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犬が夜中に苦しそうな呼吸をするとき|睡眠時呼吸数30回の数え方と、今すぐ確認すべきサイン

判断の軸は「眠っている、または完全に休んでいるときの1分間の呼吸数」です。正常な犬はこれが30回/分未満で、30回を超えていれば異常のサインとされています。心臓病の治療を受けている犬でも同じです。

呼吸数が30回未満でも、口を開けて呼吸している・横になれない・舌や歯ぐきの色が悪い・口や鼻からピンク色の泡が出ているなら、数字にかかわらず緊急です。まず動物病院へ電話してください。この記事では、呼吸数の数え方、電話で伝えること、そして自宅でやってはいけないことを順にまとめます。

今すぐ動物病院に電話してください。夜間や休診日なら夜間・救急動物病院へ。向かう前に電話をして、呼吸が苦しい状態であることを伝え、到着までにできることの指示を受けてください。

抱き上げて走る、大声で呼ぶ、追いかけ回すことはしないでください。呼吸困難のある動物ではストレスが死につながりうるため、動物病院でさえ検査を後回しにして先に酸素と治療を行います。落ち着かせること自体が処置に相当します。

利尿薬を自己判断で追加したり量を増やしたりしないでください。用量の調整は、腎機能を見ながら獣医師が行うものです。

「朝まで様子を見る」は選択肢になりません。心不全で「急に始まった」ように見える呼吸困難は、実際には呼吸数が上がっていた段階を見逃していた慢性の経過の最終局面です。心原性肺水腫で入院した犬100頭の来院時の呼吸数は、中央値で64回/分でした。

まず確認すること

電話をしながらで構いません。次の6つを確認してください。すべてそろわなくても電話を先にしてください。分からない項目は「分からない」と伝えれば十分です。

  1. 眠っている/完全に休んでいるときの1分間の呼吸数(数え方は下にまとめます)
  2. 姿勢(横になれているか、座ったまま・伏せたままで、首を前に伸ばして肘を張っていないか)
  3. 舌と歯ぐきの色(ピンクか、紫・青灰色・白っぽいか)
  4. 口や鼻から泡や分泌物が出ていないか。出ているなら色(ピンク色〜赤みがかった泡は極めて緊急)
  5. 心雑音や心臓病を指摘されたことがあるか。診断名とステージ、今飲んでいる薬(薬名・量・最後に飲ませた時刻)
  6. 苦しそうになった時刻と、その前に何をしていたか(寝ていた・興奮した・散歩の後など)

睡眠時呼吸数(安静時呼吸数)の数え方

獣医循環器の領域で家庭モニタリングとして勧められている数え方です。特別な道具はいりません。

  1. 犬がぐっすり眠っているか、完全に休んでいて、涼しい環境にあるときに数える
  2. 胸かお腹が上がって下がるまでを1回と数える(吸って吐いてで1回)
  3. 1分間数えるのが理想。難しければ15秒数えて4倍でもよいが、毎回同じやり方に統一する
  4. 数えた数字と時刻をメモする。日付ごとに残しておくと「増えているかどうか」が分かる
  5. 可能ならスマートフォンで10〜20秒だけ撮影しておく(数え直せるうえ、獣医師が呼吸のパターンを確認できる)

パンティング(ハアハア)しているときの数字は使えません。日中の起きている時間帯は、パンティングに隠れて呼吸が速いことに気づけないためです。Merck Veterinary Manualも、飼い主に数えてもらうときは「できれば犬がぐっすり眠っていて涼しい環境にあるとき」と指示しています。

日本の二次診療施設は、測り方をこう説明しています。理想は寝ているとき、またはフセの姿勢でボーッとしているとき。「スーハー」という呼吸を1セットとして数え、音が聞こえにくいときは胸が膨らむ回数で数えてもよいとされています。

