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犬の狂犬病ワクチン接種は義務!知らないと罰則も|海外帰国時の手続きも完全解説

犬の狂犬病ワクチン接種

 

「毎年打たなくてもいいんじゃないの?」

そう思ったことはありませんか。 愛犬の体への負担を心配するのは、飼い主として自然な感情です。

しかし結論からお伝えします。

 

犬への狂犬病ワクチン接種は、日本の法律が定めた飼い主の義務です。

違反すれば罰則もあり、海外へ連れて行った際に適切な手続きを踏まなければ、帰国時に最長180日間の係留という事態にもなりかねません。

 

この記事では、狂犬病ワクチン接種が義務とされる理由から、接種の実務的な手順、そして愛犬を連れて海外へ行く・帰国する際の検疫手続きまで、飼い主が知っておくべきすべてを丁寧に解説します。

「うちの子は大丈夫」という思い込みが、愛犬と日本の安全を脅かします。 ぜひ最後までお読みください。


狂犬病ワクチン接種は「任意」ではなく「義務」

 

狂犬病予防法が定める飼い主の義務

まず前提として押さえておきたいのが、法的根拠です。

狂犬病予防法 第5条には、次のように定められています。

犬の所有者は、その犬について、厚生労働省令の定めるところにより、狂犬病の予防注射を毎年一回受けさせなければならない。(e-Gov 法令検索)

 

これは「推奨」でも「努力義務」でもありません。 法的な義務です。

同法では、犬の登録(生後90日を超えた日から30日以内)も義務付けられており、登録時に交付される「鑑札」と毎年の予防注射後に交付される「注射済票」を犬に装着していなければなりません。

 

守らないと罰則がある

「どうせわからないでしょ」という考えは危険です。

狂犬病予防法に違反した場合、20万円以下の罰金の対象になります。 未接種の犬は抑留(捕獲・保護)の対象にもなり、飼い主が知らないうちに愛犬が連れていかれてしまうケースもあります。

 

実際に、2019年の国内での検挙数は174件にのぼると報告されています(サーカス動物病院調べ)。

「知らなかった」では済まされないのが現実です。

 

接種が義務化された歴史的背景

日本は現在、世界でも数少ない「狂犬病清浄国」のひとつです。

清浄国には、日本のほかにイギリス・オーストラリア・ニュージーランド・ハワイ・グアムなどが含まれます。

しかし、かつての日本は違いました。 第二次世界大戦後、日本国内でも狂犬病が猛威を振るい、多数の人が命を落としました。 そこで1950年(昭和25年)に狂犬病予防法が制定され、犬へのワクチン接種の義務化が始まりました。

 

日本が最後に狂犬病の国内感染者を出したのは1957年。 以来60年以上にわたり清浄国を維持できているのは、この義務的接種制度のおかげです。

義務化が「やりすぎ」に見える人もいるかもしれません。 しかし、その義務こそが日本の安全を守り続けているのです。


狂犬病とはどれほど恐ろしい病気か

 

致死率ほぼ100%という現実

狂犬病は、狂犬病ウイルスを原因とする人獣共通感染症です。 犬だけでなく、猫・コウモリ・キツネ・アライグマなど、あらゆる哺乳類に感染します。

感染した動物に噛まれることで、人間にも感染します。

発症すると次のような症状が現れます。

  • 発熱・食欲不振(初期症状)
  • 異常行動・幻覚
  • 恐水症(水を飲もうとすると喉が痙攣する)
  • 麻痺・痙攣
  • 昏睡・呼吸障害による死亡

一度発症した場合、治療法は存在せず、致死率はほぼ100%です。

これは大阪健康安全基盤研究所をはじめ、WHO(世界保健機関)も公式に認めている事実です。

 

今も世界で毎年約6万人が死亡している

「日本では聞かない病気」と思われがちですが、グローバルな視点では全く異なります。

狂犬病によって世界で年間約6万人が命を失っています。(WHO調べ)

その99%は、犬による噛みつきが感染経路です。 被害の多くはアジア・アフリカの発展途上国で発生しており、犬へのワクチン接種率が低い地域ほど死者数も多い傾向があります。

 

WHOは「集団内の犬の70%以上にワクチン接種することが、狂犬病の蔓延を防ぐのに必要」と述べています。(大阪健康安全基盤研究所)

日本の義務的接種制度は、このWHO基準を実質的に満たすための仕組みでもあります。

 

日本への「侵入リスク」はゼロではない

「日本に狂犬病はないのだから、ワクチンは不要では?」という意見もあります。

しかし、これは大きな誤解です。

日本は島国ですが、国境は「密輸」によって簡単に突破されることがあります。

 

感染動物が密輸される事例は実際に発生しており、税関による差し止め事例も報告されています。 また、グローバル化によって毎日のように人・物・動物が海外から輸入されている現代では、狂犬病ウイルスの国内侵入リスクはゼロではありません。

