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猫の子宮蓄膿症|避妊していないメス猫が体調を崩したら、まず疑ってほしい病気

避妊手術をしていない(または避妊済みかどうか分からない)メス猫が、食べない・元気がないという状態になったら、その時点で動物病院に電話してください。猫専門誌の総説には、「具合の悪い未避妊の雌猫では子宮蓄膿症を除外すべきである」とはっきり書かれています。派手な症状は出ないことのほうが多い病気です。

猫の子宮蓄膿症は犬より起こりにくいとされています。ただしそれは発症の仕組みが犬と違うからで、起こらないという意味ではありません。そして猫では、犬で典型的とされる多飲多尿があまり見られず、膿が外に出ない型もあるため、発見が遅れやすいという特徴があります。この記事では、何を確認して、いつ動くかを整理します。

お腹を押して張りを確かめないでください。子宮頸管が閉じていて子宮がもろくなっている場合、触ることで子宮が破裂しうると総説が警告しています。抱き上げるときも腹部を圧迫せず、お尻と胸を支えてください。

「膿が出ていない」は否定の根拠になりません。子宮頸管が閉じている型では膿が外に出ず、むしろそちらのほうが全身状態が悪くなりやすいとされています。開いている型でも、猫は毛づくろいで分泌物を舐め取ってしまいます。

ぐったりしている、歯ぐきの色が悪い、手足の先が冷たいときは、夜間でも待たないでください。細菌の毒素が吸収されると、エンドトキシン血症や菌血症に至りうるとされています。

30秒で判断|どの速さで動くか

動き方当てはまるもの
今すぐ受診
電話しながら向かう
  • ぐったりして反応が鈍い、立てない、ふらつく
  • 歯ぐきが白っぽい・どろっとした色をしている、手足の先が冷たい
  • 呼吸が速い・浅い
  • 嘔吐している、水を飲んでも吐く、皮膚をつまむと戻りが遅い(脱水)
  • 未避妊(または避妊済みか不明)のメス猫の陰部から、膿・血の混じった分泌物・悪臭のする汚れが出ている
  • お腹が張って見える、腹囲が増えた(押して確かめないでください)
  • 直近1か月以内に発情があり、そのあと食べない・元気がない
  • 発熱している、または触ると熱っぽい
早めに相談
その日のうちに電話する
  • 陰部をしきりに舐めている(分泌物を舐め取っている可能性があります)
  • 体重が減ってきた、食欲が落ちた状態が続いている
  • 発情抑制のホルモン剤を使っている猫が、体調を崩した
  • 「避妊済み」と聞いていた猫に発情のような行動があり、そのあと具合が悪くなった

これは受診の優先度を決めるための目安で、病名を判断するためのものではありません。どれにも当てはまらなくても、いつもと違うと感じたら電話して構いません。迷っている時間そのものが、動物にとっては待ち時間になります。

猫の子宮蓄膿症では、症状がごく軽度、またはまったくないこともあると総説に書かれています。そのため「条件つきで経過観察してよい」と言える根拠が見当たらず、その行は置いていません。判断材料は飲水量や膿の有無ではなく、未避妊であること+体調を崩したことの2つです。

まず確認すること

動物病院に電話する前に、次の5つを整理してください。分からない項目は「分からない」とそのまま伝えてください。

  1. 避妊手術を受けているかどうか(不明なら「不明」。保護猫や譲渡で迎えた猫は、記録があるか確認する)
  2. 最後の発情がいつだったか(鳴く、腰を上げる、床に体をこすりつけるなどの様子が何日続いたか)
  3. 陰部からの分泌物の有無(色・におい・量・気づいた時刻。拭き取る前に写真を撮る)
  4. いつから食べていないか、いつから元気がないか(時刻とともに)
  5. ホルモン剤の使用歴(発情抑制の薬を使っていれば、製品と使用期間・量が分かるもの)

避妊手術の記録がない猫は、未避妊として扱ってください

保護猫、譲渡で迎えた猫、外で暮らしていた猫では、避妊手術の有無が分からないことがあります。記録がないなら「未避妊かもしれない」という前提で伝えてください。手術痕は毛で見えにくく、家庭で確かめられるものではありません。

