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野良犬を保護したときに最初にすべきこと|行動の流れと注意点を徹底解説

野良犬を保護したときに最初にすべきこと

 

迷い犬や野良犬に突然出会ったとき、「どうすればいいんだろう」と戸惑った経験はありませんか。

助けたい気持ちはあっても、近づいていいのか、誰に連絡すればいいのか、何から手をつけるべきなのか——判断に迷っているうちに、犬は姿を消してしまうこともあります。

 

この記事では、野良犬を保護したときに最初にすべきことを、行動の流れに沿って具体的にご説明します。公的機関のデータや実際のケースをもとにした、信頼性の高い情報をお届けします。

一人ひとりの行動が、犬の命をつなぐことができます。ぜひ最後までお読みください。


野良犬を保護する前に知っておきたい現状

 

日本における犬の殺処分の実態

まず現実として知っておいていただきたいのが、日本における犬の殺処分の数です。

環境省の統計によると、令和4年度(2022年度)に全国の動物愛護センターや保健所に引き取られた犬の数は約2万3,000頭にのぼります。そのうち、飼い主への返還や譲渡に至らず、やむなく殺処分された犬は依然として一定数存在しています。

 

ピーク時(2000年代初頭)と比べると、殺処分数は大きく減少しています。これは動物愛護法の改正や、動物愛護団体・ボランティアの活動、そして「捨てない・無責任に飼わない」という社会意識の変化によるものです。

しかし、ゼロにはなっていません。

野良犬を保護するという行為は、その数字の中に入るはずだった一頭の命を救う可能性を持っています。

 

野良犬と迷い犬の違いを意識する

「野良犬」という言葉をひとくくりにしがちですが、実際には大きく2種類に分かれます。

  • 迷い犬(はぐれた飼い犬):首輪があるケースが多く、飼い主が探している場合がある
  • 元々の野良犬(飼い主不明・放棄犬):首輪なし、マイクロチップなし、人に慣れていないことが多い

保護したあとの手順はおおよそ共通していますが、迷い犬であれば飼い主への返還が最優先になります。見た目の状態(首輪の有無、毛並み、体格)から判断する視点を持つことが重要です。


野良犬を発見したときの最初の行動

 

まず自分と犬の安全を確保する

野良犬を保護したいと思ったとき、最初にすべきことは「すぐに近づかない」ことです。

これは冷たく聞こえるかもしれませんが、動物福祉の観点からも非常に重要なポイントです。

野良犬、特に人慣れしていない犬は、突然人間が近づくことで強いパニック状態に陥ります。追い詰められた犬は噛む場合があります。犬自身も傷つき、あなた自身も怪我をするリスクがあります。

まず観察することから始めましょう。

  • 犬の様子はどうか(震えている、威嚇している、ぐったりしているなど)
  • 周囲の交通状況は安全か
  • 他に人がいるか

この観察の数秒〜数分が、その後の判断を大きく左右します。

 

状況に応じた初期対応の判断

観察したうえで、以下のように対応を分けましょう。

 

犬がケガをしていて緊急性が高い場合

まず動物病院または動物愛護センターに電話します。「ケガをした犬がいる」と状況を伝えれば、対応方法を指示してもらえます。無理に動かすと状態が悪化することがあるため、専門家の指示を仰ぐのが原則です。

 

犬が比較的落ち着いていて接触できそうな場合

声をかけながらゆっくり距離を縮め、犬の様子を観察します。このとき、目を直視しない・しゃがんで体を小さく見せる・手をすっと差し出すことが基本的なアプローチです。

おやつや食べ物を持っているなら、地面に置いて犬自身が近づいてくるのを待つ方法も有効です。

 

犬が逃げたり、近づけない状況の場合

無理に追いかけないことが大切です。追いかけると犬は恐怖でさらに遠ざかり、交通事故などの危険が高まります。まず行政機関に連絡し、プロに対応を依頼しましょう。


野良犬を保護したあとの行動の流れ

 

ステップ1:行政機関(保健所・動物愛護センター)に連絡する

野良犬を保護した場合、まず行政機関への連絡が法律上の義務に近い形で求められています。

動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)では、負傷した動物の発見者に対して適切な措置を講じることが努力義務として定められています。また、拾得した犬は「拾得物」として扱われる側面もあり、警察への届け出も必要です(遺失物法)。

 

連絡先の例

  • 各市区町村の保健所または環境局
  • 都道府県の動物愛護センター
  • 最寄りの警察署(落とし物として届け出)

電話では「場所・犬の特徴・状態・自分の連絡先」を伝えましょう。多くの自治体では担当者が現地に来て対応してくれます。

 

ステップ2:飼い主を探す手続きを行う

連絡と並行して、飼い主を探すための情報発信を行います。

 

マイクロチップの確認

動物病院やセンターに連れて行くと、マイクロチップリーダーで登録情報を確認できます。2022年6月の改正動物愛護管理法施行により、ブリーダーやペットショップから購入した犬へのマイクロチップ装着が義務化されました。迷い犬であれば、マイクロチップで即座に飼い主を特定できるケースも増えています。

 

SNSや地域掲示板への情報発信

  • 地域のFacebookグループや掲示板に写真・特徴・発見場所を投稿する
  • 「迷い犬・迷子犬」情報サイト(ペットのおうちなど)に掲載する
  • 発見場所付近にポスターを貼る(管理者の許可を得て)

特徴の記録は丁寧に行いましょう。毛色・サイズ・性別・年齢の目安・首輪の有無・目立つ特徴(斑点、傷など)を写真とともに残しておくと飼い主探しに役立ちます。

 

