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害獣は動物愛護の対象になるか。アライグマを捕獲器で捕まえたらどうなる?

害獣という言葉自体が、人間は何様なんだろうと思うところがあり使いたくない言葉なのですが、便宜上使わせてもらいます。

猫をTNRしようとした時に、捕獲気に入ったのが猫ではなくアライグマだった。

アライグマが入ったら逃しては逆に犯罪になってしまい、行政に連絡して連れていき殺処分しないといけないという話も聞きます。

ものすごい複雑な気分になりますよね、自分が捕まえてなかったら…と動物好きな人なら。

 

 

野生動物でも鳥獣保護管理法で駆除するのはおかしいはずなのになぜアライグマは殺処分になるのか。

法律としてどうなっているのか調べてみました。

 

 

守られる動物と駆除対象の動物

 

まず、動物愛護管理法で動物を殺したり傷つけたりして罰則を受けるケースは法律に書かれているこちらの動物。

人に飼われている「哺乳類、鳥類、爬虫類に属する動物」及び飼い主の有無にかかわらない全ての「牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひる」

 

例えばイモリやトカゲやセミを捕まえても処罰されませんし、釣りをしていて虐待とならないのは対象ではないから。

 

 

そしてもう一つ、鳥獣保護管理法で動物を殺したり傷つけたりして罰則を受ける対象の動物。

鳥獣保護管理法に違反した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。

鳥類または哺乳類に属する野生動物(ネズミ・モグラ類、海棲哺乳類含む)

対象外はドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミ

海棲哺乳類の多くについては他の法律があります。

 

 

あれ?哺乳類ということはアライグマの捕獲と殺処分は鳥獣保護管理法違反では?

鳥獣保護管理法の中に狩猟制度の項目があります。

 

鳥獣保護管理法第2条第8項において、狩猟は「法定猟法により、狩猟鳥獣の捕獲等をすること」と定義されており、狩猟鳥獣以外の鳥獣の狩猟は禁じられています。

 

 

日本に生息する鳥獣約700種のうちから、狩猟対象としての価値、農林水産業等に対する害性及び狩猟の対象とすることによる鳥獣の生息状況への影響を考慮し、鳥獣保護管理法施行規則により次の46種類を選定しています。

 

鳥類(26種類)

カワウ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモ、エゾライチョウ、ヤマドリ(コシジロヤマドリを除く。)、キジ、コジュケイ、ヤマシギ、タシギ、キジバト、ヒヨドリ、ニュウナイスズメ、スズメ、ムクドリ、ミヤマガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラス

獣類(20種類)

タヌキ、キツネ、ノイヌ、ノネコ、テン(ツシマテンを除く。)、イタチ(雄)、シベリアイタチ、ミンク、アナグマ、アライグマ、ヒグマ、ツキノワグマ、ハクビシン、イノシシ、ニホンジカ、タイワンリス、シマリス、ヌ-トリア、ユキウサギ、ノウサギ

こちらにアライグマが書かれています。

けれど、免許がいるし狩猟税を納付する必要があります

おそらく、アライグマが民家や畑に現れて、駆除してほしいという連絡を受けた駆除業者が該当する話だと思われます。

 

 

ちなみに、ノネコとありますが人の管理下にない、山に住む猫は狩猟対象で免許があれば駆除できるということですが、街中に住む野良猫と全く見分けがつかず動物愛護団体を中心におかしいという声が増えています。

広島ではノネコだから食べていいと思ったと大学院生が猫を食べる動画をYou Tubeにアップロードしていましたが、ノネコの件については議論していく必要があります。

 

 

話を戻してアライグマ。

もう一つ関わってくるのが外来生物法という法律。

特定外来生物とは海外起源の外来種のことを指し、その中でも生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、及ぼす恐れがあるものです。

 

こちらの特定外来生物にアライグマが該当するわけですが、そもそもアライグマが増えたのはアライグマラスカルというアニメが流行り、ペットとして飼うために海外から輸入したものの獰猛な性格で手に負えないから捨てる人が続出した結果です。

しかも繁殖力が高く、地域によっては増え続けているところも。

人間の浅ましい欲によってもたらされた人災です。

例えば猫を捕まえるための捕獲器に入ってしまったアライグマは先程の鳥獣保護管理法ではなくこの外来生物法に該当します。

各自治体の対応になり、市役所などに連絡して対処法を聞いてみてください。

 

 

ちなみにアライグマの殺処分はついこの間まで捕獲器ごと水に突っ込んで溺死、もしくは餌を与えずに衰弱死させていたという残酷な方法でしたが最近は二酸化炭素による窒息死に切り替えられているそうです。

詳しくは朝日新聞のこちらの記事で。

 

https://www.asahi.com/articles/ASN7K3GR0N7BUHNB006.html

 

 

環境省のホームページにはこの文章が。

Q5 : 特定外来生物を飼いきれなくなったら、どうしたらよいですか?