何回なら異常なのか

どんな犬か眠っている/休んでいるときの呼吸数資料
正常な犬30回/分未満。30回を超えていれば頻呼吸として扱うMerck Veterinary Manual/ノースカロライナ州立大学附属動物病院
症状の出ていない左心系心疾患の犬190頭犬ごとの平均は16回/分。25回/分を超えたのは7頭、30回/分を超えたのは1頭だけOhadら 2013(190頭の横断研究)
内科治療で安定している左心不全の犬51頭平均の中央値20回/分(範囲7〜39)。25回以上が8頭、30回以上は1頭だけPorcielloら 2016
心原性肺水腫で入院した犬100頭来院時の呼吸数は中央値64回/分Yinら 2026(前向きコホート)

この表が示しているのは、「心臓病だから呼吸が速いのは仕方ない」は誤りだということです。治療がうまくいっている犬は、家で測ってもほとんどが30回/分を下回っています。だからこそ、30回を超えた状態は連絡の対象になります。

ACVIM(米国獣医内科学会)の僧帽弁粘液腫様変性の診療ガイドラインは、体重・食欲・呼吸数・心拍数を家庭で記録することを勧めたうえで、「安静時呼吸数がその犬のいつものベースラインより上がることが、差し迫った代償破綻の予測にもっとも優れている」としています。絶対値だけでなく、その犬自身の普段の値との差が大切だという意味です。

日本の二次診療施設は、40回/分を超えたら「赤信号」として、夜間なら緊急対応してくれる動物病院へ大至急連絡するよう案内しています。ただし、この40回という線引きの根拠となる原著は確認できませんでした。この記事では30回/分を主軸に置き、40回については「それを大きく超えているならさらに緊急」という補助的な目印として扱います。

すぐ動物病院へ相談すべきサイン

次のどれか一つでも当てはまれば、時間帯にかかわらず動物病院へ電話してください。

  • 眠っている・完全に休んでいるときの呼吸数が1分間に30回を超えている(心臓病の治療中でも同じです)
  • 呼吸数が40回/分を大きく超えている、あるいは前日より明らかに増えている
  • 座ったまま・伏せたままで横になれない。首を前に伸ばして肘を張っている(起座呼吸)
  • 涼しいのに口を開けて呼吸している、パンティングが止まらない
  • 口や鼻からピンク色〜赤みがかった泡が出る(極めて緊急です)
  • 舌や歯ぐきが紫・青灰色・白っぽい
  • お腹が大きく波打つような呼吸をしている、呼吸のたびに全身が動く
  • ふらついた、倒れた、意識がもうろうとしている
  • 苦しくて眠れずうろうろし続けている、隠れて出てこない
  • 咳込みが夜間に強くなり、そのあと呼吸が速い状態が続いている
  • 僧帽弁閉鎖不全症や心雑音を指摘されている犬で、上のどれか一つでも当てはまる
  • 吸うときにゼーゼー・ヒューという音がして、暑さや興奮のあとに急に悪くなった(喉頭麻痺など上部気道の閉塞の可能性。これも緊急です)

起座呼吸や肘を張った姿勢が犬でどのくらいの頻度で見られるかという数字は確認できませんでした。ここでは「この姿勢をとっていたら緊急」という質的な目印として使ってください。

なぜ夜中や明け方に気づくのか

先に整理しておきます。「夜に多い」と言えるデータは確認できませんでした。犬の心原性肺水腫の受診時刻の分布を示した獣医学の資料は見つかっていません。正確に言えるのは、「夜に気づかれやすい」ということです。

理由のひとつははっきりしています。日中は、呼吸が速くなっていてもパンティングに隠れてしまうのです。Merck Veterinary Manualは、肺水腫や胸水による頻呼吸は犬ではパンティングに隠されることが多いため、家で睡眠時呼吸数を数えてもらうほうが有利だと述べています。つまり、静かに眠っている夜になって初めて「息が速い」という形で見えるようになります。

もうひとつ、夜間の呼吸困難そのものが左心系うっ血性心不全に特徴的な所見として、獣医循環器の教材に挙げられています。心疾患の呼吸困難は運動時の息苦しさから始まり、進行すると安静時にも起こるようになります。苦しいと横になれず、楽な姿勢を探して落ち着かなくなるため、「夜になると寝ない」「うろうろして落ち着かない」という形で飼い主の目に入ります。

