中に知人に会ったとき
  • 公園やドッグランでの挨拶
  • 来客があったとき
  • ペットショップやトリミングサロンで

環境が変わると、犬は「違うシチュエーション」と認識することがあります。様々な場所・状況で練習することで、どんな状況でもできる力を育てましょう。


よくある失敗パターンとその対策

 

失敗①「膝で押す・足で踏む」

飛びついてきた犬を膝で押し返したり、足で踏んだりする方法を試したことはありませんか?

これは逆効果になる場合があります。

犬によっては「遊んでいる」と誤解し、さらに興奮してしまいます。また、力の加減を誤ると犬を傷つけるリスクもあります。

 

対策: 物理的な制止ではなく、「無視して背中を向ける」を徹底しましょう。

 

失敗②「ダメ!と叱る」

叱ることで飛びつきが止まる犬もいますが、多くの場合は一時的な効果にとどまります。

また、声を荒げることで犬が不安・恐怖を感じ、別の問題行動(吠え・攻撃性)につながることもあります。

動物福祉の観点からも、恐怖や痛みを利用したトレーニングは推奨されません。日本動物病院協会(JAHA)も、「ポジティブな強化(良い行動を褒めること)」を基本としたトレーニングを推奨しています。

 

対策: 感情的に叱るのではなく、「できた行動を褒める」に集中しましょう。

 

失敗③「一貫性がない」

今日は無視したけど、疲れていたから今日は許してしまった——。

これが最も多い失敗パターンです。

 

対策: 「絶対に一貫する」という強い意志を持つこと。難しい場合は、リードをつけておくことで物理的に飛びつきを防ぎながら練習しましょう。

 

失敗④「おやつに依存しすぎる」

おやつを使ったトレーニングは効果的ですが、「おやつがなければできない」状態にならないよう注意が必要です。

 

対策: 徐々にランダムにおやつを与え、最終的には言葉と撫でることだけで行動が維持できるよう移行していきましょう。


子ども・高齢者への飛びつきを防ぐ特別対策

 

なぜ特別な対策が必要なのか

子ども(特に乳幼児・小学校低学年)や高齢者は、犬の飛びつきによって転倒・重篤なケガをするリスクが格段に高くなります。

厚生労働省のデータによれば、転倒・転落による死亡者数は高齢者で特に多く、年間8,000件以上(骨折含む重傷)に上ります。犬の飛びつきがその一因となるケースは統計に現れにくいですが、実際の現場では報告されています。

 

子ども向け対策

  • 子どもが近づくときは必ずリードまたはハーネスで制御する
  • 「犬に近づくときはゆっくり、手を差し出してから」という教育を子ども側にも行う
  • 「オスワリ」ができたときに子どもがご褒美を与える役割を担う(犬が「子ども=良いことがある存在」と学ぶ)

高齢者向け対策

  • 来客前にリードをつけ、飛びつける状態にしない
  • 「玄関には近づかせない」物理的な仕切りを使う
  • 来客中はケージや別室で待機させる

「しつけができるまでの間」は、環境の管理で事故を防ぐことが最優先です。


成犬でも遅くない!年齢別アプローチ

 

子犬(〜6ヶ月)

社会化期(生後3〜14週齢)を含むこの時期は、最も学習能力が高く、しつけの効果が出やすい時期です。

この時期に正しい挨拶の仕方を教えることは、一生の財産になります。

  • 飛びついても無視し、落ち着いたときだけ構う
  • 「オスワリ」で挨拶するルーティンを早期から確立する
  • 様々な人・環境に慣れさせる(社会化)

 

若い成犬(6ヶ月〜3歳)

エネルギーが最も高く、飛びつきが激しい時期でもあります。

  • 運動不足が飛びつきを悪化させることがあるため、十分な散歩・運動を確保する
  • トレーニングを「遊び」の一部として楽しく取り入れる
  • 一貫性を特に重視する

 

中〜シニア成犬(3歳〜)

習慣が固まっているため、時間がかかることもありますが、変えられないわけではありません。

犬は何歳になっても学習できます。

  • 変化に時間がかかることを受け入れ、焦らない
  • シニア犬は関節への負担も考慮し、無理な体勢を強制しない
  • 小さな改善を褒める

しつけが難しいと感じたときの対処法

 

プロのトレーナーへの相談

「自分でやってみたが、どうしても改善しない」という場合は、プロのドッグトレーナーへの相談をおすすめします。

日本では、以下の資格を持つトレーナーが信頼性の目安になります。

  • JCSA認定ドッグトレーナー(日本キャニングスポーツ協会)
  • JAHA認定家庭犬しつけインストラクター
  • KPA-CTP(Karen Pryor Academy)

「厳しく教える」より「科学的なアプローチで楽しく学ぶ」スタイルのトレーナーを選ぶことが、動物福祉の観点からも重要です。

 

獣医師・動物行動専門医への相談

飛びつきが攻撃性や分離不安など、行動上の問題と関連している可能性がある場合は、獣医師または動物行動専門医(獣医行動診療科)への相談が適切です。

行動問題に対しては、行動修正だけでなく、薬物療法が有効なケースもあります。

「どこに相談すればいいか分からない」という方は、かかりつけの動物病院に紹介を依頼してみましょう。

 

自治体の動物相談窓口

多くの自治体では、ペットの問題行動に関する相談窓口を設けています。

東京都では「動物愛護相談センター」にて、飼育・しつけに関する相談を無料で受け付けています。お住まいの自治体のウェブサイトで「動物愛護センター」「動物相談」などで検索してみてください。


飛びつかない犬を育てることは、動物福祉への第一歩

 

最後に、少し大きな話をさせてください。

日本では毎年、多くの犬が「問題行動を理由に手放される」という現実があります。

環境省の統計によれば、犬の引き取り数は減少傾向にあるものの、依然として年間数万頭が自治体に引き取られており、その背景に飼育困難・問題行動が挙げられるケースは少なくありません。

 

飛びつきのしつけは、一見すると小さなことかもしれません。

しかし、それは「人と犬が共に生きていくための関係性を築くこと」の第一歩です。

適切にしつけられた犬は、より多くの場所に連れて行ってもらえます。より多くの人に愛されます。そして、より豊かで幸せな一生を送ることができます。

しつけは犬を型にはめることではありません。

犬が、この社会で自由に生きるための言語を教えること——それがしつけの本質です。


まとめ

 

犬が飛びつくのをやめさせるしつけ方法をまとめます。

 

原因の理解

  • 飛びつきは「愛情表現」ではなく「誤学習された行動」
  • 「飛びついたら構ってもらえた」という経験の繰り返しが原因

しつけの基本原則

  • 飛びついたときは完全に無視する(背中を向ける)
  • 落ち着いたときだけ構う・褒める
  • 「オスワリ」などの代替行動を教える
  • 家族全員で一貫した対応をする

実践トレーニングのステップ

  1. 基本コマンドを先に習得させる
  2. 飛びつき無視を実践する
  3. コマンドで挨拶を習慣化する
  4. 様々な状況で練習する

難しい場合は

  • プロのトレーナーや動物行動専門医に相談
  • 自治体の動物愛護センターを活用

今日から、帰宅したときに「一度背中を向ける」ことを始めてみてください。

その小さな一歩が、あなたと愛犬の新しい関係の始まりになります。


この記事の情報は、環境省・日本獣医師会・日本動物病院協会(JAHA)の公開情報および動物行動学の最新エビデンスに基づいて作成しています。個別の問題行動については、かかりつけの動物病院またはプロのトレーナーにご相談ください。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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