ステップ3:一時的な保護と健康管理

行政への連絡が済み、保護した犬を一時的に自宅やその場で預かる場合は、衛生面と安全面に注意が必要です。

 

すぐに行うべきこと

  • 他のペットや子どもと隔離する(感染症・ノミダニのリスク)
  • 動物病院で感染症・寄生虫・健康状態のチェックを受ける
  • 清潔な水と食事を与える(急に大量に与えるのはNG・胃腸への負担大)
  • 安心できる静かなスペースを用意する

野良犬はジステンパー・パルボウイルス感染症・フィラリア・疥癬などのリスクがあります。見た目が元気そうでも、必ず獣医師の診断を受けることが推奨されます。

 

費用について

保護した犬の医療費は、基本的に保護した人が負担することになります。ただし、各自治体によっては一定の助成制度がある場合もあります。また、動物愛護団体によっては費用の一部を支援してくれるケースもあるため、積極的に問い合わせてみましょう。


野良犬を保護したあとの選択肢

 

自分で飼育を続ける

飼育環境・生活スタイル・経済的な余裕を総合的に判断したうえで、飼育を継続することもひとつの選択肢です。

ただし、衝動的な決断は禁物です。犬の一生は10〜15年。医療費・食費・世話の時間を含めたコストとライフプランをしっかり考えましょう。

飼育を決めた場合は、狂犬病予防法に基づく登録(市区町村への届け出)と狂犬病予防接種が法律で義務付けられています。

 

里親・譲渡先を探す

自分で飼育できない場合は、信頼できる里親を探すことが次の選択肢になります。

 

里親探しのチャンネル

  • 動物愛護団体・NPOへの相談
  • 里親募集サイト(ペットのおうち・みんなのペットオンラインなど)
  • 知人・家族への声かけ

里親を募集する際には、安易に渡さないことが重要です。面会・トライアル期間・誓約書の取り交わしを行い、本当に責任を持って飼育できる方に引き渡しましょう。

 

動物愛護センター・保護施設への引き渡し

やむを得ない事情がある場合は、動物愛護センターや民間の保護団体に引き渡すことも選択肢のひとつです。

ただし、公的なセンターに引き渡した犬がすべて譲渡されるわけではありません。収容数の限界や一定期間内での引き取り手がいない場合、残念ながら殺処分になるケースもあります。

できる限り、引き渡す前に譲渡先の候補を自分でも探す努力をすることが、動物福祉の観点から大切です。


野良犬の保護でよくある失敗と注意点

 

「とりあえず連れて帰る」は慎重に

よかれと思って連れて帰ったものの、先住犬や猫との関係がうまくいかず、結局預けられなくなる——こうしたケースは珍しくありません。

保護すること自体は素晴らしい行動ですが、その後の見通しを立ててから行動することが犬にとっても人にとっても幸せな結果につながります。

 

素手で触ることのリスク

衣服や軍手を使って犬を保護するのがベターです。野良犬にはノミ・ダニ・疥癬(カイセン)が寄生していることがあり、人に感染するケースもあります。保護後は必ず手洗いを徹底しましょう。

 

無理に捕まえようとしない

逃げる犬を追いかけると、犬が道路に飛び出して交通事故に遭うリスクがあります。特に車が多い道路付近では、犬を刺激せず、専門家に任せる判断も重要な動物福祉の行動です。


保護活動をより深く知りたい方へ

 

地域の動物愛護団体とつながる

野良犬の保護に一度関わると、「もっと力になりたい」と感じる方も多いです。

各地域には、保護犬・保護猫の譲渡活動を行うNPOや任意団体が存在します。定期的な譲渡会へのボランティア参加・フォスター(一時預かりボランティア)・寄付など、さまざまな関わり方があります。

自分のライフスタイルに合った形で、少しずつ動物福祉に関わっていくことが、長く続けられる支援の形です。

 

動物愛護法の基礎知識を持つ

動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)は、動物の取り扱いに関する基本法です。2019年・2022年の改正により、虐待への罰則強化、マイクロチップ義務化など、内容が大きく変わっています。

法律の知識を持っておくことで、いざというときに適切な判断・行動ができます。環境省のWebサイトや自治体の窓口で、最新情報を確認することをおすすめします。


まとめ:野良犬を保護したときに最初にすべきこと

 

この記事で解説してきた行動の流れを、改めて整理します。

  1. まず安全確認・観察(すぐに近づかない)
  2. 行政機関(保健所・動物愛護センター・警察)に連絡
  3. 飼い主を探す(マイクロチップ確認・SNS発信)
  4. 一時保護の場合は隔離・動物病院へ
  5. 飼育継続・里親探し・施設引き渡しを検討

野良犬を保護するという行動は、決して簡単なことではありません。でも、誰かが一歩踏み出すことで、助かる命があります。

知識があれば、あなたの行動はより確実に、より安全に、犬のためになります。

この記事を読んだあなたが、いざというときに「正しく動ける人」になっていることを願っています。


もし今まさに野良犬に出会って困っているなら、まず落ち着いて最寄りの動物愛護センターか保健所に電話してください。あなたの一本の電話が、一頭の命をつなぐ最初の一歩です。


参考:環境省「動物愛護管理をめぐる状況」 / 動物の愛護及び管理に関する法律(環境省) / 各都道府県動物愛護センター公開データ

 

 

ペットの社会問題について、殺処分・野良猫・多頭飼育崩壊・ペット業界の課題などを
体系的にまとめたページです。

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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