また、避妊手術のときに卵巣の組織がわずかに残ってしまう「卵巣遺残症候群」があると、残った子宮の断端に膿がたまることがあります(断端子宮蓄膿症)。「避妊済み」と聞いている猫に発情のような行動が出るなら、そのことも伝えてください。

すぐ動物病院へ相談すべきサイン

次のどれか一つでも当てはまれば、時間帯にかかわらず電話してください。

  • 未避妊(または避妊済みか不明)のメス猫の陰部から、膿・血の混じった分泌物・悪臭のする汚れが出ている
  • 陰部をしきりに舐めている
  • 直近1か月以内に発情があり、そのあと元気がない・ごはんを食べない
  • お腹が張って見える、腹囲が増えた(押して確かめないでください)
  • 嘔吐している、水を飲んでも吐く、皮膚をつまむと戻りが遅い
  • 発熱している、または触ると熱っぽい
  • ぐったりして反応が鈍い、歯ぐきが白い・どろっとした色、手足の先が冷たい(ショックのサインです。夜間でも待たないでください)
  • 呼吸が速い・浅い、立てない、ふらつく
  • 体重が減ってきた
  • 発情抑制のホルモン剤を使っている猫が、体調を崩した
  • 分娩後の猫で、陰部から膿様の分泌物が出て発熱・元気消失・子育ての放棄がある(産後は子宮炎という別の病気として扱われます)

総説が挙げる主訴は、(子宮頸管が開いていれば)血の混じった膿様の分泌物、沈うつ、無気力、元気消失、食欲の低下や廃絶、嘔吐、体重減少です。身体検査の所見としては腹部膨満、脱水、発熱が挙げられています。そのうえで「症状は非特異的で、もっとも多い来院理由は食欲不振と元気消失である」と書かれています。

犬とは発症の仕組みが違う|猫は交尾排卵動物

この病気を理解するうえで、犬と猫のいちばん大きな違いは排卵の仕方です。ここが分かると、「なぜ猫では少ないのか」も「なぜそれでも起こるのか」も、同時に説明がつきます。

排卵自然排卵(発情のたびに排卵する)交尾排卵(交尾などの刺激で排卵が起こる)
妊娠しなかったとき発情のたびに約2か月のプロゲステロン優位期が来る排卵すれば約40日の黄体期。排卵しなければ発情間期は8〜10日で、プロゲステロンは基礎値のまま
発生(スウェーデンの保険データ)10歳までに19%(1万犬年あたり199頭)13歳までに2.2%(1万猫年あたり約17頭)
典型的な症状多飲多尿が典型多飲多尿はあまり見られない。食欲不振と元気消失が最多
致死率(同データ)3〜4%5.7%

「交尾していないから起きない」は成り立ちません

猫専門誌の総説は、「交尾排卵動物であるにもかかわらず、猫の自然排卵は当初考えられていたほど珍しくないようだ」と述べ、報告されている自然排卵の割合を30%から87%という幅で示しています。原因は分かっていませんが、品種・加齢・出産経験の影響が示唆されています。

つまり、交尾の機会がない室内の未避妊猫でも黄体期に入りうるということです。「1匹で室内飼いだから関係ない」とは言えません。

ホルモン剤の使用歴は、リスクとして伝えてください

総説がリスク因子として挙げているのは、直近4週以内の発情に加えて、発情を抑える目的のプロゲスチン製剤の投与歴(特に高用量を1年以上、高齢猫に用いた場合)と、排卵を誘起する薬剤の使用です。プロゲステロンは体内で作られたものでも外から入れたものでも、この病気の成立に関わるとされています。

そのため、ホルモン剤を使っている猫では若い猫でも起こりえます。使用中の製品が分かるものを持って行ってください。

なお、妊娠は逆に守る方向に働き、妊娠しない発情周期を重ねるほど子宮の病気のリスクが上がるとされています。

多いのは「発情が始まってから4週以内」

総説は、「子宮蓄膿症になった猫の大多数は、直近の発情の開始から4週以内に症状を示して来院する」と明記しています。「発情が終わってしばらくして、なんとなく元気がなくなった」という経過は、まさに典型的な流れにあたります。