どうしても飼い続けることが出来ない場合は、あなたが責任を持って殺処分してください。残念ですが、これは許可を受けた者として負っていただく責任です。逃がした場合は、生態系等への被害を発生させ得ることになるとともに処罰の対象となりますので注意してください

 

これが捕獲器に捕まったアライグマを逃したら処罰の対象という意味になるのでしょうか?

 

見つけた特定外来生物を生きたまま許可無く運搬することはできないことから、不用意に捕まえず、まずはその場所の管理者や行政機関に相談することをお勧めします。ただし、特定外来生物を捕まえてしまった場合でも、その場ですぐ放すのであれば問題ありません

とも書かれていて、捕まえたアライグマを逃がすことも問題なし?

 

 

外来生物法に「特定外来生物を野外に放つこと」を禁止するとも書かれていて、ペットとして飼っていたアライグマを野外に放つことは間違いなく違反行為ですが、捕獲したアライグマはどうなのか?

もしかして情報が独り歩きしているだけなのか。

 

 

本来は、アライグマを捕まえるにしても事前に自治体に申請する必要があります。

けれど、不本意に捕まえてしまった場合、おそらく交通事故のようなもので法律としては違反してるかもしれませんが、申請無しで捕獲したからと言って違反になることもおそらくないと思われます。

ただし、どうしたらいいか分からなくてそのことを行政に伝えたら連れてきてくださいと言われて殺処分になるのでしょう。

やっとみつけた佐賀県の資料。

https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00359204/3_59204_152511_up_mutd8jh5.pdf

 

アライグマ キャッチアンドリリースしてもいいという佐賀県の資料

 

行政のキャッチアンドリリースは可能と書いてますね。

 

ただし、キャッチアンドリリースも注意が必要なことが。

 

 

取扱い注意

 

猫もそうですが、アライグマが捕獲器に入ったらもっと大変。

猫に比べて手先が器用です。

捕獲器の柵の間から手を伸ばして引っ掻いてくる可能性があります。

下手したら指を持っていかれます。

 

 

絶対触らないようにしてください。

カンピロバクター・サルモネラ症・SFTS・日本脳炎ウィルス・レプストピラ症・アライグマ回虫・狂犬病など様々な菌を保有している可能性があります。

どれもなかなかやばいです。

アライグマに限らず野生動物に触らない方がいいのは人獣共通感染症のリスクがあるためです。

 

 

捕獲器から逃がす場合はとにかく触らないように、引っ掻かれないように。

厚手のゴム手袋だけでは爪が貫通するかもしれません。

私がよくやるのはダウンジャケットを着て指先だけちょっと出して危険を感じたらすぐに引っ込める。

さすがに猫にはダウンジャケットを突き破ってまで怪我をさせられたことはありませんが、アライグマの場合想像がつきません。

 

 

捕獲器も徹底的に殺菌を。

ハイターなど塩素系で漂白を。

アライグマに限らず猫を捕獲した時も同様ですが、目に見えない菌やウイルスが一番厄介です。

 

 

まとめ

 

動物愛護の観点から見たらアライグマの処分は間違っていると言いたくなりますが、農家さんの被害や本来日本にいなかった生物が増えてしまう影響を考えると簡単にNOとは言えないこの問題。

そもそも人間が一番問題を引き起こした原因でもありますが、今後二度と同じようなことが起きないように海外からの動物の輸入の徹底管理を願います。

マングースも同じく。

 

世の中、動物愛護の観点からだけでは語れないことも多いなと改めて感じます。

いろんな立場からの意見を拒絶するのではなく聞いてみる。

その中でベターな方法を考える。

あなたのベストは誰かのワーストかもしれません。

自分が思っている答えと世の中との答えは違うことのほうが多いです。

鹿や熊の狩猟など動物に関する問題は山積みですが、色んな意見を交換しながら進めていきたいものです。

 

 

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この記事を書いた人

阪本 一郎

1985年兵庫県宝塚市生まれ。
新卒で広告代理店に入社し、文章で魅せるということの大事さを学ぶ。
その後、学習塾を運営しながらアフィリエイトなどインターネットビジネスで生計を立て、SNSの発信力を磨く。
ある日公園で捨てられていた猫を拾ってから、自分の能力を動物のために使いたいと思うようになり、猫カフェを開業。
ヴィーガン食品、平飼い卵を使った商品を開発。
今よりもっと動物が自由に生きられる世の中にしたいと思い、行動しています。

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