集団免疫を維持し続けること。 それが、清浄国としての地位を守る唯一の方法です。


狂犬病ワクチン接種の実務と注意点

 

接種のスケジュールと費用

 

接種時期

  • 生後91日以上の犬が対象
  • 年1回の接種が義務(毎年4〜6月が強化期間)
  • 動物病院または自治体の集合注射会場で接種可能

費用の目安

  • 動物病院での個別接種:2,000〜3,500円程度(病院により異なる)
  • 自治体の集合注射:500〜700円程度(地域により異なる)

接種後は「注射済票」が交付されます。 この票を犬に装着しておくことも義務です。

 

接種できない場合の対応

狂犬病ワクチンは義務ですが、健康状態によっては接種を見送るべきケースもあります。

 

接種を猶予・免除できる主な理由:

  • 過去の接種で重篤なアレルギー(アナフィラキシー)が出た
  • 現在、重度の疾患に罹患している
  • 接種当日に体調不良(嘔吐・下痢・発熱など)がある

これらの場合は、獣医師が猶予証明書を発行することができます。 「副作用が怖い」という理由だけで接種を放棄するのではなく、必ずかかりつけ医に相談してください。

なお、アナフィラキシーショックは接種後30分以内に起こりやすいため、接種後しばらくは病院内またはその近くにいることをお勧めします。

 

接種後の副作用と対処法

狂犬病ワクチンは比較的副作用が出にくいとされています。

それでも、次のような反応が出ることがあります。

 

軽度の副作用(接種後6時間以内が多い):

  • 一時的な食欲不振
  • ぐったりする・眠がる
  • 注射部位の腫れや痒み

重篤な副作用(アナフィラキシーショック)のサイン:

  • 顔面の腫れ
  • 急激な嘔吐・下痢
  • 呼吸困難
  • 意識の低下

アナフィラキシーが疑われる場合はすぐに動物病院へ。放置すると命にかかわります。


海外帰国時の狂犬病ワクチン接種と検疫手続き

 

愛犬を連れて海外へ行く予定のある方、あるいは現在海外在住で帰国を検討している方は、この章を特に注意深くお読みください。

 

なぜ帰国時に厳しい手続きが必要なのか

日本は狂犬病清浄国です。 だからこそ、海外から戻ってくる動物には狂犬病ウイルスを持ち込まないための証明が求められます。

手続きに不備があると、愛犬は最長180日間の係留検査を強いられます。 帰国してすぐに家に連れて帰れない、という状況は飼い主にとっても愛犬にとっても大きなストレスです。

 

帰国時の係留期間を最短(12時間以内)にする条件

農林水産省動物検疫所のガイドラインによれば、次の条件をすべて満たした場合、係留期間が12時間以内になります。

 

条件①:ISOマイクロチップの装着 国際標準規格(ISO)11784または11785に対応したマイクロチップが必要です。 読み取れない場合は、対応するリーダーを持参してください。

 

条件②:狂犬病ワクチンの2回以上の接種

  • 1回目:生後91日以降(マイクロチップ装着後も可)
  • 2回目:1回目接種から30日以上〜1年以内に再接種

なお、使用できるのは不活化ワクチンのみです。 生ワクチン・遺伝子組み換えワクチンは認められていません。

 

条件③:狂犬病抗体価検査(血清中和抗体価 0.5IU/ml 以上) 2回目のワクチン接種後(同日採血可)に農林水産大臣指定の検査施設へ血清を送り、抗体価を確認します。 検査結果の有効期間は採血日から2年間です。

 

条件④:抗体確認後、180日以上の待機 狂犬病の潜伏期間は180日です。 海外での採血日を0日目として、日本到着まで180日以上待機することで、到着後の係留が最短12時間以内に短縮されます。

 

条件⑤:到着40日前までの事前届出 到着予定の空港・港を管轄する動物検疫所へ、到着40日前までに「輸入の届出書」を提出してください。 提出方法は郵送・FAX・電子メール・NACCSのいずれかです。

 

事前届出を忘れた場合の深刻なリスク

40日前の事前届出を怠った場合、日本到着後に出発国に返送されることがあります。

ただし、日本政府の勧告を受けた緊急帰国の場合は、この期限に間に合わなくても動物検疫所への相談により対応してもらえる場合があります。

備考欄に「緊急帰国である旨」を記載した届出書を、できる限り早く提出してください。

 

指定地域からの帰国と指定地域以外からの帰国の違い

日本の動物検疫所は、輸出元となる地域を「指定地域」と「指定地域以外」に分類しています。

 

指定地域(狂犬病の発生がない国・地域の一例): ハワイ、グアム、フィジー、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスなど

 

指定地域以外(狂犬病発生国・地域): アメリカ本土、中国、韓国、フランス、タイ、インドなど多くの国

 