「発情後1〜2か月に多い」と説明されることがありますが、その数字の裏づけは今回の調査では確認できませんでした。この記事では、一次資料の記載どおり4週以内としています。

プロゲステロンが優位な期間が長いほど、膣から上がってきた細菌が子宮に定着しやすくなります。犬は発情のたびにその期間が来るのに対し、猫は排卵しなければ来ません。この累積の差が、発生率の差になっています。

統計はいずれもスウェーデンの保険データで、日本のデータではありません。日本国内の発生率を示す資料は確認できませんでした。

開放性と閉鎖性|膿が出ないほうが危ない

子宮蓄膿症には、子宮頸管が開いている「開放性」と、閉じている「閉鎖性」があります。飼い主にとって直感に反するのは、膿が外に出ない閉鎖性のほうが危ないという点です。

開放性(子宮頸管が開いている)閉鎖性(子宮頸管が閉じている)
陰部からの分泌物血の混じった膿様の分泌物が出る。これが唯一の症状のこともある見られないことがある
全身状態比較的保たれていることがある全身性に具合が悪くなっていることのほうが多い
起こりうること膿が外に出るぶん、子宮内の圧は上がりにくい細菌毒素の吸収によるエンドトキシン血症、ときに菌血症
気づきやすさ分泌物で気づけることがある(ただし猫は舐め取ってしまう)気づかれないまま溜まり、発見が遅れる

開放性でも見逃されます|猫は分泌物を舐め取ってしまう

総説は、「猫は毛づくろいに几帳面でありうるため、陰部の分泌物が飼い主に気づかれず、そのために診断が遅れることがある」と述べています。同じ資料は、陰部からの粘液膿性・血様の分泌物という古典的な徴候がしばしば見過ごされる、とも書いています。

つまり「膿を見ていないから違う」は成り立ちません。むしろ陰部をやたらと舐めている行動そのものが手がかりになりえます。

気づいたときは、拭き取る前に写真を撮ってください。汚れたペットシーツやタオルをそのまま持って行くのも有効です。

犬で典型の多飲多尿は、猫では目立ちません

総説は「雌犬の子宮蓄膿症とは対照的に、罹患した雌猫では多尿・多飲はあまり見られない」と明記しています。一方、飼い主向けの資料には症状として飲水量・排尿量の増加を挙げているものもあり、資料によって扱いが分かれます。

この記事では、多飲多尿を猫の主要サインとしては扱いません。あれば手がかりになりますが、なくても否定できないためです。飲水量の記録自体は診察の材料になるので、つけておく価値はあります。

検査値についても同じ注意があります。総説は「猫の子宮蓄膿症では血液検査の変化が驚くほど乏しく、白血球像が正常のこともある」としています。猫ではこの病気が、検査でも軽く見えることがあるということです。

若いから、という理由では否定できません

典型は5〜7歳を超えた中〜高齢の猫ですが、総説は「若い猫、外因性のホルモン剤の投与を受けている猫、品種素因のある猫でも見られる」と明記しています。スウェーデンのデータでは、オリエンタル系の純血種(スフィンクス、シベリアン、オシキャット、コラット、シャム、ラグドール、メインクーン、ベンガル)で発生率が高く、診断時年齢の中央値は4歳と、一般集団より有意に若い結果でした。

日本の動物病院からは、1歳未満での発症例も報告されています。年齢は、受診しない理由にはなりません。

開放性と閉鎖性がそれぞれ何割かを示した猫のデータは、今回見つけられませんでした。割合ではなく、どちらもあり、閉鎖性は気づかれにくいという事実だけを持っておいてください。

今、自宅でできること

ここに書くのは治療ではありません。病院に着くまでに、これ以上悪くしないことと、診察に必要な情報をそろえることが目的です。

  1. 動物病院に電話する。避妊手術の有無(不明なら不明と)、最後の発情がいつか、症状が始まった時刻を伝える
  2. 陰部の分泌物は拭き取る前に写真を撮る。可能なら汚れたペットシーツやタオルをそのまま持って行く
  3. いつから食べていないか、いつから元気がないかを、時刻とともにメモする
  4. 飲水量・尿量・嘔吐の回数と時刻を記録する
  5. 体重を測って記録する。以前の体重が分かれば一緒に伝える
  6. 発情の記録(最後の発情、交尾や脱走の可能性、同居の未去勢オス猫の有無)を整理する
  7. ホルモン剤を使っていれば、製品と使用期間・量が分かるものを用意する
  8. 静かで暖かい場所に寝かせる。移動中も体を冷やさないようにする
  9. キャリーを用意する。抱き上げるときは腹部を圧迫せず、お尻と胸を支える
  10. 保護猫や譲渡で迎えた猫は、避妊手術の記録があるか確認する