人の医学では、横になったときに体液が胸のほうへ再分布することなどで夜間の呼吸困難が説明されます。ただし、この仕組みを犬で検証した資料は見つかりませんでした。この記事では機序を断定しません。

そして、「夜だから軽い」ということはありません。心不全で「急に始まった」ように見える呼吸困難は、呼吸数が上がっていた段階が見逃されていた慢性経過の、最終局面にあたります。

咳が出ているかどうかでは判断できない

「咳が出ていないから心臓は大丈夫」も、「咳が出ているから心臓病だ」も、どちらも成り立ちません。

Merck Veterinary Manualは、心原性肺水腫でも咳が出ない犬は多く、逆に咳はどの動物種でも心原性肺水腫より原発性の肺の病気に伴うことのほうがずっと多いと述べています。とくに小型犬では、慢性の咳のいちばん多い原因は慢性気管支炎です。心雑音があって咳をしている犬の大半は心不全ではない、とも書かれています。

自宅での判断材料は咳ではなく、安静時の呼吸数と、呼吸の努力(姿勢・開口呼吸・全身の動き)、そして粘膜の色です。

心臓以外の可能性|気管虚脱・喉頭麻痺との違い

夜間に呼吸が苦しくなる犬で、心臓以外に挙がるものとして気管虚脱と喉頭麻痺があります。ただし、どれであっても重症なら緊急であることは変わりません。自宅で切り分けるための表ではなく、電話で伝える材料をそろえるための表として見てください。

気管虚脱喉頭麻痺心原性肺水腫
音・咳の特徴ガチョウの鳴き声のような硬く乾いた咳パンティングの音が硬くなる、吠え声がしわがれる。吸うときに音が目立つ咳は出ないこともある。目立つのは呼吸数の増加と呼吸の努力
悪化のきっかけ興奮・運動、抱き上げたとき、首輪で圧迫されたとき暑さ・興奮。正常なら過熱しない条件でも熱がこもるはっきりしないことが多い。静かに休んでいる時間帯に気づかれやすい
多いのはどんな犬か中高齢の小型犬(ヨークシャー・テリア、ポメラニアン、プードル、チワワなど)呼吸の音や吠え声の変化が先に出る犬僧帽弁閉鎖不全症など、心雑音を指摘されている犬
緊急のサイン興奮時に青くなる(チアノーゼ)、失神する離れていても聞こえる粗い呼吸音、舌が赤〜紫に暗く変色、触られるのを嫌がるピンク色の泡、開口呼吸、起座呼吸、舌の変色

気管虚脱は小型犬に多く、心臓病と同じ犬に併発することがあります。「どちらか」を自宅で決めようとしないでください。呼吸数・姿勢・舌の色・音が出るタイミング(吸うときか吐くときか)を記録して、そのまま伝えるのがいちばん役に立ちます。

気管虚脱がある犬では、首輪やリードで首を引くのではなく胴輪(ハーネス)を使うことが勧められています。呼吸が苦しいときは、首まわりに何もつけないのがいちばん安全です。

今、自宅でできること

ここに書くのは治療ではありません。病院に着くまでに、これ以上悪くしないことと、診察に必要な情報をそろえることが目的です。

  1. 動物病院に電話する。夜間・休診日なら夜間・救急動物病院へ。犬種・年齢・体重・心臓病の有無・呼吸数・今の様子を伝えて指示を受ける
  2. 眠っている/完全に休んでいる状態で1分間の呼吸数を数え、時刻とともにメモする
  3. スマートフォンで呼吸している様子を10〜20秒撮影する
  4. 室温を下げ、静かにする(テレビを消す、来客や他の動物を離す)
  5. 犬が自分で選んだ姿勢のままにする。抱き上げたり、横に寝かせようとしたりしない
  6. 首輪ではなくハーネスに替える。または何もつけない
  7. 口や鼻から出た泡・分泌物の色を確認し、写真を撮る
  8. 歯ぐきや舌の色を確認する(ピンクか、白っぽいか、紫か)
  9. 今飲ませている薬を、袋やお薬手帳ごとまとめておく(薬名と量が分かる形で)
  10. キャリーやクレートを用意し、車内を先に涼しくしておく
  11. 移動中は声をかけすぎず、揺らさず、静かに運ぶ