指定地域以外からの帰国では、上記の①〜⑤の手続きがすべて必要です。

指定地域からの帰国の場合は条件が緩和されますが、それでも出生以来ずっと指定地域のみで飼育されている、または日本から輸出されて以来ずっと指定地域のみで飼育されているといった条件を満たす必要があります。

詳細は農林水産省動物検疫所の公式ホームページを必ず確認してください。

 

帰国時の空港での流れ

日本到着後の手順は次のとおりです。

  1. 手荷物受取場内にある動物検疫所カウンターへ向かう(税関検査より先)
  2. 輸入検査申請書および必要書類を提出
  3. 家畜防疫官による個体識別確認・書類審査
  4. 条件適合が確認されれば、検査完了(12時間以内)
  5. 「輸入検疫証明書」が交付される(再度海外へ連れ出す際に必要なので保管)

書類に不備があると、条件不足分に応じた係留が発生します。 最悪の場合は180日の係留です。証明書の内容は、事前に動物検疫所へ確認依頼しておくと安心です。


よくある失敗事例と対策

 

「ワクチンを打っていれば大丈夫」と思い込んでいた

Aさんは海外赴任に愛犬を連れて行き、2年後に帰国しました。 ワクチンは打っていましたが、帰国前の抗体価検査を受けていませんでした。 結果、帰国後に条件不足として係留検査となり、愛犬を連れ帰れない状況に。

対策:抗体価検査は「接種した事実」ではなく「免疫ができているかどうかの証明」です。接種と検査はセットで行いましょう。

 

「マイクロチップを入れていたから安心」と思っていた

BさんはISOマイクロチップを装着していましたが、上6桁が「900202」のタイプでした。 このタイプは2024年時点で有効性を確認中とされており、帰国時の個体識別に問題が生じました。

対策:マイクロチップは番号が確実に読み取れるかどうかも確認してください。 不明な場合は対応リーダーを持参するか、事前に動物検疫所に相談を。

 

「40日前に届出すればいい」と後回しにしていた

CさんはギリギリになってNACCSで届出を提出しようとしましたが、書類の不備で再提出。 結果的に40日前に間に合わず、追加の係留検査が必要になりました。

対策:届出は余裕を持って早めに行ってください。動物検疫所への事前相談(証明書の確認依頼)も早い段階でしておくと安心です。


動物福祉の視点から見た狂犬病ワクチン

 

接種は義務だけでなく「愛護」でもある

狂犬病ワクチン接種を「法律で義務付けられているから仕方なく」打つ飼い主と、「愛犬と日本の安全を守るために」打つ飼い主では、意識の質が違います。

動物福祉の観点から言えば、狂犬病は動物にとっても残酷な死をもたらす病気です。 犬が狂犬病を発症した場合、恐水・異常行動・痙攣を経て死に至ります。 その苦しみを防ぐことが、飼い主として愛犬にできる最大の贈り物のひとつです。

 

集団免疫は「社会への貢献」でもある

あなたの犬がワクチンを接種することは、あなたの犬だけを守るわけではありません。

近所の犬、地域の野良動物、そして人間──すべてを守ることにつながります。

これは個人の問題ではなく、地域コミュニティ、さらには日本全体の公衆衛生に関わる問題です。

日本が清浄国であり続けるのは、一頭一頭の接種が積み重なった結果です。 「うちの犬だけいい」という考えでは、その積み重ねは崩れます。


まとめ

 

この記事で解説したポイントを整理します。

 

国内での義務について:

  • 犬の狂犬病ワクチン接種は、狂犬病予防法により毎年1回の接種が義務
  • 未接種・未届出の場合は20万円以下の罰金の対象
  • 接種後の「注射済票」の装着も義務

狂犬病の危険性について:

  • 発症後の致死率はほぼ100%、治療法なし
  • 世界で年間約6万人が命を落とす深刻な感染症
  • 日本への侵入リスクは現在もゼロではない

海外帰国時の検疫について:

  • 条件を満たせば帰国時の係留は12時間以内
  • 条件未達の場合は最長180日の係留
  • 到着40日前までの事前届出が必須
  • 書類の不備は係留や返送のリスクに直結

愛犬との暮らしを守り、日本の安全を守るために、今すぐかかりつけの動物病院に連絡して、狂犬病ワクチンの接種状況を確認してみてください。

海外帰国を控えている方は、農林水産省動物検疫所(https://www.maff.go.jp/aqs/animal/index.html)のページで最新情報を確認し、早めに手続きを進めることを強くお勧めします。


本記事の情報は農林水産省動物検疫所・厚生労働省・e-Gov法令検索などの公的機関の情報をもとに作成しています。手続きの詳細は変更になる場合があるため、最新情報は必ず各機関の公式サイトでご確認ください。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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