やってはいけないこと

以下は猫を危険にさらすか、受診を遅らせる行為です。ひとつも行わないでください。

  • お腹を押して張りを確かめる。閉鎖性で子宮がもろくなっている場合、触ることで子宮が破裂しうると総説が警告しています
  • 抱き上げるときに腹部を圧迫する(お尻と胸を支えてください)
  • 陰部を洗う、分泌物を洗い流す(診断の材料をなくすことになります)
  • 手元にある抗生物質や、人用の薬(解熱剤・鎮痛剤など)を飲ませる
  • 「発情のあとだからそのうち治る」と待つ
  • 食欲がないところへ無理に食べさせる、水を流し込む
  • 自己判断で発情抑制のホルモン剤を続ける、量を増やす
  • 元気が戻ったからと受診をやめる(膿の溜まった子宮が残っているかぎり、感染そのものは解決しません)
  • 夜間だからと朝まで待つ(ぐったりしている、歯ぐきの色が悪いときは待たないでください)

腹部を触ることについては補足が要ります。総説は「多くの症例で子宮は触知できるほど腫大しているが、腹部の触診は細心の注意を要する」と書いています。これは獣医師に向けた注意です。診察のプロに対してそう書かれている以上、家庭で押して確かめることは避けてください。

動物病院へ伝える情報

  • 避妊手術を受けているかどうか(不明なら「不明」と)。手術痕の有無
  • 最後の発情がいつか。発情らしい様子が何日続いたか
  • 交尾の可能性(脱走、外飼い、同居の未去勢オス猫の有無)
  • 発情抑制などのホルモン剤の使用歴、種類・量・期間
  • 陰部からの分泌物の有無、色・におい・量・気づいた時刻。写真
  • 食欲・飲水量・尿量・嘔吐・下痢の変化と、それぞれいつからか
  • 現在の体重と、分かれば以前の体重
  • 腹囲の変化と、張って見えるようになった時期
  • 妊娠・出産歴。直近に出産していれば分娩の日時と子猫の数
  • 保護猫なら、保護した時期と保護前の状況
  • 自宅で行ったこと(何かを飲ませた、薬を与えたなど)は隠さず正確に

治療の考え方と、急ぐ理由

総説は、繁殖に用いる予定のないすべての猫において、子宮頸部まで含めた卵巣子宮全摘出が第一選択の治療であるとしています。子宮頸部まで取るのは、腹腔内に膿が漏れるのを避けるためと、卵巣の組織が残った場合の断端子宮蓄膿症を防ぐためです。米国獣医外科専門医学会(ACVS)は、手術は回復が速く再発のリスクが最小で、腹腔の汚染を避けられた場合の生存率を80%以上としています。

内科治療という選択肢もありますが、位置づけは限られています。総説は「一般に内科治療の適応は、繁殖に用いる予定のある若く健康な猫(3歳未満)である」とし、飼い主には治療が失敗して結局手術が必要になる可能性を伝えるべきだとしています。頻回の投与と超音波での経過観察を伴う獣医療であって、家庭で抗生物質を飲ませて経過を見るものではありません。飼い主向けの資料も「膿の溜まった子宮内容が取り除かれるまで、感染は治らない」「再発はよくある」と書いています。

急ぐ理由は、予後の数字にはっきり出ています。総説は「子宮の破裂が起きていなければ、内科・外科いずれでもただちに治療すれば生存の予後は良好」とする一方、子宮が破裂した場合の死亡率は30〜50%としています。全体の死亡率は5.6〜8%です。