搬送中に窓を開ける、扇風機で風を当てる、自宅で酸素を与えるといった具体的な対応が有効かどうかは、確認できる資料がありませんでした。確かなのは「呼吸困難のある動物ではストレスが死につながりうる」という一点です。興奮させない、涼しく静かにする、本人が楽な姿勢のままにする——その範囲にとどめてください。

やってはいけないこと

以下は犬を危険にさらすか、受診を遅らせる行為です。ひとつも行わないでください。

  • 利尿薬(フロセミドなど)を自己判断で追加する、量を増やす。危険なので絶対に行わないでください
  • 他の犬の薬、以前の残薬、人用の薬(利尿薬・咳止め・鎮静薬など)を与える。獣医師の指示なしに人用の薬を与えてはいけません
  • 苦しがっている犬を無理に横向きに寝かせる、体位を変えさせる(ストレスと苦痛が増えるだけで、逆効果です)
  • 口を開けさせて中をのぞく、口の中に指や器具を入れる(危険なのでやめてください)
  • 抱き上げて走る、大声で呼ぶ、興奮させる(呼吸困難のある動物ではストレスが死につながりうるためです)
  • 首輪やチョークチェーンで引っ張る
  • 水や食べ物を与える(意識がはっきりしないときはとくに危険です)
  • 熱い部屋・熱い車内に置く。逆に氷水に浸けるのも危険なので避けてください
  • 「咳が出ていないから」「前も同じで治った」という理由で朝を待つ
  • 電話をせずにいきなり病院へ向かう(受け入れの可否と、到着までにできることの指示を先に取ってください)
  • パルスオキシメーターや人用の酸素缶を自宅で使って、受診するかどうかを判断しようとする

利尿薬について補足します。フロセミドは、開始時と少なくとも1週後、続けて飲ませている間も3〜6か月ごとに腎機能を測ることが勧められている薬で、多くの動物で腎前性高窒素血症が生じます。だから用量の調整は、臨床状態を見ながら獣医師が行います。もし飲ませてしまった場合は、隠さずに薬名・量・時刻を伝えてください。その情報で治療の判断が変わります。

動物病院へ伝える情報

電話でも受付でも、次の順に伝えると話が早く進みます。

  • 眠っている/休んでいるときの1分間の呼吸数(今の値と、分かれば普段の値)
  • 呼吸が苦しそうになった時刻と、その前に何をしていたか
  • 撮影した動画・写真(呼吸の様子、泡や分泌物の色、歯ぐきの色)
  • 起座呼吸・開口呼吸・チアノーゼの有無
  • 咳の有無と、咳の音・出るタイミング
  • 心雑音や心臓病を指摘されているか。診断名とステージ(僧帽弁閉鎖不全症のステージB2・Cなど)
  • 現在飲んでいる薬すべて(薬名・量・回数・最後に飲ませた時刻)。とくに利尿薬・ピモベンダン・ACE阻害薬
  • 直近で薬を飲ませ忘れた、量を変えた、自己判断で足したという事実があれば正直に伝える
  • 犬種・年齢・体重・避妊去勢の有無
  • 併存疾患(気管虚脱、慢性気管支炎、腎臓病、内分泌疾患など)
  • 直近の胸部X線・心エコー・血液検査の結果と検査日(あれば画像データや結果のコピー)
  • 食欲・飲水量・尿量の変化、体重の変化
  • 散歩で歩けなくなった、すぐ座り込むなどの変化
  • 首輪で引いたとき、興奮したときに咳が出るか(気管虚脱の手がかり)
  • 吸うときに音が出るか、吠え声がかすれてきたか、暑い日に悪化するか(喉頭麻痺の手がかり)

動物病院ではどんな対応をするのか

呼吸が苦しい状態で来院した場合、先に酸素と支持療法を行い、精密検査はそのあとに回します。Merck Veterinary Manualは、呼吸困難があれば精査を続ける前にフロセミドの投与と酸素投与などの支持療法を先に行うべきだとし、酸素ケージが動物にとってもっともストレスの少ない方法だと述べています。

X線検査を行うときも、動物にストレスをかけないよう細心の注意が必要だとされています。理由は同じで、呼吸困難のある動物ではストレスが死につながりうるからです。待合室で犬を興奮させない、抱き上げて走らないという自宅・搬送中の注意は、ここから来ています。

利尿薬を続けることになった場合は、腎機能を測りながら量を調整していきます。家庭側の役割は、薬を足すことではなく、睡眠時呼吸数を記録して変化を早く見つけることです。心原性肺水腫で入院した犬100頭の研究では95頭が退院まで生存しましたが、追跡できた93頭のうち22頭が退院後2か月以内に肺水腫で再入院し、17頭が心臓死しています。落ち着いたあとも呼吸数の記録を続ける意味は、ここにあります。

夜間・休日でかかりつけの動物病院が閉まっている場合

夜間や休診日にかかりつけの病院が閉まっているときは、近くの夜間・救急動物病院を確認してください。向かう前に必ず電話をしてください。夜間は予約制のところや、受け入れられる状態かどうかがその時々で変わるところがあります。

電話では、「何が起きたか」「いつからか」「犬の年齢と体重」「今の様子」を伝えてください。その場でできることを教えてもらえたり、より適した病院を案内してもらえることがあります。

電話の最初に「呼吸が苦しそうで、寝ているときの呼吸数が1分間に◯回です」と伝えてください。数字がひとつあるだけで、緊急度の判断と受け入れの可否が早く決まります。心臓病の診断を受けている場合は、診断名と飲んでいる薬も続けて伝えてください。

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よくある質問

睡眠時呼吸数はどうやって数えますか?

犬がぐっすり眠っているか、完全に休んでいて、涼しい環境にあるときに数えます。胸かお腹が上がって下がるまでを1回(吸って吐いてで1回)と数えてください。

1分間数えるのが理想です。難しければ15秒数えて4倍でもかまいませんが、毎回同じやり方に統一してください。パンティングしているときの数字は使えません。

1回の値そのものより、日をまたいだ推移を残すことに意味があります。

何回以上なら動物病院に連絡すべきですか?

正常な犬の睡眠時呼吸数は30回/分未満とされています。30回/分を超えていれば異常のサインです。心臓病の治療中でも同じで、治療がうまくいっている犬はほとんどが30回未満でした。

日本の二次診療施設は40回/分を超えたら赤信号として、夜間なら緊急対応の動物病院に大至急連絡するよう案内しています。ただしこの40回という数字の原著は確認できなかったため、目安として扱ってください。

数字が30回未満でも、口を開けて呼吸している・横になれない・舌の色が悪いのであれば、数字にかかわらず緊急です。

なぜ夜中や明け方に苦しそうになるのですか?

「夜に多い」と言えるデータは確認できませんでした。正確には「夜に気づかれやすい」です。日中はパンティングで呼吸の速さが隠れてしまい、静かに眠っている時間帯に初めて見えるようになります。

夜間の呼吸困難そのものは、左心系うっ血性心不全に特徴的な所見として獣医循環器の教材に挙げられています。苦しいと横になれず、楽な姿勢を探して落ち着かなくなるため、「夜に寝ない・うろうろする」という形で現れます。

人で説明される、横になったときの体液の再分布という仕組みは、犬で確かめた資料が見つかりませんでした。いずれにしても、夜だから軽いということはありません。

朝までかかりつけが開くのを待ってもよいですか?