そして総説は、この比較的高い死亡率の理由をこう説明しています。「罹患した猫が非常に軽度で非特異的な症状しか示さないことが多いためかもしれない。そのため一定期間誤診されたり、病気の進行した段階になってから受診したりすることがあり、いずれも転帰を悪くする」。つまり、猫でこの病気が怖いのは、病気そのものより気づかれにくさのほうにあります。

高齢で、手術に耐えられるか心配なとき

受診して相談してください。判断材料になるのは、脱水・電解質・血圧・不整脈などの状態です。総説は、状態の悪い猫では点滴と抗生物質で状態を整えてから麻酔をかけるとしており、内科治療で子宮の内容を出してから手術に持ち込む方法も、リスクを下げる手段として書かれています。

同時に「多くの猫は来院時に全身状態が良好で、麻酔・手術のよい適応である」ともされています。どの方法を選ぶかは、診察と検査を経て主治医と決めることです。

お腹の張りは、病院で何を見て区別するのか

腹部X線での子宮の拡大は、胎子の骨が写る前の妊娠初期とよく似て見えます。子宮の中に膿ではなく粘液や水がたまる状態(子宮粘液症・水腫)との区別も難しいとされています。そのため総説は、「子宮蓄膿症が疑われるときの最も重要な検査は腹部超音波である」としています。

家庭で妊娠と見分けようとしないでください。そして繰り返しになりますが、確かめるためにお腹を押さないでください。

予防|避妊手術と、記録を残すこと

ACVSは「若いうちに避妊手術を受けた犬猫の大半は子宮蓄膿症にならない」としています。飼い主向けの資料も、子宮蓄膿症に対する手術は根治的であり、内科治療を選んだ猫も繁殖が不要になった時点で避妊手術をすべきだとしています。

ただし、卵巣の組織が残る「卵巣遺残症候群」があると、残った子宮の断端に断端子宮蓄膿症が起こりうるとされています。「避妊済み」と聞いている猫に発情のような行動が出るなら、そのことを動物病院に伝えてください。

保護活動やTNRの現場では、避妊手術の記録が残らないことがあります。記録がない猫は未避妊として扱い、譲渡の際にも手術の有無を書面で引き継いでください。この1行があるかないかで、何年もあとの初動が変わります。

手術の時期については、猫の避妊時期と子宮蓄膿症の発生率の関係を定量的に示した資料にはあたれませんでした。時期の考え方は、避妊去勢手術そのものを扱った記事のほうが詳しいので、落ち着いてから読んでください。

夜間・休日でかかりつけの動物病院が閉まっている場合

夜間や休診日にかかりつけの病院が閉まっているときは、近くの夜間・救急動物病院を確認してください。向かう前に必ず電話をしてください。夜間は予約制のところや、受け入れられる状態かどうかがその時々で変わるところがあります。

電話では、「何が起きたか」「いつからか」「猫の年齢と体重」「今の様子」を伝えてください。その場でできることを教えてもらえたり、より適した病院を案内してもらえることがあります。

電話では「避妊していないメス猫が、発情のあとから元気がない」と最初に伝えてください。この組み合わせは獣医師にとって分かりやすい情報で、受け入れの判断が早くなります。

陰部の分泌物の写真があれば、そのことも伝えてください。

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よくある質問

交尾していない室内飼いの猫でも起こりますか?

起こりえます。猫は交尾排卵動物なので犬より起こりにくいのは事実ですが、猫専門誌の総説は自然排卵の報告値を30〜87%という幅で示しており、交尾がなくても黄体期に入りうるとしています。

「1匹で室内飼いだから関係ない」とは言えません。判断は未避妊であること+体調を崩したことで行ってください。

膿が出ていないのですが、それなら違いますか?

そうとは言えません。子宮頸管が閉じている型では膿が外に出ず、むしろそちらのほうが全身状態が悪くなりやすいとされています。細菌毒素の吸収でエンドトキシン血症、ときに菌血症に至りうると書かれています。

開いている型でも、猫は毛づくろいで分泌物を舐め取ってしまい、飼い主が気づかないことがあります。陰部をやたらと舐めている行動のほうが、手がかりになることがあります。

水をたくさん飲む症状はありますか?

犬の子宮蓄膿症では多飲多尿が典型ですが、猫ではあまり見られないと猫専門誌の総説が明記しています。飼い主向けの資料には症状として挙げているものもあり、扱いが分かれます。

あれば手がかりになりますが、なくても否定できません。この病気を犬の症状イメージで探すと、猫では見つけそこねます。

発情のあと元気がないだけです。急ぐ病気ですか?

猫の子宮蓄膿症でもっとも多い症状が、まさに食欲不振と元気消失です。大多数は直近の発情が始まってから4週以内に症状が出るとされており、時期も合っています。

症状が軽く見えるために発見が遅れることが、猫の死亡率(5.6〜8%)が犬(3〜4%、いずれもスウェーデンの保険データ)より高い理由として挙げられています。子宮が破裂すると死亡率は30〜50%に上がります。破裂の前に受診できるかどうかで結果が変わります。

手術しないで、薬だけで治せませんか?

繁殖に用いる予定のないすべての猫では、子宮頸部まで含めた卵巣子宮全摘出が第一選択とされています。内科治療の適応は「繁殖予定のある3歳未満の若く健康な猫」に限られる、というのが猫専門誌の総説の書き方です。

内科治療は頻回の投与と超音波での経過確認を伴う獣医療で、家庭で抗生物質を飲ませて経過を見るものではありません。反応が悪ければ結局手術になります。膿の溜まった子宮内容が取り除かれるまで感染そのものは治らず、再発もよくあるとされています。

何歳から気をつければいいですか?

7歳を超えると明らかに増えます。ただし診断時年齢の中央値は4歳(スウェーデンの保険データ)で、オリエンタル系の純血種ではより若い年齢で診断される傾向があります。

日本の動物病院からは1歳未満の発症例も報告されています。ホルモン剤の使用歴があると、若い猫でも起こります。「若いから違う」とは言えません。

お腹が張っています。妊娠と見分けられますか?

家庭では見分けられません。X線でも、胎子の骨が写る前の妊娠初期と子宮蓄膿症はよく似て見えます。見分けるのに最も重要なのは腹部超音波検査だとされています。

確かめるためにお腹を押さないでください。閉鎖性で子宮がもろい場合、触ることで破裂しうると総説が警告しています。

避妊手術をしていれば、もう心配ありませんか?

若いうちに避妊手術を受けた犬猫の大半は子宮蓄膿症にならない、とACVSが述べています。予防としては有効な方法です。

ただし、手術で卵巣の組織が残ってしまう「卵巣遺残症候群」があると、残った子宮の断端に断端子宮蓄膿症が起こりうるとされています。避妊済みと聞いている猫に発情のような行動が出るときは、そのことも伝えてください。

まとめ

  • 未避妊(または避妊済みか不明)のメス猫が体調を崩したら、それだけで電話する理由になる。総説には「具合の悪い未避妊の雌猫では子宮蓄膿症を除外すべき」と書かれている
  • 犬は自然排卵、猫は交尾排卵。この違いが発生率の差になる(スウェーデンの保険データで犬19%/猫2.2%)が、猫の自然排卵は30〜87%と報告され、交尾がなくても起こりうる
  • 大多数は直近の発情の開始から4週以内に症状が出る。ホルモン剤の使用歴は若い猫でもリスクになる
  • 閉鎖性は膿が外に出ず、全身状態が悪くなりやすい。開放性でも猫は毛づくろいで分泌物を舐め取るため、「膿を見ていない」は否定の根拠にならない
  • 犬で典型の多飲多尿は猫では目立たない。もっとも多いのは食欲不振と元気消失。血液検査の変化も乏しいことがある
  • お腹を押して確かめない。閉鎖性で子宮がもろい場合、触診で破裂しうると総説が警告している
  • 繁殖予定のない猫では卵巣子宮全摘出が第一選択。死亡率は全体で5.6〜8%だが、子宮が破裂すると30〜50%に上がる
  • 予防は避妊手術。記録のない猫は未避妊として扱い、譲渡時に手術の有無を書面で引き継ぐ

参考資料

この記事は次の資料を参照して作成しました(2026年9月9日確認)。記載内容は一般的な情報であり、個々の症例の診断・治療に代わるものではありません。判断に迷うときは、自己判断せず動物病院に相談してください。

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