呼吸が苦しそうな状態は、朝を待つ状況ではありません。まず夜間・救急動物病院に電話して状況を伝え、指示を受けてください。

心不全は「急に発症した」ように見えても、呼吸数が上がっていた段階を見逃していた慢性経過の最終局面です。心原性肺水腫で入院した犬100頭の来院時の呼吸数は、中央値で64回/分でした。

ピンク色の泡、開口呼吸、舌の変色、倒れた——これらがあれば、迷わず今すぐ向かってください。

苦しそうなので、いつもの利尿薬を1回多めに飲ませてもいいですか?

自己判断での追加・増量は行わないでください。フロセミドは、開始時と少なくとも1週後、続けて飲ませている間も3〜6か月ごとに腎機能を測ることが勧められている薬です。

多くの動物で腎前性高窒素血症が生じ、腎臓の病気がある犬では副作用が出やすいことも知られています。用量の調整は、臨床状態を見ながら獣医師が行います。

すでに飲ませてしまった場合は隠さず、薬名・量・時刻を必ず伝えてください。

病院まで、どう連れて行けばいいですか?

呼吸困難のある動物はストレスによって死亡することがあります。落ち着かせること自体が処置に相当します。抱き上げて走る、大声で呼ぶ、追いかけ回すことはしないでください。

犬が自分で選んだ姿勢のままにして、無理に横にしないでください。首輪ではなくハーネス、または何もつけないのが安全です。

車内を先に涼しくし、揺らさず静かに運びます。出発前に電話して受け入れを確認し、到着までにできることの指示を受けてください。

心臓ではなく、気管虚脱や喉頭麻痺のこともありますか?

あります。気管虚脱はガチョウの鳴き声のような硬く乾いた咳が特徴で、興奮・運動・首輪の圧迫で悪化します。中高齢の小型犬(ヨークシャー・テリア、ポメラニアン、プードル、チワワなど)に多く見られます。

喉頭麻痺は、パンティングの音が硬くなる、吠え声がしわがれる、暑さや興奮で急激に悪化するのが特徴で、吸うときの音が目立ちます。舌が暗く変色し、触られるのを嫌がる状態はすぐに処置が必要です。

気管虚脱と心臓病は同じ小型犬に併発することがあります。自宅で「どちらか」を決めようとせず、呼吸数・姿勢・舌の色・音の出るタイミングを記録して受診してください。

落ち着いたように見えます。もう受診しなくてよいですか?

見た目が落ち着いても、その時点で動物病院に電話して指示を受けてください。受診のタイミングは電話で決めてもらってください。

心原性肺水腫で入院・退院した犬では、追跡できた93頭のうち22頭が2か月以内に肺水腫で再入院し、17頭が心臓死していました。落ち着いた状態は、終わったという意味ではありません。

その間も睡眠時呼吸数を数えて記録を続けてください。再び30回/分を超える、口を開けて呼吸する、泡が出るなら、その時点で救急です。

まとめ

  • 判断の軸は眠っている/完全に休んでいるときの1分間の呼吸数。正常は30回/分未満で、30回を超えていれば異常のサイン
  • 数えるのはぐっすり眠っていて涼しいとき。胸かお腹が上がって下がるまでを1回、1分間。パンティング中の数字は使えない
  • 治療でコントロールされている左心不全の犬でも、家で測った平均は中央値20回/分だった。「心臓病だから呼吸が速いのは仕方ない」は誤り
  • 「夜に多い」データはない。日中はパンティングに隠れるため「夜に気づかれやすい」だけで、夜だから軽いということはない
  • 咳の有無では判断できない。呼吸数・姿勢・舌の色・呼吸の努力を見る。ピンク色の泡、開口呼吸、横になれない状態は極めて緊急
  • 利尿薬を自己判断で足さない。呼吸困難のある動物ではストレスが死につながりうるので、興奮させず、静かに、電話してから運ぶ
  • 気管虚脱・喉頭麻痺との切り分けは自宅では行わない。記録して伝えることが、いちばん役に立つ

参考資料

この記事は次の資料を参照して作成しました(2026年9月9日確認)。記載内容は一般的な情報であり、個々の症例の診断・治療に代わるものではありません。判断に迷うときは、自己判断せず動物病院に相談してください。

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